大手自動車メーカー11社、自動運転関連の協業・提携状況まとめ

新規参入が入り乱れる業界の行方は?

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コネクテッド、自動運転、シェアリング・サービス、電動化といったCASEの波が押し寄せる自動車業界。IT系企業を中心とした異業種参入やスタートアップの参入が盛んで、業界の地図が日々更新されている印象だ。これまで当然のように主導権を握っていた自動車メーカーも将来に向けた覇権争いに本腰を入れ、各社との提携に力を入れている。

そこで今回は、世界の主要自動車メーカーの提携・協業関係について各社別にまとめてみた。

トヨタ

トヨタは、グループ企業のデンソーなどをはじめ、TRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)など内部における開発体制が非常に強固だ。その一方、スタートアップへの出資や提携も盛んに行っており、多角的な観点から自動運転開発やサービスの実装に向けた取り組みを進めている印象だ。

ソフトバンクとの合弁「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」設立

トヨタはモビリティサービス領域において、カーシェアサービス「TOYOTA SHARE」やMaaS「my route(マイルート)」など自ら事業展開を促進しているが、ソフトバンクと共同で設立したモネ・テクノロジーズが日増しに存在感を強めている。

モビリティサービスの可能性を異業種と連携して拡大していく「MONETコンソーシアム」の設立をはじめ、自動運転技術をサービスとして社会に落とし込んでいく活動も促進しており、自治体との連携も進んでいる。近い将来、MaaS専用自動運転車「e-Palette(イー・パレット)」などを導入する動きが出てくる可能性もあり、今後の展開に注目だ。

配車サービス大手との協業

トヨタは、配車サービス大手との結び付きも強めている。2016年に米Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)とライドシェア領域における協業を検討する旨の覚書を交わしたのを皮切りに、2018年には自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進などを目的に協業を拡大するとともに出資も行っている。

同様に、2017年に東南アジアのGrab、2018年に中国のDiDiともそれぞれ提携を交わし、モビリティサービス領域での協業を進めている。プラットフォーム関連のサービス強化が中心となっているが、DiDiとはe-Paletteにおける協業関係も結んでおり、近い将来自動運転技術も含んだ協業に発展する可能性が高そうだ。

【参考】トヨタとDiDiの取り組みについては「トヨタとDiDi、中国におけるMaaSで協業拡大 ライドシェア運転手に車両関連サービス」も参照。

スタートアップ、ベンチャーとの協業

スタートアップ関連では、国内では2014年に機械学習技術の開発などを手掛けるPreferred Networks(PFN)と自動運転領域における共同研究をスタートしたほか、2018年にはビッグデータ分析などを手掛けるALBERTと自動運転技術の先行開発分野におけるビッグデータ分析において業務提携を交わしている。

また、トヨタなどが出資する未来創生ファンドを通して、2016年に自動運転車いすなどのパーソナルモビリティの開発を進めるWHILL、2017年に画像認識ソフトウェアを開発するフィーチャや次世代センシングソリューション開発などを手掛けるエクスビジョン、2018年に自動運転OS「Autoware(オートウェア)」の社会実装を進めるティアフォー、エッジAI ソリューションの開発などを手掛けるArchiTekなどにそれぞれ出資している。

海外では、Toyota AI Venturesなどを通じて、自動運転ソフトウェアを開発するApex.AIや画像認識技術やAIアルゴリズム開発を手掛けるNauto、自動運転シャトルバスの開発を手掛けるMay Mobilityなど、数々のスタートアップに出資し開発を促進しているようだ。

2019年8月には、自動運転タクシーの開発を進める中国スタートアップのPony.ai(小馬智行)と提携を交わし、2020年2月には同社がトヨタから4億ドル(約440億円)の出資を受けたことも発表されている。

今後もこうした提携や出資は続くものと思われる。また、UberやDiDiといった配車プラットフォーマーをはじめ、Pony.aiなどの自動運転タクシーサービスを開発する企業向けの車両提供など、ビジネス面での協業が進む可能性も高く、各社の動向に注目したい。

