トヨタ自動車も出資する中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)は2022年3月14日までに、シリーズDの第1回ラウンドにおける資金調達を完了したことを発表した。今回の資金調達により、Pony.aiの企業価値は85億ドル(約1兆円)まで上昇した。
■Pony.ai、「上場は近い」のか?
スタートアップ企業では通常、資金調達ラウンドが後半にいくに従って、IPO(新規株式公開)やM&A(買収・合併)といったエグジットのステージが近づく。ただしPony.aiに関しては、シリーズDの資金調達を行ったからといって「すぐに上場」というようにはならないかもしれない。
Pony.aiは過去にアメリカ市場でのSPAC上場の計画を発表しているが、その上場計画を凍結しているという報道が2021年8月に出ている。中国政府が自国のハイテク企業に対する締め付けを強化し、アメリカ市場での上場に目を光らせていることが背景にあるとみられる。
今後は従来の計画通りアメリカ市場で上場するのか、もしくは方針を変えて本国の中国市場で上場するのか、そして上場するとすればいつのタイミングになるのか、などに注目が集まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転開発の中国Pony.ai、米国市場での上場計画を凍結か」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 13, 2021
■トヨタとの関係が深いPony.ai
2016年設立のPony.aiは、米カリフォルニア州でGoogleとBaidu(百度)出身の2人が立ち上げた中国発の自動運転開発企業で、自動運転タクシーの開発を中心に急成長を遂げてきた。
日本企業との関係も深い。2019年8月にはトヨタ自動車との提携を発表し、2020年2月にはトヨタから4億ドル(約460億円)の出資を受けている。
2022年1月には、トヨタが自動運転タクシー向けに開発中の車両「シエナAutono-MaaS」に、Pony.aiが開発した第6世代の自動運転システムを搭載し、2023年前半にも中国で商用展開する予定であることを明らかにしている。
■大量生産と商業展開に向けて
ちなみに今回調達した資金は、雇用の増強や研究開発、自動運転タクシーと自動運転トラックのグローバル試験、戦略的パートナーシップの拡大、大量生産と商業展開に向けた費用などに充てられる予定だという。
Pony.aiは自動運転車のグローバル試験・運用の拠点を2022年に新たに開設する予定だとしており、その資金として使われる可能性も高そうだ。Pony.aiの動向に、引き続き注目だ。
▼Pony.ai公式サイト
https://pony.ai/
【参考】関連記事としては「トヨタ出資のPony.ai、自動運転ソフトで「全米初のリコール」」も参照。