自動運転、「商用展開」を実現済みの企業・事例まとめ

タクシーサービスや車体販売、実証サポートも



出典:Waymo公式サイト

自動運転技術の本格実用化を目指す動きが世界で加速している。中には、サービス実証含みですでに商用展開を進めている企業も出ており、自動運転市場の基礎を形成しつつある。

この記事では、商用展開実現済みの事例をピックアップし、紹介していく。







■自動運転移動サービスの商用化
Waymo:自動運転タクシーの有料サービスを世界で初めて展開

世界に先駆けて自動運転タクシーのサービス化を果たした米グーグル系Waymoは、2017年にアリゾナ州フェニックスで乗客を交えた公道実証を進めるアーリーライダープログラムに着手し、翌2018年12月に有料の商用タクシーサービス「Waymo One」を開始した。

当初は利用者を限定し、セーフティドライバー同乗のもと運行していたが、徐々に対象を拡大するとともに一部ドライバーレスのサービスも導入し始めた。乗車料金は公表されていないが、一部登録ユーザーは初乗り5ドルと証言しているようだ。

まだまだ採算ラインとはいかないが、2020年以降は資金調達にも本腰を入れ、サービスエリア拡大に向けた取り組みや物流を担う自動運転サービス「Waymo Via」、自動運転システム「Waymo Driver」のOEMへの提供など、事業拡大に向け前進を続けている。

▼Waymo公式サイト
https://waymo.com/

【参考】Waymoの取り組みについては「Waymoの年表!自動運転タクシーのフロンティア、Googleから分社」も参照。

百度中国で自動運転タクシーの商用サービスを展開

中国における自動運転タクシーのリーダー格・百度(Baidu)も有料サービスを開始している。自動運転オープンソフトウェアプラットフォーム「アポロプロジェクト」のもと開発を本格化し、2020年4月に自動運転タクシー「ApolloGo Robotaxi」サービスを湖南省長沙市で開始した。

同サービスはその後河北省滄州、北京市などに拡大し、2020年12月には北京市から無人走行ライセンス取得を取得した。2021年5月までにドライバーレスによる有料サービスもスタートしている。

利用料金は30元(約500円)で、あらかじめ設定された複数の乗降ポイント間で利用する仕組みだ。

▼アポロプロジェクト公式サイト
https://apollo.auto/index.html

【参考】百度の取り組みについては「百度の完全無人自動運転タクシー、「中国全土制覇」の現実味」も参照。

Aptiv:ライドシェアの一環として自動運転車を投入

自動車部品大手の米Aptivは2018年、配車サービス大手Lyftとのパートナーシップのもと、ラスベガスの配車ネットワーク上に30台の自動運転車を投入すると発表した。

ライドシェアの一環としてサービスを提供しているため、車両にはセーフティドライバーが同乗して運賃を徴収する有料サービスとして提供している。

2020年2月までに乗車回数が10万回を突破するなど多くの経験を積み重ねており、乗客の評価も98%が満点と評価するなど良好のようだ。

▼Aptiv公式サイト
https://www.aptiv.com/

【参考】Aptivの取り組みについては「米Aptivが頭角!自動運転タクシーの有料配車回数、10万回超え」も参照。

福井県永平寺町:廃線跡を活用した移動サービスを本格運行

福井県永平寺町は、廃線跡を活用した自転車歩行者専用道「永平寺参ろーど」でレベル3自動運転システムによる無人自動運転移動サービスの本格運行を2021年3月に開始した。

1人の遠隔運転手が3台の無人自動運転車両を監視・操作する遠隔型で、まちづくり会社のZENコネクトが自家用有償旅客運送によって運行している。利用料金として大人100円、子ども50円を徴収している。

なお、沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)でも2021年3月、同様の遠隔型システムによるレベル3相当の無人自動運転サービス「美浜シャトルカート」を開始している。こちらは乗車料金を無料とし、車内広告収入などで収入を賄う予定としている。

【参考】永平寺町の取り組みについては「誘導線を使う自動運転レベル3で移動サービス!福井県永平寺町でスタート」も参照。

道の駅を拠点とした自動運転サービス

道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を行ってきた秋田県北上小阿仁村(かみこあにむら)は2019年11月、道の駅「かみこあに」を拠点とする自動運転サービスをローンチした。

公道走行となるためレベル2相当の形態による運行となっているが、乗車料金200円を徴収している。

同様に、滋賀県東近江市蓼畑町も道の駅「奥永源寺渓流の里」を拠点とした自動運転サービスを2021年4月にスタートした。こちらも現状はレベル2で、乗車料金は150円。福岡県みやま市が2021年7月に運行を開始した自動運転サービス「オレンジスター号」も同様で、こちらは乗車料金100円となっている。

現状、公道においては無人のレベル4サービスなどは提供できないが、近い将来法整備が進めば、これらの地域のように経験を積み重ねたエリアが第1号案件の候補となりそうだ。

【参考】道の駅に関する取り組みについては「道の駅で3カ所目!自動運転カートの100円移動サービス、福岡県みやま市でスタートへ」も参照。

■自動運転サービス実装のビジネス化

ここまで「移動サービス」の切り口で商用化の事例を紹介してきたが、商用化といってもそのアプローチはさまざまで、自動運転の移動サービスそのものを提供する企業だけでなく、「サービス化の支援」も商用展開といえる。