日産

カルロス・ゴーン元会長の影響でヒビが入りかけたものの、ルノー・日産・三菱3社によるアライアンスは依然自動車業界で大きなシェアを誇っている。一部報道で、3社が運営する戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」から日産が撤退を検討している旨報じられたが、今のところ大きな動きもなく、協力体制の再構築などを模索しているようだ。

DeNAとの協業

日産とDeNAは2017年1月から自動運転技術を活用した新しい交通サービスの開発を進めており、自由な移動をコンセプトに据えた「Easy Ride(イージーライド)」の実証を2018年から神奈川県横浜市で行っている。

【参考】イージーライドについては「【インタビュー】日産×DeNA、自動運転タクシー「Easy Ride」の進化に迫る」も参照。

ウェイモとの協業

日産とルノーは2019年6月、米ウェイモとドライバーレス・モビリティサービスに関する独占契約を締結したと発表した。3社はフランスと日本において、自動運転によるモビリティサービス事業の実装に向けあらゆる側面から実現の可能性を検討していくこととしている。

ウェイモが世界戦略に乗り出した場合、日本市場では日産が利権を得た格好だ。日本の法整備などが進み、自動運転タクシーなどの社会実装が本格化した際、海外勢の進出も当然考慮しなければならない。こうしたケースを想定した提携なども今後続発する可能性がありそうだ。

【参考】日産とウェイモの取り組みについては「日産とルノー、自動運転分野でグーグル系ウェイモと独占契約」も参照。

ホンダ

ホンダは、エネルギー関連事業などで協業関係にある米GMと、自動運転技術を活用したモビリティの実現に向け協業を行うことを2018年に発表した。

さまざまな使用形態に対応する無人ライドシェアサービス専用車の共同開発を、グローバル展開の可能性も視野に入れながら進めていく。GM傘下のクルーズに出資と事業資金を合わせて計27.5億ドルを支出するとしている。

GM・クルーズ陣営が2020年1月に発表した自動運転モビリティサービス事業専用車両「Cruise Origin (クルーズ・オリジン)」でも、電動化領域などで共同開発の成果が生かされている。

■GM

米GM(ゼネラル・モーターズ)は、自動運転開発スタートアップの米Cruise Automation(クルーズ・オートメーション)を傘下に収め、自動車メーカー勢では初となる自動運転サービスの実用化に向け気勢を上げる。

クルーズの買収 ホンダも合流

GMは2016年、クルーズ買収を発表した。総額は公表されていないが、複数のメディアが10億ドル(約1100億円)以上と報じており、大きな話題となった。

クルーズに対しては、ソフトバンクグループの投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」も2018年に総額22億5000万ドル(約2400億円)の出資を行うことも発表されているほか、GMとクルーズ陣営の開発にホンダが加わることも発表されている。

2020年1月には、自動運転モビリティサービスに向けた専用車両「Cruise Origin」も発表しており、社会実装も秒読み段階まで達した印象だ。

【参考】Cruise Originについては「GMが新たに22億ドル投資、”ハンドル無し”自動運転車の量産視野」も参照。

■フォード

独自路線を歩むことが多かった米フォードは、独フォルクスワーゲンとの提携で新境地を切り開いていくかが注目ポイントとなりそうだ。

Argo AIを傘下に

レベル4の実用化に向け独自開発を続けてきたフォードは2017年、有力スタートアップの米Argo AI(アルゴAI)に5年間で総額10億ドル(約1130億円)の出資を行うことを発表し、事実上同社を傘下に収めた。翌2018年には自動運転開発部門を分社化して「フォード・オートノーマス・ビークルズ」を設立し、アルゴAIと連携しながら開発を加速させていく方針を打ち出した。

フォルクスワーゲンとの協業

フォードとフォルクスワーゲンは2019年1月、中型トラックなどの技術や製品の相互供給を目的に提携を交わし、合わせて自動運転やEV分野でも協力していく覚書を交わした。同年7月には、フォルクスワーゲンがアルゴAIへ出資する形で提携を強化し、自動運転開発をいっそう加速させていく姿勢を鮮明にした。

