【海外版】自動運転関連技術を開発するベンチャー・スタートアップ企業まとめ 国別に紹介

米国、中国、イスラエル、欧州など計21企業


出典:ルミナー社公式ウェブサイト

革新的な技術と壮大なビジョンを持ったスタートアップ。地道な研究開発はなかなか表に出ないものだが、自動運転業界では力のある新興勢力が続々と台頭し、陽の目を浴びている。すでにメジャーな存在に成長した企業をはじめ、今後の活躍に期待が持てそうな海外のスタートアップ21社をピックアップしてみた。

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記事の目次

■アメリカ
Zoox:シリコンバレー屈指のスタートアップ、一から自動運転EVを開発

2014年創業で米シリコンバレーに本拠地を置くZooxは、自動運転EVタクシーの開発をゼロから進めており、2020年ごろまでの実用化を目指す本格派のスタートアップだ。







市場価値3500億円ともいわれるトップクラスの評価を集め、資金とともに優秀なエンジニアを次々と取り込んでいたが、2018年8月にティム・ケントレイ・クレイCEOの電撃解任が発表されており、今後の動向に注目が集まっている。

Luminar Technologies:トヨタがほれ込んだLiDAR開発スタートアップ

LiDARの独自開発を進める2012年創業のスタートアップ。低価格タイプの製品化を進めており、コスト削減に努めるだけでなく、独自技術によって従来製品よりも50倍以上優れた解像度を誇り、10倍以上離れた距離にある対象物を認識することができるという。

トヨタ自動車もルミナー社製のLiDARの技術力を認めて採用を決めており、トヨタがシリコンバレーに開設したトヨタ・リサーチ・インスティテュートと既にパートナーシップを結び、共同開発体制を築いている。また、2018年6月にはボルボとの取引を開始することが明らかになっている。

Drive.ai:テキサス州でパイロットプログラム実施へ

自動運転車向けのソフトウェア開発などを手がける、米シリコンバレーに籍を置く2015年創業のスタートアップ。既存の一般車両に自動運転システムを搭載するアドオンキットなども開発している。

2017年には米ライドシェア大手のLyft(リフト)と提携し、リフトのプラットフォームに自動運転キットを導入している。2018年にはテキサス州のフリスコやアーリントンで一般市民も利用可能なパイロットプログラムを実施し、自動運転車による配車サービスを提供している。

Aeva:LiDARをはじめとした独自センサー技術に注目

米アップル社の自動運転プロジェクト「タイタン(Titan)」に関わっていたエンジニアが立ち上げたシリコンバレー発のスタートアップ。LiDARを中心とした次世代センサーの開発に取り組んでおり、コンパクトでエネルギー消費を抑えたセンサー技術を持つ。

2018年10月には、4500万ドル(約50億円)の資金調達が明らかになっており、これまで開発した技術の性能向上などにあてるほか、自動運転向けの独自プロセッサを開発することでより効率的な情報処理の実現を目指しているようだ。

Aurora Innovation:フォルクスワーゲンを魅了する自動運転スタートアップ

米電気自動車(EV)大手テスラとグーグルの元社員がタッグを組み、2016年にシリコンバレーで創業したオーロラ。自動運転ソフトウェアの開発などを手がけている。

2018年1月に独フォルクスワーゲン(VW)、韓国ヒュンダイ(現代自動車)と戦略的提携契約を結んでおり、同社の技術を提供している。一部報道によると、同年8月までにフォルクスワーゲンから戦略的買収の話が持ち上がったが、オーロラは独立性の保持などを理由に断ったようだ。

Nauto:AI搭載型通信ドライブレコーダーで日本にも進出

2015年にシリコンバレーで創業したNauto(ナウト)は、画像認識技術やAIアルゴリズム開発を手掛けており、安全運転支援デバイスとしてAI搭載型通信ドライブレコーダーなどを製品化している。

