トヨタ出資のPony.ai、自動運転ソフトで「全米初のリコール」

米NHTSAが発表、Pony.aiはリコール実施に合意



米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2022年3月11日までに、中国の自動運転開発ベンチャーであるPony.ai(小馬智行)が、同社の自動運転ソフトのリコールを実施することに同意したと発表した。自動運転ソフトに関しての「全米初のリコール」となるという。


▼Recalls|Pony.ai Automated Driving System|NHTSA
https://www.nhtsa.gov/equipment-detail/PONY.AI/AUTOMATED%252520DRIVING%252520SYSTEM/a__5233751

■Pony.aiは調査に全面的に協力する方針

今回のリコールは、2021年10月にPony.aiの自動運転車が起こした衝突事故を受けたものだ。NHTSAはソフトウェアに安全上の欠陥があるとし、Pony.aiに対しリコールの実施を要請していた。

NHTSAのスティーブン・クリフ副長官は声明で「人間のドライバーであれ、自動運転システムであれ、道路利用者を守る必要性に変わりはない」と強調した上で、「NHTSAは自動車メーカーと開発者に対し、最新技術を導入する際に安全を最優先させる」と述べている。

Pony.aiはNHTSAの非公式調査に全面的に協力し、徹底した検証を行うつもりだという。


■2021年10月の事故で実験許可が一時停止

トヨタから出資を受けているPony.aiは2021年5月、米カリフォルニア州における「完全無人の自動運転実験」の走行ライセンスを取得した。そして2021年10月下旬、カリフォルニア州の公道で完全無人の自動運転の実験を行なっていたときに事故を起こした。

実験では韓国ヒュンダイ(現代自動車)の電気自動車「コナ」10台を使い、そのうちの1台が中央分離帯と信号機に衝突する単独事故を起こした。負傷者は出ていなかった。

この事故を受け、米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)は2021年12月、Pony.aiに対して交付していた「完全無人での自動運転実験」に対する許可を停止した。許可の一時停止が解除されるのは、欠陥を修正する適切な行動を取ったことが確認されたとき、とされた。

■許可の停止はいつ解除される?

Pony.aiは2022年中にはドライバーレスの商用サービスを実現するという目標を掲げていたが、今回のリコールで雲行きが怪しくなっている。まずは「完全無人での自動運転実験」の許可の停止がいつ解除されるのかに注目したい。


▼Pony.ai公式サイト
https://pony.ai/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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