自動運転機能の市場化状況一覧(2022年最新版)

ハンズオフは横並び、レベル3は2022年に競争スタート



出典:経済産業省(出典:※クリックorタップすると拡大できます)

国土交通省と経済産業省設置する「自動走行ビジネス検討会」は2022年4月、これまでの検討結果を取りまとめたレポート「自動走行ビジネス検討会報告書version 6.0」を公表した。

この資料の中で、世界の自動車メーカー各社などのオーナーカーを対象とした自動運転(AD)や先進運転支援システム(ADAS)の上市状況をまとめた表が掲載されている。各社の開発動向が一目瞭然で、今後の市場化予定の計画も非常に把握しやすいものとなっている。







この記事では、同表をベースに各社の市場化動向について解説していく。

■日本
自動運転レベル2

国内主要自動車メーカーは、いずれもレベル2を市場化済みだ。日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の中で、プロパイロットを2026年度までに250万台以上販売することを目標に掲げ、2030年度までに運転支援技術をさらに進化させ、ほぼすべての新型車に高性能な次世代LiDAR技術を搭載することを目指すとしている。

一方、ホンダは全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」を2030年までに先進国で全機種展開を図るとしている。

レベル2は、一般的に縦制御をアシストするアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と横制御をアシストするレーンキープアシスト(LKAS)などの両方を備えていることを条件とする。各機能の性能にばらつきはあるものの、各社のADASパッケージの多くで標準搭載化が進んでおり、2020年代に大きく普及していく見込みだ。

自動運転レベル2(ハンズオフ)

ACCとLKASが高機能化し、比較的高精度かつ安定的に縦制御と横制御の両方を同時実行することが可能なシステムは、ハンズオフ運転を実現する。周囲の監視義務は従来と変わらないが、ハンドルから手を離してリラックスした状態で運転することができる。

ハンズオフを実現するレベル2は、高度レベル2やレベル2+、レベル2.5などと呼ばれ、従来のレベル2と区別して扱われることが多い。レベル2における完成形の1つと言えそうだ。

ハンズオフ機能は、国産車では日産の「ProPILOT2.0(プロパイロット 2.0)」に初実装され、2019年に販売開始した新型スカイラインに搭載された。プロパイロット 2.0はその後、アリアにも搭載されている。

スバルは「アイサイトX」に渋滞時ハンズオフアシスト機能を備え、2020年11月発売の新型レヴォーグに実装した。その後、WRX S4やレガシィアウトバックにも搭載車種を拡大している。

ホンダは、2021年3月発売の新型レジェンドに搭載した「Honda SENSING Elite(ホンダセンシング・エリート)」にハンズオフ機能付車線内運転支援機能を設定している。

トヨタは2021年4月、新型MIRAIとレクサスの新型「LS」に最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate/Lexus Teammate」の新機能としてハンズオフが可能な「Advanced Drive」搭載車を設定した。

その後、2022年1月発売の新型ノア・ヴォクシーに「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」を設定するなど、ハンズオフ機能搭載車種を積極拡大し始めた印象だ。

【参考】ハンズオフ機能搭載車種については「「手放し運転」が可能な車種一覧(2022年最新版) ハンズオフ機能とは?」も参照。

自動運転レベル3

一定条件下で自動運転を可能にするレベル3は、ハンズオフに加えアイズオフ運転を実現する。システムからの運転交代要請(テイクオーバーリクエスト)に即座に応じる必要があるものの、システム稼働中に限りドライバーは運転操作から解放される。

国内では、ホンダがレベル3 システムの型式指定を2020年11月に国土交通省から取得し、翌2021年3月に渋滞時に自動運転を可能にする「トラフィックジャムパイロット」を搭載した新型レジェンドを100台限定のリース形式で発売した。量産車としては世界初のレベル3実装車だ。

今のところ、ホンダに続く動きは国内メーカーから出ていない。ただ、ハンズオフ搭載車においてOTA(Over the Air)によるソフトウェアアップデートや高性能センサーの採用、高精度3次元地図の活用などレベル3に通じるシステムが構成されており、機が熟し次第レベル3実装に動くメーカーも出てきそうだ。

