
モビリティサービス専用の自動運転EVとして、トヨタが2018年に発表した「e-Palette(イー・パレット)」。登場から7年の月日が流れたが、トヨタの自動運転車としてこれに代わる存在は未だ出てこない。
今後、Woven Cityのオープンとともに表舞台に出てくることが多くなると予想される。e-Paletteの概要とともに現在地を確認していこう。
・2025年6月19日:e-Paletteを活用した取り組みや開発状況をアップデート
・2019年2月7日:記事初稿を公開
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■e-Paletteの概要
MaaS向けの多目的EV自動運転車

トヨタの豊田章男社長(現会長)は、2018年5月に発表された2018年3月期決算説明会の席で「自動車をつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と宣言し、モビリティサービスの領域に事業の軸を移すこととしているが、これを実現するコンセプトモデルが「e-Palette(イー・パレット)」だ。
e-Paletteは、移動や物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービスを目指したMaaS(Mobility as a Service:移動のサービス化)専用次世代EV(電気自動車)のコンセプトカーで、2018年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2018」で初公開された。
Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaSを融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語「Autono-MaaS」を具現化する存在として、電動化、コネクテッド化、自動運転化が図られている。
章男社長はe-Paletteについて、CES 2018のスピーチの中で「これまでのクルマの概念を超えて、お客さまにサービスを含めた新たな価値を提供できる未来のモビリティ社会の実現に向けた大きな一歩」と述べている。
トヨタがモビリティサービス領域に軸足を移し、本格着手すべく大きな一歩を踏み出したのは2016年だ。同年4月にコンテンツ連動型サービスの提供などを行う子会社「トヨタコネクティッド」を北米に設立し、自動運転車をはじめさまざまなコネクテッドサービスに必要な「モビリティサービスプラットフォーム」をつくる会社を目指すこととしている。
このプラットフォームや自動運転技術を最大限生かすためのモデルがe-Paletteなのだ。
特徴・機能:他社製自動運転キットを搭載可能
CES 2018で展示したe-Paletteは、全長4800ミリ×全幅2000ミリ×全高2250ミリのサイズで、低床・箱型デザインにより広大な室内空間を確保している。
荷室ユニット数に応じて全長4~7メートルほどの異なるサイズの車両を用意可能で、バリアフリーデザインによるフラットかつ広大な空間に、ライドシェアリング仕様やホテル仕様、リテールショップ仕様といった、サービスパートナーの用途に応じたさまざまな設備を搭載することができる。多目的な利用が可能なのだ。
また、これまでトヨタが培ってきた安全性の高い車両制御技術を用いて開発した車両制御インターフェースを自動運転キット開発会社に開示するとしている。
これにより、自動運転キット開発会社は、自動運転キットの開発に必要な車両状態や車両制御などをMSPF(モビリティサービスプラットフォーム)上で公開されたAPI(Application Program Interface:プログラミングの際に使用する関数)から取得することができ、自動運転制御ソフトウェアやセンサー類など自社開発したキットを搭載することが可能になる。
車両制御インターフェースは、外部からのサイバーセキュリティ対策に加え、自動運転キットからの車両制御指令コマンドの安全性を一定のルールに基づき確認する高度安全運転支援機能(ガーディアン)を備えており、さらに、MSPF上に整備されたOTA(Over The Air:無線通信によってソフトウェアの更新を行うこと)環境を用いて、自動運転キット上のソフトウェアを常に最新の状態に更新することができるという。
位置付け
トヨタ自動車は2019年2月6日の2019年3月期第3四半期(2018年4月1日~12月31日)の決算発表で、「MaaS戦略のアプローチ」と題した資料を公表している。この中で異なるサイズ感のMaaS車両を3種類紹介している。
そのうちの一つがe-Paletteで、小型・中型・大型のうち、大型車両に該当する。小型車両に当たるのがEV形式の「MaaS EV」で、中型車両がHV方式の「MaaS Sienna(シエナ)」だ。
シエナは北米向けの大型ミニバンで、「シエナAutono-MaaS」として自動運転シャトルやタクシー向けのプラットフォームとしてMay MobilityやAurora Innovationといった開発パートナーが続々と導入している。
