LiDARとは? 自動運転車のコアセンサー 機能・役割・技術・価格や、開発企業・会社を総まとめ

市場急拡大、「目」の役割を果たす


自動運転技術の進展とともに拡大を続ける関連市場。中でもLiDARの需要は青天井のごとく伸び続けており、マーケティング会社の矢野経済研究所は、LiDARやレーザの市場規模は2017年の約25億円から2030年には約4959億円まで約200倍に急拡大するという予測を出している。







自動運転の「目」を担う重要なセンサーとして、近い将来市販車への本格的な導入も進むものと思われる。より身近な製品として定着する段階を迎えつつあるLiDARについて、基本情報や開発企業などを一挙にまとめてみた。

■LiDARとは?
LiDARの読み方

LiDARは「Light Detection and Ranging」の略で「ライダー」と読む。「レーザーレーダー」や「赤外線レーザースキャナー」と言われることもある。

LiDARの技法

LiDARは、光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測するもので、レーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定する。技法はレーダーに類似しており、レーダーの電波を光に置き換えたものとも言える。

LiDARの3D観測技術

LiDARは3次元(3D)観測が可能で、従来の電波を用いたレーダーに比べて「光束密度」が高く、短い波長を用いることでより正確な検出ができる。粒子のような小さな物体にも有効なため、これまでは主に地質学や気象学などの分野で活用されていたが、その観測精度の高さから、自動運転の分野においても注目が高まっている。

現在、自動運転向けに特化した研究開発が加速化しており、高機能かつ小型化を目指し独自技術を採用した新製品で他社との差別化を図る動きも多くみられるようになってきた。

■LiDARの価格:1万円〜800万円?
ハイエンドモデルで800万円も

自動運転開発の進展とともに目の役割を担うセンサー部の重要性も高まり、従来のカメラやミリ波レーダーの欠点を補うことができるLiDARに注目が集まった。試験車両向けのため当初は量産化対応されず非常に高額で、グーグル系ウェイモの自動運転車が搭載しているベロダインライダー社製のハイエンドモデルの価格は7万5000ドル(約800万円)とも言われていた。

エントリーモデルで1万円台へ

しかし、需要の高まりとともにLiDAR市場への新規参入が増えたことと、将来的な一般車への普及を見越した低価格路線を目指す動きなどもあり、価格は下落傾向にある。エントリーモデルは100ドル(約1万1000円)以下が1つの指標となっている状況だ。

■LiDARの市場規模:2030年には200倍の5000億円

冒頭にも述べたように、LiDAR(ライダー)を含むレーザの市場規模は、2017年の約25億円から2030年には約4959億円まで200倍に拡大すると言われている。

矢野経済研究所によると、2030年の自動運転用センサーの製品別シェアでは、レーダが1兆3914億円、カメラが1兆2976億円、LiDARとレーザが約4959億円、超音波が約904億円という順番になる。

■LiDARの開発企業と最新ニュース
Velodyne LiDAR(ベロダインライダー/米国):LiDAR界のリーディングカンパニー

2005年に世界初の3DリアルタイムLiDARセンサーを発明し特許を取得するなど、LiDAR市場をけん引してきた。ライバル社の台頭後も、最大300メートルの範囲と360度のサラウンドビューで最大0.1度の垂直および水平解像度のリアルタイム3Dデータを提供する高性能製品から費用対効果の高い製品まで、開発の手を緩めず業界を引っ張り続けている。価格を100ドル程度に抑えることのできるメカレス構造の安価モデルの開発にもめどを付け、2018年中にサンプル出荷を始めたという。

スウェーデンの自動車メーカーボルボをはじめ、独ダイムラー、米フォードなど大手メーカー各社が取引している。

Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ/米国):トヨタが認めたスタートアップ

LiDARの独自開発を進める2012年創業のスタートアップ。低価格タイプの製品化を進めており、コスト削減に努めるだけでなく、独自技術によって従来製品よりも50倍以上優れた解像度を誇り、10倍以上離れた距離にある対象物を認識することができるという。

トヨタ自動車もルミナー社製のLiDARの技術力を認め、既に採用を決めており、トヨタがシリコンバレーに開設したトヨタ・リサーチ・インスティテュートと既にパートナーシップを結び、共同開発体制を築いている。また、2018年6月にはボルボとの取引を開始することが明らかになっている。

パイオニア(日本):LiDAR市場参入で経営危機も乗り越える

これまで培ってきた光技術・ナビ技術を総結集し、本格的な自動運転時代に必須となる技術開発に力を入れるパイオニア。開発中の3D-LiDARは、MEMSミラー方式を採用することでモーター駆動部をなくし、耐久性を高めるとともに小型化・軽量化の実現を目指している。

汎用部品の活用、大量生産を前提としており、さまざまなニーズに応えるため遠距離のセンシングが可能なラスタースキャン方式で望遠、標準、準広角タイプの3種類、近距離・広範囲のセンシングが可能なウォブリングスキャン方式で 広角タイプ1種類の計4種類の開発を進め、2020年代の量産化を目指している。

