自動運転に関する専門用語まとめ LiDAR、MaaS、ダイナミックマップ…

国際条約名や最新センサーの名称も


現在進行形で研究開発が進む自動運転の分野では、次々と新しい技術や発想が生み出され、それに伴って聞きなれない用語も数知れず出てくる。LiDAR、ADAS、MaaS、ダイナミックマップ…。今回は、自動運転に関する基本的なワードや知っておくべきワード30個をピックアップし、解説する。自動運転関連のニュースなどを読み解くときの是非参考にしてほしい。







■5G

次世代モバイル通信規格で、スマートフォンなどモバイルネットワーク第5世代技術となる。通信速度は最大20Gbps(ギガビット毎秒)で、現在主流のLTEの約25倍に相当するほか、低遅延、多接続を可能にすることにより、スタジアムなど密集した場所でも安定した通信を可能にする。

自動運転車は、車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)などによりリアルタイムで情報を解析しながら走行するため、高速通信化と安定通信化は必須の技術となる。

■ADAS(エーダス)

「Advanced driver-assistance systems」の略で、先進運転支援システムを指す。車両に装着したセンサーなどにより周辺の状況を検知し、事故を未然に防いだり運転の負荷を軽減するため、ドライバーの運転操作をサポートする。

具体的には、自動クルーズ制御や自動ブレーキ制御、ヘッドライトの自動制御、GPSや交通警報の提供、車線維持支援、車線変更支援、居眠り運転検知、死角モニターなどの機能がある。

■AI(人工知能)

「Artificial Intelligence」の略で、人間の脳がおこなっている記憶や判断、学習、推測といった作業をコンピュータがおこない、再現するソフトウェアやシステムのことを指す。

自動運転においては「脳」となる重要な役割を担い、カメラなどのセンサー類が検知した道路や障害物などの情報を解析してシステムに指示を出したり、高精度マップとの整合を図ったり、制御装置の挙動を解析するなど、さまざまな情報を基に判断を下す重責を担う。

【参考】AIについては「自動運転にAI(人工知能)は必要?倫理観問う「トロッコ問題」って何?|自動運転ラボ」も参照。

■CASE(ケース)

コネクティビティ(接続性)の「C」、オートノマス(自動運転)の「A」、シェアード(共有)の「S」、エレクトリック(電動化)の「E」の頭文字を集めた造語で、自動車産業において今後進展が期待されるサービスや機能などを象徴したキーワード。

自動運転車の到来とともに、車両同士やインフラが通信し合うつながるクルマとなり、ライドシェアやカーシェアといったシェアリングサービスの需要も伸びることが予想されている。また、自動運転と相性が良いとされる電動化も進んでいくものと思われる。

■ECU

「Electronic Control Unit」の略で、電子制御ユニットを指す。電子回路を用いてシステムを制御する装置で、緊急ブレーキシステムや車線維持システムなどのADASにもECUが搭載されており、外界センサーからの情報に基づいて自動車のアクセルやブレーキの制御などを行う。また、自動運転システムの進化により物体の検知や解析、判断など複雑な制御を高速で連携させる必要があるため、統合制御するECUの開発なども進められている。

なお、自動車業界においてECUは「エンジンコントロールユニット」を指す場合もある。

■EDR

「Event Data Recorder(イベントデータレコーダー)」の略で、車載型の事故記録装置を指す。飛行機のフライトデータレコーダーのようなもので、衝突事故などの際に、直前や直後のアクセルやブレーキの作動状況、速度、エンジンの回転数などを記録する装置。付随して、EDRデータを読み出して解析する装置を「CDR(クラッシュデータ・リトリーバル)」という。

自動運転レベル3(条件付き運転自動化)以上の場合、事故の責任の所在がわかりにくくなりがちなため、事故原因の分析強化などを目的にEDRの搭載義務化などが各国で検討されている。

■GNSS

「Global Navigation Satellite System 」の略で、全球測位衛星システムを指す。GPSや準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称。日本版GPSとも言われる準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位サービスが2018年11月に始まる。

従来のGPSをみちびきが補完することでより高精度で安定した衛星測位サービスが実現することで、自車や道路などの位置情報をより正確につかむことが可能となり、電波が途切れがちだった山間部などでも測位可能になる。

■GPS

アメリカ合衆国によって航空機や船舶などの航法支援用として開発されたシステムで、現在スマートフォンやカーナビなどで使用されている位置情報サービスなどはこれを利用している。

「Global Positioning System」の略で、全地球無線測位システムを指す。日本国内からは、視界に入る衛星数が少ないなどの理由により安定したサービスが受けづらかったが、国産衛星「みちびき」の稼働により測位精度や安定性の向上に期待が持たれる。

■HMI

「Human Machine Interface」の略で、人間と機械が情報をやり取りするための手段や装置、ソフトウェアなどの総称。自動運転においては、自動車の状態や車両周辺の情報などをもとに、情報共有や注意喚起、必要となる操作指示などをシステムがドライバーに伝える必要があり、誤解や混乱を招くことがないよう的確に伝達しなければならない。

