【2019年6月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

自動運転鉄道の逆走、ハンドル無しバスのナンバー取得…



2019年6月に入ってすぐ、横浜シーサイドラインの自動運転車両が逆走した事故が起きた。原因は自動運転という技術自体が問題ではないようだが、「自動運転と安全」について改めて考えさせられる1カ月となった。


一方でハンドルがない自動運転バスの実証実験の実施に向け、ソフトバンク子会社で自動運転技術の開発に取り組むSBドライブが改造車両のナンバーを取得するなどし、本格的な自動運転の実用化に向けた取り組みは日々歩を進めている。

このほかにもさまざまな動きがあった2019年6月の10大ニュースは!?

■Google系ウェイモ、自動運転トラックの実証実験を再開へ(2019年6月1日付)

ウェイモが自動運転トラックの実証実験を再開させることを発表した。同社は自動運転ビジネスに関してさまざまな取り組みを進めており、運送部門もその一つだ。

自動運転トラックの実証実験は2017年に一度中断しているが、既に取り組みをスタートさせている自動運転タクシーの技術も取り込み、自動運転トラックの実証実験を進めている大手トラックメーカーなどに負けない姿勢で臨む。


【参考】関連記事としては「Google系ウェイモ、自動運転トラックの実証実験を再開へ」も参照。


■自動運転の「シーサイドライン」、勝手に逆走 骨折の重傷者6人、ATOで制御(2019年6月3日付)

自動列車運転装置(ATO)を使って運行していた横浜市の新交通システム「シーサイドライン」が逆走事故を起こした。死者は出なかったが車両は新杉田駅内の車止めに衝突し、重傷者6人を含む14人が負傷した。

この事故をめぐっては後日、国土交通省が事故原因に関する資料を公表し、衝突前にATO車上装置とモーター制御装置の間に断線があり、進行方向の切り替え指示が伝わっていなかったとみられることが明らかになっている。

■DeNA SOMPO Carlife、クルマ定額サービス「SOMPOで乗ーる」の提供を開始(2019年6月4日付)

DeNAとSOMPOホールディングスの合弁会社である株式会社DeNA SOMPO Carlifeがクルマ定額サービス「SOMPOで乗ーる」の提供を開始したというニュースだが、報道発表で紹介された「ある方法」に注目が集まった。

それは、マイカーリースサービスで使用する車両を、DeNAの個人間カーシェアサービス「Anyca」に登録し、維持費を軽減しようというものだ。これにより、「ワンランク上のクルマを持てるチャンスが広がります」と報道発表では紹介されている。

■本当だった「自動運転で走らせ続ける方が駐車代より安い」説 次世代自動車がもたらす逆転現象(2019年6月10日付)

都心は地価が高い。つまり駐車場の料金も高い。ではもし自動運転車であれば、駐車場に車を停めずに無人で走らせ続けた方が結果的に掛かるコストは安くなるのではないか。こう考え、自動運転ラボが数字的な検証を行った。

その結果については記事を参照してほしいが、東京都心という一定条件においては、人件費なども考慮して比べたところ、自動運転車に無人で走行させ続ける方が安いという結果となった。ただエネルギー的な観点でいえば、それでいいのだろうか。

■道路を知り尽くす熟練配達員の知見、AIに学ばせ経路指示自動化 自動運転との組み合わせも期待(2019年6月13日付)

宅配事業の「ラスト1ミニット」問題の抜本的な解決を目指し、ゼンリンデータコムと自動配車システムを開発するライナロジクスが手を組んだ。熟練配達員の知見を集約したプラットフォームを構築し、AIが配送ルートなどを指示できるようにし、誰でもラスト1ミニットの宅配業務を担当できるようにするという。

発表によれば、ライナロジクス側は最適化技術やAI学習技術などを、ゼンリンデータコムは地図情報などを提供することで、プラットフォームを構築していくのだという。

■米Nuroの自動運転モビリティ、2019年内にドミノピザの配達開始へ(2019年6月19日付)

デリバリー事業と自動運転技術は良い組み合わせだ。それまで人が担っていた主な業務を自動運転車が担うことができるからだ。こうした取り組みの一つとして、2019年6月は米Nuroとドミノピザの発表が注目を浴びた。

米テキサス州ヒューストンで自動運転車両を使ったピザの無人配達事業を開始するという内容で、無人配達にはNuro社が開発するラストワンマイル向けの自動運転車両「R2」が使用されるという。

■いざMaaS元年へ!決定した19の先行モデル事業の詳細 自動運転やライドシェアの導入も(2019年6月22日付)

日本版MaaSの実現に向け、官民協働で取り組む全部で19のMaaS系事業が「先行モデル事業」として選定された。都市型6事業、過疎地型5事業、観光型8事業というように分類される。

MaaSアプリや複数交通の統合プラットフォームの構築、定額タクシー、自動運転車、カーシェア、ライドシェアなど、モビリティ関連のさまざまな取り組みを各自治体が複数組み合わせながら取り組むという計画が目立っている。

■東海理化、「デジタルキー」の配信事業を本格化へ カーシェアや社用車向けなど想定(2019年6月24日付)

「デジタルキー」による従来の鍵のキーレス化は、カーシェアやライドシェアの普及を見越せば、モビリティ業界の至上命題と言える。事業者側の鍵の受け渡しや管理などの手間が減れば、結果的に利用者が負担するサービス料の軽減にもつながる。

そういった意味でも、トヨタ自動車系の部品メーカーである東海理化がデジタルキーの配信事業を本格化させるというニュースには大いに注目したい。車両運行管理事業を手掛けるデータ・テック社と共同開発契約を締結し、将来的に新たな車両運行管理システムを提供する計画だという。

■資金難に陥ったDrive.ai、資金難でアップルに身売り 自動運転スタートアップ(2019年6月27日付)

自動運転業界も華やかな話ばかりではない。自動運転スタートアップとして脚光を浴びたDrive.aiをアップルが買収したというニュースだが、どうやらDrive.aiの経営の行き詰まりや資金難が原因のようだ。

ただアップル側にとっては優れたエンジニアを買収によって獲得できたことは大きい。アップルはグーグルやマイクロソフトなどの競合他社に比べて自動運転領域では遅れを取っているからだ。

■ハンドルのない自動運転バス、ソフトバンク子会社がナンバー取得 SBドライブ(2019年6月28日付)

ソフトバンクの子会社として自動運転技術を研究するSBドライブは、仏Navya製の自動運転バス「NAVYA ARMA」を使い、7月にも実証実験を実施する。ハンドルがない車両で実証実験に臨む形となり、既に公道走行のためのナンバーも取得しているという。

ハンドルの無い車両での実証実験は、日本にとっても大きな一歩だ。実験中の安全確保に向けた取り組みは強く求められるが、こうした実証実験をより実施しやすくするスキームづくりも政府には今後求められていくだろう。

■【まとめ】「自動運転は危険」という先入観を乗り越えて

自動運転の実用化や実証実験が進む中でさまざまな課題が表面化してくる。それと同時に自動運転絡みの事故も少なからず起きるが、こうした事故に対しては「自動運転は危険」というレッテルをはらず、まず事故原因を突き止め、その原因を見つめていくことが重要だ。

改正道路交通法が国会で可決し、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が解禁されることになった。自動運転車がより我々に身近なものとなってくる。1人1人が自動運転についてより考えなければならない時代が近づいている。


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