自動運転、日産が世界初「自家用車レベル4」発売へ

前原氏がSNSに投稿!ホント?



思いがけないところから、日産レベル4販売計画が明るみとなった。日本維新の会共同代表を務める前原誠司衆議院議員が、日産が開発している実質レベル4の自動運転を体験し、「来年から販売される予定」とSNSに投稿したのだ。


これが事実であり、計画通り実現すれば世界初の自家用レベル4誕生となる可能性がある。前原氏の投稿は、果たして真実なのか。日産の最新動向に迫る。

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■前原誠司議員の投稿概要

国交省を介して日産の自動運転車両を体験

前原氏は2026年5月21日、SNS「X」に以下の投稿を行った。

「今日、国土交通省から話をいただき、日産自動車が開発されている実質レベル4の自動運転車両に乗せていただきました。約40分間、霞ヶ関、銀座、新橋を回りましたが、怖いと思ったことは一度もありませんでした。来年から販売される予定とのこと。また、自動運転タクシーも東京でスタートされると伺い、日本もようやくと嬉しくなりました。都市部もさることながら、移動手段が限られ免許返納を躊躇されている地方のシニアの方々に朗報だと感じました。益々の進展を期待しております。お世話になった国土交通省・日産自動車の皆様、ありがとうございました。(誠)」

国土交通省を介し、日産が開発を進める実質レベル4車両を体験したようだ。完成度は非常に高いようで、「来年から販売される予定とのこと」「また、自動運転タクシーも東京でスタートされると伺い……」と日産の計画を明かしている。


出典:X

テスラやTensorを追い越すかも?

鵜呑みにすれば、日産は2027年に実質レベル4車両を販売開始する予定となる。別途、自動運転タクシーも東京でスタートするようだ。

レベル4以上の自家用自動運転車に関しては、米テスラが早くから開発を進めており、FSDの自動運転化に躍起となっているが、レベル5を目指していることもあり、その実現時期は不透明な状況が続いている。

現在、有力候補の一社に挙げられるのは米Tensorだ。承認された区域内で自動運転を可能にする「Tensor Robocar」の開発を進めており、すでにベトナムの自動車メーカーVinFastとの提携のもと量産化を進めている。計画では、2026年後半にも北米やアラブ首長国連邦(UAE)、デンマークなどの市場で発売・納車を開始する予定としている。

ただ、自家用車におけるレベル4の規制は世界的にも整備が進んでおらず、許認可次第では計画が二転三転する可能性も考えられる。中東あたりは有力かもしれないが、米国では各州独自のルールに阻まれる可能性が高そうだ。


一方で、日産は国と連携した形で社会実装を進めている。先の前原議員のSNSでも「国土交通省から話をいただき……」とあるように、関連省庁と密に連携しているため、技術さえ整えば規制に阻まれる可能性は限りなく低い。

この点が有利に働けば、世界初となるレベル4自家用自動運転車が日本から誕生する可能性が高まる……ということだ。

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実際はレベル2++の次世代プロパイロット?

ただ、日産・国交省サイドと前原議員との間で、情報に齟齬が生じている可能性が高い。なぜならば、日産のこれまでの発表では、2027年度に販売を計画しているのは「エンドツーエンドの自動運転技術を実現する次世代プロパイロット」としており、この次世代プロパイロットは「レベル2」としているためだ。

次世代プロパイロットは俗に言う「レベル2++」に相当するものと思われる。詳細は後述するが、高速道路に限定せず、市街地などより複雑な交通環境を含む一般道において高度な運転支援を実現する技術としており、ドライバーの常時監視を義務としたものだ。

前原氏は、おそらく「将来的なレベル4を想定した技術で、2027年度に実装予定」あるいは「実質レベル4と言っても遜色ない(レベル2)技術」――といった感じの説明を受け、先の投稿を行ったのではないだろうか。

もしくは、前原氏の頭の中で「レベル4に限りなく近いレベル2技術」が「実質レベル4」に変換されたのかもしれない。「レベル4自動運転タクシー」と自家用車の取り組みが混同されてしまっていることも考えられる。

