2021年3月期第3四半期の連結業績において、当期純利益として3兆552億円(前年同期4,766億円)を計上したソフトバンクグループ。WeWork問題に揺れた前年同期から見事なV字回復を遂げている。
こうした数字をけん引するのは、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を主体とするファンド事業だ。第2号ファンドも本格化し、世界の先端テクノロジー開発を強力にバックアップしている。
この記事では、SVF、及びSVF第2号におけるモビリティ関連の投資状況を解説していく。
記事の目次
- ■ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の概要
- ■ARM Holdings(英国/売却見込み)
- ■Aurora Innovation(米)
- ■Brain Corporation(米国)
- ■Cambridge Mobile Telematics(米国)
- ■Didi Chuxing(中国)
- ■DiDi Autonomous Driving(中国)
- ■Doordash(米国)
- ■fair(米国)
- ■Full Truck Alliance(中国)
- ■Getaround(米国)
- ■GM Cruise(米国)
- ■Grab(シンガポール)
- ■Light(米国)
- ■Loggi Technology International(ブラジル)
- ■MapBox(米国)
- ■Nauto(米国)
- ■NVIDIA(米国/売却済み)
- ■Nuro(米国)
- ■Ola(インド)
- ■Petuum(米国)
- ■Rappi(コロンビア)
- ■TIER(独)
- ■Uber(米国)
- ■XAG(中国)
- ■Zume Pizza(米国)
- ■【まとめ】各社のシナジー効果に期待
■ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の概要
SVFは2016年に設立が発表され、翌2017年に事業を開始した。ソフトバンクのほか、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)、アラブ首長国連邦アブダビ首長国のムバダラ開発公社、米アップル、米Qualcomm Incorporated(クアルコム)、台湾のFoxconn Technology Group(フォックスコン)、シャープ株式会社がリミテッド・パートナーに名を連ね、ソフトバンクの約3兆円を含む約10兆円を元手に、AI(人工知能)・先端テクノロジーを活用した成長可能性の高い企業に出資している。
投資期間は2019年に終了(存続期間は2029年まで)しているが、同年2号ファンドが立ち上がり、引き続き積極的に出資活動を行っている。
SVFは、2020年末時点で持分売却済み10社を含む92社、SVF第2号は2020年末時点の26社に2021年に投資した2社、パイプライン11社を足した計39社が出資先に名を連ねている。
2021年2月に発表した2021年3月期 第3四半期決算では、SVF及びSVF第2号からの投資利益は2兆7,288億円を計上している。
■ARM Holdings(英国/売却見込み)
ソフトバンクグループが2016年に3.3兆円の巨額買収を実施し、話題となったCPU開発大手の英ARM(アーム)もSVFの投資先に名を連ねている。
ARMのアプリケーションプロセッサは、車載情報機器でシェア85%、ADAS(先進運転支援システム)で65%を超えているという。自動運転に向けては、技術標準化を目指す団体「Autonomous Vehicle Computing Consortium(AVCC)」を設立している。
ソフトバンクグループは「アーム事業」として事業セグメント化するほど半導体テクノロジーを重視しているが、2020年9月に保有する全株式をNVIDIAに売却することに合意している。取引価値は最大400億ドル(約4.2兆円)としており、クロージングは2021年度末ごろになる見込みだ。
【参考】Armについては「自動運転の「欧州vs米国」に影響?英Arm、ソフトバンクGからNVIDIAへ」も参照。
■Aurora Innovation(米)
SVFの公式サイトを見ると、自動運転開発を進める米Aurora Innovationもポートフォリオに加えられている。トヨタやデンソーとの提携も発表された注目度ナンバーワンのスタートアップだ。
