自動運転やADAS(先進運転支援システム)の進化は、ドライブレコーダーにも及んでいるようだ。車内外に向けられたカメラをセンサーとして活用し、前方車両の検知機能やドライバーモニタリングシステム(DMS)などを搭載したモデルが増加している。
将来的には、車両固有のADASとの一体化や高精度三次元地図作成機能の搭載、ひいては自動運転システムとの統合や補助なども考えられる。データを記録するだけのドラレコが進化し、データの解析や収集なども行うのだ。
ドラレコはどのように進化を遂げていくのか。そして、どのような要件が求められていくのか。各社の取り組みを参照し、未来のドラレコの姿に迫っていこう。
■ドライブレコーダーの進化
AIや通信機能の搭載進む
近年のドラレコはAIや通信機能関連の開発・搭載が進んでいる。Toyota AI Venturesなどが出資する画像認識技術開発企業の米Nautoは、エッジとクラウドのAIモデルが危険運転の検知や予測を行う機能やドライバーの自動識別などを備えたドラレコを製品化している。クラウドを活用することで物流や移動サービスにおける運行管理システムの一助ともなる。
パイオニアはデジタル地図データをはじめとした各種データを組み合わせたADAS「インテリジェントパイロット」を開発し、ドラレコやスマートフォンなどのIoTデバイスで利用できるシステムを商品化している。DMSとしては、ドラレコの車内カメラを活用し、ドライバーのまぶたの開閉時間やまばたきの回数、顔の傾きなどをAIが判断して眠気や脇見を検知する機能を搭載したドラレコを製品化している。
AI開発企業もドラレコ分野に続々進出
画像解析技術の開発を手掛ける中国のMINIEYEは、前方車両や歩行者などをリアルタイムで検知可能なAI衝突予防システムを備えたドラレコを製品化している。厳密には衝突予防システムがメインでドラレコがおまけの扱いのようだが、自動運転さながらのリアルタイム3Dマッピング技術で車両をはじめとした周囲の景観を把握し、センシング技術によって警告を発する。
また、AI技術開発を手掛けるニューラルポケットは2019年12月、AI搭載のドライブレコーダーアプリのリリースを発表した。車内に設置したスマホで常時録画や車間距離の計測が可能なほか、AIによる急発進・急停止などの動作感知や周辺に映る自動車や歩行者、信号機などの検知も可能としている。
同社はこのアプリを活用し、プライバシーに配慮した上で道路上のあらゆるデータを取得し、ビッグデータとして活用していくことも検討している。
【参考】ニューラルポケットの取り組みについては「AIドラレコアプリ引っさげ、MONETコンソーシアムに加盟 ビッグデータ化し自動運転で活用」も参照。
AIドラレコアプリ引っさげ、MONETコンソーシアムに加盟 ビッグデータ化し自動運転で活用 https://t.co/yLMP0jifJY @jidountenlab #AI #ドラレコ #MONET #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 7, 2019
高精度地図の作成やメンテナンスへの活用も
TRI-ADは、プラットフォーム開発を手掛ける米CARMERAとドラレコを使用した自動地図生成技術の検証を行い、自動運転に必要な相対精度40センチ程度の地図生成に成功している。
ゼンリンとMobility Technologiesも、ドラレコから取得した映像データで既存の地図情報と実際の道路情報の差分を機械学習により自動抽出し、ナビゲーションシステムや自動運転時に使用される地図情報のメンテナンスに活用する開発を進めている。
データを記録するドラレコが、センシングデバイスとしてデータを収集する役割を担うのだ。
【参考】TRI-ADの取り組みについては「AMPとは?トヨタTRI-ADの自動運転向け自動地図生成プラットフォーム」も参照。ゼンリンとMobility Technologiesの取り組みについては「ゼンリンとMobility Technologies、自動運転などで使う地図の「自動差分抽出」で共同開発」も参照。
■【まとめ】未来のドラレコはセンサー機器に
高度化が進むドラレコは将来、単純な録画機器からセンサー機器へと進化し、自動運転やADASへの活用や統合が進んでいく可能性が考えられる。映像は高画質化とともにセンシング技術の搭載がスタンダードとなり、車両装備としての標準化をはじめ、アフターマーケット領域においても後付けADASとしての地位確立や自動運転システムを補完する役割などを担うかもしれない。
ADASや自動運転補助の役割を担う未来のドラレコは、車両に標準搭載されたセンサー類やEDR(イベントデータレコーダー)などに準じた扱いが必要になってくる。扱うデータの質や量、そして確実性がいっそう求められることになるため、センシングデバイスとしての高度化はもちろん、ストレージのデータ処理能力や耐久性、堅牢性なども高水準が要求されることになりそうだ。
こうした視点でどのストレージが最適か検討する際には、ストレージ開発大手の米Western Digitalが実施している「検証用 Western Digitalフラッシュストレージ無償提供プログラム」を活用したい。
車載システムやドライブレコーダーの開発企業に対し、5つの製品の中からニーズに合ったストレージの提供を受けることが可能となっている。プログラムについての詳しい内容は「検証用フラッシュストレージの無償提供プログラム」から確認できる。
検証用に車載用フラッシュストレージを無償提供!Western Digitalがキャンペーンプログラム(深掘り!自動運転×データ 第35回) https://t.co/MtdTdCPrcZ @jidountenlab
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 9, 2020
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