自動運転、レベル別の現状(2022年最新版)

ADAS、自動運転ともに市場化が加速



出典:Waymo公式サイト

年を追うごとに着実に実用化が進む自動運転技術。レベル3、レベル4はパイオニア的存在に続く対抗勢力が続々と実用化域に達し、今後数年間で市場を大きく拡大していくものと思われる。

この記事では、レベル1、レベル2のADAS(先進運転支援システム)を含め、2022年4月時点の情報をもとに、現在の市場や開発状況などをレベルごとに解説していく。







■自動運転レベル1
衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化スタート、ほぼ標準化域に

レベル1は、システムが縦方向、横方向どちらか一方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行する運転支援技術を指す。例えば、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール(ACC)、レーンキープアシスト(LKA)など単体のシステムがこれにあたる。

日本自動車工業会によると、2018年における衝突被害軽減ブレーキの装着率は低速向けを含め84.6%、ACCは高速・低速・全車速含め61.5%、LKAは31%となっている。

衝突被害軽減ブレーキは、日本主導のもと国連WP29(自動車基準調和世界フォーラム)で国際基準化されており、欧州では2024年7月から新車を対象に搭載が義務付けられる。日本では、国産新車の義務化が2021年11月に始まっており、継続生産車についても2025年12月に義務化される。

事実上、レベル1の標準化はかなり進んでいる状況だ。

■自動運転レベル2
ハンズオフ運転可能な高度レベル2の普及がスタート

レベル2は、システムが縦方向、横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行する運転支援技術を指す。広義では、ACCとLKAの両方を備え、かつ同時に作動可能であれば、縦・横方向の制御を両立できるためレベル2に相当すると言える。なお、車線はみ出しアラートなど、警告を発するのみの機能は制御を伴わないため、レベル2の構成機能にはならない。

近年では、一定条件下でハンズオフ運転を可能にする高度なレベル2(レベル2+)の普及が始まっている。周囲の監視義務は従来どおりだが、システムが縦・横方向の制御を高次元で支援・制御するため、ステアリングから手を離すことができる技術だ。

国内では、日産が2019年に新型スカイラインに実装を開始した「ProPILOT2.0(プロパイロット2.0)」が口火を切り、以降、2020年にスバルがレヴォーグに「アイサイトX」、2021年にホンダがレジェンドに「Honda SENSING Elite(ホンダセンシングエリート)」、同年トヨタがレクサスLSとMIRAIに「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」をそれぞれ搭載している。

トヨタは2022年1月、新型ノア・ヴォクシーにもアドバンストドライブを搭載可能にしており、今後順次対応車種を増やしていく見込みだ。

一方、スバルは高度なレベル2技術を2020年代後半にも一般道に拡大していく方針のようだ。現状のレベル2は高速道路などの自動車専用道が対象となっているが、将来的には一般道路まで拡大していくことが予想される。こうした対象エリア拡大時期にも注目だ。

■自動運転レベル3
ホンダが先陣

レベル3は、一定条件下においてシステムが全ての動的運転タスクを実行する条件付き自動運転を指す。システムが作動継続困難な場合は、システムからの介入要求(テイクオーバーリクエスト)に適切に応じ、手動で運転操作を引き継ぐ必要がある。

世界では、独アウディが2017年、レベル3システム「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を発表し、同年発売した新型A8に搭載可能としたが、世界の法規制を理由に事実上未実装のままとなっている。

その後、ホンダが2021年3月に渋滞運転機能「トラフィックジャムパイロット」を搭載した新型レジェンドを100台限定ながらリース販売し、自家用車における初のレベル3実装を成し遂げた。

独、韓国勢も2022年中に追随予定

ホンダに追随する動きを見せているのが、独メルセデス・ベンツ(ダイムラー)、BMW、韓国ヒュンダイ、中国勢だ。

ベンツはすでにドイツ運輸局からレベル3システム「DRIVE PILOT」の型式指定を受けており、2022年中に新型Sクラスにオプション設定する計画を発表している。

BMWは、一部メディアで2022年後半にも北米市場にレベル3搭載車を送り出す計画が報じられている。2022年後半に北米で発売予定の7シリーズセダンからレベル3の実装を開始し、その後5シリーズセダンやX5、X7などに順次広げていく計画という。

ヒュンダイは自社カンファレンスの中で開発責任者がレベル3に言及しており、2022年発売予定の新型「Genesis G90」にレベル3を搭載する予定のようだ。

中国勢もレベル3開発に意欲的で、早くからレベル3技術搭載車両の量産計画を喧伝してきたが、同国の法規制などを要因に実現には至っていない状況だ。

長安汽車や第一汽車(FAW)、吉利汽車(Geely)、奇瑞汽車(Chery)などが過去にレベル3開発・量産計画を報じられているほか、新興EV勢の小鵬汽車(Xpeng)や上海蔚来汽車(NIO)などもレベル3開発を進めており、中国政府の意向次第で開発各社が大きく動き出す可能性が高そうだ。

移動サービスにおける遠隔監視・操作型レベル3も

移動サービスでもレベル3の実用化が一部で始まっている。福井県永平寺町と沖縄県北谷町では、ゴルフカーを改造した低速自動運転車を活用した遠隔監視・操作型のレベル3移動サービスを提供している。近い将来実現を目指すレベル4に向けた取り組みだ。

