自動運転ラボが選ぶ「流行語トップ10」!大賞は…

2019年の大賞・金賞・銀賞・銅賞を選定





自動運転ラボはこのほど、記事のタグ付け数で選んだ自動運転分野における2019年の「流行語大賞」を選定し、大賞1つ、金賞2つ、銀賞3つ、銅賞4つの計10個のキーワードを決定した。







2019年、業界において最も多く飛び交ったキーワードは何か。それぞれのキーワードを順に見ていこう。

■大賞に選ばれたのは!?
「実証実験」:自動運転×MaaS時代到来、モビリティの多様化見据えた実証進む

2019年は、多方面で実証実験が進められる一年となった。自動運転関連では、国土交通省主導の「中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス」をはじめ経済産業省などが取り組む「スマートモビリティチャレンジ」における実証もスタートし、MaaS(Mobility as a Service)関連が急増した。

MaaSにおける移動サービスの中に自動運転を含めた取り組みも散見している。技術的な面だけではなくサービスの具体化を見据えた動きが進んでおり、ZMPら7社は、空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させたMaaS実証実験に着手している。

自動運転バスの実証も加速しており、仏ナビヤ社の自動運転バス「NAVYA ARMA」を活用するSBドライブをはじめ、小田急グループや京阪バスといった事業者、群馬大学や埼玉工業大学などが実証に力を入れている。

また、超小型モビリティを用いた実証や、電動キックボードの導入に向けた実証、自動運転機能を備えた電動車いすの社会実証、自立走行可能な宅配ロボットや警備ロボットの実証など、多様なモビリティの実用化を見据えた動きも顕著となった。

公道実証に関する許可基準などの整備も年々進んでおり、実用化に向けた取り組みは2020年もいっそう過熱しそうだ。

■金賞に選ばれたのは!?
「LiDAR」:LiDAR特需に向け生産体制確立 売り込みへ

自動運転の「目」となるセンサーの中で存在感を増すLiDAR(ライダー)。依然として開発競争は激化しているが、自動運転レベル3~4の実用実証が加速し、本格導入を目前に控えた時期に差し掛かり、量産車へのLiDAR搭載に向けた動きも徐々に活発化しているようだ。

高品質化と省力化、小型化を図りながら、低コストで量産可能なモデルの開発が中心となっており、各社製品のラインアップの幅も広がりを見せている。

海外大手では、米Velodyne Lidar(ベロダイン・ライダー)が量産化に向け生産体制を強化しており、国内でもニコンが受託生産契約を2019年4月までに締結している。

スタートアップ勢では、イスラエルのInnoviz Technologies(イノヴィズ・テクノロジーズ)が新たに1億7000万ドル(約185億円)の資金調達を行ったほか、米Luminar(ルミナー)がソーダ缶サイズのLiDARを500ドル(約5万4000円)で発売することを公式発表するなど、勢いは衰えていない。

国内では、電機メーカー大手のパイオニアが2019年9月に自動運転関連の新たな事業会社の設立を発表した。主力の3D-LiDARの開発を強化していく構えだ。東芝デバイス&ストレージも長距離測定の解像度を向上させる技術を発表するなど、性能向上に力を注いでいる。

2020年には、レベル3の量産車やレベル4の商用車の生産・実用化が世界的に本格化するものと思われる。LiDARの実需が大幅に増加し、自社製品の売り込みが過熱する一年になりそうだ。

「自動運転レベル4」:実証から実用化へ急加速 自動バレーパーキングも

グーグル系Waymo(ウェイモ)が自動運転タクシーを実用化してちょうど1年が経過した。当初はセーフティドライバー付きの走行で、厳密にはレベル4とは言えない運行形態だったが、ドライバーなしの完全自動運転サービスも一部で開始したほか、利用者の対象も拡大する方針のようだ。

他社も触発されたかのように開発を進めており、中国でも百度(バイドゥ)や滴滴出行(Didi Chuxing)、WeRideなどによるレベル4タクシー実現のうわさが絶えないようだ。

国内でも、レベル4自動運転バスなどの公道実証が各地で進められており、体験試乗する機会も増えてきた。セーフティドライバー同乗のもと実施する形だが、徐々に自動運転が浸透しているのが見て取れる。レベル4の移動サービスに対応した運行ガイドラインも発表され、実用化が現実味を帯びてきた印象だ。

また、駐車場内におけるレベル4を可能にした自動バレーパーキングも注目を浴びている。独ダイムラーとボッシュの取り組みが有名だが、国内でもパナソニックや日立などが開発に力を入れており、インフラ協調系のレベル4の実用化はすぐ目の前に迫っているようだ。

【参考】中国の自動運転タクシーの情勢については「中国の自動運転タクシー、初実現は「滴滴」か「百度」か」も参照。自動バレーパーキングについては「自動バレーパーキングとは? 自動運転技術を活用 開発企業は?」も参照。自動運転レベル4については「自動運転レベル4の定義や導入状況を解説&まとめ 実現はいつから?|自動運転ラボ」も参照。

