【特集・目次】深掘り!自動運転×データ

生成データの種類やストレージに求められる性能は?



日本では2020年、緊急時以外はシステムに全ての運転を委ねる「自動運転レベル3(条件付き運転自動化)」がいよいよ解禁される。自動運転時代の到来は、もう遠い未来の話ではない。

従来の自動車の運転操作は、人間の五感や脳によって行われていた。それが自動運転時代になると、五感がセンサー、脳が「AI」に取って代わるため、無人運転においては「データこそ全て」と言っても過言ではないだろう。

特集「深掘り!自動運転×データ」では、さまざまな視点から「自動運転とデータ」について考察する。実際に生成されるデータの種類や、「データ収集装置」としての自動運転タクシーの可能性のほか、データを保存する車載ストレージに求められる性能などについても触れる。

記事の目次

■【特別対談】「大容量×信頼性」、車載業界屈指の半導体メーカーが見据える自動運転の未来

自動車業界でコネクテッドカーや自動運転車の開発競争が激しさを増す中、車載向けストレージ製品でも長い歴史を持つ米ウエスタンデジタルは、データ需要の将来的な増加を見越した新製品「Western Digital iNAND AT EM132」と車載向けSoC「R-Car」を展開する日本のルネサスエレクトロニクス社との取り組みについて発表した。

この記事では、ウエスタンデジタルで製品マーケティングディレクターを務めるラッセル・ルーベン氏と、ルネサスエレクトロニクスで自動運転向けSoCマーケティングを担当する大塚聡氏の両氏による特別対談の模様をお届けする。

■第1回:自動運転車のデータ生成「1日767TB」説 そのワケは?

実用化と普及が徐々に近づいてきた感を受ける自動運転車。LiDARやカメラなど各種センサーが目の役割を担い、AI(人工知能)が脳の役割を担う。必要な情報は5G(第5世代移動通信システム)をはじめとした通信システムでやり取りする。その過程で生み出されるデータ量は、想像を超えたものになるだろう。

米インテルの試算によると、自動運転車は1日当たり4テラバイトのデータを生み出すという。ネットに対応した航空機が5テラバイトということを踏まえると、いかに膨大な量かを察することができるだろう。

また、米調査会社のGartner(ガートナー)によると、自動運転化されたコネクテッドカー1台あたりのデータトラフィック量は、年間280ペタバイトを超えるという。1日に換算すると767テラバイト超という並外れた数字だ。

正確な値は実用化が進むまで定かにはならないが、膨大なデータ量に上ることだけは間違いのない事実だ。では、自動運転車においてどのようなデータが生成され、どのように活用されるのか。今回はデータに着目し、テラバイト級のデータ量の謎に迫ってみよう。

■第2回:桜前線も計測!”データ収集装置”としての自動運転タクシー

道路情報や交通情報をはじめ、さまざまなデータを生成・収集・解析しながら性能を発揮する自動運転。自動運転車がデータを生み出し、データが自動運転車を走らせると言っても過言ではないほどのデータマシンだ。

このデータマシンたる自動運転車が収集する情報は、自動運転に向けたものだけではない。全国各地を走行する車両から得られる情報は、モビリティ分野をはじめさまざまな分野に活用できる。

そこで今回は、全国各地で真っ先に普及し、比較的広い範囲を走行することが予想される自動運転タクシーなどを想定し、どのようなデータを収集できるかを考えてみた。

■第3回:自動運転車の最先端データストレージに求められる8つの性能

さまざまなデータが次々と生成される自動運転。各種データの蓄積や分析、削除を繰り返すことで一定水準以上の精度を保持し、安全な走行を実現する。

その膨大なデータ処理には、タイムラグを極限まで抑え、幾度もの書き換え作業に耐える耐久性など、さまざまな条件を満たした高性能なストレージが求められることになる。

今回は、自動運転に利用されるストレージに求められる条件について考えてみよう。

■第4回:【対談】自動運転実現の鍵は「車載ストレージ」の進化にあり!

自動運転関連の開発競争が激化している。既に海外では自動運転タクシーの商用サービスも始まり、日本では自動運転レベル3(条件付き運転自動化)も解禁される。

自動運転を成立させるためには、自動運転ソフトウェアやセンサーの開発も求められるが、最近特に重要度の高さが注目されているのが、自動運転に関連するさまざまなデータを保存するためのストレージだ。自動運転車は従来の自動車とは桁違いのデータを日々生成・通信するからだ。

そこで特集「深掘り!自動運転×データ」の第4回目は、「自動運転×データ」「自動運転×車載ストレージ」という切り口で行った対談企画の内容をお届けする。

対談にご登場頂くのは、半導体メモリー大手の米ウエスタンデジタルの車載用ストレージ部門でマーケティングディレクターを務めるラッセル・ルーベン氏と、埼玉工業大学で自動運転開発に関わる渡部大志教授。業界の最前線で活躍する両氏が語ったこととは?