ソフトバンクグループの決算説明会の資料などには記載がないため、出資先のUberを介した投資の可能性がありそうだ。Uberの自動運転開発子会社ATG(アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)を2020年12月にAuroraが買収し、その対価としてUber株主はAuroraの非公開株を手にしている。
トヨタなどとともにUberの配車サービスに自動運転技術を実装する計画に変更はなく、むしろ既存の自動車メーカーをはじめ自動運転サービス事業を試みる企業などへ販路が広がる可能性があり、要注目の1社だ。
【参考】Aurora Innovationについては「自動運転開発企業「Aurora」(オーロラ)を徹底解剖!トヨタとも提携」も参照。
■Brain Corporation(米国)
高度な自律走行システムの開発を専門とするソフトウェア企業。2009年に米カリフォルニア州で設立され、米通信事業大手のクアルコム系ベンチャーキャピタルから資金を調達しながら成長を遂げた。主に自立走行する清掃ロボットや搬送ロボットの開発を進めている。
2017年資金調達CラウンドでクアルコムとSVFから1億1,400万ドル(約120億円)を調達している。同年ソフトバンクロボティクスと提携を交わしており、ソフトバンクロボティクスの清掃ロボット「RS26 Powered by BrainOS」にBrainのAIが活用されている。
【参考】Brainについては「広島のシモハナ物流、ソフトバンクの「AI清掃PRO」導入 自動運転技術搭載」も参照。
■Cambridge Mobile Telematics(米国)
ドライバーの運転評価アプリや運転リスクを測定するプラットフォームの開発など、運転行動を分析するCambridge Mobile Telematics(ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス)は2018年12月、SVFから5億ドル(約550億円)の出資を受けたことを発表した。
同社の技術は、保険価格設定に関わる運転技術の正確な測定や、運転操作を改善するインセンティブの提供などを行うことができるという。
■Didi Chuxing(中国)
中国配車サービス最大手の滴滴出行(Didi Chuxing)へも早くから出資を行っており、2016年の総額73億ドル(約8,000億円)の資金調達ラウンドに参加しているほか、2017年実施の総額55億ドル(約6,000億円)のラウンドでは大半を出資している。
SVF設立後の2017年12月には、SVF主導でさらに40億ドル(約4,200億円)を出資。2019年3月には、孫正義氏がさらに16億ドル(約1,700億円)を出資予定であると語ったことが報じられている。
ソフトバンクはDiDiの日本法人「DiDiモビリティジャパン」を共同設立するなど日本進出も支援しており、将来的な企業価値の向上とともにビジネスパートナーとしての成長を見守っているようだ。
【参考】DiDiへの出資については「ソフトバンク孫正義氏、赤字続きの中国DiDiにさらに16億ドルを追加出資へ」も参照。
■DiDi Autonomous Driving(中国)
DiDiの自動運転開発子会社に対しても、SVF2号ファンドで改めて出資している。同社はDiDiの自動運転開発部門が独立する形で2019年8月に設立され、自動運転タクシーの実用化を目指し北京や上海、蘇州、米カリフォルニアなどで公道実証を進めている。
2021年3月には広州の花都区と戦略的パートナーシップを結び、自動運転技術と商用アプリケーションの研究開発に投資する計画を新たに発表している。
配車サービス×自動運転は今後のモビリティ社会に大きなインパクトをもたらす可能性が高く、今後の動向に要注目だ。
■Doordash(米国)
2013年米カリフォルニア州で創業し、オンデマンドデリバリーを手掛けるラストマイル物流スタートアップのドアダッシュ。2018年3月、資金調達シリーズDラウンドでSVFなどから5億3,500万ドル(約560億円)を調達したほか、同年5月にもシリーズGラウンドでSVFなど既存株主から6億ドル(約630億円)調達したことを発表している。
2019年には、米GM Cruiseと手を組み、食品デリバリーに自動運転車を活用する実証なども行っている。2020年12月にニューヨーク証券取引所への上場を果たした。
【参考】Doordashについては「ソフトバンク出資の米スタートアップ「ドアダッシュ」、食品の自動運転配送実現へ」も参照。
■fair(米国)
自動車のサブスクリプションサービスを展開する米カリフォルニア州のスタートアップ。2018年12月に、シリーズBラウンドでSVF主導のもと3億8,500万ドル(約430億円)の資金調達に成功している。