いずれにしろ、最も可能性が高いのは「日産は2027年度に高度なレベル2の実用化を目指している」ということだ。テスラのFSD並みの「レベル2++」とすれば、このような高度な技術が国産メーカーから世に送り出される……というだけでも、自家用車市場に大きなインパクトをもたらす素晴らしい進化と言えるだろう。

■日産の取り組み

Wayveとの協業でプロパイロットを高度化

日産は、プロパイロット2.0で国産メーカー初のハンズオフ運転(レベル2+相当)を実現し、自動運転サービス分野でもトヨタホンダに先駆ける形で本格実証を進めるなど、早くから自動運転開発・実装を進めてきた。

2025年には、エンドツーエンドの自動運転開発を手掛ける英Wayveとの協業のもと、同社のAI技術を自動運転に適用したソフトウェア「Wayve AI Driver」と、次世代LiDARを活用した日産の「Ground Truth Perception」技術を組み合わせた、次世代プロパイロットの開発試作車を公開した。

試作車は、高速道路だけでなく市街地の複雑な道路環境においてもスムーズで安全な運転支援を実現したという。

この成果をもとに、Wayve AI Driverを日産の次世代プロパイロットシリーズに採用していくことで合意し、2027年度に最初のモデルを国内で販売する予定としている。

WayveのエンボディドAIソフトウェアと日産の先進技術を融合することで、ADASとポイント・ツー・ポイントの高度な自動運転を実現する方針としている。

テスラとは異なり、LiDARなどを併用して多様な走行条件における安全性を高めている点に注目したい。

▼次世代ProPILOT
https://www.nissan-global.com/JP/INNOVATION/TECHNOLOGY/ARCHIVE/NEXT_GEN_PROPILOT/

国交省はレベル2++の優良認定制度創設へ

国交省は現在、自動運転レベル2++の優良認定制度創設に向け検討を重ねている。各メーカーにおけるレベル2++の開発・普及を促進するとともに、自動運転車両に対する認知度と社会受容性を高める狙いがある。

レベル2++はあくまでADASであるため、自動運行装置などの規制には引っかからないものと思われるが、型式指定などの安全基準を満たす必要があり、ハンズオフ運転の安全性を証明しなければならない。

また、多くの場合レベル2++はE2Eをベースとしており、将来的な自動運転化に向けた前段階と捉えることができる。認定制度により、ドライバーの誤認を防ぎつつ普及を促進することができれば、自動運転社会の早期実現に大きく貢献することも考えられるだろう。

レベル4サービスは2027年以降が濃厚

自動運転サービス関連では、日産は2018年に自動運転車両を活用した新しい交通サービス「EasyRide(イージーライド)」の実証を開始し、毎年のように本社を構える横浜市内で走行・サービス実証をおこなってきた。

2027年以降にレベル4相当のドライバーレスサービスを提供開始する計画で、神戸市でも実証に着手している。

また、2026年3月には、配車サービス大手Uber TechnologiesとWayveとともに2026年後半にも東京都内で自動運転タクシーの試験運行開始を目指す協業を発表した。

Uber TechnologiesとWayveはロンドンなど世界10都市以上で自動運転タクシーを展開する計画を掲げており、この計画の一環として、東京では日産が車両を供給する。WayveのAI Driverを搭載した「日産リーフ」を自動運転タクシー化し、Uberのプラットフォームを通じてサービスを提供する予定だ。

Wayveにはソフトバンクグループ(SBG)も出資している。近年、SBGはトヨタとの距離を縮めていたが、今後日産ともお近づきになっていくのかもしれない。

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■【まとめ】オールド自動車メーカー初のレベル2++へ?

本当にレベル4相当の自動運転自家用車を2027年度内に実現するならば、いろいろな意味で前原氏と日産に頭を下げたい。

ただ、レベル2++であったとしても、これは非常に大きな進歩だ。テスラが長年かけて辿り着いた現在地に、来年度にも追い付く……ということは、オールド自動車メーカーの中で頭一つ抜きん出るということになる。

日産独自の技術とWayveの技術がどのような化学反応を起こし、相乗効果を生み出すのか。改めて日産の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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