
国内各地で実施されている自動運転実証。2025年度は、国土交通省の「自動運転社会実装推進事業」に重点支援自治体13件、一般支援自治体54件の計67件が採択され、実用化に向けた取り組みを推進している。
これらの実証は、どういった企業が請け負っているのか。自動運転実証の常連をまとめてみた。
記事の目次
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■自動運転開発系
自動運転実証の中心はやはり開発企業だ。その技術開発力が実証結果を左右すると言っても過言ではない。どれだけ公道実証を積み重ねればレベル4を実現できるかは、すべて開発企業にかかっているためだ。
予算の都合上、国内実証の多くは年間数日~数カ月の期間公道走行を行い、続きは次年度……といった形となっているが、自治体側としては、いつ無人化が実現するのか気が気ではないはずだ。開発企業自らが現場に入り、しっかりと成果を上げることは非常に重要だ。
ティアフォー:全方位で実証と実用化を加速
国内自動運転開発企業の代表格で、早くから各地の自動運転実証を担ってきたティアフォー。同社が開発を進める自動運転ソフトウェア「Autoware」は成熟期を迎えつつあり、自動運転バスやタクシー、トラックなど、すべてのサービス領域を守備範囲に収め、実証・実用化を加速している。
Autowareは大学の研究プロジェクトから生まれた自動運転OSで、2025年に公開から10周年を迎えた。オープンソースソフトウェアとして開発が進められており、20以上の国と地域で30車種以上に導入されているという。
国内では2017年に公道実証に着手して以来、2025年6月までに97カ所での実証走行を誇る。すでにGLP ALFALINK相模原敷地内通路(2023年10月)、長野県塩尻市(2024年10月)、石川県小松市(2025年3月)でレベル4認可を受けており、塩尻市ではサービス化に必要な特定自動運転許可も2025年1月に取得している。
自動運転バス事業は、オリジナル設計のレベル4ソリューション「Minibus」を中心に今後も伸びていくことが予想される。自動運転タクシー実証は日本交通などと提携してデータ収集を進めているほか、newmoとも事業化に向けた協業を開始している。
自動運転トラック分野では、いすずや三菱ふそうトラック・バスから技術支援を受けて大型トラックを基盤とした高速道路向け自動運転トラックを開発しており、実証を進めている。
【参考】関連記事「自動運転バス、肌感覚では「手動運転とほぼ同等」に!長野県塩尻市で無事故運行」も参照。
先進モビリティ:中型・大型バスなどに強み
先進モビリティは、中型以上のバスやトラックを中心に実証・実用化を加速している。高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行では、開発の中心として大きな役割を担った。
トラック関連では、RoAD to the L4のもと高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組みを2021年度から進めており、2025年度末までに「高速道路でのレベル4自動運転トラック導入の手引き」や「自動運転トラック活用ガイドブック」(物流・運送事業者向け)を取りまとめる予定としている。
自動運転バス関連では、2025年度に奥日光低公害バス路線における自動運転バス実証をはじめ、大阪・関西万博、愛知県の国内初の高速バス自動運転実証、大阪府堺市、千葉県柏市などでの実証・サービスを受注している。
茨城県日立市のひたちBRT専用道路で2024年11月にレベル4認可、2024年12月に特定自動運行許可を得ているほか、万博や柏市柏の葉地域でもそれぞれレベル4認可と特定自動運行許可を得ている。
柏市では、2025年12月から一般道約700メートルの区間でレベル4運行を開始している。東京大学との密な連携にも注目したい。
【参考】関連記事「Googleも注目?茨城交通、「完全自動運転バス」展開なら世界的快挙に」も参照。
日本モビリティ:群馬大発ベンチャーも実績積み上げ中
群馬大学発ベンチャーの日本モビリティも着々と実績を積み上げている。自動運転の研究に力を入れる群馬大学の自動運転技術や実証実験ノウハウをもとに、自動運転無人移動サービスの導入・社会実装を目指す目的で2020年に設立された。
兵庫県淡路市、群馬県渋川市、群馬県前橋市、群馬県中之条町、和歌山県和歌山市、広島県江田島市、東京都八丈町、東京都西新宿エリアなどでの実証実績を誇る。
■運行管理系
開発企業と並び、自動運転実証の主役となるのが運行管理系事業者だ。自動運転サービスは、ドライバーの無人化や遠隔監視など、従来とは異なる運行管理が必須となる。
従来の移動サービスのノウハウに、新たな知見や技術を加えた運行管理能力が求められることになるが、自動運転開発事業者がこうした能力を持っているとは限らず、この点で専門性を発揮する運行管理系事業者が実証でも活躍している。
自動運転技術そのものの開発能力は基本的にないものの、即戦力となる自動運転モビリティを国内外から柔軟に採用することができる点もポイントだ。
BOLDLY:運行管理にいち早く特化
いち早く運行管理面に着目したのが、ソフトバンク系列のBOLDLY(旧称SBドライブ)だ。2016年の設立以来、精力的に国内各地の実証に力を注いでいる。現地調査から走行ルートの調査・設定など、導入を検討する自治体に寄り添う形で実装をサポートする。
当時、完成度が高かった仏Navya(現Navya Mobility)のARMAを導入するなど、国内における実証黎明期を支えてきた点もポイントだ。公表されている実証数は、2023年2月時点で136回となっており、今なおその数は積み上げられている。おそらく国内最多だ。
