自動運転技術(レベル3以上)の搭載車両は?

アウディA8やホンダレジェンドが先行?中国勢にも要注目





2020年にも解禁が見込まれる自動運転レベル3。ODD(運行設計領域)において自動運転を可能にするもので、レベル2以下のADAS(先進運転支援システム)と明確に区別され、満を持して自動運転を味わうことができるのだ。







各社の開発状況はどこまで進んでいるのか。市場導入はいつ頃になるのか。今回は、レベル4やレベル2の動向も交えつつレベル3実用化に向けた各社の動きをまとめ、レベル3市場の動向を探ってみよう。

■レベル3の動向
レベル3量販車の代表格「Audi A8」

自動運転レベル3搭載車両の代表格は、やはり独アウディの「Audi A8」だ。認可の関係上レベル3システムは封印されているものの、2017年時点で技術を発表し、量産車への搭載に踏み切った功績は大きい。世界で初めて量産車にLiDAR(ライダー)を採用したのも注目だ。

自動運転システム「Audi AIトラフィックジャムパイロット」は、高速道路や中央分離帯のある片側2車線以上の道路において、時速60キロメートル以下の低速で交通が流れている場合にレベル3による自動運転が可能となり、ドライバーに代わってシステムが全ての運転操作を引き受ける。

自動運転システムが限界に達した際には、ドライバーに運転操作を再開するよう警告を発する。運転操作の再開には基本的に約10秒の猶予時間が与えられ、警告は3つの段階を踏んで実施されるという。また、万が一事故などのトラブルが発生した際、誰が運転していたのかを明らかにするため、自動運転に関わるデータを記録するデータログ記録システム(DAF)も搭載している。

A8に関する続報が乏しく、実際にレベル3システムを解禁する日がいつになるかは現時点で不明だが、自動運転に関する正式な国際基準の発表を待っているものと思われる。したがって、国際基準の発表後、速やかに対応してくる可能性が高そうだ。

なお、このA8のODDである「高規格道路(※高速道路や自動車専用道路など)において比較的低速で交通が流れている状況」での自動運転が、レベル3の第一段階として一つの指標になりそうだ。

【参考】アウディ「A8」については「アウディ「A8」の自動運転技術や価格まとめ 自動運転レベル3搭載」も参照。

ホンダはレジェンドに搭載予定

A8以外では、ホンダが2019年夏に開催したメディア向けの説明会で、2020年夏にもレベル3技術を実用化すると発表している。フラッグシップモデルのレジェンドに搭載される見込みで、A8同様高速道路の低速走行時に自動運転が可能となる模様だ。

具体的には、レベル2に相当するハンズオフによる車線内運転支援や車線変更技術を導入するほか、渋滞追従時にアイズオフを可能にする自動運転技術を実用化するという。アイズオフは運転動作から視線を外すという意味で、テレビやスマートフォンの視聴が可能という。この部分がレベル3に該当するのだ。

なお、プレスリリースなどによる公式発表は2020年3月10日時点で出されておらず、アウディ同様国際基準待ちの可能性が高い。初動が早ければ、A8を追い越し「世界初のレベル3実用化」の称号を得ることもあり得る。

【参考】ホンダの取り組みについては「緊張保つ難しさ、どう解決?ホンダ、自動運転レベル3搭載車を来夏発売か」も参照。

中国勢に動き?

アウディ・ホンダ同様、世界の自動車メーカー各社は国際基準の発表を待っている可能性が高く、いまだ正式にレベル3搭載車種の市場化を正式表明しているメーカーはない。

米EV大手テスラのイーロン・マスクCEOは過去、2019年内のフル自動運転機能の限定公開や、2020年半ばまでに完全自動運転車を100万台以上生産するといった発言をしているが、マスク氏が言うところの自動運転がどこまでの技術を指しているかは不明な部分が多く、計画がずれ込むことも珍しくないため参考にしがたい。

ただ、駐車した車両を呼び寄せる自動運転技術「Smart Summon(スマート・サモン)」など最新の技術を惜しみなく実用化する挑戦的な経営姿勢から、レベル3においても突如一大発表を行う可能性などもありそうだ。

計画ベースでは、独BMWがコンセプトモデルの「iNEXT」にレベル3技術を搭載し、2021年に量産化を開始するとしている。中国勢では吉利汽車が2019年にレベル3相当の自動運転車の量産モデルを2021年に中国内で発売すると発表しているほか、長安汽車が2020年内にもレベル3搭載車両の量産体制を進めると複数のメディアが報じている。

