Pony.ai、自動運転開発の年表!自社ブランドで車両も展開!?

トヨタとのパートナーシップの行く末は?



出典:背景画像はPony.aiプレスリリース/公式サイト

自動運転技術の実用化に向けた取り組みが次のフェーズへ移行しようとしている。純粋な開発・実証フェーズから、本格的なサービスインを見越した取り組みや自動運転車の量産化に向けた取り組み、スタートアップからの脱却を図る動きなどが顕著となってきた。

中国スタートアップのPony.ai(小馬智行)もそのうちの1社に数えられる。トヨタがパートナーシップを結ぶ同社は、来たるべき自動運転時代にどのように臨むのか。







この記事ではPony.aiのこれまでの取り組みを年代順におさらいし、同社の最新動向に迫っていく。

■Pony.aiの概要

Pony.aiは、CEO(最高経営責任者)を務めるJames Peng氏と、CTO(最高技術責任者)のTiancheng Lou氏を中心に2016年12月にカリフォルニア州フリーモントで産声を上げた。翌年、早々にステルスモードから脱却し、フリーモントの米国本社と中国広州の本社を基点に米中を股に掛けた自動運転開発を推し進めている。

James Peng氏は、スタンフォード大学で研究を進めた後、グーグルに7年間、百度(Baidu)に4年間在籍した。Baiduでは自動運転開発に携わり、チーフアーキテクトを務めた。Tiancheng Lou氏も精華大学卒業後にエンジニアとしてグーグルに入社し、その後Baiduへ転職し自動運転開発に携わっている。

グーグル・Baidu出身の2人が立ち上げたPony.aiは、最も安全で信頼性の高い自動運転技術を構築し、輸送の未来に革命を起こすことを目指している。独自のオペレーティングプラットフォーム「PonyBrain」をはじめ、ソフトウェアアルゴリズムとインフラストラクチャをすべて自社開発するなど、高度かつ総合的な開発力を武器に有数のスタートアップへと成長を遂げている。

自動運転タクシーは現在、カリフォルニア州アーバインやフリーモント、中国広州、北京、上海などで計画を進めている。また、自動運転トラック分野への参入も表明している。

出典:Pony.ai公式サイト
■2018年2月:広州で走行実証開始

Pony.aiは2018年2月、広州市南沙で自動運転の走行実証を開始した。詳細は明かされていないが、約30平方キロメートルのエリアをカバーし、同年7月までに1,000回以上のライドを提供したとしている。

同年12月には、ロボタクシーのパイロットプログラムとなる「PonyPilot」を開始しており、同社社員をはじめ一部住民も乗車可能なサービスとして提供しているようだ。

■2018年2月:広州汽車集団とパートナーシップ締結

Pony.aiと広州汽車集団(GACグループ)は2018年2月、自動運転技術の開発領域において戦略的パートナーシップを結ぶ合意に至ったと発表した。

両社はその後、2019年9月にGACグループの新EV(電気自動車)「AION LX」にPony.aiの自動運転システムPonyAlphaを統合したレベル4車両の開発を発表している。

■2018年6月:北京でT3ライセンス取得

Pony.aiは2018年6月、北京で自動運転車の公道走行を可能にするT3ライセンスをスタートアップとして初めて取得した。同市のライセンスは可能とする自動運転機能に応じてT1~T5にランク分けされており、当時T4以上の取得企業はなく、T3が1つの壁となっていた。

T3取得に際し、同社は北京のテストコースで5,000キロ以上を自律走行し、39に及ぶテスト基準を10日間でクリアしたとしている。

■2018年7月:資金調達Aラウンドで2億1,400万ドル調達

Pony.aiは2018年7月、資金調達Aラウンドで新たに1億200万ドル(約110億円)を調達し、同ラウンドの合計額が2億1,400万ドル(約230億円)に達したと発表した。

同年1月に発表された初期Aラウンドでは、LegendCapitalや5Y Capital、Sequoia Capitalなどから1億1,200万ドルを調達している。