■第5回:自動運転車と「情報銀行」の意外な関係性

インターネット社会の到来から早20数年が経過したが、近い将来、「情報銀行」の仕組みによって、データ流通の環境が大きく変わるかもしれない。

IoT技術の進展により、さまざまなモノがインターネットを通じてつながる時代が訪れたが、気になるのが個人情報や行動履歴などの流通だ。こうしたデータの流通の安全性を高めるとともに、効果的な流通を促進する仕組みが情報銀行だ。

この情報銀行の仕組みは将来、多くのデータを生成・活用する自動運転領域でも導入される可能性があることをご存じだろうか。

自動運転における数々の公益的なデータやパーソナルデータは、情報銀行の仕組みを活用することで、より効果的なビッグデータとしての価値やパーソナルデータとしての価値を生み出すからだ。

■第6回:自動運転の安全安心の鍵は「乗員のリアルタイムデータ」にあり

自動運転開発において重要視されるデータとして真っ先に思いつくのは何だろうか。各種センサーが収集する道路環境全般にわたるデータを頭に浮かべる方が多いと思われるが、では、安全性を確保するために重要なデータと言えば何を浮かべるか。

同様に外部センサー類のデータが多く挙がるものと思われるが、もう一つ重要なデータがある。車内における乗員のリアルタイムデータだ。自動運転の根幹を担う外部情報と、乗客などの状況を逐一データ化した内部情報を合わせることで、自動運転の「安全度」や「安心度」は飛躍的に向上する。

そのために自動運転車が把握すべき乗員のリアルタイムデータにはどのようなものがあるのか、いくつか例を挙げてみよう。

■第7回:【対談】車載ストレージ、タクシーのデータビジネス下支え!

車両から集めたデータを使ったビジネスモデルが昨今注目を集めつつある。自動車がネットワークとつながる時代になり、車載センサーなどから集めた情報をクラウドなどに集積していけば、そのデータの二次利用で新たな付加価値を生み出すことが可能になってくるからだ。

こうした事業に取り組んでいるのが、900万ダウンロードの実績を有するタクシー配車アプリの最大手JapanTaxiだ。タクシーが取得する道沿いの情報や花粉の飛散状況などのデータの活用に向け「JapanTaxi Data Platform」を立ち上げ、将来は自動運転タクシーにセンサーを搭載することも視野に入れる。

そこで今回はこうしたデータ活用ビジネスに取り組むJapanTaxiと、そのデータの保存に欠かせない車載ストレージを販売する米半導体メモリー大手ウエスタンデジタルとの対談の模様をお届けする。

JapanTaxi側からは最高技術責任者(CTO)の岩田和宏氏、ウエスタンデジタル側からは車載用ストレージ部門のマーケティングディレクターであるラッセル・ルーベン氏にご登場いただく。

■第8回:自動運転、車載機器の最重要5パーツをピックアップ!

日本神話に「三種の神器」という宝器がある。これが転義され、1950年代には電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビが家電における三種の神器と呼ばれるようになり、急速な普及を見せた。2000年代には、デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型大型テレビが新・三種の神器となったようである。

では、自動車における三種の神器は何だろうか。近年では、ETCやカーナビに加え、ドライブレコーダーやADAS(先進運転支援システム)なども候補に挙がりそうだ。数年後には、バーチャルキーシステムも候補に挙がっているかもしれない。車載機器やシステムが多様化し、新たな神器が次々と求められる時代が到来しているようだ。

では、さらに将来の話となるが自動運転においてはどうか。今回は、自動運転車への搭載が求められる車載機器のベスト5を選定し、それぞれの役割について紹介していこう。

■第9回:AI自動運転用地図データ、どこまで作製は進んでいる?

自動運転の開発といえば、車両に搭載される技術に注目が集まりがちだが、自動運転を縁の下から支えるデジタルインフラ「高精度3次元地図」の開発も国内では一つの区切りを迎え、次の段階に入りつつあるようだ。

自動運転システムが利用する次世代カーナビとなる高精度3次元地図やダイナミックマップとはどのようなものか。おさらいも含め、開発各社の最新の動向に迫ってみよう。

■第10回:自動運転車、ハッカーからどう守る?

