アマゾンのロボタクシーZooxが有料化 初乗りはいくら?

1回あたりの移動は最長で約4.8㎞



出典:Amazon.comプレスリリース

アマゾンのロボタクシーが、いよいよUber(ウーバー)アプリから呼べるようになる。Zoox(ズークス)とUberが多年の戦略提携を結び、今夏ラスベガスでUber経由の配車を始めると発表した。2027年半ばまでにロサンゼルスへ広げる計画だ。

気になるのは料金だが、初乗りがいくらになるかはまだ公表されていないようだ。Zooxは現在も規制承認待ちのため運行を無料で続けており、有料化はこれから。料金はタクシーやUber、Lyftと同程度になるとだけ説明している。


Zooxにとってこれは初の第三者プラットフォームとの提携となる。これまで自社アプリでのみ提供してきたサービスを、世界最大級の配車網に乗せる。アマゾンとUberという二大プラットフォームが組むことで、自動運転タクシー市場の勢力図が動き始めた。

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■アマゾンのロボタクシーZooxが有料化へ動き出した

アマゾンのロボタクシーZooxが、無料運行から有料運行への移行に向けて大きく動き出した。ZooxとUberが多年の戦略提携を発表したのだ。ラスベガスで今夏に開始し、2027年半ばまでにロサンゼルスへ拡大する。

提携の発表自体は2026年3月だが、その後も状況は前に進んでいる。Zoox車両はUberアプリから配車でき、対象となる移動では利用者がZooxのロボタクシーに自動的にマッチングされる。両都市ではZooxの自社アプリでの提供も並行して続ける。

Zooxはこれまでラスベガスとサンフランシスコで無料運行を重ね、累計で30万人を超える利用者を運んできた。それでもまだ有料運行には踏み込んでいない。料金を取るには規制当局の承認がいる。つまり今回の提携は、無料から有料へ、精度を高めた自社アプリから巨大プラットフォームへという二重の節目を意味する。


背景には、先行するWaymo(ウェイモ)への強い危機感がある。アマゾンはロボタクシー市場でWaymoに大きく後れを取ってきた。Uberという最大の配車網と組むことは、その差を一気に詰めるための一手と言える。

【自動運転ラボの視点】
無料運行で実績を積んだZooxが、Uberの巨大な配車網を得て有料化に踏み出す。先行するWaymoを追う構図は鮮明だ。プラットフォーム争奪戦の新局面と言える。

【参考】関連記事としては「ロボタクシー市場が巨大化 2030年に「今の10倍」へ」も参照。

■ハンドルもペダルもない「前後対称」の専用車両

Zooxの最大の特徴は、その車両そのものにある。既存の乗用車を改造したものではない。配車専用に一から設計された、ハンドルもペダルもない車だ。

車体は前後が対称になっている。向きを変えなくても、どちらの方向にもそのまま走れる。座席は最大4人が向かい合わせに座る配置で、まるで小さな客室のようだ。トースター型とも箱型とも評される独特の外観が、街を走る姿はそれだけで目を引く。


ハンドルなしという設計は、テスラのCybercab(サイバーキャブ)も採用している。ただし専用車両で実際に公道へ踏み込んだ点では、Zooxが先行する。運転席をはじめから持たない車が街を走る光景は、自動運転タクシーがどこまで来たかを象徴している。

【参考】関連記事としては「史上初、テスラ車が安全テストに全項目合格 日本車超えか」も参照。

史上初、テスラ車が安全テストに全項目合格 日本車超えか

 

■初乗りはいくらになるのか

では、肝心の初乗りはいくらになるのか。残念ながら、現時点で具体的な金額は公表されていない。

Zoox車両は今もラスベガスで無料運行を続けている。規制当局の承認を待っている段階だからだ。Zoox自身は、有料化した際の料金について、タクシーやUber、Lyftといった既存サービスと同程度になると説明している。それ以上の具体的な運賃体系や初乗り額は、まだ明らかにしていない。

分かっているのは運行の枠組みだ。1回あたりの移動は最長で約3マイル、およそ4.8キロメートル。車内は最大4人まで乗れる。料金の正式な発表は、規制承認を経て有料運行が始まるタイミングになるだろう。初乗りの数字が見えるのは、もう少し先だ。

■商用運行のカギを握るNHTSAの承認

Zooxが有料運行に進むうえで、最大の関門が規制当局の承認だ。鍵を握るのはNHTSA(米運輸省道路交通安全局)である。

ハンドルもペダルもない車を商用展開するには、人間の運転を前提に作られた連邦自動車安全基準、いわゆるFMVSSからの適用除外が必要になる。NHTSAは2026年3月にこの適用除外の申請について意見公募を始め、4月10日に公募を締め切った。対象となるのは最大2,500台だ。

注意したいのは、許可には段階があることだ。Zooxは2025年8月に、デモ用途での適用除外をすでに取得している。今回問われているのは、それとは別の、商用展開のための新たな除外である。承認されれば、米国初のハンドルなし専用ロボタクシーの商用展開になるとDuffy運輸長官は位置づけている。この承認が下りるかどうかが、今夏のラスベガス開始の前提条件となる。

■Uberの狙い

今回の提携は、Uberが進める壮大な戦略の一部でもある。Uberは25社を超える自動運転企業と提携を結んでいる。Waymo、Rivian(リヴィアン)、Nuro(ニューロ)、WeRide(ウィーライド)などが名を連ね、そこにZooxが加わった。

狙いは明快だ。あらゆる開発企業と組み、消費者向けのアプリを握ることで、どの自動運転技術が勝っても自社が配車プラットフォームの中心に立てるようにする。Uberは2026年末までに最大15都市で自動運転車の配車を目指し、2029年には世界最大の自動運転配車の仲介者になることを掲げている。

この動きは日本とも無縁ではない。日本では楽天とUberが提携している。連携は2022年に始まり、2025年12月9日には楽天ID連携やポイント付与で強化された。楽天は1億を超える会員基盤を持つ。Uber経由で自動運転タクシーを呼ぶという枠組みは、こうした足場を通じて日本市場にも根を張りつつある。アマゾンのロボタクシーをUberで呼ぶ時代が、いずれ日本にも波及する可能性は十分にある。

■アマゾンのロボタクシーZoox有料化が映す市場の新局面

アマゾンのロボタクシーZooxが、無料運行から有料運行への移行を目指してUberと手を組んだ。ハンドルもペダルもない前後対称の専用車両という業界でも珍しい構造、NHTSAの承認という関門、転換期となる二大プラットフォームの組み合わせ。どれもがこの提携を象徴している。

初乗りがいくらになるのかは、まだ見えない。それでも、アマゾンとUberが組んだこの一手によって、自動運転タクシー市場の主導権争いは確実に新しい局面へ入った。先行するWaymoを追うZoox、あらゆる企業と組むUber。料金という最後の数字が明らかになるとき、ロボタクシーは私たちの日常にまた一歩近づいているはずだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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