ただ、シエナAutono-MaaSはあくまで車両プラットフォームであり、e-Paletteとは性質が異なることに触れておく。
【参考】詳しくは「【決算深読み】トヨタのMaaS戦略「3つのアプローチ」とは?」も参照。
MSPFの活用:さまざまなサービスに対応したモビリティサービスプラットフォーム

MSPFは、トヨタがこれまでライドシェアなどのモビリティサービス事業者と提携する際に、開発・提供していた車両管理システムやリースプログラムといった個別の機能を包括したプラットフォーム。モビリティサービス分野の成長を見越し、既存のトヨタスマートセンターやトヨタビッグデータセンター、金融・決済センターの上位にMSPFの構築を推進していくことを2016年10月に発表しており、将来にわたって幅広い活用を推進していくこととしている。
ライドシェアやカーシェア、保険会社、タクシー事業者など、提携する事業者はこのプラットフォーム内の機能をサービス内容に応じて利用することで、より便利で細やかなサービスを提供することが可能になるという。
イーパレットは、車両に搭載されたDCM(データコミュニケーションモジュール)から車両情報を収集し、グローバル通信プラットフォームを介して、トヨタビッグデータセンターに蓄積する。その車両情報に基づき、車両をリースや保険などの各種ファイナンス、販売店と連携した高度な車両メンテナンスなどと合わせて提供するとともに、MSPF上で車両状態や動態管理などサービス事業者が必要とするAPIを公開する。
また、自動運転キット開発会社が、自社の自動運転キットの利用やソフトウェアのメンテナンス更新といった自動運転に関するモビリティサービスをMSPF上で提供することで、サービス事業者は安全なモビリティを利用することができ、自ら自動運転キットを選ぶこともできるようになる。
新機能「AMMS」「e-TAP」でe-Paletteが進化
2020年末に行われたe-Paletteのオンライン発表会では、MSPFの新たな機能として、TPS(トヨタ生産方式)を活用した「AMMS」と「e-TAP」で構成される運行管理システムが発表された。
AMMSは、クルマとつながる「Autonomous Mobility Management System」の略で、e-TAPはヒトとつながる「e-Palette Task Assignment Platform」の略だ。
AMMSは、リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送するシステムで、「必要な時に必要な場所へ必要な台数だけ」e-Paletteを配車可能という。車両の異常を自動検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することもできるという。
一方、e-TAPは、TPSにおける「自働化」の考え方に基づき、「目で見る管理」を導入したという。車両の異常を見える化することで、車両を一人一台常時監視するのではなく、一人で複数台を管理しやすくなる。
搭乗員や保守員など運行に必要なスタッフに対し自動的に作業指示を行い、遅れや進みといったタスク管理を実現することでメンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフで高品質なサービスを提供することが可能になるとしている。
基本的な自動運転システムにティアフォーの「Autoware」を採用

e-Paletteに搭載される基本的な自動運転システムとして、名古屋大学発スタートアップのティアフォーが開発を主導する「Autoware(オートウェア)」の採用が明らかになっている。
Autowareは既に世界で200社以上が実証実験などで導入している有力自動運転OS(基本ソフト)として知られており、こうした実績がAutowareの採用に結びついたと考えられている。
当初、e-Palette向けの自動運転システムはトヨタが自社開発すると思われていただけに、Autowareの採用は業界を驚かせた。
おそらく、他社製自動運転システムを統合する取り組みの一環と思われ、すべてのe-PaletteがAutoware仕様になるわけではないものと思われる。
ただ、Autowareとともに、e-Paletteの汎用性・対応力の高さもうかがい知れるコラボと言える。
【参考】関連記事としては「【スクープ】トヨタe-Paletteに「アピール用」と「量産廉価型」 自動運転OSにはAutoware採用」も参照。
手動運転可能な運転席設置モデルも登場
トヨタが2023年に開催したテクニカル・ワークショップでは、手動運転可能な運転席があるe-Paletteが披露された。
e-Paletteはもともと運転席を備えない自動運転専用モビリティとして登場したが、早期社会実装向けに運転席があるタイプが用意されたようだ。
自動運転専用設計だと、ODD(運行設計領域)外の移動に支障が出るからだろうか。自動運転技術が一定水準に達していなければ、当然ながら手動運転を要する場面が必ず出てくる。