コネクテッドカーの普及が始まり、自動車が「つながるクルマ」となってさまざまな機能を提供し始めている。各車両のコネクテッド化が前提となる自動運転の実用化が本格化すれば、道路上はつながるクルマで埋め尽くされることになるだろう。

このコネクテッド化に伴い、重要性を増すのがセキュリティ対策だ。悪意あるハッカーが自動運転車を標的にした場合、その損害は情報や金銭に留まらず、人命も危険にさらされることになる。

自動運転車におけるコネクテッド化の危険性はどのように潜んでいるのか。また、ハッカーから守るためにはどのような対策が必要なのかを解説していこう。

■第11回:改ざん阻止!自動運転業界がブロックチェーン導入を歓迎すべき理由

仮想通貨の流行とともに脚光を浴びたブロックチェーン技術。仮想通貨ブームが落ち着いてからもなおその技術に注目が集まっている。

自動車業界でも自動運転やコネクテッドカーの普及を見越してブロックチェーンを活用する取り組みが進められており、トヨタの北米開発拠点TRIや独フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーなどがそれぞれ研究を重ねているほか、2018年にはブロックチェーン技術を未来のモビリティに生かすための共同事業体「MOBI (mobility open blockchain initiative)」が設立され、世界各地の自動車メーカーや関連企業などが参加している。

各社が研究を進めるブロックチェーン技術。自動車業界・自動運転業界への導入について、その可能性を探ってみよう。

■第12回:自動運転時代はクラウドサービス企業の成長期

膨大なデータが生成され、さまざまな用途で活用される自動運転時代。各車両に大容量・高速処理が可能なストレージなどの機器を搭載する必要があるが、必要に応じてデータやソフトウェアを各ユーザーに提供可能なクラウドサービスの活用に注目が集まっている。

現時点では自動運転開発者がクラウドサービスを利用しているが、将来的には自動運転サービスの運用においても有効活用されることに期待が持たれる。

現在提供されている大手クラウドサービスの内容を踏まえながら、自動運転とクラウドの関係を紐解いていこう。

■第13回:自動運転、画像データ解析の主力企業は?

自動運転の主力技術の一つに数えられる「画像データの解析」。自動運転は搭載したカメラなどのセンサーが映し出した画像をもとに周囲の車両や人、障害物などを素早く認識し、距離や対象の移動方向・速度などを計算して的確に自車を制御するが、画像に映し出されたモノが何なのか、そしてどのような挙動をとっているかなど、瞬時に解析する必要がある。

高速走行や夜間、悪天候をはじめ、無数の人や自転車が混在する場面などにおいても的確に対象物を測定するためには、高度な画像認識・解析技術が必要となる。

今回は、画像データ解析技術の開発を手掛ける企業をピックアップし、各社の取り組みに触れていこう。

■第14回:自動運転、音声データ解析の主力企業は?

「ハイ、メルセデス!」――対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスマートスピーカー機能の導入が自動車業界でも進んでいる。現在はカーナビなどとの連携が主体だが、車載インフォテインメントシステムの開発は日々進展しており、将来の自動運転時代には音声によって車両を制御することが可能になりそうだ。

便利な機能としての音声認識技術から重要技術に飛躍する可能性を秘める音声データ解析技術。今回は、アップルやグーグル、アマゾンなどスマートスピーカー製品が知れ渡っている企業を除き、同分野に取り組む企業を紹介していこう。

■第15回:日本、自動運転レベル4はいつから?ODD拡大ではデータの網羅性も鍵

いよいよ自動運転レベル3が日本で解禁されることになり、次は自動運転レベル4の実現時期に注目が集まる。レベル3からレベル4へとステップアップするための技術要件は何か。そして、レベル4はいつごろ解禁されるのか。

レベル3の次の段階となるレベル4の国内解禁時期について、大胆予測してみよう。

■第16回:日本、自動運転タクシーはいつ実現?リアルタイムデータ解析で安全走行

米ウェイモが2018年末に自動運転タクシーを商用実用化して1年余りが経過した。2019年末には無人運転も実現しており、名実ともに自動運転レベル4サービスを達成した形だ。

ウェイモに続けと言わんばかりに世界各地で実証実験が加速しており、2020年中にも第2、第3の自動運転サービスが誕生する勢いだ。

では、国内の開発状況はどうだろうか。世界に後れを取りたくないものの安全性を最優先する日本。国内における自動運転タクシーの実現時期を探ってみよう。

■第17回:【対談】自動運転、ODM企業向け「リファレンス」の確立が鍵

自動運転OS(基本ソフト)で世界トップシェアを誇るティアフォー。オープンソースOS「Autoware(オートウェア)」の開発に取り組みながら2018年には国際業界団体「The Autoware Foundation(オートウェア・ファンデーション)」を立ち上げ、2019年にはトヨタ自動車と東京2020オリンピック・パラリンピック仕様の自動運転バスe-Palette(イーパレット)」の共同開発を発表し、注目を集めた。シリーズAでは総額120億円以上資金調達も行った。まさに波に乗る日の丸スタートアップだ。