【参考】ホンダの新型レジェンドについては「ホンダの自動運転戦略(2022年最新版) レベル3市販車「新型レジェンド」発売」も参照。

自動運転レベル4

オーナーカーにおけるレベル4は、今のところ国内メーカーからは具体的な話は出ていない。官民ITS構想・ロードマップ2020によると、政府目標として高速道路におけるレベル4の実現時期を2025年めどと設定しており、民間における技術開発の推進や道路インフラとの協調システムなどの検討を進めている状況だ。

一般道における自動運転

一般道を対象とした技術では、スバルが2020年代後半にも高度レベル2を実現する意向を明らかにしている。マツダは2022年に実装開始予定の「MAZDA CO-PILOT 1.0」にドライバー異常検知システムを搭載し、運転不能と判断した際に緊急停止する技術を導入するが、2025年予定のバージョン2.0ではこの機能を高度化し、予兆を検知する機能や自律走行して可能な限り安全な場所に停車する機能の実装を目指している。

【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標(2022年最新版)」も参照。

■米国
自動運転レベル2

GMやフォード、テスラなど、主だった自動車メーカーはレベル2を市場化済みだ。

自動運転レベル2(ハンズオフ)

GMは2017年、キャデラック「CT6セダン」にハンズオフを可能にする「Super Cruise(スーパークルーズ)」を導入した。発売時期から鑑みて、同車が世界初のハンズオフ搭載車両になるものと思われる。

ハンズオフ機能は、2021年7月時点で北米20万マイル(約32万キロ)の自動車専用道路において使用可能で、2022年に対象車種をシボレーやGMCなどに拡大し、2023年までに22車種へ導入する計画のようだ。

対するフォードは、2020年10月に「Co-Pilot 360」の一部としてハンズオフ機能「Active Drive Assist」を2021年第3四半期にピックアップトラック「2021F-150」とEVマスタング「Mach-E」へOTAアップデートによって搭載開始すると発表している。対象は北米の道路10万マイル(約16万キロ)としている。

米国勢ではこのほか、新興EVメーカーRivianがハンズオフ機能を備えた「Rivian Driver+」を全車標準搭載しているようだ。

自動運転レベル3

レベル3については、今のところ米国勢で主だった動きは出ていないようだ。フォードはレベル4以上を自動運転と位置付け、基本スタンスとしてレベル3を意識した開発は進めていない。

テスラはソフトウェアアップデートによって将来的に自動運転を実現する「Full Self-Driving(FSD)」の開発を進めている。現状はADASだが、将来自動運転を実現した際、それがレベル3に相当するのか、あるいはレベル4に達するのか注目が集まるところだ。

自動運転レベル4

GMのメアリー・バーラCEOは2021年5月の決算説明会の席で、傘下Cruiseの技術を活用し、10年以内にオーナーカー向けの自動運転車の販売を実現する意向を示している。

このほか、テスラは駐車場内などで自動運転によって自車をオーナーの元まで呼び寄せる「Smart Summon」機能を試験運用している。ある意味、駐車場内におけるレベル3~レベル4相当の技術と言える。

一般道における自動運転

GMは2021年10月、一般道を含む95%の運転シナリオでハンズオフを可能にする「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」を2023年からキャデラックに導入する計画を発表した。市街地や舗装された田舎道など200万マイル(約320万キロ)以上の道路をカバーし、将来的には340万マイル(約550万キロ)以上まで拡張する計画だ。

【参考】関連記事としては「アメリカの自動運転最新事情(2022年最新版)」も参照。

■欧州
自動運転レベル2

欧州自動車メーカーも軒並みレベル2は市場化済みだ。

自動運転レベル2(ハンズオフ)

ハンズオフ機能はBMWが特に力を入れており、3シリーズをはじめ4シリーズ、5シリーズ、7シリーズ、8シリーズ、X5、X5、X6、X6、X7など、対象車種は世界随一となっている。