■2018年9月:最新の自動運転システム「PonyAlpha」発表

Pony.aiは2018年9月、最新の自動運転システム「PonyAlpha」をリリースすると発表した。前世代のプロトタイプ車両のハードウェアとソフトウェア全体を改善し、LiDARやレーダー、カメラによるセンサーカバレッジの向上や高度に最適化したハードウェアプラットフォームなどにより、フルスタックの自動運転を提供可能にしている。

センサーフュージョンモジュールがポイントとなっており、LiDAR、レーダー、カメラで構成されるマルチセンサーアプローチによって収集されるデータをシステム間で自然にトレードオフするセンサーフュージョン技術により、さまざまな環境シナリオや運転シナリオに応じて信頼性の高いセンサーデータをインテリジェントに使用できるという。

■2019年6月:カリフォルニア州から自動運転タクシーの許可取得

Pony.aiは2019年6月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から自動運転を活用したタクシーサービスの許可を取得した。セーフティドライバー同乗が条件となるが、乗客を乗せたサービス実証により実用化に向けた開発を加速させていく構えだ。

■2019年8月:トヨタ自動車との提携発表

Pony.aiは2019年8月、自動運転の領域でトヨタ自動車と提携することを発表した。報道などによると、Pony.aiが開発する自動運転技術をレクサスに搭載し、公道での実験走行を行う計画を立てているとされた。

■2019年10月:ヒュンダイらと「BotRide」をスタート

Pony.aiと韓国ヒュンダイ、モビリティサービス事業を手掛ける米スタートアップのViaは2019年10月、米カリフォルニア州で自動運転タクシーのパイロットプログラム「BotRide」を開始すると発表した。

ヒュンダイの小型SUV「Kona」にPony.aiの自動運転システムを統合し、Viaのライドシェアプラットフォームでサービスを提供するとしている。サービスは2020年1月まで継続されたようだ。

その後Pony.aiは独自の自動運転タクシーサービス「PonyPilot」を同州アーバインで運用している。新型コロナウイルスが蔓延しだしてからは、移動サービスから輸送サービス実証に柔軟に切り替え、EC企業の米Yamibuyとの提携のもと配送サービスなどを行っている。

■2020年1月:オン・セミコンダクターとパートナーシップ締結

Pony.aiは2021年1月、米半導体大手のオン・セミコンダクターと自動運転車向けの次世代画像センシングや処理技術に関しパートナーシップを結ぶと発表した。

Pony.aiは、オン・セミコンダクターの画像検知や処理チップを活用し、グローバルな自動運転フリートで毎日大量のデータをキャプチャ・処理しているという。データ駆動型アルゴリズムを利用することで、次世代の画像検知や処理モデルはセンサーからの情報を最大化し、自動運転車の知覚機能を大幅に拡張することができるとしている。

オン・セミの画像検知や処理に関する専門知識と、Pony.aiの自動運転車に関する知識を組み合わせることで、自動運転車の知覚性能を高め、自動運転技術の産業化を加速することに取り組んでいく方針のようだ。

■2020年2月:トヨタから4億ドル調達

Pony.aiは2020年2月、自動運転開発の加速に向けトヨタから4億ドル(約440億円)を調達したと発表した。資金調達Bラウンドの一環で、セコイア・キャピタルなども参加し総額は4億6,200万ドル(約500億円)となっている。

トヨタからの戦略的投資については、自動運転技術の共同開発に加えモビリティサービスのさらなる可能性を模索するなど、パートナーシップにおけるコラボレーションの範囲を拡大するとしている。

【参考】トヨタとPony.aiのパートナーシップについては「トヨタ、自動運転スタートアップの中国Pony.aiに4億ドル出資 その狙いは?」も参照。

■2020年11月:資金調達Cラウンド、企業価値が53億ドルに

Pony.aiの資金調達Cラウンドが2020年11月、及び2021年2月に発表されている。2020年11月のラウンドでは、第一汽車集団(FAW)を含む6社参加のもと2億6,700万ドル(約300億円)、2021年2月のラウンドでは7社参加のもと1億ドル(約110億円)をそれぞれ調達した。

