自動運転タクシーの商用化に挑む世界の企業まとめ

ウェイモが一番乗り、中国・百度も実証スタート



出典:バイドゥプレスリリース

自動運転タクシーの商用サービスは、既にグーグル系ウェイモが2018年12月に他社に先駆けてスタートさせている。だが注目すべきはウェイモだけにあらず。既に他国企業も実証実験を続々とスタートさせている。

最近では中国百度(バイドゥ)が自動運転タクシーの試験サービスを開始して話題になったように、中国をはじめ世界で自動運転タクシーの開発は「技術面」の「サービス面」の両面から急ピッチで進められている。







この記事ではウェイモの自動運転タクシーを含め、世界各地で取り組まれている自動運転タクシーの実証実験をまとめてみた。

■【アメリカWaymo:世界初、商用サービスをスタート

アメリカ企業のグーグル系ウェイモは、2017年からアリゾナ州で自動運転タクシーの実証実験を開始し、2018年12月にいち早く商用サービスの提供をスタートさせた。

自動運転タクシーに関しては、商用サービススタートの一番乗りはこのウェイモ社とされており、アメリカ国内企業も他国企業も、このウェイモの背中を追って技術開発とサービス開発の両方を急いでいる格好となっている。

■【アメリカ】Zoox:2021年12月まで有効の許可

AI自動運転タクシー開発企業のZoox(ズークス)は、カリフォルニア州で自動運転車両による旅客輸送サービスの許可を2018年に初めて取得した企業だ。CPUC(カリフォルニア公益事業委員会)によるZooxへのこの許可は、2021年12月まで有効となっている。

■【アメリカ】Cruise:2019年内の開始を予定が…

米ゼネラル・モーターズ傘下のGMクルーズは、2019年内に予定していた自動運転タクシーのスタートを延期させた。延期後のスタート目標時期については触れていない。その理由は「安全面の懸念」。自動運転系サービスは一度事故を起こすと大きく世論からの批判を受けるため、慎重を期したようだ。

■【アメリカ】NuTonomy:2016年にトライアルスタート

2013年にMIT(マサチューセッツ工科大学)からスピンオフしたベンチャー企業のNuTonomyは、2016年からシンガポールで自動運転タクシーを実験的に走行させている。シンガポール政府から自動運転テストの許可を得た最初の企業でもある。2017年、大手自動車部品サプライヤーであるデルファイに買収されている。

■【日本】ZMP:2018年、2019年と立て続けに実証実験

日本では自動運転ベンチャーZMPによる実証実験が話題を呼んでいる。2018年8月には日の丸交通と世界初の自動運転タクシーによる公道での営業サービスを実験的に実施した。

2019年7月には、東京空港交通や日の丸交通などとともに、空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させた実証実験を行うことを発表した。実施時期は11月で、自動運転タクシーの走行区間は「東京シティエアターミナル(東京都中央区)」と「丸の内パークビルディング(東京都千代田区)」を結ぶ約3キロの予定。使用する車両はミニバンタイプで、自動運転タクシーの運行は日本交通と日の丸交通が担う。

■【日本】日産&DeNA:実証を「オンデマンド配車方式」でも実施

DeNAと日産が「Easy Ride」という自動運転車両を使った交通サービスの実現に向け、2019年3月に一般モニターが参加する実証実験を実施している。実証実験の実施は2年連続だ。

2020年代早期の本格サービス開始を目指しており、2019年の実証実験は前年の「事前予約方式」ではなく、営業時間内ならいつでも利用可能という「オンデマンド配車方式」で実施するなど、実サービスの開始に向けより本格的に実証実験に取り組んでいる印象だ。

【参考】関連記事としては「【動画公開のお知らせ】Easy Rideに試乗!日産とDeNAが開発中」も参照。

■【中国】Baidu(百度):湖南省長沙市でサービス実証開始

中国ネット大手の百度は2019年9月、中国内陸部の湖南省長沙市の一部公道で、人が操作しない自動運転レベル4のタクシー試験サービスを始めたと発表した。

このサービスで使われるロボタクシーの車両は、中国の自動車大手である中国第一汽車集団の電気自動車(EV)「紅旗EV」がベースとなっており、中国政府の支援を受ける自動運転の開発連合「アポロ計画」で開発したシステムなどを搭載した。この車両を45台使い、長沙市の利用者が専用サイトを通じて乗車できるようになっている。

レベル4相当の自動運転によるサービスだが、運転席には「安全員」が座り、乗客の安全を確保する。試験サービスを提供する公道は年内は50キロメートルを予定、2020年前半には135キロメートルまで延長する計画だ。

■【中国】Pony.ai(小馬智行):「中国のウェイモ」は広州とカリフォルニアで

中国の広州に設立されたスタートアップ企業Pony.aiは、2018年から広州でロボタクシーのパイロットサービス「PonyPilot」を開始している。また2019年6月には米国カリフォルニア州でのロボタクシーの走行テストの許可を取得した。

また、Pony.aiは8月にトヨタ自動車と自動運転の分野で提携することを発表している。両社は自動運転車の開発と展開を加速させるため、自動運転車の試験運用で協力する。レクサス「RX」にPony.aiの自動運転技術を搭載し、公道走行テストを行う計画だ。

■【中国】滴滴出行(Didi Chuxing):上海でロボタクシーサービス開始

中国のライドシェア最大手・滴滴出行(Didi Chuxing)は2019年8月、上海でロボタクシーサービスを開始すると発表した。米CNBCの報道によれば、レベル4の自動運転機能を備えた30種類の車両を試験プログラムに使用するという。

■【中国】Baiyun Taxi:大学キャンパス周辺で実証実験

広州公共交通グループが運営する広州公交集団白雲公司(Baiyun Taxi)は、2018年11月に広州大学キャンパス周辺で自動運転タクシーサービスを提供した。レベル4の自動運転タクシーが使われ、技術的な面は広州を本拠とする文選知行(WeRide.ai)がサポートした。

【参考】関連記事としては「中国WeRide、グーグルに続き自動運転タクシーを商用化へ?」も参照。

■【香港】AutoX:完全自動のロボタクシー、100台投入へ

人工知能(AI)を利用した自動運転の開発を行うスタートアップ企業のAutoXは、香港とアメリカを拠点を有しており、2019年9月に中国初となる完全自動運転の「ロボタクシー」の実証実験を上海市嘉定区で行うと過去に発表している。年末にはロボタクシー約100台を投入する計画だ。

2018年にはカリフォルニア州サンノゼで自動運転車による食料品配達サービス試験運用も行っている。

■【ロシア】Yandex:2018年中の2カ月で1000回の乗車が終了

ロシアのネット検索大手Yandexは、2018年にモスクワから800キロ以上離れたイノポリスで自動運転タクシーの実証実験を行った。2018年のわずか2カ月で1000回の乗車を終了させているようだ。

【参考】関連記事としては「ロシアのYandex、打倒Waymoへ自動運転車100台投入の計画」も参照。

■【まとめ】今後一歩抜きんでる企業は!?

各国、ベンチャーから大手企業までが争ってすすめている自動運転タクシーサービス。国や企業などの背景によって実証の進み方は様々だが、どの企業が今後一歩抜きんでるのか引き続き注目が高まりそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転タクシーの実現はいつから? 料金やサービスは?」も参照。







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