トヨタが自動運転で手を組む中国ユニコーン「Pony.ai」の正体

百度出身の技術者2人が創業、大型資金調達も





出典:Pony.aiプレスリリース

中国の広東省広州市に本拠を構える自動運転スタートアップの「小馬智行(Pony.ai)」は2019年8月25日、トヨタ自動車と自動運転技術の開発などで協業すると発表した。報道発表によれば、安全なモビリティサービスを提供するためのさまざまな可能性も共同で探っていくという。

Pony.aiは中国で初めて自動運転タクシーの実証実験を始めたことで知られる超有望企業だ。同社の自動運転タクシーは「PonyPilot(ポニーパイロット)」という名称で2018年末ごろから広州の公道を走行しており、同時期にアメリカで自動運転タクシーの商用サービスをスタートさせたグーグル系ウェイモも一目置いているはずだ。







2018年の北京市における公道実証の走行距離ランキングでは巨大IT企業・百度(バイドゥ)に次ぐ2位となり、さらに注目度を高めた。この記事ではトヨタも注目するPony.aiについて深掘りしつつ、自動運転タクシーに秘める可能性について迫っていこうと思う。

■2017年10月創業、シリコンバレーにも拠点

Pony.aiは中国名では「小馬智行」と書く。2017年10月にスタートアップ企業として設立し、本拠地は広州市に構えながらも、シリコンバレーにも開発拠点を構える。ちなみにカリフォルニア州車両管理局(DMV)にも実証実験の許可企業として登録されており、既にアメリカでも広く知られた存在であると言える。

このPony.aiは、いまや中国国内において自動運転技術の開発をリードする存在といえる百度(バイドゥ)の出身の2人が起業した。James Peng(彭軍)氏とTiancheng Lou(楼天城)氏だ。James Peng氏がCEO(最高経営責任者)、Tiancheng Lou氏がCTO(最高技術責任者)を務めている。

もう少しこの2人の経歴を明らかにすると、James Peng氏は米Googleでソフトウェアエンジニアとして活躍した経験を持っており、百度時代は自動運転部門のチーフアーキテクトとして戦略策定と開発統括の役目を担っていた。Tiancheng Lou氏はウェイモの前身であるGoogleXで自動運転開発に携わった経験もある。

そんなPony.aiはいま、2019年末に自動運転レベル4(高度運転自動化)で走行可能な車両を開発すべく、技術革新に挑み続けている。既に説明したように自動運転タクシーの実証実験にも取り組んでおり、広州の市民もその実証実験に参加している。

■巨額マネー獲得、そしてユニコーンに

成長市場である自動運転領域において存在感を高め続けているPony.aiには、お金も集まりやすい。2018年7月、Pony.aiはA1資金調達ラウンドにおいて追加で1億200万ドル(約115億円)を資金調達したことを発表し、累計のシリーズA総額が2億1400万ドル(約240億円)まで増えたことを明らかにした。

この時点で既にPony.aiの企業価値は10億ドル(約1050億円)に迫っているとされ、中国を含む世界からPony.aiがその後、ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の非公開企業)入りするか注目が集まった。そしてその後、世界的に信頼性が高い米調査会社CBインサイツのユニコーンリストにPony.aiの名前が載り、2019年8月時点の同社の企業価値は17億ドル(約1800億円)までの高まっている。

ちなみにPony.aiの主な出資者としては、アメリカのベンチャーキャピタル(VC)「セコイア・キャピタル」の中国部門、米投資ファンド大手のIDGキャピタル、米VCのDCMベンチャーズなどが挙げられる。

■自動運転タクシーに秘める可能性とは

Pony.aiやウェイモが開発している自動運転タクシーは、自動運転技術が実用化される将来において、有力ビジネスの一つと言われている。

タクシーが無人で運営できるようになれば、まずタクシー会社にとっては人件費の負担がほぼ無くなるというメリットがある。人間の運転手のように合間合間に休憩をする必要もなく、車両の使用効率も高くなる。さらに事業者側のコストの負担が減れば、運賃を低く抑えることもできるようになってくる。

あるレポートでは、自動運転タクシーが実現するとタクシーの消費者コストはいまの10分の1まで減る可能性があると指摘している。こうしたことから自動運転タクシーは、運転手の雇用の問題についてはたびたび議論があるものの、事業者とユーザーの双方にとってメリットが大きいサービスであると言える。

■本当の「自動運転レベル4」の達成に向け

俗に「自動運転タクシー」と呼ばれるサービスは、将来的には「自動運転レベル4(高度運転自動化)」以上の技術で運行されることになる。自動運転レベル3までは人が同乗する必要があるが、レベル4からは完全無人の自動運転が実現するからだ。

ただ自動運転レベル4でのタクシー走行は決して簡単ではない。このことは、「自動運転レベル4の自動運転タクシー」を謳っているウェイモもいまは人を念のため同乗させてサービスを提供していることが、何よりの証左であると言える。人を運ぶ技術に「たぶん大丈夫だろう」は許されないのだ。

もちろん事故率が人間が運転するタクシーよりも低くなり、そのことが広く周知されるようになれば、本当の意味での「レベル4」での走行は可能になる。ただ、一度の事故が自動運転への信頼を大きく損なうことが目に見えているので、各社、慎重な姿勢は崩さない。

GM子会社のクルーズは自動運転タクシーを2019年内にスタートするという計画を延期させた。その理由は安全面の懸念だった。

■中国を含む世界、日本で成功する企業は!?

いずれにしても、自動運転タクシーは巨大な可能性を秘めている。日本でもZMPと日の丸交通が2018年に続いて今年も東京で実証実験を実施する。日産とDeNAの「Easy Ride」の取り組みにも注目だ。将来、中国を含む世界そして日本でどの企業が成功を収めているのか。果たしてその行方は?

【参考】関連記事としては「自動運転タクシーの実現はいつから? 料金やサービスは?」も参照。







関連記事