両社の間に入る形となったアルゴAIの開発能力とともに、大手自動車メーカー同士の協業の行方から目が離せない状況だ。

【参考】フォードとフォルクスワーゲンの取り組みについては「VWとフォード、自動運転などの領域で提携拡大 Argo AIへの出資を対等に」も参照。

■フォルクスワーゲングループ

フォルクスワーゲンを筆頭にアウディなど12ブランドを抱えるフォルクスワーゲングループは、米フォードとの提携をはじめモービルアイやマイクロソフトなど幅広い協業関係を誇る。自動車販売でトヨタと世界1位を争う巨大グループの動向は常に注目の的だ。

モービルアイとの協業

フォルクスワーゲンは2017年、自動運転の開発に向けモービルアイと提携を交わすと発表した。翌2018年10月には、2019年中に合弁を設立し、早ければ2022年にも自動運転車による配車サービスをイスラエルで開始する計画も発表している。

【参考】フォルクスワーゲンとモービルアイの取り組みについては「VWとモービルアイが自動運転タクシー事業 2022年からイスラエルで試験開始」も参照。

アウディは空飛ぶクルマ領域でエアバスと協業

世界に先駆けて量販車向けレベル3を開発した独アウディは、自動車メーカーとして空飛ぶクルマの開発領域においても先陣を切る。

同社は2018年6月、航空機メーカー大手の仏エアバスなどとともにエアタクシーの試験運用に向けたモデルケースを構築するプロジェクト「アーバン・エアモビリティ・プロジェクト」の同意書に調印し、ドイツ国内のインゴルシュタットでエアタクシーの試験運用を開始すると発表した。

同年12月には、空飛ぶクルマ「Pop.Up Next」のプロトタイプも公開している。ドローンとEVをモジュール化したようなデザイン・仕組みで、陸路の走行も飛行も両立させるシステムとなっている。

今後、エアモビリティ業界と自動車業界の結びつきが強まる可能性もあり、先駆的取り組みとして注目したい。

【参考】アウディとエアバスの取り組みについては「独アウディと仏エアバス、10年以内に空飛ぶタクシー実現へ プロトタイプ発表、実証実験も」も参照。

■ダイムラー

独ダイムラーは、自動車部品大手の独ボッシュとの結び付きが深く、共同でシステム開発を行う場面が増えている印象がある。一方、2018年から進めていたBMWとの提携停止が2020年に発表され、さまざまな憶測を呼んでいる。独自路線を歩むのか、あるいは再びBMWと手を組むことがあるのかなど、今後の動向に注目だ。

ボッシュとの協業

ダイムラーとボッシュは、駐車場内限定で自動運転を可能にする自動バレットパーキング(自動バレーパーキング/AVP)の開発を2015年から共同で進めており、2017年に独シュツットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で同技術を初公開した。

2019年7月には、独バーデン・ヴュルテンベルク州当局からレベル4相当の自動駐車機能として承認を受け、監視不要の技術として社会実装への道が開かれている。

また、両社は米カリフォルニア州の主要都市で自動運転車両によるシャトルサービスを2019年下半期に提供開始予定としている。

【参考】ダイムラーとボッシュの取り組みについては「ボッシュとダイムラーの自動駐車システム、自動運転レベル4でGOサイン」も参照。

BMWとの協業(停止)

ダイムラーとBMWは2018年3月、モビリティサービスの強化に向け提携することを発表し、2019年にはカーシェアをはじめとしたMaaS関連事業を統合し、共同出資会社を設立することを発表した。

また、2019年3月には共同でレベル4相当の技術開発を進め、2020年半ばの実用化を目指す方針も発表しており、7月には正式に戦略的長期提携に向けた契約を締結した。

自動運転開発領域においても協業関係も深めていくものと思われていたが、2020年6月、協業を成功させるタイミングではないとの結論に至り、個別に開発を進めていくことを急遽発表した。その他の分野では引き続き緊密な協力関係を続けていくこととしている。

