量産型!自動運転レベル4のタクシー、Pony.aiとSAICが開発へ

中国の複数都市での商用サービス展開目指す



出典:Pony.aiプレスリリース

トヨタが出資する中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)は2022年10月7日までに、中国最大の自動車メーカーSAIC(上海汽車集団)と共同でレベル4の自動運転車を開発することを発表した。ロボタクシー向けの車両として製造するという。

自動運転レベル4は、特定エリア内での完全自動運転を実現する技術レベルを指す。つまり、特定エリア内では完全なドライバーレスが実現する水準だ。


両社はこの完全ドライバーレスのロボタクシーを将来的に大量生産し、中国の複数都市でのサービス展開を目指していくという。

【参考】関連記事としては「自動運転、レベル4とレベル5の違いは?(2022年最新版)」も参照。

■コンセプトカー発表、17の統合センサー搭載

開発に先立ち発表されたコンセプトカーは、SAICのEV(電気自動車)「Marvel R」をベースに、Pony.aiのレベル4の自動運転システムを搭載したものだ。

このコンセプトカーには17の自動車用統合センサーが搭載されており、車両周辺の死角をなくし、360度かつ200メートルの視覚範囲を実現している。また、折りたたみ式ハンドルや冗長シャーシシステム、インテリジェントコックピット、リモートアシスタンスなどの機能も備えているという。


出典:Pony.aiプレスリリース
■2016年設立の有力ベンチャーPony.ai

Pony.aiは2016年設立のスタートアップで、中国・広州に本拠地を置いているが、米シリコンバレーにも開発拠点を構える。トヨタからの出資が発表されたのは2020年のことで、出資額は4億ドル(※当時のレートで約440億円)。両社はこのときすでに提携関係にあった。

Pony.aiは中国で2021年6月にドライバーレスでの自動運転の走行試験の認可を受けている。そして2022年4月には、広州市からタクシー事業の営業許可を取得している。この事例は、自動運転車両を用いたタクシー事業の営業許可としては、中国初のこととされている。

また、アメリカでも自動運転の試験走行許可を得ているが、2021年10月にカリフォルニア州内を自動運転モードで走行中、中央分離帯と信号機に衝突する単独事故を起こした。その後、カリフォルニア当局から自動運転の実験許可を停止されている。

一方、SAICは上海を本拠地とする自動車メーカーであり、米カリフォルニア州にも開発拠点を持つ。2017年6月には、中国のOEMとして初めてカリフォルニア州での自動運転実証の許可を受けている。


■「ソフト」のPony.ai、「ハード」のSAIC

Pony.aiはソフトウェア開発、SAICはハード(車両)開発の面で強みがあり、この両社のタッグはお互いにとって非常に有益なものだ。自動運転タクシーの開発で世界をリードできるか、引き続き注目が集まる。

▼Pony.ai公式サイト
https://www.pony.ai/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事