
防衛力強化にかじを切った日本。予算増はすでに始まっており、防衛増税もまもなく始まる。その是非はさておき、衆院選2026で歴史的大勝を果たした自民党は、防衛分野における施策・取り組みをさらに加速していく可能性が高い。
防衛省が取り組むべき領域は多岐に渡るが、自動運転技術の活用に大きな注目が集まっている。自動運転による無人化技術は、防衛における安全性向上などに大きく寄与するためだ。
すでに自動運転モビリティ導入に向けた取り組みは進められており、同省は物資輸送や偵察、攻撃支援などさまざまな領域で実装を図る計画のようだ。
防衛関連のモビリティ×自動運転の最前線に迫る。
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■防衛省×自動運転の取り組み
UAV連携型AI駆動オフロードUGVの研究に着手
防衛省が公表している「令和7年度事前の事業評価 評価書」によると、同省は2026年度、次期戦闘機と連携する無人機の研究やUAV連携型AI駆動オフロードUGVの研究などを計画しているようだ。
▼要旨|UAV連携型AI駆動オフロードUGVの研究
https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2025/pdf/jizen_02_youshi.pdf
▼本文|UAV連携型AI駆動オフロードUGVの研究
https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2025/pdf/jizen_02_honbun.pdf
なお、事前の事業評価は、新規政策や事業に対し、事前の計画段階で目的の妥当性や期待される効果などを客観的に検証するものだ。
評価書によると、以下を計画している。
- ①次期戦闘機と連携する無人機の研究
- ②UAV連携型AI駆動オフロードUGVの研究
- ③次期潜水艦(VLS搭載型)のトータルシップ最適化設計に関する研究
- ④マルチエージェント技術を用いたUAV制御の研究
- ⑤装備システム用サイバー侵入対処技術の研究
- ⑥護衛艦電源・推進システムのエネルギー統合化の研究
- ⑦将来衛星技術の宇宙空間での技術実証に関する研究
- ⑧移動通信基盤構成装置の開発
自動運転ラボとして最も気になるのは②だ。UAVは「Unmanned Aerial Vehicle」の略で無人航空機、UGVは「Unmanned Ground Vehicle」の略で無人地上車両を指す。無人航空機と連携可能なAI駆動のオフロード無人地上車両の研究に着手するのだ。

無人アセット防衛能力を重視
政府は2022年に閣議決定した国家防衛戦略において、防衛力の抜本的強化にあたって重視する能力として「無人アセット防衛能力」を挙げた。概ね10年後までに無人アセットを用いた戦い方をさらに具体化し、我が国の地理的特性などを踏まえた機種の開発・導入を加速し、本格運用を拡大する――といった内容だ。
また、同年閣議決定された防衛力整備計画においても、自衛隊の能力などに関する主要事業に「無人アセット防衛能力」が位置づけられた。UGVとUAVを効果的に組み合わせることにより、駐屯地・基地などや重要施設の警備及び防護体制の効率化を図る――といった内容だ。

なお無人アセットは、遠隔制御技術や自動運転技術などにより、操縦士が搭乗することなく運行可能な無人航空機や無人潜水艇、無人地上車両などの装備品を指す。自衛隊における無人モビリティだ。
陸上自衛隊の省力・省人化に向けUGVとUAVの活用が期待されており、特に少人数で複数のUGVを操縦するなど、UGVの自律性向上、UGV同士の協調、UAVも活用した任務の迅速化が必要とされている。そのため、UGVを長時間安定稼働させる技術やUAVとの連携による任務迅速化技術、AIの軽量化によって処理負荷を軽減する技術を速やかに確立する必要があるという。
同事業の成果は、UGVの自律化及び連携に関する汎用的な技術となる。大きさや用途の異なるあらゆるUGV事業に反映可能であり、陸上自衛隊の省力・省人化が急務であることから、2026年度に早急に事業に取り組む必要を強調している。