当特集では「自動運転×データ」をテーマに解説記事を連載しているが、自動運転OSはセンサーなどから得られるデータを解析・統合する土台として極めて重要な役割を担っており、このテーマの深掘りには欠かせないトピックスの一つだ。

そこで今回は、自動運転車用のデータ保存用ストレージ製品を扱う米半導体メモリー大手ウエスタンデジタルとティアフォーの対談の模様から、「自動運転×データ」における課題や両社の今後の事業計画などについてお届けする。

ティアフォー側からは創業者兼CTO(最高技術責任者)で東京大学准教授でもある加藤真平氏、ウエスタンデジタル側からは車載用ストレージ部門のマーケティングディレクターであるラッセル・ルーベン氏にご登場いただく。

■第18回:パートナーとしての自動運転車 様々な「データ」を教えてくれる?

自動運転が実現すると、自家用車における移動時間の使い方が大きく変わると言われている。オーナーは運転操作から解放され、車内における移動時間を自由に過ごすことができるからだ。自由な空間と化す自動運転車での生活時間も長くなり、クルマがより身近なパートナーになるかもしれない。

そして自動運転車をパートナーとして考えた場合、スマートスピーカーのような機能が備わるとより便利なものになる。乗る人に合わせた情報が提供してくれるからだ。まさに自動運転車をパーソナライズ化・パートナー化するのが車載スマートスピーカーであると言える。

では車載スマートスピーカーがどのようなデータを教えてくれれば、移動時間がより有効なものになるのか。一考してみよう。

■第19回:自動運転車の各活用方法とデータ解析による進化の方向性

自動運転技術は、タクシーや路線バスをはじめ、配送やスクールバス、カーシェアなどさまざまなモビリティサービスに活用される。新たなサービスとして生まれ変わる各モビリティを有効活用するためにはブラッシュアップが欠かせず、関連するさまざまなデータを収集し、分析する必要がある。

各モビリティサービスを最有効化するためには、どのようなデータをブラッシュアップしなければならないのか。データの活用方法を探ってみた。

■第20回:自律航行ドローン、安全飛行のために検知すべきデータや技術は?

世界各地で開発が進む無人航空機「ドローン」。エンターテインメントを飛び越し、その役割は各種観測や農業、警備、災害対策、点検、危険区域における作業など、幅広い分野での利活用に期待が持たれている。

中でも、物流や人の移動を目的とした開発は「空のモビリティ革命」を巻き起こすインパクトを持っており、高い注目が寄せられている。

こうした自律航行するドローンが検知すべきデータや備えるべき技術にはどのようなものがあるのか、解説していこう。

■第21回:自動運転車、AIの「性格」も選べるように?人の運転データを学習

「運転は人の性格を表す」とよく言われる。100人のドライバーを仮定すると100通りの性格があり、実際に運転スタイルも100通りに上るだろう。

こうした運転スタイルは運転タイプとして類型できるが、こうした人間の運転データを自動運転システムに反映させるとどうなるのか。学習能力を持つAIの進化によって自動運転車が「性格」を持つのだろうか。

将来における自動運転システムの在り方の一つとして、さまざまな性格を持った自動運転システム(AI)の誕生を想定してみよう。

■第22回:【対談】2020年代は「タクシー×データ」で革新が起きる!

タクシーが「移動サービス」であることは誰もが知るところだ。ただそのタクシーが新たな役割を担うようになる。「データ収集車」という役割だ。さらに最近では、タクシーが新たな「広告媒体」としても注目が集まっており、タクシービジネスはいま大きく変わろうとしている。

こうした領域で新規事業に挑戦しているのが、タクシー配車アプリ「S.RIDE(エスライド)」を展開しているみんなのタクシー社だ。今回は「タクシー×データ」という視点で行った対談の模様をお届けする。

今回ご登場頂くのは、自動車に関連するデータの保存に欠かせない車載ストレージを販売する米半導体メモリー大手ウエスタンデジタルのラッセル・ルーベン氏(車載用ストレージ部門マーケティングディレクター)と、みんなのタクシーの代表取締役社長である西浦賢治氏の両人だ。

■自動運転白書第1弾:自動運転領域に参入している日本企業など一覧

長らく世界経済をけん引してきた自動車業界が今、100年に1度といわれる変革の時代を迎えている。自動運転をはじめとするCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に向け、モビリティの在り方が再構築され始めているのだ。

業界には、テクノロジーやIT企業、通信企業らをはじめ、独自技術を持つ新興企業なども続々と参入している。日本国内でも非常に多くの企業が自動運転分野に進出しており、時に競い合い、時に協調しながら研究開発を進めている。

目まぐるしく情勢が変わる自動運転分野。今回は現在における国内の主要プレーヤーを一覧にし、「自動運転白書第1弾「自動運転領域に参入している日本企業など一覧」としてまとめました。

■第23回:自動運転に必須の3Dマップ、どんなデータが集積されている?