ライドシェア大手の米Uberを交えたサブスクリプションサービスが特徴で、同社からリースした車両をライドシェアに活用するライドシェアプログラムなども用意している。
■Full Truck Alliance(中国)
中国で2017年に創業したトラック配車アプリ最大手の満幇集団(フル・トラック・アライアンス・グループ)は2018年4月、SVFなどから総額19億ドル(約2,000億円)に及ぶ資金調達を発表した。同年8月には新たにSVFなどから10億ドル(約1,100億円)規模の資金調達を実施する見込みであることなども報じられており、中国内における同社の地位を確固たるものに築き上げている。
一部メディアで2021年内にIPOを目指す動きがあると報じられており、近々大きな動きを見せるかもしれない。
【参考】満幇集団への出資については「中国の「トラック版ウーバー」、近く1,000億円規模の資金調達か ソフトバンクなどと交渉、との報道」も参照。
■Getaround(米国)
米カリフォルニア州で2009年に創業された、個人間カーシェア事業を手掛けるスタートアップのGetaround。2016年にトヨタ自動車系の未来創生ファンドから出資を受け、カーシェアに活用するスマートキーボックスの共同開発などを進めてきた。
2018年8月には、シリーズDラウンドでSVFやトヨタ自動車から3億ドル(約330億円)の出資を受けており、世界最大規模のカーシェア事業者への道を着実に歩んでいる。2021年3月時点で、米国を中心に世界800都市でサービスを展開しているようだ。
【参考】Getaroundについては「ソフトバンク、米カーシェア企業ゲッタラウンドに330億円出資 トヨタ出資額の7倍 ライドシェアなど次世代サービスに熱視線」も参照。
■GM Cruise(米国)
2013年に米カリフォルニア州で創業した、自動運転開発を手掛けるクルーズ。技術力が高く評価され、2016年に米自動車大手GMに買収され、同社傘下の自動運転開発企業として開発力に磨きをかけている。
2018年5月にGMがソフトバンクグループとの提携を発表し、GMからクルーズへ11億ドル(約1200億円)、SVFからクルーズへ22億5,000万ドル(約2,400億円)が投入された。
同年10月には、GMとクルーズの自動運転開発にホンダが加わることが発表され、ホンダからクルーズへ7億5,000万ドル(約850億円)出資するほか、今後12年に渡り事業資金約20億ドル(約2,240億円)を支出する計画も公表された。
2019年5月には、GM、SVF、ホンダから新たに11億5,000万ドル(約1,260億円)の追加出資を受けることも発表されている。
2020年1月にサービス向けの自動運転車「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」を発表しており、まもなく実用実証が本格化するものと思われる。ホンダが日本国内での事業展開を将来的に目指す方針を打ち出しており、世界展開にも期待が寄せられる。
【参考】Originについては「自動運転シャトル、e-Palette、Origin、ARMAの国内バトル勃発へ」も参照。
■Grab(シンガポール)
シンガポールに本拠を構える配車サービス大手。2012年の創業後、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムと東南アジアでサービスを拡大している。
ソフトバンクグループからの出資は、2014年12月の資金調達シリーズDラウンドで2億5,000万ドル(約280億円)を調達したのを皮切りに、2015年8月のシリーズEで3億5,000万ドル(約420億円)、2016年9月のシリーズFで7億5,000万ドル(約770億円)と続き、ソフトバンク投資部門のMing Maa氏を役員に迎えるなど関係は深まっていく。
2017年7月のシリーズGでは、ソフトバンクグループとDiDiなどから25億ドル(約2,700億円)、2019年3月にはSVFから14億6000万ドル(約1,600億円)と出資は続き、2019年7月には、ソフトバンクグループが同社を通じ、今後5年間でインドネシアに20億ドル(約2,160億円)規模を投資する計画も発表されている。
ロイター通信によると、2021年中に米市場への上場を予定していることが報じられており、近々の動向に注目だ。
【参考】Grabについては「トヨタ出資のライドシェア大手Grab、2021年中に米国で上場か」も参照。
■Light(米国)
コンピュテーショナル・フォトグラフィー(CP)と呼ばれる次世代イメージング技術を研究開発するスタートアップ。2018年7月に、SVFが主導する資金調達ラウンドで1億2,100万ドル(約130億円)を調達した。