また、自動運転レベルに応じた伝達内容や方法が求められるため、SIPのテーマの一つに設定されるなど研究が進められている。

■ITS

「Intelligent Transport Systems」の略で、高度道路交通システムを指す。情報通信技術などを用いて人と道路と車両を一体のシステムとして構築することにより、安全・環境・利便の面から交通社会を改善するシステムとして位置付けられている。

自動運転においては、自車に搭載したカメラやレーダーなどで周囲環境を認識して走行する「自律型」に加え、インフラや他車からのITS情報を無線通信で取得活用して走行する「協調型」の技術が確立されることで、より安全で効率的な走行が可能となる。

■LiDAR(ライダー)

「Light Detection and Ranging」の略で、「レーザーレーダー」や「赤外線レーザースキャナー」と言われることもある。光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測するもので、自動運転においてはカメラやミリ波レーダーとともに目の役割を担う。

今までは実験車両向けの高価格帯製品が多かったが、近年研究開発が進み、市販車向けに量産できる安価なモデルが出始めている。

■MaaS(マース)

「Mobility as a Service」の略で、直訳するとサービスとしてのモビリティ。ICTを活用して交通をクラウド化し、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)をサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな移動の概念。

個人の利便性向上はもちろん、都市の渋滞緩和や環境保護、地方の交通手段維持や交通機関の効率化などのメリットを生むほか、タクシー業界への影響も含めて現在の交通体系を一変させる可能性も有している。

■MEMS(メムス)

「Micro Electro Mechanical Systems」の略で、直訳すると「微小な電気機械システム」となる。機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路などを、半導体のシリコン基板・ガラス基板・有機材料などにひとまとめにしたミクロンレベル構造を持つデバイスを指す。

自動車のエアバッグや加速度センサー、プロジェクターで光を制御するミラーデバイスなど幅広い分野で利用されており、MEMSミラーを用いたLiDARなども開発されている。

■SAE

米国の非営利団体「米国自動車技術会(Society of Automotive Engineers)」を指す。自動車関連や航空宇宙関連の標準規格の開発などを行っており、2014年1月に発表した自動運転に関する6段階のレベル定義は、2016年にNHTSA(米運輸省道路交通安全局)が採用。日本も追随する形でSAEベースに見直す動きが強く、現在では世界の主流となっている。

【参考】SAEの自動運転レベルについては「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説|自動運転ラボ」も参照。

■SIP

内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮し、府省の枠などを超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)」を指す。

2014年に本格スタートした第1期ではエネルギー分野、次世代インフラ分野などから自動走行システムを含む11 課題が選定され、さまざまな研究開発や実証実験などが行われている。

第2期は2018年度にスタートし、自動運転システムの開発・検証や自動運転実用化に向けた基盤技術開発、規制改革・制度整備などについて研究を進める予定。

■Solid State

もともとは物質の状態として固体状態を指す英語表現で、これが転じて固体自体の電子現象を利用した回路や装置(トランジスタ、ダイオード、ICなど)を指したり、可動箇所のない装置を指したりして用いられるようになった。

自動運転の分野では「Solid State型LiDAR」などのように表現されることが多い。回転しながら360度にレーザー光を放つLiDAR製品と異なり、可動部分と回転機構を持たないため壊れにくく、設置場所の自由度も高まる。また、低コスト化しやすいメリットがある。

■VR

「Virtual Reality」の略で仮想現実を指す。主にコンピュータや電子技術を用いて視覚や聴覚などを刺激し、現物・実物ではないが機能としての本質は同じであるような環境を作り出す技術や概念をいう。

自動運転の分野では、自動運転技術の向上を図るために走行実験を繰り返すが、これを仮想環境に置き換えてコンピュータ上でシミュレートすることで、効率的にAIの学習などを行うことができる。

また、AIやVRの技術を駆使し、自動運転に活用される基本ソフト(OS)の開発を行う企業もあるなど、VR技術や概念の応用範囲は広そうだ。

■遠隔型自動運転システム

自動運転を行う車両の外に利用者が存在し、その者の遠隔監視や操作などに基づく自動運転システム。主に自動運転レベル4(高度運転自動化)を想定した開発が進められており、車両が故障した際など問題が生じた場合に運行発令者がシステムに代わって速やかに遠隔で操作を行う。

【参考】遠隔型自動運転システムについては「SBドライブ、自動運転バス実用化へ小田急電鉄・神奈川中央交通と協定|自動運転ラボ」も参照。

■官民ITS構想・ロードマップ

安倍晋三首相による「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年)を発端に、安全運転支援システムの早期実用化を図るために2014年度から毎年策定・改定している中長期戦略。

ロードマップ2018では、前年までの施策内容を基本的に継承しつつ、実証実験や社会受容性確保に向けた取り組み、データ戦略など、関係府省庁における重点的な取り組みなどを追加している。

■コネクテッドカー

インターネット通信技術を搭載しICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。

自動運転をはじめ、安全性向上や車内エンターテイメント、快適な運転、車両管理、走行管理、ホームインテグレーションの分野で発展することが見込まれており、今後、情報インフラの整備や通信技術の進化などに伴い急速に普及することが予想される。