高度なADAS(先進運転支援システム)の実用化に伴い、社会実装がスタートした高精度3次元地図。2020年4月に解禁された自動運転レベル3や各地で実用実証が本格化する自動運転レベル4において、導入されるケースも相次ぐことが予想される。

この高精度3次元地図の実用化と並行して開発が進められているのがダイナミックマップだ。位置情報に紐付けられた各種データの宝庫として、より膨大な量の情報が付加されたマップデータをリアルタイムで更新し続けるシステムだ。

このダイナミックマップに集積・活用されるデータは一体どのようなものなのか。ダイナミックマップの仕組みとともに解説していこう。

■第24回:解禁されたレベル3、自動運行装置の作動データの保存ルールは?

改正道路交通法とともに改正道路運送車両法が2020年4月1日に施行され、名実ともに自動運転レベル3が解禁された。自動運転システムを指す「自動運行装置」やシステムの作動状況を記録する「作動状態記録装置」の位置付けが明確となり、これらの装置に求められる保安基準も合わせて改正された。

自動車においては、各システムの作動状況を検知する自己診断機能「OBD(オン・ボード・ダイアグノーシス)」や、事故時の状況を記録する「EDR(イベント・データ・レコーダー)」などがすでに実用化されているが、自動運転車に求められる作動状態記録装置はどのようなものか。

保安基準の細目に目を通し、義務化される作動状態記録装置に求められる要件について解説していこう。

■自動運転白書第2弾:自動運転関連の実証実験等に参加している日本企業一覧

自動運転レベル3が法的に解禁され、自動運転レベル4の移動サービスも実用実証の形でまもなく社会実装が始まろうとしている。本格的な自動運転時代の到来を見据えた各企業が開発に参戦し、技術の向上に向け日々研さんを積んでいる。

実用化に向け重要かつ必然となるのが実証実験だ。より現実に近い環境下で実証を重ねることでシステムの技術レベルを高め、想定外のリスクを一つずつ消して安全性を高めていくのだ。

また、社会実装を見据え、費用対効果をはじめとするビジネス面での評価を行うことも重要な要素となるだろう。自動運転ラボは自動運転白書の第2弾として、全国各地で盛んに行われている自動運転関連の実証に取り組む国内のキープレイヤーを業種ごとに「自動運転関連の実証実験等に参加している日本企業一覧」にまとめました。

■第25回:自動運転、企業の垣根を越えて共有させるべきデータ群は?

完全自動運転を実現するためには、企業の垣根を越え共有すべきデータが存在する。公的に整備し提供されるデータをはじめ、各社が協調してデータベース化に取り組むべきものもある。

各種センサーが常時データを収集し、サーバーや交通インフラ、周囲の車両とデータをやり取りしながら走行する自動運転車は、いわば「データの固まり」となり、事前に整備されたデータと生成し続けるデータを突合させながら精密な走行を実現するのだ。

さまざまな情報・データが行き交う自動運転において、共有すべきデータにはどのようなものがあるのか。その中身に触れてみよう。

■自動運転白書第3弾:自動運転業界における国内の主要人物一覧

日進月歩で研究開発が進み、着々と社会実装に向け技術を進展させる自動運転分野。最先端の座をめぐり各企業が研究開発競争を進めているが、研究教育機関である大学も存在感を大きなものへと変えている。

次世代を担う新産業として実証実験が本格化する中、官学民が連携した取り組みは増加傾向にあるほか、近年は大学発ベンチャーが次々と誕生し、直接社会に飛び出して活躍する場面も増えてきた。

自動運転ラボは自動運転白書第3弾として「自動運転業界における国内の主要人物一覧」をまとめた。学問をつかさどる大学の研究者を中心に、自動運転業界にイノベーションをもたらす主要人物を紹介していこう。

■第26回:コロナで早期実現!?自動運転宅配サービスに必要なデータは?