EVスタートアップのBYTONも、量産化を進める「M-BYTE」にレベル3相当の自動運転システムを搭載するという。

国際基準に左右されにくい中国特有の交通環境が、レベル3市場のけん引役になる可能性などもありそうだ。

【参考】中国の動向については「「自動運転×中国」の最新動向は? 国や企業の取り組み状況まとめ」も参照。

このほか、韓国のヒュンダイやキア、独ダイムラーなどが2021年初頭にもレベル3車両の量産化・販売をスタートするという話も出ており、レベル3を取り巻く情勢はこの一年で大きく動き出しそうだ。

【参考】韓国の動向については「日本と横並びに…韓国も7月に「自動運転レベル3」の販売解禁」も参照。

■レベル4の動向

自動運転レベル4は、レベル3に先行する形で実用化や実証が進んでいる。移動サービスを主な用途とするレベル4は、一般ドライバーの介在という不確定要素がなく、厳密にODDを特定エリア・ルートに限定することでかえって開発しやすい環境にあるようだ。サービス用途のため、ビジネスとしても成り立たせやすい。

レベル4の実用化においては、米ウェイモが2018年12月に世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスを開始し、2019年末にはセーフティドライバーなしの事実上のレベル4も達成している。2020年3月には、自動運転システムの最新バージョンとなる第5世代の「Waymo Driver」を発表するなど、その精度をさらに高めているようだ。

【参考】ウェイモの動向については「グーグル系ウェイモ、自動運転システムの「第5世代」を公表」も参照。

また、仏スタートアップのNAVYAが手掛ける自動運転EVシャトル「NAVYA ARMA」もレベル4車両として量産化され、世界各地の実用実証に用いられている。乗客15人乗りで、最高時速25キロと低速走行が前提のためODDが限られるが、360度LiDARを2つ、180度LiDARを6つ搭載するなど装備は万端で、日本でもSBドライブなどが積極的に活用している。

【参考】NAVYA ARMAの日本での活用については「大阪初!自動運転バスの試乗会実施へ 使うNAVYA ARMAって?」も参照。

米GM傘下のCruiseも、2020年1月に満を持してレベル4の量産モデル「Origin」を発表した。量産化に向け生産設備の増強を図る方針で、実用化時期にも注目が集まりそうだ。

このほか、Weride、Pony,ai、AutoXといった中国スタートアップ勢も、自動運転タクシーの量産化を見据えた動きを活発化させており、2020年から2021年にかけ、レベル4を取り巻く環境も大きく前進しそうな情勢だ。

■現行のレベル2の状況は?

レベル3以上の自動運転に対し、ドライバーが常に運転の責任を担うレベル2は、自動運転と区別してADAS(先進運転支援システム)として扱われている。レベル2はアクセル・ブレーキによる車両の前後の制御と、ステアリング操作による「左右」の制御の両方を支援するシステムだ。

レベル3では、ドライバーはシステム作動時に運転から目を背けることが可能だが、レベル2では車両の制御がシステム任せとなっていてもドライバーが運転管理を絶えず行う必要がある。ここが自動運転の境目だ。

近年では、GMのキャデラックCT6や日産のスカイライン、BMWの7シリーズなど、条件を満たせばステアリングから手を離すことが可能なハンズフリー・ハンズオフといった高度なレベル2搭載車種が続々と発表されている。

ハンズオフが可能なレベル2とレベル3のODDは共通する部分が多い。レベル2技術をさらに高度化し、ドライバーの状態を監視する「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」や、緊急時に安全に車両を停止する「ミニマル・リスク・マヌーバー(MRM)」などの機能を搭載したうえで、アイズオフ=運転から目を離すことを可能にすればレベル3へと昇格するのだ。

【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転レベル2の要件や定義、機能を解説」も参照。

■【まとめ】国際基準は2020年3月策定予定 レベル3始動へ待ったなし

レベル3に関しては思いのほか各社の動向が鈍く、繰り返しになるがその要因として国際基準の発表待ちが挙げられる。発表を待たずしてレベル3搭載車両を公表したものの、「すいません、基準外でした」では済まされないからだ。

また、レベル3の費用対効果も要因に挙げられることがある。開発コストと実需がマッチしないというものだが、レベル3の開発がレベル4、5へとつながっていく点と、自動運転に対する社会受容性を向上させる点などを踏まえれば、採算性よりも先行投資の意味合いが強いとも言えるため、ここでは論じない。

レベル3に対応した国際基準は、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で議論が進められており、予定では2020年3月までに基準を策定することとしている。まさに「今」だ。

この発表を経て、各社は必要に応じて自動運転システムを改良するなどし、具体的なODDとともに個別の車種への搭載を正式発表するものと思われる。この春、レベル3が大きく動き出しそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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