同社が開発した16眼搭載カメラ「L16」の日本国内販売も同月に発表され、輸入製品販売サイト「ヴェルテ」で取り扱われている。自動運転に応用可能な技術を持っており、2019年にはソニーセミコンダクターとの提携も発表している。
【参考】Lightについては「ソフトバンク出資のLight社製16眼カメラ、日本国内販売へ 自動運転への応用可能」も参照。
■Loggi Technology International(ブラジル)
荷主とドライバーをマッチングする配送アプリ開発を手掛けるブラジルのLoggiへ、2018年10月に1億1,100万ドル(約120億円)、2019年6月に1億5,000万ドル(約160億円)をそれぞれ出資している。
■MapBox(米国)
アプリ向けなどオンラインマップサービスの開発を手掛ける2010年設立の米スタートアップ。グーグルマップなどにはない高いカスタマイズ性を武器にシェア拡大を図っている。2017年にSVFなどが総額1億6,400万ドル(約170億円)の出資を行っている。
日本法人も設立されており、ヤフーや日立なども同社のソリューションを導入しているようだ。
■Nauto(米国)
画像認識技術やAIアルゴリズム開発を手掛ける米スタートアップ。2015年にシリコンバレーで創業し、安全運転支援デバイスとなるAI搭載型通信ドライブレコーダーなどを製品化している。2017年6月には、日本の拠点として「Nauto Japan GK」の設立も発表している。
2017年7月、シリーズBラウンドでSVFやToyota AI Venturesなどから総額1億5,900万ドル(約165億円)を調達している。
ドラレコはドライバーモニタリング機能やADAS機能などへの応用が進んでおり、今後の進化に注目だ。
【参考】ドラレコの進化については「自動運転時代、ドラレコが進化!求められる性能は?(深掘り!自動運転×データ 第38回)」も参照。
■NVIDIA(米国/売却済み)
半導体大手NVIDIAへの出資は、SVFによる投資の代表格といえる。ソフトバンクグループが取得した後SVFへ移管した模様で、ファンドの資金調達のクローズの際にエヌビディアの株式を所有していることを発表している。投資額は明らかにされていないものの、一部報道による約3,000億円相当という。
2018年度第3四半期決算説明会では、NVIDIA株をすべて売却したことが発表された。価格下落をヘッジするカラー取引により、普通出資していた807億円を3,624億円で回収する結果となった。
2020年9月には、ソフトバンクグループが所有するArmの全株式をNVIDIAに売却することが発表されており、最大400億ドルの取引価値のうち、215億ドルがNVIDIAの普通株式で支払われる予定となっている。
NVIDIAの発行済み株式の約6.7~8.1%を保有することになる見込みだ。半導体大手の両社の技術がさらなる価値を生み出すことに期待したい。
【参考】エヌビディアの戦略については「NVIDIAの自動運転技術、完全解説&まとめ 動画で全世界に公開!」も参照。
■Nuro(米国)
自動運転車両を用いた無人宅配事業の開発を進める有力スタートアップのNuro(ニューロ)。2017年の創業からわずか1年後の2018年に米スーパー大手のクローガーと協力するなど、積極的に実証を進めている。
2019年2月にSVFから9.4億ドル(約104億円)の資金調達を行い、同年6月にはR1を改良した「R2」を使用し、ビザ宅配大手の米ドミノ・ピザと自動運転車両を使ったピザの無人配達事業を開始することも発表している。
カリフォルニア州では自動運転車の商用利用の認可も受けており、車道を走行する配送向け自動運転の分野でますます存在感を高めそうだ。
【参考】Nuroについては「自動運転車での商用デリバリー、米Nuroがカリフォルニアで認可を初取得!」も参照。
■Ola(インド)
インド最大の配車サービス事業者Olaにも、複数回出資を行っているようだ。2016年以前の出資に加え、2017年の資金調達ラウンドに参加したほか、2019年には2億5,000万ドル(約270億円)を追加出資している。
同社はインドをはじめ、オーストラリアや英国などでもサービスを拡大中のようだ。
■Petuum(米国)
AI開発を手掛ける米スタートアップで、カーネギーメロン大学でコンピューター科学・機械学習の教授を務めるDr. Eric Xing氏らが2016年に設立した。
機械学習などAIの扱いを容易にする同社の技術は、自動運転をはじめセキュリティや品質管理、医療診断など広範な応用が可能で、2017年10月にシリーズBラウンドで9,300万ドル(約10億円)をソフトバンクグループなどから調達したと発表している。