新型コロナウイルスの蔓延を機に注目度が高まっているコンタクトレス配送(非接触配送)。自動運転技術を活用し、配送に人の手を介さないことで人と人との直接的な接触機会を減らし、感染拡大を図るものだ。

米国や中国などで導入が進むほか、日本国内においても成長戦略を議論する「未来投資会議」で議題に上がり、早期実現に向けた取り組みが加速している。早ければ、2020年中にも公道実証環境が整うことになる。

社会実装待ったなしの自動運転配送サービスだが、実現に向けどのようなデータが必要になるのか。また、どのようなデータを収集し、事業をより効果的なものに変えていくべきか。今回は、自動運転配送サービスに関わる各種データを解説していく。

■第27回:自動運転業界、「データセット公開」に乗り出す企業たち

社会実装を目指し世界中で加速する自動運転開発。課題を抽出しながらAIやセンサーの性能向上を図るべく、各地で公道実証が繰り返されている。

近年、こうした実証で取得したデータを無料開放する動きが顕著に増加している。何万何十万にも及ぶ画像データなどを収集・加工する労力は膨大で、この作業が自動運転開発における1つの壁となっているが、こうしたデータセットを広く公開することで、業界全体の開発スピードを加速する狙いがある。

今回は、データセットの公開に乗り出している主な企業と実際に公開されている各企業のデータセットについて紹介していく。

■第28回:自動運転と「データ通信」の実証実験、過去の事例まとめ

自動運転で必須とされる基幹技術の1つに、通信技術がある。車両に搭載されたセンサーが取得した情報やクラウドに収集されたデータ、インフラからのデータなどを高度な通信技術によってリアルタイムで送受信し、より安全な走行を実現するのだ。

常時大量のデータを生み出す自動運転車が送受信するデータ量は桁違いで、こうしたデータの通信には高速大容量、低遅延性が強く求められる。

今回は、データ通信の進化に取り組む実証に焦点を当て、紹介していく。

■第29回:自動車ビッグデータの活用に取り組む「AECC」とは?

自動車のコネクテッド化が進む中、将来課題に対応するため日本企業を中心に結成された業界横断団体AECC(Automotive Edge Computing Consortium/オートモーティブ・エッジ・コンピューティング・コンソーシアム)の活動が活発化しているようだ。

2020年5月には、データストレージ開発大手の米ウエスタンデジタルもメンバーに加わり、関連業種の厚みがいっそう増した。

AECCとはどのような組織なのか。その活動内容に触れていく。

■第30回:「次世代タイヤ」から得られるデータとは?

CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング・サービス、電動化)の波が押し寄せ、100年に1度の変革の時代を迎えたモビリティ業界。この変革の波は自動車を支えるタイヤにも押し寄せている。

1つは「エアレスタイヤ」の開発で、100年以上続いた空気入りタイヤの時代がまもなく終焉を迎え、新たなスタンダードが生まれる可能性がある。

そしてもう1つが、「タイヤセンシング」技術の開発だ。自動車において唯一地面と接しているタイヤならではのセンシングにより、さまざまなデータを収集する取り組みが進められている。

特に自動運転分野においては、タイヤの異常を真っ先に検知すべきドライバーが不在のため、こうしたセンシング技術を活用して事故を未然に防がなければならない。

各社が足並みを揃えるかのように開発を加速させるタイヤセンシング技術では、どのような仕組みでどのようなデータが収集されているのか。タイヤメーカー各社の取り組みを解説していこう。

■第31回:自動運転でのデータ処理、「クラウド側」「エッジ側」の2パターン

IoT時代を迎え、「エッジコンピューティング」に関する注目が飛躍的に高まっている。さまざまなモノがインターネットで繋がり、大量のデータを送受信するための新たなコンピューティングモデルだ。

エッジコンピューティングは、膨大な量のデータを生成し、クラウドで収集・解析する自動運転においても当然注目度を増しており、一部では将来的に必須のシステムとまで言われるようになっている。

自動運転におけるデータ処理に向いているのは、果たしてクラウド側なのか、エッジ側なのか。従来のクラウドコンピューティングとエッジコンピューティングとの違いをはじめ、今後あるべきデータ処理の在り方に触れていこう。

■第32回:自動車×ビッグデータ、自動運転領域を含めた活用事例まとめ

日々膨大な量のデータを生成する自動運転やMaaS(Mobility as a Service)においては、自然発生的に大量のデータが蓄積され、ビッグデータが誕生する。IoTの浸透とともにさまざまな事象がデジタル化・データ化されるのだ。

こうした各種ビッグデータは、自動運転の構築をはじめモビリティ業界においてどのように活用されるのか。自動運転を中心に業界全体におけるビッグデータの活用事例をまとめてみた。

■第33回:自動運転の「脳」には、車両周辺はどうデータ化されて見えている?

