出でよ第2の落合陽一! 埼玉工業大が「AI専攻」新設を決定 自動運転概論も

自動運転の実証実験も実施



埼玉工業大学は2019年度から、工学部情報システム学科にAI(人工知能)専攻を新設する。AIの基礎から応用、実践を学べるカリキュラムが特徴で、AIにより新しいビジネスやアイデアを創出して活躍する人材の育成を目指す。自動運転分野をはじめAIの可能性は非常に広く、将来、落合陽一氏のような若き天才の輩出に期待が持たれる。



同大学にはAI関連の多彩な研究・開発に取り組む研究者がおり、その専門分野の人材と研究体制を生かして2018年4月にAI研究センターを設立し、全学的にAIの研究体制、AI関連の取り組みを強化した。

また、AIの応用例として自動運転技術に関する研究・開発に積極的に取り組んでおり、2017年10月から「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム」にも唯一の私立大学として参加。自動走行に必要なインフラの一つである高精度な3次元デジタル地図(ダイナミックマップ)に関して、静的高精度3D地図データの仕様・精度の検証、データの生成・更新・配信システムの検証、インフラなどにより提供される動的情報の車載器上での紐付け検証の実証実験などを予定している。

埼玉県深谷市の同大キャンパス付近の公道で2017年12月に実施した実証実験では、エンジンの始動や停止、シフトの切替、操舵、制動、駆動、その他周辺機器をコンピュータを介して操作することができるトヨタプリウスの改造車を用い、体験試乗会なども行っている。

埼玉工業大学が公道実証実験で使用している自動運転車両=出典:同大学プレスリリース

【参考】戦略的イノベーション創造プログラムは、総合科学技術・イノベーション会議が府省の枠や旧来の分野の枠を超えた主導的な役割を果たし、科学技術イノベーションを実現するために創設されたプログラム。社会的課題の解決や産業競争力の強化、経済再生などに資するエネルギー分野、次世代インフラ分野、地域資源分野など、自動運転分野を含む12課題が設けられている。詳細は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」を参照


■AI専攻では何を学ぶ?

新設するAI専攻では、AIプログラミング言語・演習、人工知能概論、機械学習、深層学習(ディープラーニング)、自動運転概論などの科目を設置する予定で、日本ディープラーニング協会との連携のもと、AIの仕組みや開発手法を基礎から理解し、AIの活用方法を提案できるエンジニアを育成する体系的カリキュラムを整備する。高等教育機関としては日本初となる日本ディープラーニング協会のG検定、E資格の取得や、就職に有利な国家資格「基本・応用情報技術者」の取得なども支援する。

カリキュラムは、AIの仕組みや開発手法を理解し、AIの活用方法を提案できるエンジニアを育成するために、理論の講義から実践的な演習、プログラミングと多彩な科目を組み入れ、AIへのイメージが鮮明になり、深い理解につながるような体系的カリキュラムを導入する。

主な科目は、AIプログラムの開発に不可欠なプログラム言語である「Python」や有用なライブラリ、フレームワークを用いた開発手法などを学ぶ「AIプログラム言語・演習」、AIの歴史や背景、手法、活用事例について多角的視点で学ぶ「人工知能概論」、AI技術の柱となっている深層学習(ディープラーニング)の詳細な仕組みについて演習を交えて学ぶ「深層学習」、自動運転などのAI技術が世の中でどのように役に立っているのか、今後AI技術によってどのように世の中が変わっていくのかを学ぶ「自動運転概論」があり、自動運転などのAIを体感しながら学べる教育カリキュラムを他大学に先駆けて用意するという。

【参考】埼玉工業大学情報システム学科AI専攻の詳細については同大学の「ホームページ」を参照。

■有能なエンジニアや研究者に

昨今のAIのひろがりは単なるブームではなく次世代産業革命と言え、現在ある職業の半数近くがAIに取って代わられるという衝撃的な報告もあるが、これはAIの開発や利用で新しい職業や産業が生まれるということでもある。AIを多角的観点から学ぶことで、次代を切り開く有能なエンジニアや研究者が生まれる可能性は高い。

筑波大学を卒業し、同大デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長や学長補佐、大阪芸術大学客員教授、人工知能科学センター研究員、コンピューター技術開発のピクシーダストテクノロジーズ社の社長など数々の肩書を持つメディアアーティストの落合陽一氏のような人材の誕生に期待したい。


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