Aurora Innovation、自動運転の年表!トヨタやボルボとの協業も具体化

2021年内に米ナスダック市場へ上場予定



出典:背景画像はAurora公式サイト/公式ブログ

自動運転開発を手掛けるスタートアップのAurora Innovation(オーロラ・イノベーション、以下オーロラ)の注目度が日増しに高まっている。年内に米ナスダック市場に上場予定のほか、トヨタやボルボ・グループとの協業も具体化し、自動運転技術の社会実装に向けた取り組みも本格化した印象だ。

この記事では、オーロラのこれまで取り組みを年代順に追い、同社の戦略と展望に迫っていく。







■オーロラの概要

オーロラは、クリス・アームソン氏、スターリング・アンダーソン氏、ドリュー・バグネル氏の3人が中心となって2016年に立ち上げた。2017年に事業を本格化している。

CEO(最高経営責任者)を務めるクリス・アームソン氏は、米国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボットカーレース「DARPAアーバンチャレンジ」優勝チームでテクノロジーディレクターを務め、その後グーグルの自動運転開発プロジェクトに参加し、CTO(最高技術責任者)として活躍した実績を持つ。

一方、スターリング・アンダーソン氏はテスラの自動運転機能「オート・パイロット」における開発責任者、ドリュー・バグネル氏はUberの自動運転開発リーダーをそれぞれ担っていた。

同社は、さまざまなメーカーが製造した異なる車両で動作可能な自動運転システム「Aurora Driver」の開発を進めており、世界のOEMとのパートナーシップのもとグローバル展開していく自立した戦略を打ち出している。

当初はロジスティクス向けの自動運転トラックの開発が主体だったが、現在ではライドシェアネットワーク向けの自動運転車の開発なども積極的に進めている。

計画では、2023年後半に自動運転トラックを実現する方向で開発を加速させている。

■2018年1月:フォルクスワーゲングループと提携

オーロラは2018年1月、同社初のパートナーシップとしてフォルクスワーゲングループ(VWグループ)との提携を発表した自動運転に対する共通のビジョンのもと技術を共有し、市場投入するための補完的な専門知識を提供するとしている。

オーロラは2017年半ば以降、VWグループやシリコンバレーキャンパスの専門家と緊密に協力し、自動運転システムをVWの車両プラットフォームに統合してきた。こうした開発を継続し、自動運転ポッドやシャトル、デリバリーバン、自動運転トラックなど、さまざまな製品カテゴリへのシステム統合を目指す構えだ。

なお、VWは2019年、米フォードとのパートナーシップのもとArgo AIと提携したため、オーロラとVW間の提携は解消されたようだ。一部では、VWがオーロラ買収に動いたことに端を発するともささやかれている。

■2018年2月:資金調達Aラウンドで9,000万ドル取得

オーロラは2018年2月までに資金調達Aラウンドを実施し、Index VenturesやGreylock Partnersなどの投資家から計9,000万ドル(約100億円)を獲得した。

■2018年10月:ペンシルベニア州から公道実証ライセンス取得

オーロラは2018年10月、ペンシルベニア運輸省(PennDOT)から自動運転車を公道実証する許可を取得したと発表した。オペレーター同乗のもと、ピッツバーグ周辺で公道実証を進めていくとした。

ピッツバーグは、米国の中でも自動運転開発が盛んな都市の1つに数えられる。オーロラやArgo AI、Aptivなどが拠点を置くほか、カーネギーメロン大学が本部を構えていることも大きいようだ。ピッツバーグ市も自動運転の専門部署を設置し、社会実装に向けた取り組みを進めている。

■2019年初頭:シミュレーション技術開発7D Labs買収

オーロラは2019年の早い時期に、シミュレーション技術開発を手掛ける7D Labsを買収している。

同社は、映像制作会社のピクサー・アニメーション・スタジオのエンジニアが立ち上げたスタートアップで、高度な画像解析技術などを有する。自動運転向けのシミュレーション技術の研究を進める際にクリス・アームソン氏と意気投合し、2019年に「一緒に仕事を」という流れになったようだ。