同社の企業価値は53億ドル(約5,800億円)に達したようだ。

【参考】Pony.aiの資金調達については「自動運転、中国ユニコーンが躍進!時価総額ランキング順に5社紹介」も参照。

■2021年3月:自動運転トラック事業本格着手

Pony.aiは2021年3月、自動運転トラック開発部門・ブランド「PonyTron」を発表した。以前から自動運転トラックの開発を進めており、そのブランド名をPonyTronに定め、事業を本格化させる構えだ。

同年4月には、ドイツのティア1サプライヤー・ZFとPonyTronが戦略テクパートナーシップを結ぶことが報じられている。商用車向けの自動運転ソフトウェアやソリューション開発などを共同で進めていくようだ。

■2021年5月:ルミナー製品搭載の最新プラットフォーム発表

LiDAR開発を手掛けるLuminar Technologiesは2021年5月、Pony.aiと共同で設計した最新のセンシングプラットフォームを発表した。

ルミナー製Irisをシームレスに統合し、車両のデザインにマッチするよう10センチほどの高さのハードウェアを平たくルーフ上に搭載している。360度センシングが可能で、次世代フリートに実装される予定としている。

■2021年5月:カリフォルニア州で完全無人自動運転の走行ライセンス取得

カリフォルニア州車両管理局(DMV)は2021年5月、ドライバーレスの無人自動運転車による公道走行ライセンスをPony.aiに発行したと発表した。

同州における無人運転許可はAutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Waymo、WeRide、Zooxが取得しており、Pony.aiは8社目となった。

今回の許可により、フリーモントやミルピタス、アーバインで最大6台の無人自動運転車による公道走行実証を行うことが可能になる。有効期間は2年間となっている。

Pony.aiは、今夏にもアーバインでセーフティドライバー同乗のもと自動運転タクシー実証を再開する模様で、2022年にドライバーレスによるサービスを実現する目標を打ち出している。

■2021年6月:自動車製造分野に乗り出す計画が浮上

中国のテックメディア・36Krによると、Pony.aiが自動車製造に乗り出す計画が浮上しているようだ。関係者筋の話として報じられている。

報道によると、2021年初から複数の自動車メーカーに対し有力幹部の引き抜きを仕掛けているという。製造する車両タイプなど詳細は不明だが、関係者は今年9月までに情報を公表するとの見通しを話している。

【参考】Pony.aiの自動車製造分野への参入については「Pony.ai、自動運転の「技術開発」だけでなく「完成車」も!無人タクシー用か」も参照。

■2021年6月:米市場への上場に関する報道

詳細は不明だが、Pony.aiは米国市場への上場も検討しているようだ。複数のメディアが報じている。36Krは、自動車製造分野への参入と合わせ、9月までに情報が公表されると報じている。

新興EV企業やLiDAR開発企業などの上場が相次いでいるが、2021年7月に米スタートアップのAurora Innovationが上場計画を発表するなど、自動運転システム開発組にもその波が押し寄せている。各企業がスタートアップから脱却し、ビジネスとして事業を本格化させる時期が到来したようだ。

【参考】Pony.aiの上場については「トヨタ出資のPony.aiが上場検討 米中で自動運転開発、有望性抜群」も参照。

■【まとめ】次のフェーズに向けステップアップ図るPony.ai

自動運転トラック分野への参入や自動車製造業への参入、上場の動きなど、本格的なビジネスを見越した取り組みが顕著となってきた印象だ。

特に、自動車製造業への新規参入はEV・自動運転分野でトレンド化しつつあり、今後の業界地図に大きな変化をもたらす。CASE時代を迎えた現在、単純な技術開発力だけではその波に飲み込まれかねず、先を見越した事業戦略が求められているようだ。

▼Pony.ai公式サイト
https://www.pony.ai/en/index.html
▼Pony.aiプレスリリース
https://www.pony.ai/en/press.html

※自動運転関連企業の取り組みを年表化した記事は、「タグ:年表」よりまとめて閲覧頂けます。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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