現在の自動運転のレベルは?【車種別・国別】

自動運転バスは日本も善戦?



自動運転開発・実用化が世界各地で熱気を帯びている。エンドツーエンドモデルの登場により、各社の取り組みはいっそう加速しているようだ。


自家用車やバス、タクシー、トラックなど、世界ではどのくらい自動運転化が進んでいるのか。米国、中国、そして日本の3カ国において、カテゴリ別に自動運転の進捗状況をまとめてみた。

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■自家用車

アメリカ:自動運転レベル3実装済み、レベル4目指す動きも

米国における自家用車市場では、自動運転レベル3が最高峰となる。独メルセデス・ベンツが2024年モデルへのオプション搭載を開始し、カリフォルニア州とネバダ州でサービスを提供している。

BMWやボルボ・カーズも一時期追随する動きを強めていたが、特段進展はない。米メーカーのGMとフォードは自動車専用道路におけるレベル2+の普及に注力しているが、GMが2026年3月にレベル3の公道実証を開始し、2028年にキャデラック・エスカレードIQを皮切りに導入を開始していく計画を発表している。フォードも同様に2028年を目途にレベル3の実装を目指す計画のようだ。


テスラは、道路の種別に限定されずハンズオフ運転を実現するレベル2++を実装済みで、レベル5を見据えた開発を継続中だ。レベル5としての実装はおそらくまだまだ時間を要するものと思われるが、戦略を変え、限定条件を付すレベル4仕様にかじを切れば思いのほか早く実用化できるかもしれない。

このほか、中国AutoXの米国事業を前身とするTensorが自家用レベル4実用化に取り組んでおり、ベトナムの自動車メーカーVinFastとの提携のもと、量産化に向けすでに動き出している。2026年後半を目標に、北米やアラブ首長国連邦(UAE)などの市場で発売・納車を開始する予定としている。

【参考】関連記事「世界初?自動運転中の「ハンドル折り畳みモード」登場」も参照。


世界初?自動運転中の「ハンドル折り畳みモード」登場

中国:自動運転レベル2++の搭載が加速、レベル3市販車も認可

中国では、ファーウェイやXpengなどの新興勢を中心に自動運転レベル2++の普及が加速している。エンドツーエンドモデルの活用が米国を上回る形で進み始めている印象だ。

レベル2++は、AITOなどのファーウェイ系のほか、Xpeng、BYD、NIOなどが意欲的に開発・実装を進めている。


レベル3は公道実証が始まっており、北京汽車や重慶長安汽車などがライセンスを所持している。北京汽車系のArcfoxと長安汽車系のDeepalは市販車への搭載強化も取得した。具体的な運用は不明だが、レベル3市場が2026年中に拡大を始めたようだ。

Xpengはレベル4ロボタクシーの量産を開始しており、2026年中にサービス実証に着手する予定としている。技術的に限りなくレベル4に近い水準に達していると思われる。自動車メーカーとして、今後の自家用車への導入戦略が気になるところだ。

日本:日産が自動運転レベル2++を2027年にも

ホンダが発売したレベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

日本では、ホンダが2021年3月、世界初となる自動運転レベル3を新型レジェンドに搭載し、自家用車の自動運転化の口火を切った。ただ、レジェンドは100台限定のリース販売だったため、現在国内で販売中のレベル3車両はない。

国内ではレベル2が主力で、レベル2+もほぼすべてが高速道路渋滞時に限ったものとなっており、米国・中国に後れを取っている。

自家用車のレベル3、レベル4計画は後退気味の印象だが、日産がWayveとのパートナーシップのもと、レベル2++に相当するものと思われる次世代プロパイロットを2027年にも導入する計画を発表しており、注目が集まるところだ。

■自動運転タクシー

アメリカ:Waymo一強続くが、新規参入組も虎視眈々

出典:Waymoプレスリリース

米国では、グーグル系Waymoが2018年末に世界初の自動運転タクシーを実用化し、世界における自動運転時代の扉を開いた。2019年末に一部車両でドライバーレス運行を開始しており、以後自動運転レベル4サービスを拡大している。

アリゾナ州フェニックスを皮切りに、2026年6月までにサンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタ、ダラス、ヒューストン、マイアミ、ナッシュビル、オーランドでサービスを提供している。

2025年以後エリア拡大を加速しており、今後英ロンドン、日本の東京を含む約20都市でのローンチも計画している。米国内では一強状態だ。

他社としては、一時期GM系CruiseがWaymoを猛追していたものの、人身事故をきっかけにサービスを中止し、最終的にGMが事業中止を決定した。

アマゾン系Zooxは2025年9月にラスベガスでサービスを開始し、サンフランシスコにも拡大している。自動運転シャトル開発を進めていたMay Mobilityも徐々に自動運転タクシーにシフトし、アーリントンやアトランタなどでサービスを提供している。一部は無人化を果たしているようだ。