オーロラでは知覚シミュレーションチームに加わり、各種センサーデータにおけるオブジェクト認識・追跡といったシステム開発を進めている。

■2019年2月:資金調達Bラウンドで6億ドル超獲得

オーロラは2019年2月、セコイアキャピタルが主導する資金調達Bラウンドで5億3,000万ドル超(約580億円)を確保したと発表した。アマゾンも出資している。同年6月には韓国の現代自動車グループも投資に加わり、総額は6億ドル超(約660億円)に達している。

ヒュンダイ、起亜とは2018年にパートナーシップを結んでおり、ヒュンダイが開発を進める水素を活用した燃料電池車「NEXO」にAurora Driverを統合していく計画としている。

■2019年5月:LiDAR開発企業Blackmoreを買収

オーロラは2019年5月、FMCW LiDAR開発を手掛けるスタートアップBlackmoreの買収を進めていることを発表した。

FMCW(周波数連続変調)は周波数変調を用いる「FM」を活用したLiDARで、光の周波数を変えながらレーザー光を連続照射し、反射波と送信波の周波数の変化から物体との距離や方向、移動速度を計測することができる。

同社は、FMCW LiDARについて、AM方式に比べより遠方を認識することができ、速度の瞬時測定、スケーリングの容易さなどをメリットに挙げている。

なお、Blackmore 創業者のランディ・レイベル氏はオーロラのLiDAR部門の副社長に就任し、後にオーロラが発表する「FirstLight LiDAR」の開発に大きく貢献していくことになる。

【参考】Blackmore買収については「自動運転開発の米オーロラ、トヨタ出資のLiDAR企業Blackmoreを買収へ」も参照。

■2019年6月:FCAと提携、Aurora DriverをFCA車両に統合

オーロラは2019年6月、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との提携を発表した。Aurora DriverをFCAの車両に統合し、ロジスティクスや輸送、その他のユースケースにおいてさまざまなソリューションを提供できるようにしていく。

■2020年7月:独自開発した「FirstLight Lidar」を発表

オーロラは2020年7月、独自開発したLiDAR「FirstLight Lidar」を発表した。知覚システムはこれまで以上に遠く、かつ速く、より高い精度で物体を認識・追跡することを可能としており、まず次世代試験車両の標準センサーとして使用していく。

FMCW LIDARはセンサーが単一光子に敏感なため、300メートル先のあまり光を反射しないターゲットも検知可能という。また、各データポイントに非常に正確な速度を瞬時に提供することで、オブジェクトの位置の変化から速度を推定する必要がなくなり、知覚システムは受信データをより高速に処理できるようになるという。

さらに、AM方式のLiDARが影響を受けやすい太陽熱負荷やセンサーのクロストーク、自己干渉といったエラー要因に対し、FMCWは各センサーがそれ自体の光パルスにのみ応答するように設計されているため、これらの問題に悩まされることなく少ない労力で正確なオブジェクト検出が可能になるとしている。

出典:Aurora Innovation公式ブログ
■2020年12月:Uberの自動運転開発ユニットを買収

オーロラは2020年12月、配車サービス大手Uber Technologiesの自動運転開発ユニット「Advanced Technologies Group(ATG)」を買収すると発表した。合わせて自社テクノロジーをUberの配車プラットフォームに接続し、Aurora Driverを幅広く提供していく戦略的パートナーシップも締結した。

買収に伴い、Uberはオーロラに4億ドル(約440億円)を投資し、UberのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏がオーロラの取締役会に加わり、両社のパートナーシップをサポートする。4億ドルの投資は、オーロラの非公開株をUber株主側に提供する対価のようだ。

オーロラは主にロジスティクス分野に向けた自動運転開発を進めてきたが、Uberは移動サービス向けの自動運転開発を進めてきた。この新たな知見を得ることで、移動サービスと物流両方の業界をリードする機会を得たとしている。

■2021年1月:PACCARと戦略的パートナーシップ締結

オーロラ2021年1月、米大型トラックメーカーのPACCARと戦略的パートナーシップを結び、自動運転トラックの開発と商業化に向けた取り組みを共同で進めていくと発表した。