広範な普及を目指すにあたっては、こうした際に一般的な運転技能で手動制御可能な仕組みが必要――ということだろう。
なお、運転席がないタイプは、Woven Cityなどを見据え開発を進めているとしている。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転シャトル、まずは「運転席があるタイプ」から」も参照。
ロッカー仕様やコンビニ仕様などをお披露目

2020年に開催されたオンライン発表会や自動運転のデモンストレーションの場では、移動式宅配ロッカー仕様とアパレルショップ仕様のe-Paletteがお披露目された。
ロッカー仕様車は、大小さまざまなロッカー計24カ所が配置されたモデルで、アパレルショップ仕様は、一坪店舗のような小ぢんまりとした小売り仕様だ。
また、2023年のテクニカル・ワークショップでは、コンビニ仕様のe-Paletteが披露されている。ドアパネルのディスプレイには「トヨタコンビニ」の文字が映し出されており、車内にはドリンク類やスナックなどが多数陳列されている。
さまざまなサービス×自動運転モビリティのポテンシャルと未来を想起させる取り組みと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタ、コンビニ事業参入か 自動運転シャトル活用を示唆」も参照。
■パートナー企業との取り組み
初期パートナー:アマゾンやピザハット、ディディ、ウーバー、マツダが参加
より実用性の高い車両仕様の検討や、イーパレットを活用した新たなモビリティサービスを実現するMSPFの構築を推進するため、初期パートナーとして有力企業とアライアンスを締結している。
モビリティサービスパートナーとして、米EC大手のAmazon.com(アマゾン)、中国ライドシェア大手のDidi Chuxing(ディディ)、米ファストフードチェーン大手のPizza Hut(ピザハット)、米ウーバーが参加するほか、技術パートナーとして中国配車サービス大手のDidi Chuxing(滴滴出行)とマツダ、米Uber Technologiesがそれぞれ参加し、サービスの企画段階から実験車両による実証事業に至るまで共同して進めるとしている。
その後の連携した取り組みは確認できていないが、アマゾンやピザハットは配送・配達での利活用が考えられ、ディディやウーバーは配車プラットフォームとの連携や新たな移動サービスにおける利活用なども予想される。
MONET Technologies設立:ソフトバンクと協力、タッグでMaaS推進

トヨタとソフトバンクは2018年10月、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、新会社「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」を設立すると発表した。
モネは2019年1月に事業を開始しており、オンデマンドモビリティサービスやデータ解析サービス、Autono-MaaS事業を手掛けていく。
第1弾として、2018年度内にオンデマンドモビリティサービス領域において自治体や企業と連携した「地域連携型オンデマンド交通」や「企業向けシャトルサービス」を展開するほか、2020年代半ばまでにイーパレットによるAutono-MaaS事業を展開することとしている。
後述するが、2024年にはトヨタ自動車九州の宮田工場敷地内で実施されたe-Paletteを活用した移動サービスの実証にMONET Technologiesも協力している。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)とは? トヨタとソフトバンク出資、自動運転やMaaS事業」も参照。
セブンイレブンやヤマトとの取り組み:将来e-Palette(イーパレット)活用も?
トヨタ自動車が自動運転車を使った新しいサービスを創造するため、ヤマトホールディングスやセブン—イレブン・ジャパンと共同開発への協議を開始したことが2018年6月に一部メディアで報じられている。
トヨタとセブン‐イレブン・ジャパンは同月にCO2大幅排出削減を目指した次世代型コンビニ店舗の共同プロジェクトを2019年秋より開始することを発表している。トヨタが新たに開発する燃料電池小型トラックや燃料電池発電機の導入が軸だが、将来的にイーパレットを活用した移動型コンビニなどの実現につながる可能性もある。
ヤマトホールディングスについても同様で、国内コンビニ事業、宅配事業トップの両社がイーパレットを導入した際の影響力は計り知れないものになりそうだ。
ちなみに自動運転ラボでは、トヨタがe-Paletteでコンビニ事業を展開する可能性について、「自動運転で自宅前に!「トヨタのコンビニ♪」が便利すぎる未来ニッポン」の記事で詳しく触れている。トヨタが単独でコンビニ事業を展開するより、セブン-イレブンなどと組んだ方が現実的な路線であると言えそうだ。
Woven Cityでは早くもカフェ仕様のe-Paletteが登場?

