埼玉工業大学の自動運転ベンチャー「フィールドオート社」始動 AI専攻も新設

実証サポート事業「3年で30件受託」



埼玉工業大学が自動運転の実証実験で使用している実験車両=出典:埼玉工業大学

私立大学としては日本国内では初となる自動運転に関する産学連携事業が始動した。埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市/学長:内山俊一)は2018年7月9日、大学発ベンチャーとして株式会社フィールドオート(本社:埼玉県深谷市/社長:渡部大志)を設立したことを発表し、大学内で研究開発してきた技術の学外移転を進めながら、自動運転実証実験のサポート事業において3年間で30件程度の業務受託を目指すことを明らかにした。

フィールドオート社の設立は2018年6月26日付で、埼玉工業大学のキャンパス内に設置された。自動運転実証実験のサポート事業を主要事業に据え、自動運転に関する教育事業や出版事業も推進する。工学部情報システム学科の渡部大志教授が社長に就任した。


新会社は名古屋大学発の自動運転開発ベンチャーである株式会社ティアフォー (本社:愛知県名古屋市/代表取締役:武田一哉)が100%出資する形で設立され、事業展開においてもティアフォー社と連携して進める。

【参考】ティアフォー社はAI(人工知能)技術なども活用したオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発・提供している。トヨタ自動車などが参加する「未来創生ファンド」のほか、KDDIやソニーからも出資を受けており、長崎大学などとの共同開発など産学連携事業を積極的に進めている。

埼玉工業大学は、日本政府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「自動走行システム/大規模実証実験」部門に参画し、東京都のお台場周辺地域の公道においてトヨタ自動車やドイツ勢のBMWやフォルクスワーゲン(VW)などの大手自動車メーカーなどとともに、2017年10月から自動運転の実証実験を開始している。

実証実験の様子=出典:埼玉工業大学

2017年12月からは実験車両としてトヨタプリウスの改造車を使用し、埼玉県内初となる自動運転の実証実験を深谷市で実施、エンジン始動・停止やシフトの切り替え、ハンドル操作などをコンピュータを使って操作し、自動運転に必要とされるさまざまなコアセンサーの作動試験なども行った。


■2019年4月にはAI専攻を新設

埼玉工業大学は2016年の創立40周年に合わせて、次世代自動車開発プロジェクトを始動させた。今後は自動運転車の実現に必要な中核技術とされるAI(人工知能)開発も本格化させ、2019年4月には大学内に「AI専攻」を新設する。

埼玉工業大学の内山俊一学長は「自動運転に関する先進的な研究開発に積極的に取り組んできた経験と実績を活かして、AI時代に注目の高まる自動運転をテーマに、教育・研究面からAIに積極的に取り組んでいきます」と述べている。


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