新卒に「破格の年収2000万」!?東京の自動運転ベンチャー

Turingの新規採用がすごい



自動運転スタートアップのTuringが新卒採用に力を入れているようだ。新卒エンジニアの想定年収600万円~、プリンシパルエンジニアとなれば1,500万~2,000万円という。


さすがにいきなりプリンシパルはないだろうが、新卒で600万円以上を提示し、その後のキャリアにおける伸びしろを明確に示すことで、優秀な人材を確保する算段だろうか。

完全自動運転実現に向けた精鋭集団として年々存在感を増すTuring。そこで働く貴重な機会を見ていこう。

▼Turing採用情報
https://jobs.tur.ing/about/

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■Turingの採用情報

新卒向け2件、熱量の高い人材募集中

出典:Turingプレスリリース

Turingの採用情報を見ると、新卒向けの求人が2件ヒットする。「MLエンジニア / Machine Learning Engineer(End-to-End AI・フィジカル基盤モデル)」と「ソフトウェアエンジニア / Software Engineer(自動運転システム, MLOps)」だ。


MLエンジニアは、車載カメラの映像をもとに単一の機械学習モデルで経路を出力する(車の制御を求める)「エンドツーエンド(E2E)自動運転モデル」の開発を行う自動運転第1グループ、またはVision-Language-Action(VLA)モデルをはじめとしたフィジカル基盤モデルの開発を担う自動運転第3グループに所属する。経験・志向性に応じてアサインする。

第1グループは、E2E自動運転モデルの実装やデータ収集の方針・計画立案、データセットの作成・改善、モデル学習のアルゴリズム実装、モデル学習コードの高速化、実車でのモデル評価・実験管理、先端論文の調査・再現・実装――などを担う。

第3グループは、自動運転VLAモデルの実装、データキャリブレーションや異なるセンサデバイス間の座標変換、オートラベリングモデルの実装・改善、論文や既存実装の調査・再現・実装、自社データセットを利用した既存実装の評価、モデル量子化・最適化、実車でのモデル評価・実験管理――などを手掛ける。

一方、ソフトウェアエンジニアは、自動運転第1、第3グループに所属し、E2E自動運転モデルやVLAモデルの開発やMLOps基盤開発などを担う業務、第2グループに所属してE2E自動運転を支える車両・システムを開発する業務を担う。


機械学習エンジニアと協力してデータやモデルの継続的な改善を図る業務をはじめ、クラウドなどを活用した処理の自動化や内部ツール・サービスの実装、分散学習基盤との統合、自動運転モデル全体の高速化、自動運転向けSoCへの実装と最適化、CI・CDの導入とエンジニアリング生産性の向上――など、さまざまな業務がある。

いずれも、チームでの開発経験もしくはそれに準ずる経験、ソフトウェア開発または機械学習の知識・経験などを必須としている。最新の機械学習に関する知見やPython、C++などの基礎的なアルゴリズム実装能力、KaggleのCompetitionにおけるMaster以上の成果、アルゴリズム設計・実装経験などは歓迎される。

何より、Turingの理念への共感や圧倒的熱量など、新興企業である自社をともに押し上げていく純粋な意欲が求められるところだ。

若い社員が活躍、プリンシパルへの道も

給与は、両方ともエンジニアが想定年収600万~1,000万円、シニアエンジニアが1,000万~1,500万円、プリンシパルエンジニアが1,500万~2,000万円となっている。シニアエンジニアは技術的リーダーシップを発揮するクラスで、プリンシパルエンジニアは組織やプロジェクトを統括・牽引するクラスだ。

新卒でいきなりシニア以上は想定しづらいため、一般エンジニアからスタートし、その後シニア、プリンシパルとステップアップしていけば待遇も上がっていく……といったイメージと思われる。大学時代の研究や実績次第では、とんとん拍子で上り詰めることも可能かもしれない。

創業6年目のTuringは若い社員が多く、かつてのインターン生がDriving AI2チームや基盤AIチームなどのリーダーとして組織を引っ張っているという。活躍の場はしっかり用意されており、実力次第でチャンスをつかみ取る環境が整っているのだろう。

いずれにしろ、新卒の新人エンジニアで600万円~であるならば、十分高待遇と言えるのではないだろうか。近年、物価高や売り手市場などを背景に新卒高待遇を打ち出す企業が話題となることがあるが、Turingも負けず劣らず高待遇を用意し、グランドチャレンジ達成を目指す熱意を持った仲間を増やして開発をより加速していくものと思われる。

また、どのタイミングでプリンシパルに上がれるかは不明だが、大手企業でも1,500万~2,000万円は一部管理職クラスの待遇であり、このように突出した年収のポジションを作るのは容易ではない。「完全自動運転を実現する」という目標への意識と、そこに達する実行力に自信があるからこそ高待遇を持ってプロフェッショナルを迎え入れる……ということなのかもしれない。