LiDAR(ライダー)やカメラなどの車載センサーが目となり、周囲の状況をリアルタイムで検知しながら走行する自動運転車。これらのセンサーが生成したデータを脳であるAI(人工知能)が解析し、車載ストレージに保存されている高精度マップとも突き合わせながら、安全な走行を実現する。

手動運転の場合、人間の目が立体視した情報をもとにドライバーの脳が自動車を制御するが、自動運転車におけるAIには各種センサーのデータはどのように見えているのか。特に、レーザー光によるLiDARのデータは謎が深いイメージがある。

今回は、LiDAR開発を手掛ける企業などがYouTubeにアップした動画を参照しながら、その謎に迫っていく。

■第34回:自動バレーパーキングの仕組みや、やり取りされるデータは?

一定のエリア内などで無人走行を可能にする自動運転レベル4の社会実装が近付いてきているが、異なる目的でのレベル4の開発も着々と進められている。駐車場内で無人走行を可能にする自動バレーパーキングだ。

現在実用化が見込まれている一般的なレベル4は、移動サービスを担うバスやタクシーなどの特定車両の自動化を図るものが大半だが、自動バレーパーキングはやや毛色が異なり、インフラ協調のもと広く一般乗用車にレベル4をもたらす技術として開発が進められているのだ。

そこで今回は、インフラや車両に必要とされる装備や、インフラと車両間でやり取りされるデータなどに触れ、自動バレーパーキングの仕組みをひも解いていく。

■第35回:検証用に車載用フラッシュストレージを無償提供!Western Digitalがキャンペーンプログラム

車載システムの開発向けに、Western Digital(ウエスタンデジタル)の検証用フラッシュストレージを無償提供するプログラムがスタートした。自動運転やコネクテッド技術をはじめイノベーションが加速する業界をデータ処理の面から力強くサポートする取り組みだ。

プログラムを実施しているのは、Western Digitalの車載向け製品の販売代理店としても有力な存在である佐鳥SPテクノロジ社だ。提供する製品はe.MMC(embedded Multi Media Card)やUFS(Universal Flash Storage)など5製品で、利用目的に応じて選択することができる。

キャンペーン概要とともに、ウエスタンデジタルの製品の特長に触れていこう。

■第36回:自動運転、「心臓部」であるストレージに信頼性・堅牢性が必要な理由は?

多くのデータを生成・解析する自動運転車。カメラなどから取得したセンシングデータやV2Xによって取得した道路交通情報などを絶えず収集・解析しながら道路上を走行する仕組みだ。開発分野では、周囲の状況を検知するセンサー機器やデータを解析するAI技術が花形として注目を集めているが、根本的に重要となる要素はほかにもある。データを記録するストレージだ。

膨大なデータを取り扱う自動運転車は、データなしでは無人走行できないのは言うまでもなく、大容量のストレージが必須となる。また、データの書き換えも継続的に行われるため、高い耐久性も求められる。

ストレージは言わばデータという血液を循環させる「心臓」のようなもので、円滑にデータを蓄積・送受信するためにはストレージそのものが高機能化されなければならない。

自動運転においてはストレージにどのような性能が求められるのか、解説していく。

■第37回:自動運転レベル3の「罠」、解決の鍵はドラレコにあり?

条件付きで自動運転が可能になる「自動運転レベル3」が法的課題をクリアし、本格的な市場化をまもなく迎えようとしている。ただ、自動運転システムと人間であるドライバーが混在することを危険視する声も少なくない。「レベル3の罠」だ。

このレベル3の罠に、ドライブレコーダーが活躍するかもしれない。レベル3の罠とともに、安全運転支援に向けたドラレコの可能性について解説していく。

■第38回:自動運転時代、ドラレコが進化!求められる性能は?

自動運転やADAS(先進運転支援システム)の進化は、ドライブレコーダーにも及んでいるようだ。車内外に向けられたカメラをセンサーとして活用し、前方車両の検知機能やドライバーモニタリングシステム(DMS)などを搭載したモデルが増加している。

将来的には、車両固有のADASとの一体化や高精度三次元地図作成機能の搭載、ひいては自動運転システムとの統合や補助なども考えられる。データを記録するだけのドラレコが進化し、データの解析や収集なども行うのだ。

ドラレコはどのように進化を遂げていくのか。そして、どのような要件が求められていくのか。各社の取り組みを参照し、未来のドラレコの姿に迫っていこう。

■第39回:e.MMCとは?車載ストレージ関連知識

コネクテッド技術や自動運転関連技術の高度化や実装が進む自動車業界。技術や各コンピューター機器の高機能化とともに、データを処理・記録する基盤となるストレージの高性能化も進んでいるようだ。