■銀賞に選ばれたのは!?
「自動運転レベル3」:2020年実用化へカウントダウン

レベル3技術の搭載を可能にしたアウディの「Audi A8」が2017年に発売されて以来、長きにわたりその技術は封印される格好となっていたが、2020年には世界各国でレベル3搭載車両が正式に公道を走行できるようになる見込みだ。

国内でも、自動運行装置の位置付けや運転者の義務などを明確化した改正道路交通法が2019年5月に成立し、2020年中に施行される見込みだ。

欧米の複数の自動車メーカーがレベル3搭載車両を市場に投入すると思われるほか、国内メーカーもホンダが高速道路での自動運転技術の実現を2020年を目途としており、新たな動きに注目が集まりそうだ。

また、レベル3特有の危険性を排除するため、運転者を監視するドライバーモニタリングシステムや、有事の際に安全に車両を停止させるミニマル・リスク・マヌーバー技術など、関連技術の開発と実用化も加速するものと思われる。

【参考】改正道路交通法については「改正道路交通法が成立 自動運転レベル3解禁へ」も参照。レベル3の危険性については「自動運転レベル3の「油断の罠」に挑む技術者たち」も参照。自動運転レベル3については「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」も参照。

「自動運転タクシー」:ウェイモに続く2番手争いに注目

ウェイモを筆頭に、世界各国で開発と実証が進む自動運転タクシー。米国ではGM・クルーズが延期を発表したものの、配車サービス大手のLyftなども実証を重ねており、2020年にはウェイモの競争相手が台頭する可能性がある。

また、EV大手のテスラが発表した「ロボタクシー構想」も、実現すれば台風の目玉になるだろう。完全自動運転車をリース契約したオーナーが、マイカーを使用しない時間帯に「ロボタクシー」として利用できる新たなビジネスモデルで、同社は2020年半ばまでに完全な自動運転車を100万台以上生産するとしている。

実現時期は延期される可能性が高そうだが、自家用車の需要を取り込みつつ商用車のメリットも盛り込んだ画期的なアイデアで、将来訪れる自動運転社会を見据えた発想だ。

中国では、百度やDidi、WeRide、Pony.ai、Baiyun Taxiなどが実用化を見据えた実証に着手しており、世界2番手は同国から生まれそうな気配だ。

国内では、ZMPが積極的に実証を重ねており、2020年内に大きな動きを見せそうだ。日産×DeNAが開発を進める「Easy Ride」も2020年代早期のサービス開始を目指しており、引き続き実証を重ねながら移動サービスの可能性を追求していく構えだ。

【参考】自動運転タクシーについては「自動運転タクシーの商用化に挑む世界の企業まとめ」も参照。テスラのロボタクシー構想については「自動運転、テスラの戦略まとめ スマート・サモン機能導入!ロボタクシー構想も」も参照。

「ウェイモ」:自動運転タクシーサービス拡大へ 量産化体制も構築

2018年12月に米アリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの有料商用サービス「ウェイモワン」を開始したウェイモ。

2019年に入ってからも、自動運転車の製造工場建設や自動運転走行に関するデータセットの無料開放、自動運転トラックの実証実験再開、日産・ルノーとの無人モビリティサービスに関する独占契約の締結、カリフォルニア州における自動運転タクシーサービス許可取得、自動運転タクシーによるモノの配送サービス、セーフティドライバー不在の無人による自動運転タクシーの運行など、事業を着実に前進させている。

2020年は、自動運転タクシーの量産化とともにサービス提供地域の拡大が始まる可能性が高い。また、貨客混載など物流分野への事業展開も進展する可能性もあり、他車との協業含め、引き続き動向に注目したい一社だ。

【参考】自動運転車の製造工場については「グーグル系ウェイモ、自動運転車の「製造工場」を2019年半ばに稼働」も参照。データセットの無料開放については「グーグル系ウェイモ、自動運転走行のデータセットを開放」も参照。日産・ルノーとの提携については「日産とルノー、自動運転分野でグーグル系ウェイモと独占契約」も参照。

■銅賞に選ばれたのは!?
「資金調達」:スタートアップ躍進 ユニコーン上場も

前年に引き続き、スタートアップを中心に多くの資金調達ラウンドが成果を上げた1年となった。フォースタートアップスが発表した「海外スタートアップ資金調達額ランキング」の2019年1〜9月版によると、米フォード傘下のArgo AIが26億ドル(約2800億円)を調達して全体の2位につけたほか、GM傘下のクルーズも11億5000万ドル(約1200億円)で11位にランクインしている。

国内勢では、物流技術スタートアップのGROUNDが総額17億1000万円の資金調達を実施したほか、自動運転OSを開発するティアフォーが10億円の追加増資、AIスタートアップのオプティマインドも総額約10億1300万円の資金調達を実施するなど、資金が集まりやすい環境が少しずつ整い始めた感を受ける。

また、ユニコーン企業として名高いUberやLyftが満を持して株式上場を果たしたのも2019年だ。上場後の株価の推移は今一つかもしれないが、スタートアップを卒業して本格的にビジネス化を進める段階に到達したことは間違いない。