■Rappi(コロンビア)
中南米で宅配アプリサービスを手掛けるRappiが2019年4月、SVFなどから10億ドル(約1100億円)を調達することが発表された。
今後、ソフトバンクグループが2019年3月に発表した、中南米市場に特化した50億ドル(約5,500億円)規模のファンド「ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(仮称。発表当初はソフトバンク・イノベーション・ファンド)」へ出資元を切り替える予定という。
■TIER(独)
電動スクーターのシェアサービスを手掛けるスタートアップで、2018年に事業を開始して以来、10カ国80都市で計6万台の電動スクーターを配備する規模まで拡大している。
2020年11月、SVF2号ファンドが主導する2億5,000万ドル(約270億円)のシリーズC資金調達ラウンドの完了を発表した。
■Uber(米国)
米配車サービス大手のウーバーをめぐる出資交渉は2017年に始まった。ソフトバンクグループをはじめとした投資家集団とウーバーや主要投資家らとの交渉が明らかにされ、長期折衝の末約80億ドル(約9,600億円)の出資が決まり、2018年1月に株式取得が完了した。
同社の株式上場を間近に控えた2019年4月には、トヨタ自動車とデンソー、SVFが、米ウーバーテクノロジーズの自動運転開発部門「Advanced Technologies Group(ATG)」を基にした新会社に計10億ドル(約1,120億円)の出資を行うと発表した。内訳は、トヨタとデンソーが6億6,700万ドル(約750億円)、SVFが3億3,300万ドル(約370億円)となっている。
ATGは2020年12月にAurora Innovationに買収されたが、自動運転技術開発を手掛ける有力スタートアップの活躍に改めて期待が高まる。
なお、2021年1月に保有するUber株の一部を売却している。
【参考】Uberの動向については「Uberの「選択と集中」加速!?空飛ぶタクシー開発部門も売却か」も参照。
■XAG(中国)
ドローン分野では、2007年創業のXAGにSVF第2号から出資を行っている。同社は農業ドローンを中心に自立飛行機能を備えた産業用ドローンの開発を手掛けており、日本をはじめ世界各国に研究施設やサービス拠点を設けている。
2020年11月、SVF第2号とBaidu Capital主導のもと、12億元(約200億円)を調達したことを発表している。
■Zume Pizza(米国)
ロボットを活用した宅配ピザ事業を手掛けるZume Pizzaは2018年11月、資金調達シリーズCラウンドでSVFから3億7,500万ドル(約400億円)調達したことを発表した。
同社の技術は自動運転ではなく、ロボット技術により調理過程を自動化するもので、配送中のトラック内で調理を可能にする特許を取得しているという。将来、自動運転宅配ロボなどと組み合わせることで可能性が大きく広がることが予想される。
■【まとめ】各社のシナジー効果に期待
多少の山や谷が付きものの投資事業において今期はしっかりと数字を残したが、この投資事業が真の価値を生み出し本領を発揮するのはこれからだ。
投資先の各企業が今後事業を本格化させるのはもとより、各社の技術が結びつくことで生まれるシナジー効果が新たなテクノロジー産業を形成していく。近々では、ArmとNVIDIAの統合が半導体分野においてシナジーを生み出していくことになりそうだ。
GM CruiseやNuro、Auroraといった自動運転開発企業も、他のテクノロジーやサービスと融合することでより大きなイノベーションを世にもたらす可能性が高い。このイノベーションを促進するソフトバンクグループの群戦略に大きな期待を寄せたい。
(初稿公開日:2019年8月12日/最終更新日:2021年4月9日)
【参考】SVFについては「【最新版】ソフトバンク・ビジョン・ファンドとは? 自動運転やライドシェア領域での投資状況は?」も参照。
>> 莫大な投資利益の可能性!自動搬送宅配ロボットを開発するNuroの全貌
>> Armが自動運転で存在感!SBGの「救世主」になるのか
>> 【過去特集】孫正義の事業観(1)「馬鹿な国」発言はポジショントークか
>> 【過去特集】孫正義の事業観(2)「通信+α」事業に巨額投資でシフトへ
>> 【過去特集】孫正義の事業観(3)中国・滴滴出行との記者会見の全貌
>> 【過去特集】孫正義の事業観(4)譲った経営権、米国5Gと孫社長
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)