フォルクスワーゲングループでは、ソフトウェア開発を手掛ける子会社Cariadが、都市部や郊外、高速道路走行に向けたハンズオフ機能の搭載を2023年にも開始する計画を発表している。

自動運転レベル3

メルセデス・ベンツはレベル3システム「DRIVE PILOT」の国際認証を取得済みで、2022年中にSクラスにオプション設定する予定だ。ホンダ同様、ドイツの高速道路で渋滞時に自動運転を可能とする。

BMWは、2022年後半に北米で発売する予定の7シリーズセダンからレベル3の実装を開始し、順次5シリーズセダンやX5、X7などに広げていく計画が経済メディアのForbesで報道されている。

自動運転レベル4

日経新聞によると、アウディが2025年にもレベル4に対応した自動運転EVを発売する計画であることが報じられている。

一般道における自動運転

上述したが、フォルクスワーゲングループのCariadが都市部や郊外を含むハンズオフ機能を2023年にも実用化する計画を発表している。

【参考】関連記事としては「自動運転、欧州(ヨーロッパ)法律動向(2022年最新版)」も参照。

■中国
自動運転レベル2

中国でも、主だった自動車メーカーはレベル3を市場化済みだ。

自動運転レベル2(ハンズオフ)

ハンズオフ機能を明確に表示している中国自動車メーカーも今のところ見当たらない状況だ。ただ、新興EV勢のNIOやXpengなどはレベル3をにおわせる開発を進めており、ハンズオフを飛び越え次の段階を目指している可能性がありそうだ。

自動運転レベル3

中国では過去、吉利汽車がレベル3の量産モデルを2021年に中国内で発売すると発表しているほか、長安汽車も早ければ2020年内にレベル3の量産体制を進めることが複数のメディアに報じられるなど、比較的早くレベル3量産化計画を明かしていたが、今のところ実現していないのが実情だ。

中国政府によるゴーサインを待っている可能性も考えられる。同政府は「中国製造2025」や「自動運転技術に関するロードマップ」、「自動車産業の中長期発展計画」、「知能自動車創新発展戦略」など各種戦略で自動運転実用化を促進しており、2025年までにレベル2、レベル3の新車搭載率を50%まで引き上げる目標を掲げているようだ。

自動運転レベル4

オーナーカーにおけるレベル4は、イスラエルのモービルアイと手を組む浙江吉利控股集団(Geely)が、プレミアムEVブランド「Zeekr(ジークロ)」にレベル4を搭載し、2024年にも中国で発売する計画を明かしている。

高速道路限定などODD(運行設計領域)は明かされていないが、モービルアイの自動運転システム「Mobileye Drive」を統合することでレベル4を実現する方針で、計画通り進めば、世界初の自家用レベル4となる見込みだ。

【参考】Geelyとモービルアイの取り組みについては「自動運転で未知の領域!「市販車×レベル4」にMobileyeが乗り出す」も参照。

なお、中国自動車技術者協会と中国自動車製造業者協会らが自動車産業イノベーションに向け結成した団体は、2025年にレベル4の実装を開始し、2030年に新車搭載率30%を目指すとしている。

■【まとめ】レベル3はようやく競争スタート、レベル4目指す動きにも注視

ハンズオフが可能な高度レベル2は、標準搭載化を進めるBMWを筆頭に各社横並びの状況になり始めている。一方、レベル3はホンダに追随する動きが2022年に始まる見込みで、限定的ながらようやく競争がスタートするようだ。

レベル4はまだ眉唾の印象が強いものの、モービルアイ×Geelyのように具体的な計画を発表する動きが出始めている。

スタートアップが活躍するサービス向けの自動運転車に比べ堅実な動きを見せる自家用車市場だが、着実に前進していることは間違いない。各社が目標の1つに掲げているレベル4実用化を目指す動きが数年以内に本格化する可能性があり、今後の動向に引き続き注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義・呼称・基準は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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