表現上の問題かもしれないが、発表では提携解消ではなく停止としており、また具体的な理由についても明言を避けている印象で、今後の動向に引き続き注目したい。

【参考】ダイムラーとBMWの取り組みについては「英断か悪手か…?BMWとDaimler、共同自動運転開発を一時停止」も参照。

■BMW

独BMWは、米インテル及び傘下のモービルアイと結成した自動運転開発連合の存在が強力だ。自動運転車の生産を2021年にも開始するとしている。

開発連合にはその後、FCAをはじめカナダのマグナや独コンチネンタル、米デルファイ(現Aptiv)ら自動車部品メーカーが参加するなど一大勢力となっている。具体的な成果などはあまり話題に上がってこないものの、自動運転技術の確立・生産段階で各社の技術が一気に水面下から浮上する可能性があり、引き続き注目したい。

このほか、中国ではIT大手のテンセントと自動運転車の開発を支援するコンピューティングセンターを設立することが2019年に発表されている。

【参考】BMWとテンセントの取り組みについては「BMWとテンセント、中国で自動運転の開発支援センターを開設へ」も参照。

■ボルボカーズ

スウェーデンのボルボカーズは2017年、米ウーバーと配車サービス向けに数万台の自動運転対応車を販売することを発表し、2019年に共同開発した自動運転車の量産モデルを公開している。

2020年6月には、米ウェイモと自動運転開発においてパートナーシップを結ぶことも発表している。ウェイモの自動運転システム「Waymo Driver」を、配車サービス向けにボルボカーズが開発するプラットフォームに組み込む方向で事業を進めていく方針だ。

高度な自動運転技術の自社開発を促進しているボルボカーズだが、自動運転サービス向けの技術開発においては柔軟にウェイモの技術を取り入れるようだ。

【参考】ボルボカーズとウェイモの取り組みについては「ボルボ・カーズ、自動運転でウェイモと戦略的パートナーシップ契約」も参照。

■FCA

米ウェイモとの協力関係を年々深めるFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)。まもなくプジョーやシトロエンなどを擁する仏グループPSAとの経営統合も完了し、欧州や北米を中心に業界シェアを大きく伸ばす見込みだ。

ウェイモとのパートナーシップ拡大

FCAは2016年、米ウェイモと自動運転開発に向け協業を進めていくことを発表し、実証向け車両の供給を開始した。提携関係は次第に拡大し、2018年には最大6万2000台を追加供給する契約を結んでいる。

2020年7月にはパートナーシップをさらに拡大し、ウェイモの自動運転レベル4技術を小型商用車に導入する独占的提携を結んだ。

自動運転開発で世界のトップを走るウェイモと手を組む自動車メーカーとしての地位を確立した印象だ。ウェイモは今後、自動運転サービスを各地に拡大させていく可能性が高く、その際にFCAの車両が使用されるものと思われる。

また、FCA自らが自動運転サービスに着手する際、ウェイモの技術が導入される可能性も高い。自動運転開発企業×自動車メーカーの協業の見本として、世界が注目する格好だ。

グループPSAと経営統合

FCAは2019年10月、グループPSAと経営統合に向け協議を進めていることを正式発表し、同年12月に覚書に署名した。EV化や自動運転、コネクテッド化において両社の持つ最先端の技術を結集し、持続可能なモビリティの新時代に立ち向かっていく構えだ。

株式割合はそれぞれ50%の対等合併で、統合完了は2021年の第一四半期を予定している。新企業グループの名称は「STELLANTIS(ステランティス)」となる。

両社の統合により世界販売台数は800万台規模となり、世界第4位のグループが誕生する見込みだ。連結売上高は1700億ユーロ(約21兆円)規模で、統合による相乗効果は37億ユーロ(約4700億円)と試算している。

BMW・インテル連合や米オーロラとの提携も

FCAは、BMWグループや米インテル、インテル傘下のイスラエル企業モービルアイなどによる自動運転開発連合に参加することを2017年に発表しているほか、2019年には米スタートアップのオーロラ・イノベーションと商用車の開発で協業する覚書を交わしている。

ウェイモとの関係強化に目が行きがちだが、自社開発の道などもしっかり確保しているのだ。

【参考】FCAとウェイモの取り組みについては「Google系ウェイモの自動運転レベル4技術、欧米FCAが採用」も参照。

■現代(ヒュンダイ)

