高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議において示された官民ITS構想・ロードマップ2020案。モビリティ分野の将来像について解説した前回に続き、今回は「将来像の実現に向けた取り組み」に焦点を当て、解説していく。
▼官民ITS構想・ロードマップ2020案
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai78/siryou2-2.pdf
【参考】前回の記事は「【資料解説】官民ITS構想・ロードマップ2020案「モビリティ分野の将来像」のポイントは?(前半)」から。
■将来像の実現に向けた取り組みの概要
将来像の実現に向けた取り組みの項では、自動運転システムなどの定義をはじめ、自動運転システムに係る基本戦略や市場化に向けた取り組み、MaaSなどの新たなモビリティサービス、スマートシティとの連携などについてまとめている。
大枠としては、世界一安全な道路交通社会を構築し、自動運転システムの開発や普及、データ基盤の整備を図ることで、2030年までに「世界一安全で円滑な道路交通社会」を構築することを目指すとともに、自動運転に係るイノベーションに関し、世界の中心地であり続けることを目標とするとしている。
■自動運転に係る戦略
自動運転システムに係る基本的戦略
自動運転システムについては、2020年に高速道路におけるレベル3自動運転システムを搭載した自動運転車の市場化、及び無人自動運転移動サービスの実現を図る。
その上で、レベル4以上を実現できるさらなる技術の高度化や海外展開も視野に入れ、交通事故の削減や交通渋滞の緩和、物流交通の効率化、高齢者の移動支援などを達成し、2030年までに世界一安全で円滑な道路交通社会を構築することを目指す。
具体的には以下を重点に据え、2025年目途の市場化・普及を見据えて産学官連携のもと取り組むものとしている。
- ①高速道路におけるレベル4など、自家用車における自動運転システムのさらなる高度化
- ②高速道路における隊列走行や自動運転トラックなど、運転者不足に対応する革新的効率的な物流サービスの実現
- ③限定地域における無人自動運転移動サービスの全国普及など、地方や高齢者向けの移動サービスの実現
【参考】自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説」も参照。
運転支援システムに係る基本的戦略
運転支援システムについては、近年導入が進みつつある衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援機能の普及促進などに取り組む一方、新車の普及に一般的に時間を要することを踏まえ、既存車に搭載する各種運転支援装置の導入普及や、交通事故の削減・交通渋滞の緩和に役立つ情報提供のために、必要な各種情報システムの導入などを進めるものとする。
自動運転システム実現に向けたアプローチ
自動運転のハード・ソフトにおける技術と事業化の両面で世界最先端を目指すこととし、技術が確立してから社会実装するのではなく、制度やインフラで補いながらその時点の最新技術を生かした社会実装を進めていく。
そのためには、車両側の性能が走行環境の複雑性をいかに上回るかが重要であることから、走行環境の複雑性とハード・ソフトの性能の類型化・指標化を検討し、その組み合せから地域の抽出や必要な性能の在り方の検討を進めるものとする。
この指標化を踏まえ、自動運転システムが機能するODD(運行設計領域)が、複雑な走行環境を含むよう拡大させていく方針だ。
こうした類型化・指標化に関しては、自動走行に係る官民協議会が「地域移動サービスにおける自動運転導入に向けた走行環境条件の設定のパターン化参照モデル(2020年モデル)」を示している。
【参考】パターン化参照モデルについては「【資料解説】自動運転の官民協議会、第10回の要点は?パターン化参照モデルとは」も参照。
自動運転システムの市場化・サービス実現のシナリオと期待時期
2020年に高速道路での自動運転可能な自動車(レベル3)の市場化と、過疎地など限定地域での無人自動運転移動サービスの提供を実現するとともに、2025年を目途に高速道路におけるレベル4の市場化、物流での自動運転システムの導入普及、限定地域での無人自動運転移動サービスの全国普及などを目指すこととしている。
物流サービスでは、高速道路におけるトラックの後続車有人隊列走行を2021年、後続車無人隊列走行を2022年以降、トラックのレベル4自動運転を2025年以降を目標に実現していく。
市場化に向けた取り組み
自家用車においては、2020年ごろに主要幹線道路において直進運転が可能なレベル2車両を実現し、2025年ごろには、右左折やその他の道路における直進運転を可能にするなどODDの拡大が期待される。レベル4は、レベル3の実現を踏まえて2025年を目途に高速道路における実用化・市場化を見込む。
物流サービスでは、2022年度以降としているトラックの後続車無人隊列走行の実現像について、現行の牽引を基準にした電子牽引技術を用いて隊列走行し、後続車も含め先頭車のドライバーの責任で運転することを想定している。
2020年度に新東名高速道路で後続車無人隊列走行技術の実現を目指し、その後、実証実験の成果を生かして2022年度以降に東京大阪間の高速道路の長距離輸送などにおいて商業化を目指す方針だ。
トラックにおけるレベル4は、自家用車におけるレベル4や隊列走行システムの技術などを応用するとともに、経済産業省において隊列走行システムも含む運行管理システムを検討し、高速道路において2025年以降の実現を目指すとしている。
限定地域での無人自動運転配送サービスの実現
限定地域での無人自動運転移動サービスの技術を応用する形で、2020年以降に限定地域における無人自動運転配送サービスの実現を目指すこととしている。
