中国のインターネット大手である百度(Baidu)は2020年4月20日、中国の湖南省長沙市で一般向けの自動運転タクシーの提供を開始することを発表した。中国における一般向けの自動運転タクシーサービスとしては初とみられ、当面は無料でサービスを提供する。
百度は2019年9月から同市の一部エリアで自動運転タクシーの実証実験を開始していた。この実証実験はユーザーを限定していたが、今回から一般向けに提供対象を広げた形だ。
サービスは実証実験のときと同様、セーフティドライバーが運転席に同乗する形で提供する。万が一の場合、そのセーフティドライバーが運転操作をシステムの代わりに行う形だ。自動運転タクシーの走行範囲は130平方キロに及ぶエリアで、住宅地や商業エリア、工業エリアも含んでいる。
また、一定エリア内(※今回においては130平方キロ内)においてどこでも自動運転が可能であることを考えると「自動運転レベル4」に相当するようにも感じるが、セーフティドライバーの緊急対応が前提であることを考えると、厳密にはレベル4には達していないと考えられる。
【参考】自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説」も参照。
利用者は、百度の地図アプリやタクシーアプリ「DuTaxi」から自動運転タクシーを配車する形となる。
■「世界で2番目」は持ち越し?
世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスを開始したのは、Google系ウェイモだとされている。2018年12月から有料の自動運転タクシーサービスを米アリゾナ州フェニックス周辺で提供しており、それに続く企業はどこか、業界では注目が集まっていた。
今回、百度がウェイモに続く「世界で2番目」の称号を得られることになるかは微妙なところだ。料金を乗客から徴収しない無料サービスであるからだ。今後無料ではなく有料でサービスを提供したときに初めて「世界で2番目」と言えるだろう。
ちなみにウェイモは既に一部車両でセーフティドライバーも乗せない形でサービス提供を開始している。そういう意味では百度が有料でサービス提供を開始しても、ウェイモはさらに上をいっていることになる。
とはいえ、今回百度が中国で初めて一般向けの自動運転タクシーサービスの提供を開始したことは大きなニュースだ。無料の試験的トライアルという域は超えないものの、いち早い導入で世界最大の市場である中国において百度が将来的に大きなシェアを獲得する可能性が高まったと言えよう。
【参考】関連記事としては「Google系自動運転タクシー、遂に「完全無人化」 ローンチ1年弱で」も参照。