【資料解説】欧米企業における2020年の自動運転関連の動きは?

内閣官房IT総合戦略室の資料を読み解く



レベル3以上の自動運転技術の実用化に向けた動きが、世界各国で加速している。そんな中、内閣官房のIT総合戦略室が、2020年の動きを含めた「自動運転・MaaSを巡る最近の動向」という資料を公表した。







今回はこの資料を参考に、自動運転に関する開発や市場化をめぐる海外の動向として、米国と欧州の企業の最近の動きをサマリー的に紹介する。

▼自動運転・MaaSを巡る最近の動向
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dourokoutsu_wg/dai12/sankou3.pdf

■アメリカにおける企業動向

この資料ではアメリカに関しては「自動運転の高度化に向けた開発や提携、資金調達が進められている」と分析されている。各企業の最近の動向は以下の通りだ。

出典:内閣官房IT総合戦略室
Waymo:安全要員が同乗しない形の自動運転タクシーを一般向けに

2018年12月にアリゾナ州で自動運転タクシーの有料サービスを開始したWaymo。2020年10月には、運転席にセーフティドライバーも乗らない形でのサービスの提供を一般向けに開始している。2020年は米投資会社から新たに30億ドル(約3,200億円)の資金調達を行ってことも発表している。

Tesla:自動運転ソフトウェア「FSD」のβ版をリリース

テスラは2017年に、自動運転レベル2に対応するオートパイロット搭載の低価格モデル「モデル3」の販売を開始し、2019年のアップデートでは駐車場に停めた車を呼び寄せる「Smart Summon」機能が追加され、話題になった。2020年は自動運転ソフトウェア「FSD」のβ版をリリースした。

GM:EVと自動運転技術への投資計画を拡大

2018年、クルーズとともにホンダと自動運転車開発で協業すると発表したGM。自動運転タクシーの展開ではWaymoに出遅れているが、2020年1月の「CES 2020」でハンドルもペダルもないライドシェア用の自動運転車「Cruise Origin」を公開し、話題になった。2020年11月にはEVと自動運転技術への投資計画を拡大することを発表した。2025年までに270億ドル規模を投じるという。

Amazon:米Zoox買収で自動運転分野に進出

Amazonは自律走行の宅配ロボットを開発していることでも知られるが、自動運転の分野にも実質的に進出した形となっている。2020年6月、自動運転技術開発の米Zooxを買収すると発表したからだ。Zooxは自動運転車の公道試験で既に実績があり、Amazonの資本力でさらなる技術力アップが期待される。

■欧州における企業動向

欧州に関しては「高速道路におけるレベル3、レベル4実現に向けた研究開発や提携が進んでいる」と分析している。

出典:内閣官房IT総合戦略室
Daimler:世界初の「レベル4自動駐車機能」を提供

2019年に最新の自動運転技術を搭載したコンセプトカーを発表したほか、ボッシュと共同開発した自動バレーパーキング機能が世界初の「レベル4自動駐車機能」としてドイツ当局から承認されたことを明らかにしている。

Audi:自動運転レベル4の搭載を想定したコンセプトカー

Audiは、2017年に世界で初めて自動運転レベル3機能を搭載した新型A8を発表したことで知られる。2020年1月のCES 2020においては、自動運転レベル4の搭載を想定したコンセプトカー「アウディ AI:ME」を出展している。

VW:自動運転技術などに今後5年間で9兆円近くを投資

2020年6月にフォード傘下のArgo AIに26億ドル(約2742億円)を出資し、フォードと自動運転と電気自動車について提携を拡大した。VWは自動運転技術などに対し、今後5年間で9兆円近くを投資する計画を発表している。

BMW:順次、最高時速210キロまで対応可能なACCを搭載

複数の新型モデルに対して、最高時速210キロまで対応可能な先進運転支援システム「アクティブ・クルーズ・コントロール」(ACC)や「ステアリング&レーン・コントロール・アシスタント」などの搭載を順次進めている。

Volvo:レベル4についてWaymoと戦略的提携

ボルボは2020年5月、LiDAR開発企業である米Luminarと提携し、2022年には高速道路上での完全自動運転を可能にすると発表し、話題になった。6月にはレベル4の自動運転技術についてWaymoと戦略的提携を結んだことでも知られ、自動運転ソフトウェア「Waymo Driver」を共同で推進していくことで合意した。

■【まとめ】コロナ禍においても研究開発にスピード感

今回の記事ではアメリカと欧州企業の最近の動向についてサマリー的にまとめたが、中国企業や日本企業も同様に自動運転関連の取り組みを加速させており、日々さまざまなニュースが飛び交っている状況だ。

コロナ禍で一部の実証実験には影響が出ているものの、研究開発のスピード感は各社ともに緩めていない状況で、2021年も自動運転セクターではさまざまなトピックスが飛び交いそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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