今後も成長を続けるスタートアップの上場は続くものと思われる。自動運転関連産業が着実にビジネスへと昇華している証左と言えるだろう。出資側を代表するベンチャーキャピタルの動きを含め、新たな動きに注目したい。

【参考】フォースタートアップスのランキングについては「自動運転領域からは2位にArgo AI 海外スタートアップ資金調達ランキング」も参照。ベンチャーキャピタルについては「自動運転領域への投資に積極的な世界のVCまとめ トヨタ系VCもスタートアップに積極投資」も参照。

「ダイナミックマップ」:国際標準化の動きも

高度な自動運転の実現に欠かせない高精細3次元マップやダイナミックマップの開発もにぎやかだ。

国内では、自動車メーカーらが共同出資して設立したダイナミックマップ基盤を筆頭に、アイサンテクノロジーや三菱電機、ゼンリンなど位置情報関連技術を持つ各社が開発を進めている。

海外では、オランダのHERE Technologiesが世界戦略を進めており、業界標準の策定目指し規格化や他社との提携を加速させている。

国境を越えて輸出入される自動運転車の走行には、一定の国際標準が必要となる。規格が大幅に異なると、その国々の状況に合わせたセッティングや開発が大きなロスとなるためだ。

自動運転において主要な要素となるダイナミックマップも例にもれず規格化を要する分野で、より精密な世界標準化に向け国際的な協調が欠かせない。

「Autoware」:AWFの輪広がる 自動運転タクシー事業化に向けた動きも

自動運転開発を手掛ける国内スタートアップの急先鋒・ティアフォーが導入促進を図るオープンソースの自動運転ソフトウェアが「Autoware(オートウェア)」だ。2018年12月にはAutowareの業界標準化を目指し、米Apex.AIと英Linaroと共同で国際業界団体「The Autoware Foundation(AWF)」の設立を発表した。

AWFには2019年12月時点で、プレミアムメンバーに英armや米ベロダイン・ライダー、中国HUAWEI、韓国LG、トヨタ系のTRI-AD、イーソル、マクニカ、ITD Labなどが名を連ねており、着々と輪が広がっているようだ。

Autoware は、アイサンテクノロジーや名古屋大学などが進める自動運転の実証などに使用されているほか、2019年11月には、JapanTaxi、損害保険ジャパン日本興亜、KDDI、アイサンテクノロジーとともに将来の自動運転タクシーの事業化に向け協業していくことも発表された。Autowareを活用した自動運転タクシー車両の開発を進めることとしており、普及・実用化に向けた取り組みはまだまだ加速しそうだ。

【参考】ティアフォーについては「ティアフォーの自動運転戦略まとめ Autowareとは?」も参照。自動運転タクシーに向けた協業については「トヨタ製「JPN TAXI」を自動運転化!ティアフォーやJapanTaxi、無人タクシー実証を実施へ」も参照。

「ビッグデータ」:データ分析は成長分野 自動運転やMaaSで有効活用

大量のデータを生成・活用する自動運転において、その活用方法に注目が集まるビッグデータ。走行車両が収集したカメラの画像や車両の制御情報、交通情報などをはじめ、開発が盛んなMaaSにおいても消費者の行動データなどは有用であり、こうした価値ある情報をいかに分析して事業の糧にしていくかが大きな課題となっている。

2019年6月には、KDDIと経路検索大手のナビタイムジャパンがMaaS領域で連携することに合意し、通信・交通ビックデータやAI技術など保有しているデータやノウハウを活用し、社会課題の解決につなげる取り組みを進めていくこととしている。

コネクテッドサービスも本格化し始め、さまざまな場面で生み出される多様なデータの取り扱いや活用方法を模索する動きは今後ますます大きくなることが予想される成長分野だ。

【参考】ビッグデータについては「自動運転におけるビッグデータ解析、活用シーンまとめ&解説」も参照。KDDIとナビタイムの協業については「KDDIとナビタイム、MaaS領域で連携 通信・交通ビックデータやAI技術活用」も参照。

■【まとめ】自動運転が現実味を帯び始めた1年 2020年はさらに勢力を増す

2019年は、実証実験が急増した年となった。その背景には、自動運転レベル3の具体化や、レベル4サービスを見据えた動きの活発化などが挙げられる。

こうした自動運転レベルの高度化に際し、必須とされるLiDARの注目度もますます高まった感を受ける。量産化に向けた動きは今後も加速するだろう。

また、自動運転タクシーをはじめ自動運転技術の実用化が着実に現実味を帯び始めた1年でもあり、ビジネス規模の拡大を背景に資金調達に関するニュースも増加したものと思われる。

自動運転やMaaS領域の事業開発としての中心的キーワードにもなる移動データをはじめとした「ビッグデータ」をどのように活用するか、といった取り組みも本格化の様相を呈し、話題に事欠かなかった。

2020年は自動運転やMaaSが大きく前進する年になる見込みで、2019年の勢いはさらに増すことになる。

本家ユーキャンの新語・流行語大賞の2019年年間大賞は「ONE TEAM」だったが、自動運転業界もしっかりと結束し、2020年を革新と呼べる1年にしてほしい。

【参考】関連記事としては「自動運転、ゼロから分かる4万字まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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