代替手段との比較検討状況に関しては、民生の自動運転技術は舗装路かつ事前の高精度地図情報及びGNSS情報が前提となっており、オフロードへの直接導入には適さない。諸外国軍の研究事例において、UAVと協調可能で、後続の開発事業も見据えた改修自由度をただちに担保できるUGVは存在しないという。
よって、UGVのオフロード走行技術、UGVとUAVの協調技術及びエッジAI化技術を獲得し、陸上自衛隊における任務リスク低減に寄与するとともに、海外の防衛分野、特に米国陸軍の豊富な開発経験や試験評価ノウハウについても導入を追求し、運用での有効性が高い技術の獲得を目指すこととした。
スタートアップの技術も積極的に活用
これらの戦略・計画に基づき、2026年度から2030年度にかけ、スタートアップ企業の民生技術なども活用してUGVとUAVとの協調などについて研究を行い、広大な領域で物資輸送や偵察、攻撃支援などを実施可能な無人機技術を確立するとしている。総事業費は約87億円(研究総経費)を予定している。
達成すべき目標は、「長距離・長時間自律走行技術」として、UGVの計算負荷の軽量化、環境変化に対するロバスト化などにより長距離・長時間の自律走行を実現する技術を確立すること、「UGV・UAV協調運用技術の確立」として、UAVがUGVから自動離発着し、相互に協調する技術の確立を目指す。
また、「エッジAI化技術の確立」として、自律走行において使用するAI技術について、性能を維持しながら高速化・省電力化などを実現し、大型計算機を使用できないUGVに搭載する技術を確立するとしている。

陸海空すべてに無人アセットを実装
防衛力整備計画では、防衛上必要な機能・能力として、まず日本への侵攻そのものを抑止するため遠距離から侵攻戦力を阻止・排除できるようにする必要があるとし、「スタンド・オフ防衛能力」と「統合防空ミサイル防衛能力」の強化を挙げている。
また、万が一抑止が破れ、国内への侵攻が生起した場合、有人アセットや無人アセットを駆使するとともに、水中・海上・空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保できるようにする必要がある。このため、「無人アセット防衛能力」「領域横断作戦能力」「指揮統制・情報関連機能」を強化することも明記されている。
無人アセットについては、無人水中航走体(UUV)に係る技術の獲得や、有人車両から複数のUGV(無人戦闘車両)をコントロールする運用支援技術や自律的な走行技術等に関する研究、無人水上航走体(USV)に関する技術の研究継続などが盛り込まれている。
装備品関連では、陸上自衛隊の航空体制最適化のため、一部を除いて師団・旅団の飛行隊を廃止して各方面隊にヘリコプター機能を集約するとともに、対戦車・戦闘ヘリコプター及び観測ヘリコプターの機能を多用途・攻撃用無人機及び偵察用無人機などに移管し、今後用途廃止を進めるとしている。
海上自衛隊についても、広域での洋上監視能力強化のため滞空型無人機(UAV)を取得することに伴い、固定翼哨戒機の取得数を一部見直す。
【参考】関連記事「自動運転技術の軍事・防衛・戦争利用」も参照。
無人モビリティは危険を伴うシーンで本領を発揮
今後、防衛省は無人アセットの研究開発にいっそう注力していくことがわかった。無人化技術による省力化はもとより、無人モビリティは危険を伴うシーンで本領を発揮する。
日本が独自に侵略行為を行うことはまずあり得ないが、侵略行為を受ける可能性は否定できない。領空・領海侵犯などへの対応は常に危険と隣り合わせでもある。万が一のリスクを想定すると、無人で動くことができるモビリティで代替可能な業務などは切り替えるに越したことはない。
また、無人モビリティは災害救助などにも大きく貢献する。大災害などに見舞われた場合、二次被害を防止するためある程度状況を把握できるまで有人の行動は限定される。しかし、無人モビリティやロボットであれば危険を厭わず、迅速な初動対応を行うことが可能になる。
近年ロボットの走破能力は著しく向上しており、がれきの山が連なるエリアでも楽に移動し、サーモグラフィなどのセンサーで要救助者を探すことなどもできるだろう。