■自動運転レベル0(運転自動化なし)

ドライバーが常にハンドルやアクセルペダルなどすべての主制御系統の操作を行うもので、旧来の自動車がこれにあたる。また、前方衝突の危険を知らせる警告などのシステムは、主制御系統を操作しないためレベル0となる。

■自動運転レベル1(運転支援)

SAEでは「システムが前後・左右のいずれかの車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施するもの」と定義されており、運転の主体はドライバーとなる。

自動ブレーキやレーンキープアシストなど、加減速・操舵のいずれか一つをシステムが支援するものを指す。

■自動運転レベル2(部分運転自動化)

SAEでは「システムが前後・左右の両方の車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施するもの」と定義されており、レベル1同様運転の主体はドライバーとなる。

ハンドルやアクセル・ブレーキペダルによる加減速・操舵の両方の支援をシステムが行う。

■自動運転レベル3(条件付き運転自動化)

SAEでは「限定領域内においてシステムが全ての運転タスクを実施するが、作動継続が困難な場合、システムの介入要求などに対して運転者が適切に応答することが期待される」と定義されており、運転の主体はドライバーとシステムが混在することになる。

高速道路など一定規格の場所において自動運転を実現するが、ドライバーはすぐに運転を代わることができるよう待機しておく必要がある。2017年に独Audi社からレベル3搭載の「A8」が発売され、実用化の第一歩を歩みだした。日本の各メーカーは2020年ごろの実用化を目指している。

■自動運転レベル4(高度運転自動化)

SAEでは「限定領域内においてシステムが全ての運転タスクを実施し、作動継続が困難な場合も利用者が応答することは期待されない」と定義されており、運転の主体はシステムとなる。

高速道路など一定規格の場所や実証実験を繰り返した一定範囲において完全な自動運転が可能となるため、あらかじめ定まったルートを走るバスなどにまず導入される可能性が高い。もちろん、一定範囲において完全な自動運転、それ以外では手動による運転と切り替えられる自動車の開発も進められている。

■自動運転レベル5(完全運転自動化)

SAEでは「限定領域に限らずシステムが全ての運転タスクを実施し、作動継続が困難な場合も利用者が応答することは期待されない」と定義されており、運転の主体は完全にシステムとなる。

考え得る全ての状況下・環境下でシステムが運転を担うためドライバーを必要とせず、ハンドルやアクセルのペダルなど従来の制御装置が備わっていない自動車が誕生する。

■ジュネーブ道路交通条約・ウィーン道路交通条約

ジュネーブ道路交通条約は、統一規則を定めることにより国際道路交通の発達や安全を促進することを目的に1949年に採択された国際条約。この条約を、国際化やモータリゼーションの進展にあわせて補強し1968年に採択されたのがウィーン道路交通条約で、欧州諸国を中心に加盟している。日本はジュネーブ条約のみを批准している。

それぞれ自動車の運転にはドライバーが乗車しコントロールすることが規定されているが、ウィーン条約は自動運転システムが国際基準に適合している場合などは許容する改正案が2014年に採択された。一方のジュネーブ条約は改正されておらず、自動運転の普及や実証実験にとっては足かせとなっている。

■ダイナミックマップ

高精度の三次元情報を持つデジタル地図。道路や建物はもちろん、道幅や車線、勾配、停止線、道路標識など静的情報が数センチの誤差で表示され、そこに交通規制や渋滞、天候による運行への影響など時間単位で変化する動的情報を重ね、さらに周辺車両の動きや信号の切り替えなど逐一変化する周辺情報が重ねられる。

このマップの情報と、車両のカメラなどが認識した周囲の状況を照らし合わせることで、より効率的で安全な運転が可能になる。

■隊列走行

組織された複数の自動車などが列をなして走行すること。自動運転においては、物流におけるドライバー不足の解消や渋滞緩和、事故抑制などを目的に国土交通省と経済産業省主導のもとトラックの隊列走行の研究や実証実験が行われている。

ドライバーが運転する先頭のトラックを、追尾センサーなどを搭載した無人のトラックが自動で追尾し、短車間距離のCACC(協調型車間距離維持支援システム)制御や車線維持制御、後続車の周辺監視などの技術開発に取り組んでいる。

■ミリ波レーダー

「ミリ波」はとても波長の短い電波のことで、ミリ波レーダーは対象物に照射されて戻ってきた電波を検出し、対象物までの距離や方向を検出できる。自動運転においては、カメラやLiDARなどとともに目の役割を担うセンサーの一つ。

遠距離や夜間、悪天候などにおける識別能力が高い一方、微細なものや色彩の識別能力に欠けるため、カメラなどと併用されて使われることも多い。

■時代のビッグウェーブに乗り遅れないために

自動運転技術のさらなる発展や時代の変遷に伴って、さらにさまざまな専門用語が生み出される。21世紀最大の自動車業界のイノベーションと呼ばれる自動運転のビッグウェーブに乗り遅れないため、常に最新の業界用語は身に付けておくことが有益だ。







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