東芝デバイス&ストレージ(日本):長距離測定技術を確立 2020年度までに実用化

東芝グループの東芝デバイス&ストレージ株式会社が研究開発を進めており、200メートルの長距離測定性能と高解像を実現する車載用LiDAR向けの計測回路技術の開発を2018年4月に発表した。

従来、両立が難しかった長距離と短距離の測定において、短距離用の回路と長距離用のADC回路の2つで構成する独自のハイブリッド回路を開発することで、ADC回路に要求される処理速度を緩和し長距離測定を可能にした。また、各レーザが反射した物体が同じ物かどうかを判別し、同じ物体のみを選択して平均化処理を行うことにより、小さな物体を検知できる高解像測距技術も開発したという。

同社は引き続き測定距離の延伸や精度向上に向けて研究開発を進め、2020年度までに実用化技術を確立することとしている。

京セラ(日本):LiDARと画像センサー一体化で高精度測定 ベロダインに迫る

光学・電子機器メーカーの京セラもLiDARと画像センサーを一体化した新型の高精度測距センサーモジュールの本格的な商品化に着手している。独自光学設計によるメカレスで高い信頼性と小型化を実現しており、カメラの画像データとLiDARの検知結果を組み合わせることで従来のLiDARでは検出が難しかった大きさの物体にも対応。100メートル先にある9センチメートルの大きさの物体を検知できるという。

測定・識別能力を表す分解能は世界最高レベルの0.05度で、ベロダイン社の製品に匹敵する性能を誇っている。今後、さらなる小型化やフレームレートの向上などに取り組み、2022年の供給を目指している。

コニカミノルタ(日本):光学技術を武器にLiDAR開発

光学機器メーカーならではの独自技術で3Dレーザーレーダーを開発している。TOF(Time Of Flight)方式のレーザーレーダーで、垂直方向に最大24レイヤー、水平画角最大120度の広範囲のスキャンが可能で、測定距離最大は車両であれば100メートル以上検知できる。

独自の光学技術により、レーザーを増やすことなく1つのレーザーで隙間のない測定ができ、従来のライダーではセンシングできなかった細い線や小さい形状の認識も可能という。

Cepton Technologies(セプトンテクノロジーズ/米国):需要に合わせたラインナップでパートナー増加中

ベロダインの元エンジニアが2016年に立ち上げたスタートアップ。長距離向けの「HR80T」、広角向けの「HR80W」、マッピング用途向けの「SORA 200」、小型高性能な「Vista」を既に発表している。

測域範囲が200メートルを超える製品を提供していることや、使用部品の全てが車載グレードであること、オプティカルボードの組み立てを自動化しコストダウンが可能であること、量産時には低価格で出荷できることなどを強みに、すでに60社以上と手を組んでいるという。

Continental AG(コンチネンタル/ドイツ):レーダーやカメラと合わせ総合的にADAS拡充へ

自動車部品メーカーのコンチネンタルは2016年にAdvanced Scientific Concepts社から高解像度3Dフラッシュライダー事業を買収し、LiDAR市場に参入している。

2018年5月に横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2018」では、稼働部分のないソリッドステートで、水平画角120度、垂直画角60度、検知距離20メートルの製品を展示。スキャンが速く解像度が高いのが特徴で、サイズやコストなどに配慮した普及型として2021年の量産を目指しているという。

同社が武器としているレーダーやカメラにLiDARを加えることで、ADAS(先進運転支援システム)を総合的に高め、業界での地位を固めていく構えだ。

デンソー・ボッシュ・ヴォレオ・GM・フォードなども

日本のデンソーをはじめ独ボッシュや仏ヴァレオといった大手部品メーカーも独自、または他社との共同でLiDAR開発に取り組んでいるほか、2017年に米Strobe社を買収したGM(ゼネラルモーターズ)や、傘下企業が米Princeton Lightwave社を買収したフォードのように、自動車メーカーも技術獲得の動きを見せている。

また、イスラエルのInnoviz Technologies社やカナダのLeddarTech社のように資金調達を成功させるスタートアップも数多く、米Quanergy社はユニコーン企業の仲間入りを果たすなど躍進している。

■「LiDARは不要」という説

LiDARは高価なものとされているが、LiDARの役割をAI(人工知能)で代替できるという説もある。例えばRevatron株式会社は物体の距離や動きを学習できる世界初のAIスマートカメラを発表しており、LiDARに変わる安価な代替センサーとして期待もされている。

■LiDARを制す企業が自動運転センサーを制す

LiDARを制す企業が自動運転センサーを制すと言っても過言ではないほど、いま自動車部品業界やスタートアップ業界などではLiDARへの注目度が高い。今後も続々と高性能でしかも安価なLiDARが発表されていくはずだ。その推移を注視していきたい。

【参考】LiDARは自動運転車に必要なコアセンサーの一つ。詳しくは「【最新版】自動運転の最重要コアセンサーまとめ LiDAR、ミリ波レーダ、カメラ|自動運転ラボ 」も参照。







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