【2018年7月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ

トヨタが原価低減、ソフトバンクは配車サービス参入発表



自動運転開発費の捻出に向けたトヨタの原価低減方針の発表や、自動運転開発加速に向けた米フォードの新会社設立のニュース、LiDAR市場の拡大に関する注目調査の公表や、ソフトバンクと中国ライドシェア大手滴滴出行(Didi Chuxing)による大阪での配車サービス開始に関する話題まで、2018年7月も自動運転・ライドシェア業界ではさまざまなビッグニュースが伝えられた。2018年7月の10大ニュースは!?


■自動運転の通信規格標準化へ VW、ボッシュやエヌビディアなどと業界団体設立(2018年7月2日付)

ドイツ自動車メーカー大手のフォルクスワーゲン(VW)が、通信用半導体開発を手掛ける米アクアンティアやドイツ自動車部品大手のボッシュとコンチネンタル、米半導体大手エヌビディアの4社と、自動運転車のネットワーキング・通信の標準化を目指す業界団体「NAV Alliance」を発足させた。

自動運転車の開発において各社が別々の通信規格で開発を進めた場合、各社の車両間での通信が複雑化する。このことによって自動運転車の開発費用も業界全体で高まることが予想される。NAV Allianceに参加する企業はこうした課題に共同で取り組む。

■急拡大!2030年のLiDAR市場、現在の200倍に 5000億円規模、自動運転車普及で(2018年7月3日付)

調査会社の株式会社矢野経済研究所(本社:東京都中野区/代表取締役社長:水越孝)は、自動運転用センサーや先進運転支援システム(ADAS)の世界市場規模(出荷額ベース)の予測について報道発表を行った。

発表によれば、自動運転用センサーとADASの世界市場規模は2017年の8959億円から2030年には約3兆2755億円規模まで約3.6倍に拡大する。そのうち自動運転の「目」とも呼ばれる光技術を活用したLiDAR(ライダー)やレーザの市場規模は、2017年の約25億円から約4959億円まで約200倍に急拡大するという。


■自動運転エンジニア人材の求人増 2018年下半期の転職市場 DODA発表(2018年7月5日付)

転職情報サイトのDODA(デューダ)が発表した転職市場予測2018下半期によると、IT系エンジニア・モノづくり系エンジニアの求人は依然好調のようだ。自動車・自動車部品メーカーを中心とする自動車業界の好調が続いており、人工知能(AI)領域の開発プロジェクトなどが本格的に増えてきたこともあってIT事業部門や研究開発部門でのエンジニアの採用が活発化しているという。

■埼玉工業大学の自動運転ベンチャー「フィールドオート社」始動 AI専攻も新設(2018年7月9日付)

私立大学としては日本国内では初となる自動運転に関する産学連携事業が始動した。埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市/学長:内山俊一)は、大学発ベンチャーとして株式会社フィールドオート(本社:埼玉県深谷市/社長:渡部大志)を設立したことを発表し、大学内で研究開発してきた技術の学外移転を進めながら、自動運転実証実験のサポート事業において3年間で30件程度の業務受託を目指すことを明らかにした。

フィールドオート社の設立は2018年6月26日付で、埼玉工業大学のキャンパス内に設置された。自動運転実証実験のサポート事業を主要事業に据え、自動運転に関する教育事業や出版事業も推進する。工学部情報システム学科の渡部大志教授が社長に就任した。

■トヨタ、販売・広告予算削減へ 自動運転開発へ注力 豊田章男社長が語る(2018年7月10日付)

トヨタの真骨頂はTPS(トヨタ生産方式)と原価低減です——。トヨタ自動車の2018年3月期決算説明会で、豊田章男社長が述べた言葉だ。

同期の当期純利益は過去最高となる2兆4939億円を記録したにもかかわらず、ムダやコストを抑えるといった最も基本的な理念を口にした豊田社長。その胸の内には、自動運転やAI(人工知能)をはじめとした新分野や新たな技術開発に積極投資していく強い決意がありそうで、販売・広告予算の削減に取り組む姿勢もみて取れた。