プレスリリースが更新されていないため最新状況は把握しづらいが、2020年に国内初の自動運転車(レベル2)による定常運行を茨城県境町で実現したのを皮切りに、東京都大田区(羽田)、北海道上士幌町、三重県多気町VISON、愛媛県松山市でレベル4認可・特定自動運行許可を取得している。
松山市と鳥取県米子市では、世界トップクラスの技術と思われる中国WeRideの自動運転バスの導入も新たに開始しており、今後の動向に改めて注目したい。
【参考】関連記事「BOLDLY(ボードリー)の自動運転戦略 ソフトバンク子会社」も参照。
アイサンテクノロジー(A-Drive):自動運転ワンストップサービスを提供
測量技術を武器にマッピングなどの面で自動運転実証に関わるアイサンテクノロジー。近年はマッピングに留まらずワンストップソリューションを提供する形で実証・実用化に貢献している。
ルールベースの自動運転システムに必要な高精度三次元地図の作製で存在感を増し、出資するティアフォーなどとともに多くの実証に参加している。2023年には三菱商事と合弁A-Driveを設立し、自動運転ワンストップサービスの提供を行っている。
レベル4達成済みの塩尻市をはじめ、2025年度だけでも長野県軽井沢町、愛知県岡崎市、神奈川県川崎市、福岡県宗像市、埼玉県さいたま市、宮城県仙台市、神奈川県平塚市、東京都多摩市、京都府京田辺市・木津川市、静岡県静岡市における実証などに参画している。
ティアフォーなどとの強力な布陣をベースに、さらなる躍進に期待が寄せられるところだ。
【参考】関連記事「アイサンテクノロジーの株価急騰!「自動運転銘柄」で注目度アップ」も参照。
マクニカ:遠隔運行管理センターで全国の車両を一元管理
自動車関連商社として活躍するマクニカも、実証常連に名を連ねている。BOLDLY同様、早くに仏Navyaに目を付け、国内総代理店になるなど導入を推進していた。最終的にはNavyaに資金を投じ、Navya Mobilityとして子会社化している。
近年は、ARMAに変わり上位モデルとなるEVOの導入も力を入れているようだ。2025年10月には、最新版となるEVO3を発表している。また、運行の中核拠点となる遠隔運行管理センターも設立しており、自動運転車両を一元的に管理する体制を整えている。
2025年1月時点で、Navya Mobilityのソリューションは国内において定常運行6件、実証運行50件の実績を誇るという。
2025年に入ってからも、香川県三豊市、和歌山県和歌山市、茨城県常陸太田市(定常運行)、北海道小樽市、岐阜県東濃5市(恵那、多治見、中津川、瑞浪、土岐)、島根県美郷町、北海道当別町、佐賀県嬉野市、高知県高知市などで実証を行っているようだ。
【参考】関連記事としては「電磁誘導線を使わない「自動運転レベル4」、日本で認可!鹿島やBOLDLYが発表」も参照。
三菱電機:無人自動運転サービス「xAUTO」の提供開始
今後注目度が高まるかもしれないのが、三菱電機だ。同社は2025年10月、私有地におけるレベル4 に対応し、配車から車両運行までを無人化した自動運転サービス「xAUTO」の提供を開始した。
アイサンテクノロジー同様、三菱電機もモービルマッピングシステムで早くから自動運転分野に関わっていたが、2021年から多様なユースケースに応じた自動運転車両の実証を重ね、蓄積した知見や技術をもとにリゾート施設を対象に無人自動運転サービスを提供する体制を整えた。
独自の運行管制システムにより、施設内の走行環境や業務オペレーションに対応した自動運転車両の運行が可能になるという。
■取りまとめ系
自動運転実証は一社では実施できず、開発企業や運行管理、通信系など、さまざまな企業が関わるのが一般的だ。自治体の方針としてコンソーシアムを組むことも珍しくない。国家的事業であればなおさらだ。
こうした際に中心的役目を担うのが取りまとめ系企業だ。商社やコンサル系が多く、幹事企業として事業の円滑な遂行から取りまとめ・総括までを担う。
豊田通商:高速道路における自動運転トラック実証を取りまとめ
主に高速道路における自動運転実証の取りまとめを担っている。トラックの後続車無人隊列走行実証をはじめ、RoAD to the L4における高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組みも受託し、先進モビリティ、日本工営、みずほリサーチ&テクノロジーズとともに2021年度から実証を積み重ねている。
日本工営:東京都の実証事業のプロモーター役
建設コンサルタントの日本工営も自動運転実証の常連だ。東京都が実施する各自動運転実証でプロモーターとしての役割を長年担っているほか、秋田県上小阿仁村、福井県永平寺町、滋賀県東近江市、茨城県常陸太田市、栃木県足利市、兵庫県三木市、沖縄県北谷町などの実証にも関わっている。
産業総合研究所
国立研究開発法人産業技術総合研究所は、国内初の特定自動運行を実現した福井県永平寺町や、中型バスによるレベル4運行を実現した茨城県日立市の「ひたちBRT」などに関わっている。
産総研自体が研究機関であり、自動運転システムにおけるHMIの応用などさまざまな観点で研究開発を担っており、プロモーターと言うよりは研究開発そのものを取りまとめる役割だ。
【参考】関連記事「自動運転バスの実用化状況・車種は?【導入コストのデータ付】」も参照。
■【まとめ】レベル4を実現する実証主体にも注目
国土交通省によると、2025年12月時点でレベル4自動運転が実装されているのは9カ所という。無人自動運転サービス50か所程度という国の目標達成は厳しいが、自動運転技術の向上によって以前より短い期間でレベル4を実現できる水準に達しつつあり、おそらく2026年中には倍増かそれ以上の成果が表れるのではないだろうか。
こうしたレベル4を実現する実証主体にも注目し、各社・各地の取り組みを見守りたい。
【参考】関連記事としては「自動運転バスの補助金、「実装なし」なら返金命令か」も参照。











