ADASで必要とされるデータは?車載ストレージ選びも鍵(深掘り!自動運転×データ 第42回)

カメラやミリ波レーダーのセンシングデータが核



自動運転の社会実装が始まったが、市販車ベースではまだまだ主力のADAS(先進運転支援システム)。交通安全とともに自動運転につながる技術として、より高いレベルを目指す研究開発が続いている。

ADASには衝突被害軽減ブレーキなど幅広い技術が盛り込まれているが、どのようなデータを活用し、どのような仕組みで機能しているのか。

ADASの主だった機能の概要や仕組み、そしてデータについて解説していく。

■ADASの主な機能

市販車両への標準搭載化が進展しているADAS。その機能は多岐に及ぶが、クルーズコントロールや自動被害軽減ブレーキなど、各社揃い踏みで開発している機能も多い。以下、主な機能と仕組みについていくつか紹介する。

クルーズコントロール

アクセルやブレーキ操作をすることなく、自動車が自動で一定の速度を保つ機能。発展系として、あらかじめ設定した速度内で制御しながら先行車両と適切な車間距離を保ちながら追従するアダプティブクルーズコントロールがある。

クルーズコントロールは車速を一定に保つシンプルなシステムのため、歴史は意外と古い。海外では1950年代にクライスラー、国内では1960年代にトヨタが「オートドライブ」の名称で市販車にオプション装備している。

アダプティブクルーズコントロールは、カメラやミリ波レーダーで前走車を検知し、リアルタイムで距離を測定して追従する。カメラを使用したモデルでは、前走車のブレーキランプを検知し、挙動を予測するシステムなどもあるようだ。

衝突被害軽減ブレーキ

自動車を走行中、衝突の恐れがある際にブレーキ操作をアシストする機能。前方に衝突の恐れがある車両や障害物などを検知すると警報を発してブレーキの効きを強くしたり、衝突前に停止できるよう、あるいは衝突時の衝撃が少しでも緩和されるようブレーキをかけたりする。

アダプティブクルーズコントロール同様、カメラやミリ波レーダーで前方の車両や障害物などを検知し、距離と車両速度をもとに衝突の可能性を計算し、警告やブレーキ制御を行う。

レーンキープコントロール

走行中の車線からの逸脱を防止するシステム。方向指示器(ウインカー)を出さずに車線を越えようとすると警報を発し、ステアリングを制御して車線内の走行を維持する。また、車線の中央を走行するよう制御する機能などもある。

車両に搭載したカメラで道路上の白線や黄線を検知し、走行車線の中央を走行するよう制御したり、白線を越えようとした際に制御したりする。より高度なレベルでは高精度3次元地図を活用し、地図上にマーキングされた車線の中心線を表現する仮想の車線に沿って走行するよう制御する。

レーンチェンジアシスト

高速道路などの片側複数車線を走行中、車線を変更する際に操舵や加減速の制御、変更先の車線にいる車両監視の支援を行う。

カメラやミリ波レーダーなどで進行方向だけではなく側方や後方もセンシングする必要があり、各センサーの情報を総合しながらレーンチェンジをアシストする仕組みだ。

操舵回避支援

前方の障害物などに衝突しそうな際、操舵制御を支援して衝突回避、または衝突被害を軽減する操舵回避支援機能も、一部の車種に搭載されている。ブレーキ制御だけでは回避できないが、操舵制御によって回避可能とシステムが判断した場合に作動する。

回避するスペースがない場合や回避スペースに別の障害物がある際は作動しない。瞬時に前方スペースの状況を広く把握する必要があるため、ADASの中では高度な技術だ。

ADASにはこのほか、駐車支援システムや標識認識機能、死角モニタリング、ドライバーモニタリングなど、直接運転を支援する機能や安全を確保するための機能などさまざまなシステムがある。

■ADASにおけるデータ
センサーデータがADASの核

ADASの各システムは、カメラなどのセンサーが核となっているようだ。一般的に画像データはそのまま使用せず、車線などを検出しやすいよう画像処理をリアルタイムで施し、参照・解析しながら車両を制御する。

例えば、レーンキープコントロールでは、取り込んだ画像から前方の白線の特徴を検出し、左右の白線位置の候補点座標に向けIMU(慣性計測装置)などで推定した自車位置や挙動から操舵角を決定し制御する。センサーデータと車両の挙動に関するデータなどを組み合わせ、正確に運転支援を行うのだ。

システムによると思われるが、センサーデータは一般的には収集せず、その都度消化する。それでも膨大なデータを常に生成していることに変わりなく、ADASにおいてもデータ処理が非常に重要であることがよくわかる。

ADASの高度化で扱うデータはいっそう膨大に

日産の「プロパイロット2.0」のように、ハンズフリー走行を可能にする高度な自動運転レベル2においては、高精度3次元地図を活用するシステムも登場した。センサーデータに加え、高精度3次元地図上のデータとより正確な自車位置情報をもとにレーン内を安定して走行する、自動運転と基本的に同様の仕組みを採用している。

また、車載カメラの画像を高精度三次元地図の作製や更新に生かす取り組みも進んでいるため、近い将来ADASセンサーのデータをクラウドに送受信し、地図作製やリアルタイムな交通情報の提供などに役立てるサービスなども始まるかもしれない。

■【まとめ】ADASや自動運転の進化のカギを握る「データ」

ADASにおいても膨大な量のデータを扱うことが分かった。データ処理には高速かつ耐久性に優れたストレージなども必需品で、ADASを支える立役者となっている。

ADASにおける各技術が進化することでシステムは自動運転へと近付いていく。また、ADASにおける各種データは自動運転開発にも活用されているため、市販車ベースでもデータをしっかりと記録・収集する取り組みが今後本格化する可能性は高そうだ。

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