ホリデーシーズンには、トラックの運転手だって長い連休を取りたい。
例えば、アメリカの冬のホリデーシーズンと言えば、11月下旬の感謝祭ごろから翌年1月の初旬までだ。近年は休日にEC(電子商取引)で商品を注文する人も増え、ホリデーシーズンの物流需要は高い。そのため、トラックのドライバーはなかなか仕事を休みにくい。
そうした状況にビジネスチャンスを感じている企業がある。ライドシェアの米最大手企業であるUber Technologiesだ。同社はホリデーシーズンにおける物流業界のこうした課題を解決することも視野に、自動運転トラックのパイロットプログラムを拡大するという。
ちなみにこのパイロットプロジェクトは、自動運転開発企業のAurora Innovationと進めているものだ。
■パイロットプロジェクトを拡大
Aurora Innovationは、「Aurora Horizon」という自動運転トラックソリューションを開発している。一方でUberは、運送会社と運送貨物をマッチングする「Uber Freight」というサービスを展開している。両社はこのほど、この両プロジェクトを組み合わせたパイロットプロジェクトをテキサス州で拡大することを発表した。
Uber TechnologiesとAurora Innovationは約1年前から、テキサス州のダラスとヒューストンの間で自動運転トラックで荷物を輸送する実証実験に乗り出している。この取り組みを拡大するようで、フォートワースとエルパソを結ぶ路線でも実験を展開するようだ。
Aurora Innovationの共同創業者の1人であるSterling Anderson氏は「ホリデーシーズンのサプライチェーンの圧迫を軽減することに貢献したい」と述べた。要は、ホリデーシーズンに物流需要が増えた状態でドライバーが休暇をとっても、自動運転トラックが業務の一部を補完するから大丈夫——といった考え方だ。
「稼働時間」に注目すると、自動運転トラックの優位性がさらに見えてくる。アメリカではトラックのドライバーに対し、運転を1日11時間以上させることが法律で禁止されている。しかし自動運転トラックではこうした「上限時間」がない。そもそも人が運転していないからだ。
■日本よりアメリカがこの分野でリード
長距離トラックドライバーの過酷な労働環境は、日本でもニュースになることがある。同時に、人材不足で増加する物流ニーズに対応できないという課題もある。こうした課題の解決に向けて期待されているのが、自動運転トラックだ。
自動運転トラックに関連する取り組みは、日本でも隊列走行を始めとして複数があるが、国レベルで比較するとアメリカの方が進んでいる印象だ。
自動運転トラックの実用化には、政府による法整備やインフラ整備も必須となってくるため、日本政府の今後の取り組み方針には要注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧(2022年最新版)」も参照。