Google(グーグル)系の自動運転開発会社Waymo(ウェイモ)が2019年11月1日までに、米アリゾナ州の最大都市フェニックスにおいて、セーフティドライバーを同乗させない状態での自動運転タクシーのサービス提供を開始したことが明らかになった。
ウェイモ社は世界の各社に先駆けて2018年12月に自動運転タクシーの商用サービスを開始している。ただ商用サービスの開始といってもセーフティドライバーが同乗した状態でのサービス提供だったため、いつ本当に無人化されるか注目が集まっていた。
そんな中、ウェイモ社は最近になって、フェニックスの住民に対して近く完全無人でのサービス提供を開始することをメールで通知していた。その後、同社が無人でのサービスを開始したことをジョン・クラフチック最高経営責任者(CEO)が報道陣に明かし、無人サービスの提供が開始されたことが今回明らかになった。
現在はまだ一部住民に対する試験的な提供とみられるが、本当の意味での「無人タクシー」の展開が始まったことは意義深い。日本を含む世界各国では「自動運転タクシー」や「ロボットタクシー」の実証実験が盛んに行われつつあるが、まだセーフティドライバーが同乗するのが主流だからだ。
【参考】関連記事としては「遂に”念のため”の運転手もナシに Google系自動運転タクシー、真の無人化へ」も参照。
遂に”念のため”の運転手もナシに Google系自動運転タクシー、真の無人化へ https://t.co/obbH7lXFFg @jidountenlab #自動運転 #Google #タクシー
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) October 21, 2019
■改造工場に自社LiDARの提供…攻勢崩さないウェイモ
ウェイモ社は2016年12月にGoogleの自動運転開発部門からスピンアウトして設立された企業だ。
2018年12月に自動運転タクシーの商用サービスを開始するまでに、さまざまな状況下での実証実験を進めており、結果的に米ライドシェア大手ウーバーや米電気自動車(EV)大手テスラのように実証実験中に死亡事故を起こすことなく、サービスインを果たしている。
商用サービスを開始してからも自動運転関連事業に関して攻勢を示し続けている。例えば2019年4月には、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や英ジャガー・ランドローバー(JLR)の車両に自動運転システムを搭載し、「普通のクルマ」を「自動運転のクルマ」に改造する工場を稼働させると発表している。
また自動運転の「目」と呼ばれるLiDARについては、自社開発した製品を他業種の企業に提供し、製品の欠陥や課題を抽出するプログラムを開始したことでも注目を集めた。ソフトウェアの開発だけにとどまらず、センサー開発でも他社にはない斬新なアイデアで技術的な進化を挙げようというねらいだ。
安全に対する取り組みについても余念がなく、過去には「安全界の女王」とも呼ばれた全米安全評議会(NSC)の元代表であるデボラ・ハーズマン氏を最高安全責任者(CSO)に迎えることも発表された。
【参考】関連記事としては「グーグル系ウェイモ、自動運転車の「製造工場」を2019年半ばに稼働」も参照。
米ウェイモ、自動運転車の「製造工場」を2019年半ばに稼働 デトロイトで https://t.co/X0jZHwz1T0 @jidountenlab #ウーバー #タクシー #日本
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) April 24, 2019
■これからは「いつ完全無人化?」も焦点に
ウェイモの今回の完全無人化の話題からも分かるように、自動運転タクシーのローンチは「セーフティドライバー付きでの商用サービス開始」と「セーフティドライバー無しでの商用サービス開始」の2段階に分かれることが分かる。
今後は自動運転タクシーがスタートしたということが話題になるだけではなく、いつセーフティドライバー無しになるのか、という点への関心も高まっていくことになりそうだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転タクシーの実現はいつから? 料金やサービスは? 開発している会社・企業、メリットやデメリットを解説」も参照。