テスラも2025年6月にアトランタでサービスインし、2026年には一部車両で無人サービスの提供を開始したと発表している。このほか、NuroやMotional、Avrideなど、実証を積み重ねている企業も多い。

配車サービス大手Uber Technologiesが各社とパートナーシップを結び、グローバル化を加速する動きを見せている点にも注目したい。

中国:Baidu、WeRide、Pony.aiの3強体制続く

自動運転車を開発する中国のWeRide=出典:WeRide公式サイト

中国では、BaiduやWeRide、Pony.aiが3強状態を継続し、自動運転レベル4サービスを提供している。AutoXは消息不明気味となっている。Baiduは武漢や北京、上海、深センなど10都市以上で無人サービスを展開しており、規模では中国トップと言える。

ただ、2026年4月に運行中の同社の車両100台以上が一斉停止する事案が発生し、中国当局が自動運転車の新規許可証発行を無期限停止する措置に踏み切ることが報じられている。

WeRideは、広州、北京、南京、蘇州をはじめ、アブダビ、チューリッヒ、ドバイ、リヤド、シンガポール、オルドスとグローバル展開を加速している。

Pony.aiは、北京、上海、広州、深センなどのほか、クロアチアで商用サービスを開始するなど、こちらも海外展開を推し進めている。これら3社はそれぞれフリート数が1,000台を超えており、Waymo並みの規模と言える。Waymoより一足早くグローバル化にかじを切っている点もポイントだ。

このほか、XpengやMomenta、Deeproute.aiなども自動運転タクシーの開発を進めている。

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日本:日本勢 VS. 海外勢の展開も?

国内企業では、ティアフォーやムービーズ、newmo、日産、ホンダなどが自動運転タクシーの開発を進めている。自動運転レベル4はまだ未達成の状況だ。

ティアフォーは早くから開発を進めており、東京都内の西新宿エリアやお台場エリアなどで実証を重ねている。2027年度までに、新規導入エリアに対してリファレンスデザインを活用することで3カ月以内に自動運転タクシーを運用開始できるサービスモデルを構築し、全国各地への社会実装に貢献するとしている。

2024年創業の金沢大学発スタートアップ・ムービーズ(MoveEz)は、大学における長年の研究開発を活用し、全天候型でマップレスの自動運転タクシー開発を進めている。海外での事業展開も見据え、米国法人も設立している。

newmoは、ティアフォーやマクニカ、KDDIとパートナーシップを結び、大阪府内でのサービス実装を目指している。すでに大阪市、堺市と連携協定を結んでおり、2028年のレベル4商用化を目指している。

日産は、自動運転タクシーという名称を用いていないが、柔軟な移動を可能にする新たなモビリティ「Easy Ride」の実証を早くから進めており、2027年度までにドライバーレスサービス提供を目指している。

ホンダはGM、Cruiseとの事業がとん挫したものの、自社主導のもと自動運転タクシーの開発を継続しているようだ。米Helm.aiなどAI開発を手掛ける強力なパートナーもおり、改めて期待したいところだ。

海外勢では、Waymoが日本交通、GOと手を組み、東京都内で実証を進めている。英Wayveは、Uber Technologies、日産とのパートナーシップのもと日本展開を目指している。このほか、NuroやMay Mobilityなども日本拠点を設置しており、自動運転タクシー事業に本格着手する可能性も考えられそうだ。

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■自動運転バス

アメリカ:自動運転バスは開発熱が高まらず?

米国では、自動運転タクシーが業界の主流となっており、自動運転バスに関する報道は極端に少ない。Coast Autonomousなど開発・実証を進める企業は複数存在するものの、日本同様大半が州や自治体主導の取り組みとなっており、温度が上がっていない印象が強い。

実証レベルではレベル4は達成されているが、継続的なサービスとしては、May Mobilityの自動運転シャトルサービスがレベル4で提供されているものと思われる。

中国:BaiduやWeRideが牽引

中国でも開発の目玉は自動運転タクシーとなっているが、BaiduやWeRideなどが自動運転バス事業も展開しており、すでに各地で自動運転レベル4サービスを実用化している。

Baiduは、主導するアポロプロジェクトのもと、パートナー各社が自動運転バスを実用化している。WeRideは専用設計のRobobusを開発し、世界約30都市で実用化・実証を進めているようだ。日本でも導入されている。