安全確保のため後部座席に保安要員が乗車しているものの、いずれもドライバーレスを実現しており、遠隔地にいるオペレーターが複数車両を必要に応じて監視・操作する仕組みを採用している。永平寺町では廃線跡を活用した自転車歩行者専用道「永平寺参ろーど」、北谷町では町有地の通路(道路外)を走行するなど、公道外を走行ルートに設定することでドライバーレスを実現した形だ。

■自動運転レベル4
自動運転バスやタクシーは実用化済み

レベル4は、運行設計領域(ODD)内において、システムが全ての動的運転タスクを担う。作動継続が困難な場合においても、人に頼らず安全な状況を見極めて停車するなど、運行を自己完結することが可能なシステムとなる。

自動運転バスや自動運転タクシーといった移動サービス用途が開発の主流となっている。定路線を運行する自動運転バスでは、仏NAVYAやEasyMile、米May Mobilityなど、レベル4での走行が可能な低速自動運転シャトルが世界各地で実証・実用化されている。

これらのNAVYAやEasyMile、May Mobilityとも日本に導入実績があり、例えばNAVYAの「ARMA」は茨城県境町でBOLDLYやマクニカが定常運行を行っている。ただし、日本の公道を走行するため、現状は車内オペレーターが常時監視し、一部操作も人が担っていることから、レベル2相当での走行となっている。

自動運転タクシーでは、米グーグル系のWaymoが2018年、アリゾナ州で世界に先駆けてサービス化を果たした。2019年には一部車両でドライバーレスのサービスも開始している。

米国ではこのほか、GM系Cruiseやフォードが出資するArgo AI、Aptivとヒュンダイの合弁Motional、トヨタと提携するAurora Innovationなどが積極的に開発や実証を進めており、2022~2024年ごろまでに各社がサービス展開する可能性が高い。

一方、中国でも2019年ごろから公道実証が大きく加速しており、百度(バイドゥ)を筆頭にAutoX、WeRide、Pony.ai、Momentaなど開発プレーヤーも目白押しだ。百度やAutoXはドライバーレスの公道走行許可のもと、無人サービス実証にも着手している。

レベル4自家用車の開発計画も

このほか、インテル傘下のイスラエル企業Mobileyeも開発に積極的で、日本を含む世界展開を見据えた事業活動を進めている。近々では、自家用車向けのレベル4開発に着手したことを発表しており、2024年にも中国市場で販売開始する予定としている。

【参考】Mobileyeの取り組みについては「自動運転で未知の領域!「市販車×レベル4」にMobileyeが乗り出す」も参照。

レベル4に対応した法整備も加速

ドライバー不在の無人運転実現には、多くの国で法改正が必須となる。いち早く動いたのはドイツで、2021年に道路交通法を改正し、一定条件を満たせばレベル4走行を可能にした。フランスでも2022年9月から自動運転車の公道走行が解禁される見込みという。

日本でも警察庁が2021年12月、レベル4を可能にする新たな道路交通法の原案を発表したようだ。移動サービスなどを主目的に、特定ルートで遠隔監視のみのドライバーレス走行実現を目指す構えだ。

【参考】レベル4に関する法整備については「自動運転、2022年は世界で「レベル4」の法整備加速」も参照。

■自動運転レベル5

自動運転レベル5に関しては、現状、まだ特筆すべき点はない。レベル5は簡単に言えば「いつどんなときでも」「世界のどこでも」完全なる自動運転ができる水準を指し、実現には、技術的にレベル5の走行が可能であり、かつ、世界各国で法整備が済んでいることなどが必要となる。今後国際会議などでルール整備に関する議論が加速すれば、レベル5の実現が徐々に見えてくる。

■【まとめ】2022年中の各社の動向に注目

レベル3は2022年中に新たな動きが飛び出すことはほぼ間違いない状況だ。レベル4も着々と開発が進み、1~2年後の実用化を見据えた動きが活発になってきた。国境をまたぐような取り組みも盛んになり始めており、移動サービス市場をめぐる勢力争いが今後激化しそうだ。

2022年中に開発各社がどういった動きを見せるか、要注目だ。

■関連FAQ
    自動運転レベルとは?

    0〜5の6段階に分類され、現在ではレベル3の市販車が発売され、レベル4の自動運転タクシーが商用化されている段階だ。

    ADASとは?

    一般的に、レベル1〜2の段階をADAS(先進運転支援システム)と呼ぶ。呼称が「自動運転レベル1」「自動運転レベル2」であるため、自動運転と勘違いしそうになるが、レベル1〜2はあくまで運転支援の水準だ。

    自動運転レベル3の市販車で発売済みの車種は?

    2022年4月現在では、ホンダの「新型LEGEND」のみとなる。2021年3月に発売され、レベル3の市販車としては「世界初」の称号を得た。

    自動運転レベル4の市販車は発売されている?

    2022年4月現在では、まだ発売されていない。一方、自動運転レベル4の水準で展開されている自動運転タクシーは、アメリカや中国に存在している。

    自動運転レベル5はいつ実現するのか?

    現状ではまだ見通しは不透明だ。自動運転レベル5は、あらゆる条件、あらゆる場所で完全無人の自動運転が実現できなければならない。車両に搭載する技術だけではなく、法律、インフラ、社会受容性など、さまざまなハードルを乗り越える必要があり、すぐには実現できない。

(初稿公開日:2022年1月19日/2022年4月14日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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