自動運転におけるビッグデータ解析、活用シーンまとめ&解説

コネクテッドサービスにも注目


パソコンやスマートフォンの普及により日常に情報が溢れ、良くも悪くも情報なしでは生きていけないような情報化社会が到来している。この氾濫する情報を蓄積し、解析して新たなサービスに生かす動きがさまざまな分野で登場しているが、自動運転の分野においてもこれは例外ではなく、むしろ必須となっている。

今回は、自動運転においてビッグデータがどのように活用されるのかを調べてみよう。

■ビッグデータとは

明確な定義はないが、一般的にデータ管理・処理ソフトウエアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合を表すことが多い。

デジタル化の進展やネットワークの高度化、スマートフォンやセンサーなどIoT関連機器の小型化・低コスト化によるIoTの普及により、位置情報や行動履歴、インターネットやテレビでの視聴・消費行動に関する情報、センサーなどから得られる膨大なデータが氾濫しているが、これらのさまざまなデータを効率的に収集・共有できる環境が実現されつつある。

これらのデータ群を体系的に記録し解析することで、ビジネスや社会に有意義な知見を得たり、これまでにないような新たなシステムやサービスを産み出したりする可能性があるため、あらゆる分野でビッグデータが注目を集めるようになった。

■自動運転でビッグデータが必要とされる場面
自動運転車の開発:ビッグデータはAI(人工知能)強化に必須

ディープラーニングを含む機械学習を通じたAIの強化のためには、可能な限り多数の走行シーンをAIに学習させることが必要となる。従来、走行映像データベースはテストコースや公道実証前段階における自動運転ソフトウェアのシミュレーション用として開発・利用されてきたが、近年はAIに学習させるためのデータベースが重要になっており、ここにビッグデータを活用することでAIの能力が飛躍的に向上している。

海外の有力自動運転関連企業は、自らの機器で収集した走行映像データベースをもとに、公道実証前の走行シミュレーションに活用しているほか、更なる自動運転技術の向上に活用している。

米グーグル系の自動運転車開発企業Waymo(ウェイモ)社は、2018年5月の発表時点で公道上における累計走行距離は600万マイル(約960万キロ)に達しており、走行時のあらゆるデータを収集。これらを活用した自動運転シミュレーションでは、総走行距離が50億マイル(約80億キロ)と地球から月への往復距離1万回分に相当する距離に達している。

また、米インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は、走行時の画像データを取り込むデータベースシステムを運用し、蓄積されたデータの解析による認識アルゴリズムの改良で精度を向上させている。

創業間もない2000年からデータの収集を続けており、日本や米国、欧州の自動車メーカーらと連携し、舗装路や未舗装路、昼夜、晴天、雨天などあらゆる状況のデータを集めている。

このビッグデータが同社の技術的財産となり、世界屈指のカメラ解析技術を支えている。

自動運転車の運用:走行データや交通情報をクラウドで収集・解析し提供

ビッグデータは自動運転車の開発のみでなく、実用化後も重要な役割を果たす。自動運転は、車両に搭載されたセンサーやAIのみで走るわけではなく、車車間・路車間通信をはじめダイナミックマップなどさまざまなデータと情報をやり取りして安全性を高める。いわばデータ駆動型になり、AIを含むソフトウェア技術のみならずそれを支えるデータ基盤が重要となる。

自動車が走行した位置や車速などを収集したプローブデータなどの走行データが、ネットワークを通じて外部のクラウドなどの基盤に蓄積され、これらのデータが各種ビッグデータ解析などさまざまな分野に活用される。

このような多数の各車両から得られた走行データと交通関連データなどによって生成されるダイナミックマップや、そこから生成される高度化されたAIデータなどが再びネットワークを通じて各車両に提供され、自律走行の際に必要なデータとして活用されることになる。

コネクテッドサービスへの応用:コネクテッドカーはビッグデータの宝庫

ドライバーの運転データをもとに保険料を決定するテレマティクス保険など、保険料算定基準を構築する際にビッグデータを活用したり、ドライバーのニーズや動向を先読みしマーケティングに活かすなど、ビッグデータを活用した新たな商品やサービスが今後続々と登場するものと思われる。

自動車が通信媒体の一つとなるコネクテッドカーは、まさにビッグデータの宝庫であり、コネクテッドカーから収集したデータをもとに新たなサービスが誕生し、コネクテッドカーに提供されるといった流れが想定される。

■ビッグデータをめぐる業界の動き
トヨタがDCM標準搭載化へ 情報インフラ「MSPF」活用

トヨタ自動車は2018年6月、コネクテッドカーの本格展開を開始し、車載通信機(DCM)の標準搭載化を始めた。

DCM搭載車は、コネクテッドカー向けの情報インフラである「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」からさまざまなサービスが提供されるほか、DCMを通じて各車両がどのように使用されているかなどのデータを収集・蓄積することが可能になる。

トヨタとアルベルトがビッグデータ領域で業務提携

データサイエンスカンパニーのALBERT(アルベルト)とトヨタ自動車が2018年5月、自動運転技術の先行開発分野におけるビッグデータ分析において業務提携を発表している。トヨタのAI技術開発におけるデータ分析プロセスなどを強化することが目的で、自動運転技術開発の加速化を目指す。

トライアート、ビッグデータ処理技術を開発

ITソリューション事業などを手掛ける株式会社トライアートは2018年4月、ブロックチェーン技術やP2P技術などを応用したビッグデータの処理技術を開発したと発表している。

ビッグデータの運用において、データの安全性を担保しながら巨大データを解析する技術を具現化しており、自動車業界をはじめとした大規模かつ高速なデータ処理が必要となる分野への展開を目指すこととしている。

■ビッグデータのプラットフォームサービスが大きなビジネスに

自動運転車の開発段階、そして実用化段階においてそれぞれビッグデータが必要であり、MaaS(Mobility as a Service)の観点からもビッグデータをもとにした新たなサービスが続々と誕生するものと思われる。

今後、ビッグデータとなる各種情報を収集・蓄積・解析するプラットフォームの構築が自動運転分野をはじめとしたさまざまな業界で進み、AIを駆使したビッグデータ分析技術なども注目の的になることが予想される。







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