PACCAR のPeterbilt579やKenworthT680にAurora Driverを統合し、無人運転可能なトラックを開発するとともに、今後数年間で自動運転トラックを大規模展開するための広範な商業化計画を作成していく。

■2021年2月:トヨタ・デンソーと戦略的パートナーシップ締結

自動運転開発を加速するオーロラの取り組みは、日本企業とのパートナーシップにまで発展した。オーロラは2021年2月、トヨタとデンソーと長期的かつグローバル、戦略的なコラボレーションのもと、自動運転車をグローバルに大規模展開すると発表した。

きっかけは、2020年12月に買収したATGだ。トヨタ・デンソーはUberと自動運転ライドシェアサービスの開発と展開に向け協業・出資しており、オーロラがATGを買収したことでオーロラを加えた新たな開発体制に刷新されたのだ。

新たなパートナーシップでは、2021年末までにAurora Driverを搭載したトヨタシエナを開発・実証し、自動運転サービスに向けたフリートの構築を進めていく。そして数年内にUberを含むライドシェアネットワーク上で稼働する自動運転車の大量生産や販売、サポートの基礎を築いていく。

また、長期的な取り組みの一環として、デンソーによる主要な自動運転コンポーネントの大量生産や、これらの車両を大規模展開する際の資金調達、保険、メンテナンスなどの包括的なサービスソリューションをトヨタと共同で検討していくこととしている。

■2021年2月:OURS Technologyを買収

オーロラは2021年2月、LiDAR開発を手掛ける米スタートアップOURS Technologyの買収を発表した。新たなLiDAR企業の買収により、コスト削減やパフォーマンスの向上などFirstLight LiDARのさらなる強化を図っていく方針だ。

OURS Technology は、X・Y・Z軸に反射率と速度を加えた5D-LiDARの開発を手掛けている。

■2021年3月:ボルボ・グループと自動運転トラックを発表

オーロラとボルボ・グループは2021年3月、戦略的パートナーシップのもと高速道路における自動運転を可能とするトラックを共同開発したと発表した。

両社は、2018年からボルボの高速道路トラックへのAurora Driverの統合と、「Transport as a Service(TaaS)」ソリューションの開発に重点を置いた共同開発を進めており、北米向けのハブツーハブアプリケーション向けの自律型トランスポートソリューションの開発・展開を目指すとしている。

■2021年6月:自動運転スタートアップWaabiに出資

カナダの自動運転開発スタートアップ・Waabiが2021年6月に発表した資金調達Aラウンドに、オーロラが参加している。

Waabiは、機械学習やコンピュータビジョンの分野で高い実績を誇るラケル・ウルタスン氏が立ち上げたスタートアップ。同氏は、豊田工業大学シカゴ校の助教授やUberの自動運転ユニットATGのチーフサイエンティスト、トロント大学教授などを歴任し、Waabiを立ち上げた。

ディープラーニングや確率的推論、複雑な最適化を活用するなどAIファーストのアプローチで自動運転業界に挑むようだ。

■2021年7月:ナスダック市場への上場計画発表

オーロラは2021年7月、米ナスダック市場への上場計画を発表した。特別目的買収会社「Reinvent Technology Partners Y」との合併によるSPAC上場で、2021年後半の上場を目指す。

合併後の時価総額は130億ドル(約1兆4,000億ドル)と推定している。また、既存株主は、合併企業の約84パーセントの株を所有すると予想している。

■【まとめ】有力スタートアップが軒並み次のフェーズに移行

2021年中に、トヨタとの協業の進捗や上場などが改めて大きな話題となりそうだ。Argo AIやGM Cruiseといったライバルも取り組みを本格化させており、各スタートアップが研究開発のフェーズから次のフェーズに移行する段階を迎えた印象だ。

有力スタートアップの一角に数えられるオーロラ。引き続き今後の動向に注目していきたい。

▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/
▼Aurora Innovation公式ブログ
https://aurora.tech/blog

※自動運転関連企業の取り組みを年表化した記事は「タグ:年表」よりまとめて閲覧頂けます。

【参考】関連記事としては「Nuroの年表!自動運転配送ロボットを開発、トヨタが出資」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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