2017年6月には、日本の拠点として「Nauto Japan GK」の設立を発表。元トヨタ自動車の井田哲郎氏が代表を務めている。同年7月には、ソフトバンクグループがリードするシリーズBラウンドで1億5900万ドル(約180億円)の調達を発表しており、ソフトバンクのほか、トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズなどからも出資を受けている。

2018年7月にはオリックス自動車と業務提携し、AI搭載型通信ドライブレコーダーを日本国内の運送会社など法人向けに提供開始している。通信機能を備えた2つの高性能小型カメラでドライバーの挙動や周辺状況など車内外で発生する事象を検出・録画し、車載機に搭載されたAIで運転の危険度をリアルタイムに分析することが可能だ。

Quanergy Systems:独自技術のLiDAR開発

クアナジー・システムズは、2012年にカリフォルニア州サニーベールで創業したLiDARやAIソフトウェアの開発を手掛けるスタートアップ。同社のLiDARは、数々の特許技術のもと価格や性能、信頼性、サイズ、重量、電力効率の6つの主要な商業化基準をすべて満たすように設計されているという。

2016年に部品メーカー大手の米デルファイや韓国の電子機器メーカーのサムスンなどから9000万ドル(約100億円)の資金調達をしたほか、2018年10月にも評価額20億ドルを超えるシリーズCの資金調達を確保したことが報道されている。

パートナー企業には、ルノー・日産をはじめ独メルセデス・ベンツ、英ジャガー、韓国ヒュンダイなどが名を連ねている。

Cepton Technologies:低価格帯の量産LiDAR開発へ

LiDAR大手の米ベロダインの元エンジニアが2016年に立ち上げたスタートアップで、低価格帯のLiDAR開発を進めている。

長距離向けの「HR80T」、広角向けの「HR80W」、マッピング用途向けの「SORA 200」、小型高性能な「Vista」を既に発表しており、測域範囲が200メートルを超える製品を提供していることや、オプティカルボードの組み立てを自動化しコストダウンが可能であること、量産時には低価格で出荷できることなどを強みに、すでに60社以上と手を組んでいるという。量産車両へのLiDAR普及をにらんだ戦略で、自動車メーカーからの注目がいっそう高まりそうだ。

GhostWave:ADASレーダーの開発スタートアップ

レーダーをベースとしたセンサー開発を手掛けるスタートアップで、オハイオ州に本社を構えている。ADAS(先進運転支援システム)向けのレーザーによる障害物検知技術のほか、特許取得済みの疑似ランダム無線周波数ジェネレーターを使用することで、他の電気装置からの干渉を受けにくくする技術などを有する。

2017年のオートモビリティーLAにおいて、「2017年新興自動車企業トップ10コンペ」のトップ3に選出されている。

HEVO:ワイヤレス充電システムを開発・製品化

自動運転EVや一般車向けのワイヤレス充電機器の開発に力を入れるニューヨークのスタートアップ。マンホールのように地面に埋め込まれた電源ステーションの上にEVを停車すると、取り付けられたレシーバーが無線電力を捕捉し、整流器を介してバッテリに送信するワイヤレス充電技術を開発しており、操作はスマートフォンなどのアプリで行う。

EVの普及とともに需要が高まるインフラで、今後注目が高まることが予想される一社だ。

■イスラエル
Innoviz Technologies:低価格・高性能LiDARを市場に

2016年にイスラエルで生まれたLiDAR開発スタートアップ。ソリッドステート型を採用し、量販車向けの低コスト・小サイズ化を図りつつも、現在市販されているLiDARソリューションの中で最高のフレームレート・角度分解能を持つLiDAR技術を有しているという。

2017年9月には、米デルファイ社やカナダのマグナ社などから6500万ドル(約72億円)を資金調達。また、韓国のサムスンとソフトバンクの韓国法人からも800万ドル(約9億円)を調達したことが報じられている。

