自動運転技術者の平均年収、日本は712万円、米国はインターンに2,000万円

Googleはインターンにも年収2,000万円提示



実用化が進む自動運転車だが、それに伴い自動運転開発エンジニアの求人も増えている。しかし自動運転開発エンジニアは高い技術力や経験が重視されるのにもかかわらず、平均年収は712万円にとどまる。


日本人の平均年収は500万円前後となっているのに比較すれば、高収入と言えるかもしれない。しかし海外の自動運転関連のエンジニアは、日本円にして数千万円の年収を提示されている場合も多い。Google系の自動運転開発企業Waymoでは、インターンでも約2,000万円の年収で募集をかけていた。

日本の自動運転技術者の渡米は今後加速するのか。日本と海外との自動運転開発エンジニアの年収について、詳しく比較してみた。

【自動運転・MaaS業界特化型転職支援サービス】
自動運転ラボでは、独自に「自動運転・MaaS業界特化型転職支援サービス」を提供している。ご登録を希望の方は「登録フォーム」から必要事項を記入の上、申し込みを完了願います。

■厚生労働省の「日本版O-NET」のデータから

厚生労働省が提供する「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」では、「自動運転開発エンジニア(自動車)」の報酬などの情報が掲載されている。

まず仕事内容については、以下のように説明されている。


一般公道を走る自動車の自動運転に関する設計、開発、評価等を行う。自動運転車を開発する場合、最初の設計から最後のテスト走行まで仕事は多岐にわたる。自動車開発全体のプロジェクト責任者のもと、自動運転開発エンジニアは自動運転に関する設計、開発、評価等を担当する。

ほかにも自動運転開発エンジニアについての説明があるので、続けて紹介していこう。勤務先については、自動車完成車メーカーかティア1サプライヤーであり、就業する地域は自動車メーカーが集中する関東や中部が多くなっている。

この仕事に就くためには、特に学歴や資格は必要とされない。しかし新卒で入職する場合は工学や理学などを専攻していた大学院修士課程修了者が多いという。中途採用では、自社にない技術を持っている家電メーカーや通信会社からが多く、同業の自動車メーカー、ティア1サプライヤーからの転職者もいるようだ。

また、自動車運転に関する研究開発は世界各国で盛んに行われており、最新情報の収集や、新しい技術や装置に強い関心を持つことも重要だとされている。自動運転に関する法律やガイドラインの整備が国内外で進められており、それに合わせ、また、それよりも先をいく技術開発が行われているという。


▼自動運転開発エンジニア(自動車) – 職業詳細|job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/528

■自動運転開発エンジニアの平均年収は712万円

「自動運転開発エンジニア(自動車)」が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「自動車開発技術者」等)に対応する就業者統計データによると、就業者数は全国で13万7,470人、平均年齢は41.5歳となっている。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)

平均年収は712万円で、年齢別では55〜59歳が一番高く935万円だ。なお25〜29歳で500万円、30〜34歳590万円、35〜39歳737万円、40〜44歳777万円、45〜49歳848万円、50〜54歳928万円となっている。60歳を超えると600万円台になる。

■米国では1,000万〜2,000万円台は当たり前

では、米国の状況はどうだろうか。

米国のハイテク業界連合「Chamber of Progress」が2024年4月に発表したデータによると、「STEM(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)」関連の一般的な賃金は、8万〜12万7,000ドル(約1,260〜2,000万円)で、間をとると約1,600万円となる。

米EV(電気自動車)大手テスラは今年に入り、各種エンジニアの求人を行った。一部職種の最高年収は36万ドル(約5,700万円)で、これに株式報奨や手厚い福利厚生が追加される。インターンも好待遇で、AI・ロボット工学系で年収10万~15万ドル(約1,600〜2,400万円)プラス福利厚生となっている。

Waymoもインターン募集で破格の年収を提示しており、コンピュートプラットフォーム開発で修士号取得者10万5,000ドル(約1,700万円)、博士号取得者12万5,000ドル(約2,000万円)であった。

中国でも、日本から優秀な技術者を好待遇で引き抜いているという事例が多数あるようだ。

【参考】関連記事としては「自動運転業界、「理数系」の平均年収1,600万円!米調査」も参照。

■優秀な人材の争奪戦はますます激化

ただし、日本と比較して米国などではエンジニアの年収が高いというのは事実かもしれないが、実力重視・成果主義の企業では雇用の安定性は低めで、1年後に突然解雇されるという可能性もある。長期的に見てどちらが良いのかは、人によって判断が分かれるかもしれない。

また日本のスタートアップでも、モビリティ関連求人で1,000万〜2,000万円ほどの年収を提示しているケースが出始めてはいる。自動運転の実用化が進むにつれ、今後の多国間で優秀な人材の争奪戦はますます激しくなっていくのは必至だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事