災害時に自衛隊が派遣・出動するケースも珍しくなく、高度な無人化技術で人命救助・復旧などに資することにも期待が寄せられるところだ。
Turingとティアフォーが事業を受託
防衛省は「スタートアップ企業の民生技術なども活用してUGVとUAVとの協調などについて研究を行う」としており、すでにTuringとティアフォーが技術調査や性能検証に関する事業を受託している。
Turingは2025年10月、防衛装備庁陸上装備研究所と「一貫型自律走行技術の検証」の役務請負契約を締結したことを発表した。
▼チューリング、防衛装備庁と自動運転AIの性能検証に関する役務請負契約を締結
https://tur.ing/posts/aXmszZPO
乗用車向けの自動運転開発で培った成果をもとに、未舗装路を含む不整地環境における一貫型自律走行技術(エンドツーエンド/E2E)の性能を検証する。舗装されていない路面環境で基礎データを取得し、不整地環境を想定した条件下におけるモデルの推論結果を評価し、その後、推論に基づく車両制御を実施して多様な路面条件におけるモデルの挙動を検証・評価するとしている。
自衛隊のモビリティが走行する場所は、整備された道路に限らない。未舗装路における走行を前提とした走破能力が求められることが少なくない。特に目印もない荒れ地を、大まかなルート設定のもと走行することもあるだろう。
既存のルールベースの自動運転は、こうした未舗装路に対応できないことが多い。事前に高精度3次元地図を作製できるとは限らず、自己位置認識に役立つ目印も少ない。自衛隊の自動運転車両は、初めて走行する場所でも無人走行できる能力が求められるのだ。
数年前まではこうした柔軟な自動運転の実現は難しく、SLAM技術を活用するなど試行錯誤を続けていた印象が強かったが、E2Eモデルの登場で状況が変わりつつある。
リアルタイムのセンサー情報をもとに自律走行するE2Eであれば、未舗装路における柔軟な自動運転も可能になる。設立当初からE2E開発を進めるTuringの技術が、こうした分野でも活躍しそうだ。
一方、ティアフォーは2026年2月、防衛装備庁による「航空基地車両の代替に関する技術調査」を受託したと発表した。
▼ティアフォー、防衛装備庁の「航空基地車両の代替に関する技術調査」を受託
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000040119.html
海上自衛隊航空基地における将来的な省人化と業務効率化を目的に、けん引車両などを用いた多目的な自動運転技術の導入可能性を調査する。
同社は、工場の閉鎖空間におけるけん引車両を含め、公道でのバスやタクシーなどさまざまな自動運転車両の導入と運行を支援する実績を有している。今回の調査を機に、防衛省・自衛隊関連事業への取り組みを強化し、最先端の自動運転技術を通じて持続可能な防衛態勢の構築と航空基地運用の省人化に貢献していくとしている。
さまざまなモビリティを自律走行可能にする「Autoware」は、個性豊かなモビリティが集う自衛隊でもその本領を発揮するかもしれない。
■【まとめ】防衛分野×自動運転は大きな商機に
自動運転領域に力を入れる防衛省。自力開発は困難で民間の協力が欠かせないところだが、その性質上、有力な海外企業の技術を短絡的に導入するわけにもいかない。可能な限り国産モデルで実現しなければならないところだ。
また、従来のルールベースではなく、E2Eのような最新技術が求められるため、新規参入組も研究開発に関与するチャンスが多く残されていると言える。そう考えると、民間事業者、特に独自技術の開発を進めるスタートアップにとって大きな商機となるかもしれない。
陸上モビリティに限らず、船舶などの海上モビリティ、潜水艦などの海中モビリティ、そしてエアモビリティなど、防衛省が扱うモビリティは多岐に渡り、かつ専門性が高い。狭き門のようにも感じられるが、従来のモビリティ事業者では対応しきれないテクノロジー分野であれば、アプローチ手法は豊富だ。
日本の防衛力強化に寄与できる貴重なビジネスチャンスと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標・ロードマップ一覧|実用化の現状解説」も参照。