テスラ、中国でEV生産工場建設へ イーロン・マスク氏が決断 投資額は不明(2018年7月14日付)

米電気自動車(EV)大手テスラ・モーターズが中国・上海にEVの新工場を建設することがわかった。上海市当局とは合意済みで、正式な許可が下り次第着工する予定。早ければ2年後に操業を開始するという。

投資額などは明らかにされていないが、新工場では年間50万台の車両の生産を計画している。これはカリフォルニア州フリーモントにあるテスラの主要工場に匹敵する規模だ。巨大電池工場「ギガファクトリー」をはじめ、主要部品から車両の組み立てまでを行う一大拠点になるとみられている。

■【速報】ソフトバンク、秋から大阪でタクシー配車サービス 中国ライドシェア滴滴出行と無償トライアル(2018年7月19日付)

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:宮内謙)は2018年7月19日、中国でライドシェア事業を手掛ける滴滴出行(DiDi Chuxing:ディディチューシン)と共同記者会見を東京都内で開き、日本国内で次世代タクシー配車サービスを提供することを目指した合弁会社として「DiDiモビリティジャパン株式会社」を設立したことを発表した。

次世代タクシー配車サービスはまず2018年秋から大阪において、タクシー会社が無償で参加可能なトライアル提供としてスタートする。その後順次、京都や福岡、沖縄、東京などにも提供エリアを拡大する。記者会見ではまず最初に大阪でスタートする理由について「関西国際空港の中国人利用者が近年増加しているため」と説明した。

■トヨタが東京五輪で自動運転レベル4の車両披露 MaaS専用EV車e-Paletteも登場(2018年7月23日付)

トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、自動運転レベル4(高度運転自動化)相当の自動運転車の実証実験やデモンストレーションを実施する。2018年7月23日、報道発表を行った。

発表によれば、人工知能(AI)を活用してヒトの感情や趣向を認識・推定し、ヒトと会話をする「エージェント機能」を搭載するという。その名も「TOYOTA Concept-愛i」。乗っている人が車からの「愛」を感じることができるような車両をお披露目するようだ。

■ライドシェア大手ウーバー、淡路島で配車アプリの実証実験開始(2018年7月24日付)

米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズが、兵庫県淡路島で「配車アプリ」の導入に向けた実証実験を2018年7月24日までにスタートさせた。実証実験は淡路島総合観光戦略の一環として実施され、「白タク」にはならない。

しかしウーバーといっても、今回の枠組みは一般ドライバーが客を乗せる「ライドシェア」という方式ではない。車を運転するのは地元のタクシー業者の運転手で、世界で普及しているウーバーのサービスの仕組みとは根本的に異なる。

■米フォード、自動運転部門で新会社 開発に4400億円投資、アルゴAIと連携しGMやウェイモ追う(2018年7月25日付)

アメリカ自動車メーカー大手のフォード・モーターは、自動運転レベル4〜5の完全自動運転車を2021年にも量産化することを目指している。そんな中、フォードは2018年7月24日、自動運転開発を加速させるために、担当技術部門を独立させ、新会社化したと発表した。また自動運転開発に2023年までに40億ドル(約4400億円)を投じるようだ。

今回設立した新会社は「フォード・オートノーマス・ビークルズ」で、2017年にフォードの傘下に入った自動運転ベンチャー企業の「アルゴAI」と連携して開発を進めるようだ。アルゴAIは「自動運転の目」と呼ばれるLiDAR(ライダー)のスタートアップ企業を買収するなどセンサー事業も拡大している。

■自動運転業界の変革期、各社が提携戦略や独自戦略で奮闘

日本を含む世界で提携戦略を進める大手企業が目立ち始めている。タッグを組んで自動運転開発をより一層スピードアップするねらいで、各社が自動運転業界の変革期を勝ち抜くため、さまざまな独自戦略で立ち向かう。自動運転の実現が現実味を帯びる中、自動運転・ライドシェア業界への注目は一層高まっていきそうだ。


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