キャリア採用は上限2,000万円を超える可能性も

当然、中途・キャリア採用にも力を入れている。MLエンジニアなどにおいては、E2E自動運転モデル開発や自動運転VLAモデル開発、大規模学習基盤などあらかじめ細分化して募集をかけている点が異なるが、内容は新卒と大きく変わらない。

待遇に関しては、概ね700万円を下回ることはなく、上限2,000万円を超えるオファーを出すことも検討しているという。

なお、2026年4月から、卓越した成果を出した社員へのストックオプション付与も開始する予定としている。挑戦、そして成功のその先には、さらなる大きなリターンが待っているようだ。

AIエンジニアの才能生かす環境で完全自動運転実現へ

採用情報ページに掲載されている「経営陣のメッセージ」によると、自動運転に取り組む海外の先行企業は、数千億、数兆円規模の投資を重ね、大規模なAI学習用データセンターの構築や一流の研究者・エンジニアの招聘などを行っており、整った土壌の上で、次世代のモビリティが着々と育まれているという。

一方、日本では同様の規模で投資判断を下せる意思決定者が少なく、結果としてAIエンジニアの才能が十分に生かされないまま埋もれてしまうケースも少なくない。

日本に優秀なAIエンジニアがいないわけではなく、むしろ世界と戦えるだけの技術力・知見・情熱を持つ人材は数多く存在しているが、その才能を引き出せるような挑戦的な課題、安心して打ち込める成長環境が圧倒的に不足している。

だからこそ、国内に眠る才能たちに世界水準の問いとフィールドを提供し、完全自動運転という人類最大級の技術課題を日本からのアプローチで打ち破りたいと考えている――という。

日本初などのレベルではなく、本気でテスラWaymoとガチンコ対決する意志・意欲が求められそうだ。

■Turingの概要

「We Overtake Tesla」を旗印に完全自動運転技術を開発

Turingは「We Overtake Tesla」を旗印に2021年に創業した。テスラ同様、レベル4ではなく完全自動運転となるレベル5実現を目指し、創業当初からE2Eモデルの開発を手掛けている。LiDARや高精度3次元地図などに依存せず、カメラ画像をベースに単一のニューラルネットワークが直接運転判断を行うアプローチだ。

自動運転向けの国産LLM(大規模言語モデル)の開発や大規模GPUクラスタ「Gaggle Cluster」の構築、半導体チップ・車載LLMアクセラレーター開発など、要素技術や開発環境の整備を着実に進めている。

事業構想としては、2024〜2025年をフェーズ1に位置付け、複数のパートナー企業との連携のもと、公道走行でAIモデルの性能を検証した。東京都内を人間の介入なしで30分以上走行する「Tokyo30プロジェクト」を達成し、都市部におけるE2Eモデルの社会実装可能性を示した。

2026~2028年はフェーズ2に位置付けられており、OEM・サプライヤーとの戦略的提携のもと「量産車搭載のためのE2Eモデル」の開発に着手するという。

フェーズ3にあたる2029〜2030年は量産フェーズとして、自社のAIが搭載された複数の車種を市販車として販売することを目指すとしている。

すでに、マルチモーダル生成AI「Heron」をはじめ、リアルな運転シーンを動画として生成することができる自動運転向け生成世界モデル「Terra」、画像から得た運転環境を自然言語で詳細に説明し経路計画を生成可能な自動運転向けVLAモデルデータセット「CoVLA Dataset」などを開発済みだ。

2026年3月には、国内初となるVLAモデルによるリアルタイム制御・公道走行を実現したと発表している。業界の中では後発組となるが、創業当初からE2E開発に着目していたため、その技術は世界に負けず劣らず……といった水準に達し始めているのかもしれない。

【参考】関連記事「自動運転とVLAの関係性解説 E2E開発の基盤に」も参照。

自動運転とVLAの関係性解説 E2E開発の基盤に

■【まとめ】大きな飛躍を体験できるチャンス

世界と対等に競争できる自動運転開発を、単なる夢ではなく現実のものにしようとするTuring。そのポテンシャルは計り知れない。開発チームの一員として、大きな飛躍を体験できるチャンスだ。

フェーズ2において、「OEM・サプライヤーとの戦略的提携のもと量産車搭載のためのE2Eモデル」の開発に着手する――という点も注目だ。Turingの意向は定かではないものの、協業の結果次第では国内自動車メーカーの量産車にTuringの技術が搭載され、高度なレベル2++や自動運転が実現するかもしれない。

Turingの動向から今しばらく目が離せなくなりそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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