一方、こうしたフラッシュメモリをはじめとしたストレージの規格は意外と知られていないのが実情だ。今回はフラッシュメモリの規格の1つ「e.MMC」に焦点を当て、車載ストレージに求められる要件に触れていく。

■第40回:AEC-Q100とは?車載ストレージ関連知識

高い耐久性や堅牢性が求められる自動車向けのストレージには、業界団体が定めた高品質を認定する規格が設けられている。その代表格が「AEC-Q100」だ。

こうした規格は、車載ストレージを選ぶ際の指標の1つとなる。今回はAEC-Q100にスポットライトを当て、その中身を解説していく。

■第41回:自動運転で使う高精度3D地図データ、その作製方法は?

自動運転技術の実用化に伴って重要となってくるのが「高精度3次元地図」(高精度3Dマップ)だ。そんな高精度3次元地図はどのように作製されているのだろうか。具体的に解説していこう。

■第42回:ADASで必要とされるデータは?車載ストレージ選びも鍵

自動運転の社会実装が始まったが、市販車ベースではまだまだ主力のADAS(先進運転支援システム)。交通安全とともに自動運転につながる技術として、より高いレベルを目指す研究開発が続いている。

ADASには衝突被害軽減ブレーキなど幅広い技術が盛り込まれているが、どのようなデータを活用し、どのような仕組みで機能しているのか。

ADASの主だった機能の概要や仕組み、そしてデータについて解説していく。

■第43回:V2X通信でやり取りされるデータの種類は?

コネクテッドカーの普及が始まり、「つながるクルマ」が続々と市場に投入されている。通信技術を生かしたさまざまなサービスが誕生しているほか、自動運転の社会実装に向けクルマがあらゆるモノと通信するV2X(Vehicle-to-X/Vehicle-to-Everything)に関する開発も進められている。

V2Xでは、どのようなデータがやり取りされるのか。手動運転車を含め、自動運転・コネクテッド時代の通信データについて解説していく。

■第44回:未来のメータークラスターはこう変わる!

完全自動運転の実現により、ドライバーは自動車の制御や周囲の監視といった運転に必須となる作業から解放される。すべての作業をコンピューターが担うのだ。

こうした変化は、ドライバーの負担を減らすことにとどまらず、車内装備にも大きな変化を及ぼす。速度計やタコメーターなどが並んだメータークラスターはその役割を終え、自動運転時代の新たなスペースとして有効活用が模索されることになる。

未来のメータークラスターはどのように変わっていくのか。その可能性に思いをはせてみよう。

■第45回:自動運転の実証実験で活用されるデータ通信規格「ローカル5G」とは?

高速通信を可能にする第5世代移動通信システム「5G」の商用化がスタートした。自動運転の実現に必須と言われる通信方式だが、最近では「ローカル5G」というワードもよく耳にするようになった。

ローカル5Gとは何か。自動運転の実証実験においてすでに活用が検討されているローカル5Gについて解説していく。

■第46回:ドライブレコーダーが収集してきたデータ、今後収集するデータ

車載オプションとして近年人気を集めているドライブレコーダー。事故や事件に巻き込まれた際の証拠映像としての役割が人気の背景にあるが、新たな時代に向けさらなる進化を遂げつつある。

自動運転やコネクテッドカーが勢力を増すこれからの時代、ドラレコはどのような役割を担い、どのようなデータを記録・収集していくのか。ドラレコの進化に迫ってみよう。

■自動運転バス×データを考える BOLDLYとWestern Digitalが対談
ウエスタンデジタルのラッセル・ルーベン氏(左)とBOLDLYの佐治友基社長(右)

自治体で初めて自動運転バスの定常運行を2020年11月から開始している茨城県境町。この自動運転バスの運行業務を担っているのがソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー)だ。

地方都市などにおける公共交通機関の存続の「切り札」として自動運転バスが注目を集める中、BOLDLYは自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を活用し、遠隔からの運行管理などで貢献している。

このような遠隔管理において重要な役割を果たすのが「データ」だ。通信によって映像データなどが逐一共有されることで、自動運転バスの安全性を飛躍的に高めている。

今回は、茨城県境町での自動運転バスの運行におけるデータの取り扱いや、円滑なデータの取得や活用に向けて何が必要になるのかなどをテーマにした対談の内容をお届けする。

ご登場頂くのは、BOLDLYの佐治友基社長と、自動運転を含む車載向けストレージを開発・製造・販売する米ウエスタンデジタルのラッセル・ルーベン氏(車載向けストレージ部門マーケティングディレクター)の両人だ。

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