自動車の世界販売台数5位にランクインする韓国の現代(ヒュンダイ)自動車グループは、米オーロラなど有力スタートアップらとの提携で開発を促進し、自動運転タクシーなどの商用化を見据えた取り組みを加速している印象だ。

オーロラやAptiv、Pony.aiなどと協業

ヒュンダイは2018年、自動運転開発を手掛ける米スタートアップのオーロラ・イノベーションと提携を交わし、20201年までにレベル4を開発すると発表した。ハード・ソフト面の開発やバックエンドデータサービスに焦点を当て、世界的な自動運転の商業化に取り組んでいくとしている。

また同年、オープンイノベーションを促進するHyundai CRADLEが、人間の行動を予測・解析するAIソフトウェアの開発などを手掛ける米Perceptive Automataに出資している。同社は、自動運転車が歩行者や自転車走行者らの心理状態を理解・予測するソフトウェア開発などに取り組んでおり、歩行者らに対し機械的に対応する自動運転車が、将来柔軟に判断し対応できるシステムの構築を目指す構えだ。

2019年9月には、米Aptivとジョイントベンチャーを設立し、レベル4~5の商業化を視野に入れた自動運転システムの開発を推進していくと発表した。

合弁は、2020年にセーフティドライバーなしの無人自動運転の実証に着手し、2022年にロボットタクシープロバイダーとしての確立を目指すとしている。

同年11月からは、中国の自動運転開発スタートアップのPony.aiなどとともに米カリフォルニア州で自動運転タクシー「BotRide」のパイロットプラグラムも開始している。

【参考】現代とAptivの取り組みについては「2022年に最高峰の自動運転技術!ヒュンダイと米Aptivが提携」も参照。

■中国の自動車メーカー

中国では、自動車販売台数世界6位の上海汽車(SAIC)を筆頭に、長安汽車(CHANGAN)、第一汽車(FAW)、東風汽車(DFM)、奇瑞汽車(CHERY)の5社がビッグ5と呼ばれている。販売台数では、吉利汽車(GEELY)や長城汽車(GREATWALL)、EVに力を入れる比亜迪汽車(BYD)なども有力だ。

世界最大の市場規模を誇る中国国内では、海外メーカーは基本的に中国メーカーと合弁を設立して生産・販売を行うのが基本となっており、例えばトヨタは第一汽車、日産は東風汽車、ホンダは広州汽車といった感じで、それぞれ合弁を設立して中国市場に進出している。

その意味で中国各メーカーは世界の自動車メーカーと協力体制を構築しているが、自動運転開発などの分野では大々的に提携を交わしている例は少ないようだ。

代わって同国において自動運転開発分野をけん引するのが、IT大手の百度(バイドゥ)やスタートアップ勢だ。バイドゥが主導する自動運転ソフトウェアプラットフォームのプロジェクト「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画」には、国内外の主要自動車メーカーが名を連ね、共同開発を進めている。

また、Pony.aiがトヨタやヒュンダイのほか広州汽車とパートナーシップを結ぶなど、自動運転分野における横のつながりはスタートアップ勢が盛んに動いている印象だ。

【参考】中国における自動運転開発の情勢については「中国×自動運転、最新動向まとめ ユニコーンも表舞台へ」も参照。

■【まとめ】主導権めぐる新たなアライアンスの動きはまだまだ続く

FCAとグループPSAの統合をはじめ、ホンダとGM、フォルクスワーゲンとフォードのように自動車メーカー間の協業が進む一方、ダイムラーとBMWのように一進一退する例も出てきており、新たなアライアンスをめぐる動きはまだまだ続きそうだ。

また、ウェイモやバイドゥのようにイニシアチブを発揮し、自動車メーカーから主導権を奪いつつある企業も出てきている。インテル・モービルアイなどがこうした動きに続き、さらに自動運転タクシーなどを開発するスタートアップ勢も続いていく可能性が高い。

主導権をめぐる競争はまだまだ始まったばかり。今後も新たな結び付きが世界各地で生まれ、ビッグニュースとして飛び込んできそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転、ゼロから分かる4万字まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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