また、過疎地域においては2017年から一定の条件のもと貨客混載を可能としており、2020年3月末時点の許可件数は12件となっている。将来、自動運転車両による運送サービスが可能となった後にこの制度を活用し、同一車両を用いて旅客運送と貨物運送の両方を実施することも考えられるとしている。
無人自動運転移動サービスの実現
限定地域における無人自動運転移動サービスの実現像について、最低限満たすべき定義として下記を明記している。
- ①比較的単純なODD(廃線跡などの走行環境)
- ②1人で1台または複数台の遠隔監視・操作
- ③遠隔監視の下で自動運転システムが操作を行うが、緊急時やTOR(Take Over Request)が発生した場合、速やかに遠隔監視・操作者又は車両内のサービス提供者が必要な対応を実施
「端末交通システムの社会実装に向けた実証」や「中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス実証実験」「地方部における自動運転による移動サービス実用化に向けた環境整備」など、国主導による公道実証事業が多数実施されており、早ければ2022年度ごろには廃線跡などの限定空間で遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスが開始され、2025年度を目途に40カ所以上にサービスが広がる可能性があるとしている。
基盤技術・関連技術の進化
IoTやビッグデータ、AI化の代表とされる自動運転システムの進展に向け、組込み型のアーキテクチャにおける自動車内の各種制御が、個別車両内のデータや知識基盤に基づく判断も含めさらに高度化するだけではなく、以下の方向にアーキテクチャが進化していくことが想定される。
- ①各車両において収集されたプローブデータや映像データを含む走行知識データの一部が、ネットワークを通じて外部のクラウドなどのデータ・知識基盤に移転・蓄積され、ダイナミックマップやAIの基盤データに加え、各種ビッグデータ解析などさまざまな分野に活用される。
- ②多数の各車両から得られたデータに加え、ダイナミックマップに係る高精度3次元地図や走行映像データベースなども含めた外部からのデータによって生成されるAIなどのデータ・知識基盤の一部が、再びネットワークを通じて各車両に提供され、当該車両における自動運転の判断に必要なデータ・知識等として活用される。
- ③ネットワークの構造としては、エッジ・フォグコンピューティングなどのコンピューティング・アーキテクチャが利用される。
これらの結果、自動運転技術とデータ基盤を通じた交通データなどの利活用は、相乗的に発展していくことが想定され、システムの高度化に伴ってデータ依存性が高まり、交通環境情報基盤の重要性は増していくとしている。
将来の自動運転システムに向けた基盤的研究と人材育成
自動運転システムに必要な技術が従来の自動車技術のIT化の域を超え、AIなどの革新的な技術が必要になるとともに、HMIなどの人間工学やセキュリティなど学際的領域に広がりつつある。
2018年度に自動走行ソフトウェアに関する技術について、認知系、システムズエンジニアリング、新しい安全性評価などの各分野に求められるスキルを体系整理したスキル標準を策定するとともに、自動運転AIチャレンジなどの取り組み状況を踏まえて自動走行IT人材戦略を策定した。
2019年度には、第四次産業革命スキル習得講座認定制度における自動走行分野の追加を目指し、認定に向けた調整を開始している。
2020年度は、これらのスキル標準に準拠した民間・大学講座の発掘及び受講者のインセンティブを確保するための講座認定を推進していくとともに、グローバル化を意識したエコシステム構築に向け、人材育成・確保網のグローバル化の後押しや自動運転AIチャレンジの国際イベント化、企画の拡充を促進するとしている。
【参考】自動運転AIチャレンジについては「【大会ルポ】太陽や風も難敵に…「自動運転AIチャレンジ」初開催 Autowareを使って走行精度競う」も参照。
【大会ルポ】太陽や風も難敵に…自動運転AIチャレンジ、初開催 Autowareを使って走行精度競う https://t.co/ygCmBdUjDj @jidountenlab #自動運転 #AI #大会
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ダイナミックマップの実用化・高度化
2018年度に国内自動車専用道路全線の高精度3次元地図の整備が完了・商用化済みで、今後、高度な地図情報基盤を、自動運転システムだけでなく歩行者移動支援や交通分野以外の防災、観光、道路管理などの分野での活用を念頭に、システム間連携協調に取り組んでいくほか、国際標準化を推進していくこととしている。
【参考】関連記事としては「【最新版】ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。
自動運転AIの羅針盤…ダイナミックマップ完全解説&開発進捗まとめ トヨタ自動車や日産なども軒並み出資、イノベーション支える必須データ|自動運転ラボ https://t.co/v2RgYWhShp @jidountenlab #自動運転 #羅針盤 #新たな地図
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情報通信インフラの高度化
自動運転の実現にあたって不可欠となる情報通信インフラの高度化において、エッジコンピューティングを含むコンピューティング・アーキテクチャの在り方や、5Gの本格活用も含めた情報通信インフラなどについて検討していくことが必要となる。