2025年秋に第一期オープンが予定されているWoven Cityでは、e-Paletteを活用した本格実証が行われる見込みだ。
Woven Cityでは、実証パートナー「Inventors」としてダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングスの5社が決定しており、さまざまな実証を行う予定となっている。
Woven CityのSNSでは2025年5月、シティ広場でカフェ仕様のe-Paletteが営業しているようなティザー画像が掲載された。よく目を凝らすと、カウンターに「UCC」の文字が確認できる。
関係者向けに先行する形でUCCによる実証が始まっているのかもしれない。Woven Cityオープン後は、こうしたサービス仕様のe-Paletteが同所においては当たり前の光景となりそうだ。どのようなパートナー企業が今後e-Paletteを活用するのか、今後の動向に注目したい。
【参考】関連記事としては「トヨタWoven City、自動運転式の「移動カフェ」展開か」も参照。
■e-Paletteを活用した取り組み
東京五輪の選手村でe-Paletteを導入
トヨタはオリンピックおよびパラリンピックのワールドワイドパートナーとして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、従来の車両供給の枠を超えたモビリティソリューションの提供を目指すことを発表した。
その取り組みの一環として、選手村における選手や大会関係者の移動にe-Paletteが導入された。実質レベル2運行ではあったものの、ハンドルなどの装置を備えない次世代仕様が多くの外国人選手や大会関係者から評価され、Twitter(現X)などを通じて運行の様子が世界に伝えられた。
この点については自動運転ラボでも「海外メディア「五輪の栄光はトヨタの手に」 自動運転e-Paletteをどう評価?」の記事でも紹介している。https://jidounten-lab.com/u_toyota-olympic-media
しかし、パラリンピックの開催期間中、e-Paletteは選手と接触する事故を起こした。8月26日、選手村内の交差点で横断歩道を渡っていた視覚障がいのある日本人選手とe-Paletteが接触したのだ。この事故の影響で、日本人選手は五輪出場の見送りを余儀なくされた。
e-Paletteの選手村での運行は中断され、事故原因についての詳しい調査が始まったが、その後、安全対策を実施した上で運行を再開することが発表された。この事故では章男社長も謝罪の言葉を述べている。
▼東京2020パラリンピック競技大会選手村におけるe-Paletteの運行再開と安全対策について
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/35956133.html
【参考】東京五輪での取り組みについては「トヨタが東京五輪で自動運転レベル4の車両披露 MaaS専用EV車e-Paletteも登場」も参照。
東京臨海副都心エリアの実証でe-Paletteを活用
Mobility Technologies(現GO)やトヨタ、ティアフォーら7社参加のもと2022年2~3月に東京臨海副都心エリアで行われた自動運転実証に、e-Paletteが導入された。
自動運転による回遊性向上や賑わい創出などの地域課題解決可能性の検証、自動運転車両を活用した新しいモビリティサービスの事業性、受容性、有効性の検証などを進めたようだ。
【参考】東京都内における実証については「トヨタの自動運転EV「e-Palette」が東京臨海副都心を走る!2022年2月17日から」も参照。
豊田市はマルチタスク車両としての可能性を検証
愛知県豊田市で2024年1月、自治体では初となるe-Paletteを活用した乗客移動サービス実証が行われた。鞍ケ池公園内を有料で往復走行する実証で、運転席を備えたe-Paletteが導入されたようだ。
同市では2025年2~3月にも、e-Paletteを移動可能な多目的スペースとして利用する実証が行われている。用途によってレイアウトや機能の切り替えが可能なマルチタスク車両として捉え、高齢者向けの介護予防サービスを複数種類、短時間で切り替えながら提供する取り組みを行ったという。