Cognata:自動運転シミュレーションプラットフォームを開発

自動運転のシミュレーションプラットフォームを手がけるスタートアップ。マップや衛星画像からのデータをもとに実際の都市の詳細なデジタル地図を自動生成し、歩行者などの動的レイヤーを載せた仮想空間を作製することができる。

2018年6月に、独アウディの子会社で自動運転技術開発を手がけるAID社が提携を結んだことを発表しており、世界各地の都市を再現してシミュレートし、広範なテストを行うこととしている。

■欧州
AImotive(ハンガリー):パートナー企業にAIソリューション提供

ハンガリーのブダペストを本拠地とするAI開発スタートアップ。2015年に創業した。自動運転用の車載ソフトウェアやシミュレーションツールなどの開発を手掛けている。

自動運転用のAIソフトウェアプラットフォーム「aiDrive」、シミュレーション開発ツールの「aiSim」、ハードウェアアクセラレターの「aiWare」を主力としており、自動運転レベル5までを開発するOEMや、AIプラットフォームを開発する半導体ベンダーなどをターゲットに攻勢をかけている。

WayRay(スイス):AR技術生かしたヘッドアップディスプレイシステムを開発

ホログラフィーを用いたAR(拡張現実)技術を開発するスイスのスタートアップ。2012年の創業でチューリッヒに本社を構える。視認性の高いヘッドアップディスプレイシステムの開発を手掛けており、これまでに中国・電子商取引(EC)最大手のアリババや独ポルシェなどから資金を調達している。

2017年のオートモビリティーLAにおいて「2017年新興自動車企業トップ10コンペ」のグランプリを獲得。また、2018年6月に中国上海で開催されたCESアジア2018では、ホンダと共同開発した最新のヘッドアップディスプレイシステムを発表している。

Oxbotica(英国):オックスフォード大発のスタートアップ 自動運転ソフトウェアで自動運転実用化へ

英オックスフォード大学発のスタートアップ企業で、自動運転ソフトウェアを開発する。2014年に創業した。自律制御システム「Selenium」を独自開発しており、車種に依存しないオペレーティングシステムによりあらゆる乗り物に適用できるという。

2017年6月には、英国のECスーパーOcadoと英国で初となる自動運転EVによる配送サービスの実証試験を実施。また、ロンドンのタクシー会社「アディソン・リー」とともに、2021年にも自動運転タクシーサービスを開始する可能性について報道されている。

NAVYA(フランス):自動運転バスを世界各地で実用化

自動運転シャトルバスやキャブの開発・製品化を手掛ける、2014年創業の仏スタートアップ。同社が開発した自動運転バス「NAVYA ARMA」はすでに世界14カ国で30万人が利用した実績を誇る。

日本国内でも、ソフトバンク系SBドライブ社が同車両を用いた実証実験や試乗会を繰り返しており、東京都や北海道、兵庫県、千葉県などで体験乗車数は延べ2000人を超えているという。

■中国
WeRide.ai:日産ルノー系ファンドが出資 2020年にも自動運転車の大規模商用化目指す

2017年4月に米シリコンバレーで設立された、自動運転車開発会社。同年12月に本社を中国広州開発区に移転し、中国市場向けにAI(人工知能)を駆使した自動運転レベル4の自律型車両の開発を進めている。

CEO(最高経営責任者)のトニー・ハン氏は、中国ネット検索最大手のBaidu(百度)で自律運転部チーフサイエンティストを務めていた経歴を持ち、CFO(最高財務責任者)のルーティング氏は、LiDAR開発大手の米Velodyne LiDARでCFOを務めていた。

2018年10月には、ルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」が同社に3000万ドル(約34億円)を出資したことを発表しており、同社はこの資金を活用し、2019年に自動運転車500台を用いて累計走行距離を500万キロまで伸ばすとともに、広州市と安慶市で主要パートナー企業とともに運用・商業化に向けた実験を行う計画という。