日本:9カ所で自動運転レベル4運行が可能に

米中と異なり、日本は自動運転バスの開発に軸足を置いた政策が進められてきた。実証・実用化当初は、Navya Armaなど当時としては完成度の高い自動運転モビリティを導入することが多かったが、現在はティアフォー製Minibusや先進モビリティの自動運転システムを搭載した中型・大型バスなどを採用する事例が増えている。

一方、 Auve TechやWeRideといった海外先行勢の車両を新規導入する動きも続いており、国内勢はさらなるブラッシュアップを求められそうだ。

国内におけるレベル4第一弾はゴルフカーを改造した低速モビリティで、福井県永平寺町で2023年5月に運行を開始した(現在は運休中)。

2025年末時点で、レベル4運行を可能にする特定自動運行許可を取得しているのは、北海道上士幌町、茨城県日立市、東京都大田区(羽田)、福井県永平寺町、長野県塩尻市、三重県多気町、大阪府大阪市(万博)、愛媛県松山市、千葉県柏市――の9カ所となっている。

【最新版】自動運転バスの実用化状況・車種は?【導入コストのデータ付】

■自動運転トラック

アメリカ:ミドルマイル向け、ラストマイル向けともに実用域へ

米国では、Aurora Innovation、Kodiak AI、Plus、Bot Autoなどが自動車専用道路に限定した自動運転レベル4長距離サービス提供に向け開発を進めている。

テキサス州などの一部エリアではすでに実用域に達しているが、州をまたぐ運行には各州の規制をクリアする必要があるため、北米全域の展開にはまだ時間を要しそうだ。

一方、Gatikのように、一般道を無人走行する自動運転トラックも実用域に達したようだ。テキサス州やアリゾナ州などで高速道路と一般道を昼夜連続で走行し、事故なく完全無人運転による配送を6万件達成したという。

中国:Pony.aiらが自動運転トラックの開発を加速中

中国では、Pony.ai、Inceptio Technology、Plus、TrunkTechといったプレイヤーが自動運転トラックの開発を進めている。厳密に自動運転レベル4としてサービスを提供しているかは不明だ。

Pony.aiは、北京、上海、広州などを結ぶ幹線輸送ネットワークの構築を目指しているようだ。隊列走行型自動運転ソリューション「Tuo Ling」なども発表しており、すべての車両がレベル4相当で、先頭車両のみオペレーターが乗車する形式という。

Inceptio Technologyはレベル3相当の量産型自動運転トラックの提供を2021年に開始しており、実証やレベル2+運行含め商業走行距離2億キロを突破しているという。無人のレベル4開発も進めている。

TrunkTechは、レベル4自動運転トラック「AiTrucker」をはじめスマートデバイスやクラウドサービスなども手掛けており、港湾において無人輸送の商用運行をすでに実現している。

日本:東京~大阪間の高速道路で2027年にも事業化

出典:T2プレスリリース

日本では、高速道路における長距離輸送に主眼を置いた取り組みが官民一体となって進められている。三井物産系でPreferred Networksの技術を活用したT2が主役に名乗り出て、さまざまな荷主を巻き込んだ実証を加速している。

T2は2026年3月、関東~関西間約 500キロ の高速道路本線において、ドライバーによる一時的なハンドル操作を一度も発生させず自動運転のまま完走することに成功したと発表している。2027年にもレベル4自動運転トラックを事業化する計画だ。

ティアフォーも2024年度に新東名高速道路で自動運転トラックの実証に着手しており、高精度地図を必要としない技術などを導入して実用化を目指す構えだ。

このほか、かつて米国などで自動運転トラック開発を進めていたTusimpleのエンジニアらが2024年に設立したロボトラックも開発を進めている。2026年度に東京~大阪間でレベル4相当の実証を行い、2028年度を目標に自社製品の上市を計画している。

■【まとめ】エンドツーエンドモデルがカギを握る?

自動運転タクシーについては、米国・中国勢が他の追随を許さぬ勢いを保っている。今後、エンドツーエンドモデルの実用化によりゲームチェンジが起こるか注目だ。

自動運転バスに関しては、実用化面では日本も特段見劣りはしない。従来のルールベースの自動運転システムとの相性も良く、プラットフォームとなる車両開発と合わせれば世界に食い込める余地は十分残されていそうだ。

自動運転トラックは、国内外とも主力は長距離輸送となっており、ここ数年で日本が追い上げている状況だ。現状、各国に大きな差はないように感じる。ラストマイル向けに関しては、大きく重い車体を市街地で柔軟に自動運転するハードルは非常に高く、タクシーやバスより実用化が遅くなりそうだ。

自家用車においては、レベル4実用化を目指す動きはまだ限定的ではあるものの、エンドツーエンドモデルの進捗状況によっては一気に花を咲かせる可能性もある。その前哨戦となるレベル2++の動向にしっかり注目したいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(タイプ別)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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