BOLDLY:コンサル業務から運行業務まで幅広く展開

自動運転技術の社会実装に取り組むBOLDLY。国内各地の実証事業もさることながら、茨城県境町や羽田空港に隣接した複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(HICity)で定常運行も手掛けている。導入を支援するコンサル業務から地域に合わせた運行業務まで、一通りのタスクを担う。

Waymoのように、自動運転開発企業自らがサービスインする例も珍しくないが、タクシーやバスの営業に特別な許可を要する国は多く、地域に精通したパートナー企業やサービス事業者、代理店などを必要とするケースは多い。

今後、自動運転車・技術のグローバル展開は加速するものと考えられ、BOLDLYのように自動運転サービス導入に向けた知見を持つ企業も大きくビジネスを拡大していくものと思われる。

なお参考までに、NAVYA ARMA3台を導入し無料運行している茨城県境町は、2021年度予算における自動運転バス運行業務委託料として約8,000万円、自動運転バスリース料約2,900万円を計上している。

マクニカ:「自動運転実証実験支援サービス」を展開

技術商社のマクニカは「自動運転実証実験支援サービス」を展開している。「コンサルティング」「車両リース」「ライセンス」「メンテナンス」などの標準プログラムのモデル価格は、1プログラム当たり900万円と紹介されており、選定車両や実装条件などにより価格は変動するという。

オプションとして、運行管理システムや遠隔監視システム、自動運転専用保険、配車アプリや決済アプリなどの提供も可能で、顧客の要望やユースケースに合わせてさまざまなソリューションを提供できるよう、準備を整えている。

ちなみに自動運転車両のラインナップとしては「乗用車」「小型車」「シャトル」「カート」「トラクター」「大型バス」があるようだ。

■自動運転車の販売
NAVYA:2020年末までにシャトル180台以上を販売

自動運転シャトルの開発などを手掛ける仏スタートアップ。主力の自動運転シャトルは、2020年末までに日本や米国、フランス、ドイツ、スイス、オーストラリアなど世界23カ国で180台以上販売しているという。

主力のARMAは、日本でもBOLDLYやマクニカなどが導入・活用を促進しており、なじみが深い。マクニカはNAVYAの国内総代理店を務めており、ARMAのほか最新の「EVO」も取り扱っている。

マクニカによると、従来のARMAは自動運転レベル3相当だが、EVOは車内オペレーターなしのレベル4に対応する。最大乗車定員15人で最高時速15キロ、1回の充電で100キロ、9時間走行できる。価格はオープンとなっている。

▼NAVYA公式サイト
https://navya.tech/en/

【参考】自動運転シャトルについては「自動運転シャトル、e-Palette、Origin、ARMAの国内バトル勃発へ」も参照。

EasyMile:レベル4小型シャトルを30カ国以上で展開

NAVYA同様、フランスを拠点に自動運転シャトルの開発を手掛けるスタートアップで、12人乗りのレベル4小型シャトル「EZ10」を展開している。同社によると、これまでに世界30カ国以上の300以上の地域で導入されたという。

▼EasyMile公式サイト
https://easymile.com/

Einride:自動運転トラックを月200万〜250万円で展開か

自動運転トラックなどの受注案件も徐々に増加しているが、料金を明示する企業も出てきた。スウェーデンの物流系スタートアップEinride(アインライド)は、自社開発した自動運転トラックのスペックに応じ、推定月額サービス料金として18,000ドル~22,500ドル(約200万~250万円)を提示している。

一部モデルはすでに注文を受け付けているようだ。

▼Einride公式サイト
https://www.einride.tech/

ホンダ:自動運転レベル3搭載の「レジェンド」を販売

ホンダは自動運転レベル3の機能を搭載した新型LEGEND(レジェンド)を、2021年3月からリース形式で販売している。

この新型LEGENDには、高速道路で渋滞時に自動運転を可能にする「トラフィックジャムパイロット」を含む「Honda SENSING Elite」が搭載されており、センサーとしてはLiDAR5基、ミリ波レーダー5基、カメラ2基、超音波ソナー12基が設置されている。

レベル3の機能が作動している間は、運転手は車両周囲の常時監視義務から解放され、ナビ画面でテレビやDVDを視聴したり、スマートフォンを操作したりできる。ちなみに新型LEGEND車両価格は税込1,100万円。

ZMP:開発用車両や歩行速モビリティなどを展開

自動運転技術を活用した製品の展開に積極的な日本企業と言えば、ロボットベンチャーのZMPが挙げられるだろう。

ZMPは自動運転を開発するための車両プラットフォームとして「RoboCar」シリーズを展開しているほか、自動運転が可能な歩行速モビリティ「RakuRo(ラクロ)」や、台車タイプの「CarriRo AD+」などというように、多角的な展開が同社の特徴であると言える。

導入に際してはすでに価格帯が決められているケースと、細かな相談のもとで提供されるケースがあるようだ。

■【まとめ】商用展開は今後も増加、次第にコストは低下へ

現時点では車両価格やランニングコストは高額となっているが、需要増と量産体制の整備、オペレーション技術の向上と効率化などによって次第に下がってくるものと思われる。商用展開は今後も裾野を広げ、市場規模の増大化、熟成とともにコストを低いものへと変えていく。

採算面では今しばらく厳しい状況が続きそうだが、すべては未来への投資だ。経済性の観点だけでなく社会課題解決の効果も考慮し、しっかりと価値を見極めたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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