自動運転タクシー、もはやGoogleだけにあらず!「実証」と言えど世界で定期運行続々

中国、アメリカ…「有料配車10万回突破」も





米グーグル系Waymo(ウェイモ)が自動運転タクシーの有料商用サービスを2018年12月に開始して1年半、ドライバーレスサービスに着手して約半年が過ぎた。この間、競合他社も実証を重ね、自動運転タクシーの実用実証に踏み切る動きが活発化してきた。

本格的な自動運転サービスとは言えないものの、乗客を乗せた状態でのサービス実証はすでに各地で始まっており、ステップアップに向けた取り組みが今まさに加速しているのだ。







新型コロナウイルスで「非接触型」サービスへの注目が高まる中、将来はその代表格となる自動運転タクシーについて、平時から実用実証に取り組んでいる開発各社をピックアップし、進捗状況をまとめてみた。

■Waymo:トップを走り続ける自動運転タクシーのパイオニア

早くから米アリゾナ州で自動運転タクシーの実証に着手し、2018年12月に自動運転タクシーの有料商用サービス「ウェイモワン」を開始したウェイモ。2019年末には一部でセーフティドライバーなしの運行も開始しており、世界のトップを走り続けている。

2019年7月にカリフォルニア州から自動運転タクシーサービスの許可を得たほか、配送サービスに向けた実証なども進めており、サービスの拡大とともにビジネス面も視野に入れた取り組みを加速しそうな印象だ。

【参考】関連記事としては「自動運転タクシー、「念のため係員も」から「完全無人」へ」も参照。

■Aptiv:有料配車10万回突破 事実上実用化域に

アイルランドに本社を置くAptiv(アプティブ、旧デルファイ・オートモーティブ・システムズ)は、米国やシンガポール、中国、ドイツで実証を行っているようだ。

2015年に自動運転システム開発を手掛けるOttomatikaを、また2017年にはOTA技術を武器とするMovimentoと自動運転システム開発を手掛けるnuTonomyをそれぞれ買収するなど技術力の向上に躍起となっている。

nuTonomyは2016年からシンガポールで自動運転タクシーの実用実証を進めており、買収後も引き続き実証を進め、2022年の本格運用を目指している。

2018年には、Aptivと米配車サービス大手のLyftが手を組み、ラスベガスで自動運転タクシーの実証実験に着手。セーフティドライバー同乗のもと実証を続け、2020年には有料配車回数が10万回に達したことを発表している。乗客からの評価も高く、事実上実用化域に達している印象が強い。

2019年9月には、韓国ヒュンダイと合弁会社を設立することを発表し、自動運転レベル4~5の技術開発や商品化を推進するとしている。

自動車メーカーや配車プラットフォーマーとの協業は、自動運転車の開発・生産からサービスまでを結び付けていくうえで重要な意味をなす。近い将来、Aptivの自動運転タクシーに大きな注目が集まる可能性は高そうだ。

【参考】Aptivの取り組みについては「米Aptivが頭角!自動運転タクシーの有料配車回数、10万回超え」も参照。

■Baidu(百度):アポロ計画本格化 他社との連携事業に注目

中国のインターネット大手の百度は、アポロ計画のもと第一汽車集団と共同開発・生産しているレベル4ロボタクシーの公道実証を本格化している。2019年9月から湖南省長沙市で一部ユーザーを対象に実用実証を開始し、2020年4月には対象を一般市民に拡大し、セーフティドライバー同乗のもと自動運転タクシーの無料トライアルを行っている。

カバーするエリアは同市内の130平方キロで、将来的にエリアを拡大していく方針だ。アポロ計画には世界各国の自動車メーカーをはじめとする有力企業が参加しており、中国内で今後、アポロ計画から第二、第三の矢が放たれる可能性もありそうだ。

■Pony.ai:コロナ対策で配送サービスにも着手

2016年創業のPony.aiは、中国・米国の両国における自動運転タクシー実用化を見据えた展開を図っている。

2017年にカリフォルニア州で公道走行試験に着手し、2018年には中国・広州で自動運転タクシーの実証を開始した。同年12月には、配車サービスプログラム「PonyPilot」の実用化にも手を広げ、同社従業員や一部招待者を交えた実用実証も開始している。

2019年11月には、韓国ヒュンダイとともに開発した自動運転タクシー「BotRide」の試験運用をカリフォルニア州アーバインで開始しており、セーフティドライバー同乗のもと、住民を対象に無料サービス実証を実施している。3カ月間で5252回の利用があった。また、同州フリーモントの本社でも、社員を対象にPonyPilotのサービスを実施しており、こちらは390回の利用があったようだ。

現在、新型コロナウイルスの影響でrobotaxiサービスは中断しているが、人と人が接触しない非接触型のメリットを生かし、同車両を活用したデリバリーサービスの取り組みを進めている。

コロナウイルスへの対応を機に、人もモノも運ぶことが可能な貨客混載の自動運転サービスが将来誕生するかもしれない。

■AutoX:ロボタクシー増産に向けFCAと提携

Pony.ai同様2016年設立のスタートアップで、香港と米カリフォルニア州に本拠を構えるAutoXも、自動運転タクシーを主軸に開発を加速している。

2019年6月にカリフォルニア州でRobotaxiサービス運用の許可を得て、パイロットサービス「xTaxi」の実用実証に着手している。

中国では、2019年初頭に深センの繁華街エリアにおける任意の2点間で自動運転タクシーの実証を開始しているほか、上海でも2019年8月に同市嘉定区と戦略的提携を交わし、WAIC(世界人工知能大会)で同区内に自動運転のモデル地区を設けることを発表している。