この取り組みを通して、マルチタスク車両としての有用性や中山間地における介護予防サービスのニーズを検証し、新たな活用方法の検討や市民サービスの向上につなげていくとしており、今後もさまざまな取り組みが展開されそうだ。
なお、愛知県内では長久手市の愛・地球博記念公園でも「新しい移動体験価値創造」をテーマとする実証が2024年に行われている。
【参考】豊田市における取り組みについては「トヨタe-Paletteを「手動運転」で使用!豊田市、自治体初の「乗客あり」実証」も参照。
トヨタ自動車九州宮田工場でもポテンシャル拡大中
トヨタ自動車九州宮田工場でも、e-Paletteを活用したさまざまな実証が行われているようだ。用地面積113ヘクタールを誇る同工場では、ロッカーから職場まで徒歩15分かかる従業員もいるという。
構内では巡回バスも運行されているが、オンデマンドバスや工場見学にe-Paletteを導入したほか、備品を配送する貨客混載実証や移動式工具校正業務、移動販売など、多目的性のポテンシャルを探るさまざまな取り組みが行われている。
また、MONET Technologiesも2024年11月~12月に同所で実施されたe-Paletteを活用した工場敷地内の移動サービスの実証運行に協力している。
MONET Technologiesは、提携するMay Mobilityが開発した自動運転技術のシステムを調達し、e-Paletteに搭載して安全検証や評価、安全対策、運用体制の構築などを行った。
Autoware同様、他社製自動運転システムを統合可能なプラットフォームとしての取り組みも今後加速していくのかもしれない。
このほか、e-Paletteは富士スピードウェイや本社技術部の構内でもシャトルバスとして導入されているという。内々の表に出てこないところでじっくりと検証が進められているようだ。
【参考】関連記事としては「トヨタe-Paletteの「お蔵入り説」は嘘だった。自動運転シャトル、徐々に表舞台に」も参照。
■【まとめ】Woven Cityとともに日の目を見る存在に
e-Paletteはこれまで一般への露出が控えめだったが、Woven Cityとともに今後どんどん日の目を浴び始めるのかもしれない。
内々では、その多目的な用途の可能性を探る取り組みもじっくりと行われているが、Woven Cityではさまざまな開発パートナーとのコラボ実証が本格化し、新たなサービス・ビジネスを生み出すことも考えらえる。
自動運転車という枠を超え、どのようなモビリティサービスを生み出していくのか。引き続きe-Paletteの動向に注目したい。
■関連FAQ
トヨタ自動車が開発している自動運転EV(電気自動車)。「自動運転シャトル」と呼ぶ方がイメージがつきやすいかもしれない。初めて公開されたのは、2018年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2018」の場だ。
トヨタの豊田章男社長はe-Paletteについて、「これまでのクルマの概念を超えて、お客さまにサービスを含めた新たな価値を提供できる未来のモビリティ社会の実現に向けた大きな一歩」と述べている。トヨタは近年、モビリティを使ったサービスを提供し始めることに注力しており、e-Paletteを使った移動サービスも将来的に展開するものとみられている。
トヨタはe-Paletteのモデルを複数開発しており、その1つが「東京2020オリンピック・パラリンピック仕様」。全長は5,255ミリ、全幅は2,065ミリ、全高は2,760ミリ、ホイールベースは4,000ミリで、定員はオペレーター1人を含む20人とされている。航続距離は150キロで、最高速は時速19キロとのことだ。
ある。東京五輪の選手村でe-Paletteが選手や大会関係者の移動用に導入されたが、運行中に事故を起こした。横断歩道をわたっていた視覚障がいのある日本人選手と接触し、この選手は競技の出場を見送った。事故原因策や再発防止に関しては「東京2020パラリンピック競技大会選手村におけるe-Paletteの運行再開と安全対策について|トヨタ」を参照。
2025年6月時点では市販されていない。
(初稿:2019年2月7日/最終更新日:2025年6月19日)
【参考】トヨタの戦略については「トヨタの自動運転戦略を徹底解説!2020年代に起こす大変革とは?」も参照。