HUMAN HORIZONS:中国EV分野の急成長株

中国で急成長中のEV分野のスタートアップで、2017年に創業した。スマートカーをモバイルセンサーやデータソースとして機能させる新しいデジタル情報プラットフォーム「Human Oriented Architecture(HOA)」などの開発を進めており、「新しいスマート車両の開発・製造」「車両やそれに伴うネットワークと資源のシェア」「コネクテッドカーと先進の自動運転システム」「スマート輸送アプリケーション」「スマートシティ開発」の5つの分野に重点的に取り組んでいる。

2018年10月には「Concept H Hypervelocity」「Concept A Active-agility」という2つのコンセプトカーを発表している。「Concept H Hypervelocity」は、空力効率、路上性能、走行距離を向上させる3人乗り構造で、ドライブバイワイヤー技術を使用してハンドルを3つの座席のどの位置にも動かすことができる「RE.C.E.S.S.」というシステムを搭載しているという。

Niobium(蔚来汽車、NIO):ニューヨーク株式市場に上場 テスラのライバル候補へ名乗り

2014年創業の自動運転EV開発メーカー。上海を拠点に米国や欧州にも積極的にプロモーションをかけており、米EV大手テスラ社のライバルとも称されている。

過去の資金調達ラウンドでは中国インターネット大手のテンセントや百度から資金を調達しており、2017年には「Second Living Room」というコンセプトのもと設計した自動運転EVのコンセプトカー「EVE」を発表している。

2018年6月には航続距離500キロメートルを誇るSUVタイプのEV「ES8」の出荷を開始し、同年9月にはニューヨーク株式市場に上場を果たした。同社の時価総額は1兆円を超えた模様で、2020年までに米国で無人EVの発売を目指している。

Momenta:画像認識に強み 資金調達で開発加速化

北京を本拠地とする2016年創業の自動運転スタートアップ。ディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムを構築し、自動運転車の「頭脳」となる自動運転システムを開発している。

特に画像認識・判断を強みとしており、これまでに自動運転の基盤となるインフラストラクチャープラットフォームの構築をはじめ、センサー類の状況認識、精度とポジショニングマップの確立、状況判断といった一連のソフトウェアアルゴリズムの構築、高速道路や都市などを想定したさまざまな自動運転レベルを確立した運転ソリューションの形成などに取り組んできた。

2018年10月に、投資家や政府系基金団体から10億ドル(約1150億円)の資金調達を発表しており、同社が開発した自動運転システムの納入を加速していく構えだ。

Pony.ai:2019年にも自動運転レベル4を商用化

米カリフォルニア州と中国広東省に拠点を置く、2016年創業の自動運転スタートアップ。完全自動運転車の開発を目指しており、2018年1月に広州市南沙区で自動運転車の走行試験を開始。一般市民を乗せた試験走行も実施している。2019年末には自動運転レベル4相当の開発車両の商用化を目指し、配車サービスを始めていく計画という。

2018年7月までに、資金調達ラウンドで1億200万ドル(約115億円)相当を調達し、シリーズ総額が2億1400万ドル(約240億円)に達したことを発表している。

■躍進著しい中国勢 自動車業界の世界の勢力図も変化

米シリコンバレーや第二のシリコンバレーと称されるイスラエルなど、研究開発の土台が整った国・地域はもちろんだが、近年は特に中国勢の躍進ぶりが際立っている。

米国や欧州を股に掛けて市場を柔軟に渡り歩くさまは、本家のシリコンバレーに引けを取らない規模に達してきた。巨大市場を背景に資金調達がしやすくスタートアップの拠点としては最適で、従来の自動車メーカーにとっても技術の発展が著しい中国は製造・販売面で戦略上欠かせない存在になりつつある。

自動車業界の勢力図の変化に合わせ、開発の拠点として中国を選ぶスタートアップも今後ますます増加する可能性がある。「第二のシリコンバレー」といった呼び名が「第二の深圳(しんせん)」などに変わる日が将来訪れるのかもしれない。







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