2020年1月には、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と提携を交わし、ロボタクシー展開用に自動運転システムをFCAのパシフィカに統合し新しいプラットフォームにすることを発表している。

2020年前半に、深センや上海モデル地区内で100台規模のロボタクシーの試験運行を行う予定としている。

【参考】AutoXの取り組みについては「AutoX、Waymoに続くか!自動運転試験、補助運転手ナシで申請」も参照。

■Yandex:公道実証320万キロ 実用実証を加速中

ロシアのIT検索最大手Yandex(ヤンデックス)も自動運転開発に力を入れている一社だ。2017年に自動運転開発事業に着手し、2018年にはモスクワからカザンまで約770キロの公道実証なども開始した。

2018年8月に連邦地域管轄区分のタタールスタン共和国でサービス実証を開始。世界各地で公道実証を加速し、2019年10月には総走行距離が100万マイル(160万キロ)、2020年2月までに200万キロ(320万キロ)を突破したと発表している。モスクワやイノポリスのほか、イスラエルのテルアビブ、米ラスベガスなどでも走行しているようだ。

なお、2019年11月には配送ロボット「Yandex.Rover」も発表しており、2020年4月から主要都市で輸送にも着手している。中国同様国家政府の力が強く、広大な国土面積を誇るロシアは、国の方針次第で一躍世界の自動運転の最前線に躍り出てくる可能性を秘めており、今後の取り組みにも引き続き注目したいところだ。

【参考】Yandexの取り組みについては「Yandexの自動運転車、公道走行が200万マイルに 去年10月から2倍」も参照。

■WeRide:広州から事業拡大を視野にステップアップ図る

設立からわすか81日目の2017年6月に公道実証に着手するなど、圧倒的なスピード感で自動運転タクシーの実用化に挑む中国スタートアップのWeRide。

2018年11月には、広州公交集団白雲公司(Baiyun Taxi)と広州汽車集団と提携し、広州でrobotaxiサービスの実証を開始した。2019年11月にはパイロットプログラムにステップアップし、黄浦区と開発区の約145平方キロメートルをエリアに自動運転タクシーサービスを展開している。

現在はセーフティドライバー同乗のもと運行しているが、2020年中に広州での事業を拡大し、2021年には規制区域内においてドライバーレスに向けた取り組みを進めていくこととしている。

【参考】WeRideの取り組みについては「中国の自動運転9大ベンチャーの一つ「WeRide」が進んでいる!」も参照。

■その他:中国・滴滴出行やGM系Cruiseも近々?

中国では、配車サービス大手の滴滴出行(Didi Chuxing)も着々と準備を進めているようだ。2019年8月に自動運転部門の分社化とともに、上海の嘉定区でロボタクシープロジェクトを行う予定であることを発表した。

現在は実証を重ねている段階で、中国ネットメディアのTechNodeによると、2020年5月に上海郊外で自動運転車による配車サービスプロジェクトに着手しようと上海政府と協議に入ったことが報じられている。配車サービスで大勢の顧客を持つ同社の取り組みに注目が集まるのは必至の情勢だ。

また滴滴出行については2020年6月上旬に、自動運転開発部門にあたるグループ子会社がソフトバンクグループの独自ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」などから5億ドル(約540億円)超の資金調達を行ったことも発表されている。

今後調達した資金を活用し、自動運転技術の高度化に向けた研究を強力に推進していくとみられている。

米国では、GM系Cruiseが2020年初頭に自動運転の実車となるモデルを披露し、量産に向けた準備を進めているほか、EV大手のテスラのイーロン・マスクCEOが100万台のロボットタクシーを2020年に公道デビューさせる計画を明らかにしている。配車サービス大手のUberも当初計画では2020年に自動運転サービスを開始する予定としている。

このほか、イスラエルでは米インテル系モービルアイが2020年中に自動運転タクシーのトライアルサービスを開始する報道も流れている。

サービス基盤や開発力、突破力などそれぞれが大きな武器を持っているため、DiDi同様各社の今後の動向には要注目だ。

■【まとめ】自動運転サービスはドライバーレス化がポイント

自動運転タクシーの実用化に向けては、自動運転車の公道実証に始まり、乗客を伴うサービス実証への着手、利用対象者の拡大、有料化、そしてドライバーレス化といったステップを踏むことになる。

特にドライバーレス化が大きな壁となって立ちはだかる。社会受容性など含め万が一事故を起こした際のダメージは底知れず、実証においては有事に備えセーフティドライバー同乗のもとサービスを提供するのがスタンダードだ。ドライバーレス化に踏み切るには、それなりの実績が必要になる。

各社が着々とステップアップを図る中、ウェイモに続きドライバーレスを達成するのはどの企業か。自動運転サービスにおいては、ビジネス上この観点が最重要でもあるため、各社の取り組みを引き続き注視したい。

【参考】関連記事としては「驚異的!自動運転タクシー市場は年平均成長率「120%」!」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
登壇情報









関連記事