
自動運転業界では「SLAM」についての理解は必須だ。簡単に言えば、自動運転車が走行している際に自車の位置を把握し、地図を自動生成するナビゲーションシステムのことだ。自動運転車がさまざまな環境の中で周囲環境を判断し、走行するときに役に立つ。
この記事ではSLAMの基礎知識と市場規模の予測などを紹介する。
■SLAMとは?読み方や正式名称は?
SLAMは「スラム」と読み、正式名称は「Simultaneous Localization and Mapping」。自動車やロボットなどの移動体が「自己位置推定」をし、同時にカメラなどのセンサーを使って周辺や障害物の「環境地図作成」を同時に行う技術だ。
このSLAM技術を活用すると、移動体が未知の環境下で走行しながら道路や周辺の地図情報を構築することができる。つまり、行ったことがない場所で周辺状況を認識し右左折を行うなど、人が下しているような選択や判断を移動体に担わせることができるということだ。
このSLAM技術の活用は掃除ロボットが例に挙げられることが多いが、自動運転や自律走行ロボット、ドローンなどでも活躍している。例えば、自動運転車用の高精度地図の作成や工場などで使われる無人搬送車(AGV)、ドローンの自動操縦などだ。
■SLAMとセンサーの組み合わせで…
SLAMでの位置推定や地図作成は、さまざまなセンサーを組み合わせてデータを取得し実現する。センサーには、GPSやLiDAR、ステレオカメラ、ジャイロセンサー、レーダーセンサーなどが用いられるのが一般的だ。
また、SLAMの手法が、カメラなどの画像データを中心とした「Visual SLAM」とLiDARセンサーを用いた「LiDAR SLAM」と大きく2つに分けられることも知っておきたい。
■【まとめ】ますます高まるSLAM技術の需要
こうしたSLAM技術を自動運転技術に導入した実例は既に少なくない。
例えば豊田自動織機は、レーザーSLAM式の自動運転フォークリフト(AGF)を販売している。パナソニックも今年4月、SLAMを搭載のロボット掃除機を発売した。ほかにも導入例は枚挙にいとまがない状態になりつつある。
市場情報提供事業などを手掛けるグローバルインフォメーション社の発表によれば、SLAM技術の世界市場は、2020年から2030年の10年間で49.41%という高いCAGR(年平均成長率)となることが予想されている。
SLAM技術は自動運転車や配送ロボット、掃除ロボット、自律飛行ドローンなどさまざまな領域で活躍する。こうした車両やロボットの今後の市場の拡大とともに、SLAM技術の需要はますます高まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転に必須の7技術まとめ 位置特定技術、AI技術、予測技術など」も参照。