2019年度は、コネクテッドカー社会において活用が期待される新たな無線通信システムとして、5.8GHz帯における既存のITS用無線通信システム(DSRC)の高度化や、新たなITS用無線通信システム(セルラーV2X)の導入可能性検討、700MHz帯高度道路交通システムの高度化及びミリ波帯通信システムの導入可能性検討などを進めてきた。
2020年度からは、総務省が5.9GHz帯への次世代V2X通信システムの導入に関する検討を開始する予定とするほか、日本のITS無線システムが国際標準に準拠したシステムとして各国で採用されるよう、国際展開も推進していく方針としている。
自動運転の公道実証に係る環境整備
2019年に通常のハンドル・ブレーキと異なる特別な装置で操作する自動車(特別装置自動車)の公道実証の環境が整備されるなど、国内の実証実験に係る制度環境は世界各国と比較して最先端となっており、道路運送車両の保安基準に係る基準緩和認定制度も、2020年4月に無人自動運転移動サービス車等の実用化など実証実験以外の場合にも活用できるよう適用対象が拡大されている。
また、国家戦略特区においては、地域限定型「規制のサンドボックス」として、国・地方公共団体・事業者が一体となって作成した区域計画が認定を受けた場合、実証実験をより迅速・円滑に行うことを可能にする「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」が2020年6月に公布されている。
今後は、実用化に向けた課題をより明確にした上で、どのような解決が必要かを考え実証実験を推進するとともに、多様なビジネス展開を視野に取り組みをいっそう加速することが必要としている。
【参考】規制のサンドボックスについては「ルールを一時停止!自動運転は「規制の砂場」制度で劇的進化を遂げる」も参照。
ルールを一時停止!「規制の砂場」制度で自動運転は劇的進化を遂げる https://t.co/WeLcWGgtS5 @jidountenlab #自動運転 #ルール #規制の砂場
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 25, 2019
制度整備
制度整備に関しては、自動運転システム実現に向けた政府全体の制度整備に係る方針(自動運転に係る制度整備大綱)を策定し、2018年にIT総合戦略本部で決定した。これまでに3回のフォローアップ会合が行われるなど、制度見直しの検討が継続的に進められている。
自動運転に係る技術は急速に進歩しており、実情を踏まえながら引き続き、年に1回程度フォローアップ会合を開催し、制度見直しの検討を継続的に実施していくこととしている。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティ面では、国際標準に先行して自動車のセキュリティ対策に係る業界ガイドラインの策定を進めているほか、国際基準についてもWP29(自動車基準調和世界フォーラム)傘下のサイバーセキュリティ専門家会議において英国、米国とともに共同議長を務め、とりまとめた規則案が2020年度中にも採択される見通しにある。
対策強化に向けては、各企業間でのインシデント対応に係る情報共有体制の構築が重要で、日本自動車工業会に確立した情報共有体制について、今後は米国のセキュリティ情報関連組織「US-Auto-ISAC」などとの連携を進め、迅速な情報共有・分析に向けた取り組みを推進していくことが必要としている。
■MaaSなどの新たなモビリティサービス
モビリティサービスの現状と課題
MaaSに関しては、2019年度に「スマートモビリティチャレンジ」を開始するなどし、先進的な取り組みを進める地域において事業性分析などを実施し、ベストプラクティスの抽出や横断的な課題の整理などを進めている。
スマートモビリティチャレンジは2019年度に全国で28地域・事業が選定され、デマンド交通や貨客混載、AI配車システムの導入などさまざまな取り組みが行われた。
これらの試行的な取り組みをさらに地域に根差したものとするため、以下の4点を課題に挙げている。
- ①新しいモビリティサービスの事業性
- ②公共交通を担う運転手不足
- ③既存の交通事業者との対話
- ④シミュレーションの活用・行政施策との連携
一方、物流分野では以下の3点を課題として挙げており、「物流MaaS」の実現像に向け、商用車メーカーは荷主や運送事業者らが進める物流効率化に対し、商用車のコネクテッド化やデジタル技術の活用を通じ、共同輸送や混載配送、輸配送ルート最適化などを共同で実現していくことが必要としている。
- ①環境規制の強化
- ②慢性的な需要過多・人材不足
- ③物流のICT化・デジタル化
取り組みの方向性としては、異業種との連携による収益活用・付加価値の創出なども交えたモビリティサービスの事業性の確保と、物流や介護送迎、通院・通学の送迎など複数の移動手段を束ねるモビリティのマルチタスク化、移動代替サービスの拡充を挙げている。
【参考】スマートモビリティチャレンジについては「経産省と国交省、新プロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」開始 自動運転社会の実現見据え」も参照。
国が新プロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」開始 自動運転社会の実現見据え トヨタ自動車からスタートアップなど幅広く参加 https://t.co/NWqdj2ZiyE @jidountenlab #自動運転 #プロジェクト #経済産業省 #国土交通省
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) April 8, 2019
MaaSの基盤整備の推進
多様なMaaSが相互連携するとともに多様なサービスとつながることで、「マルチモーダル」だけではなく「マルチサービス」が提供されることを目指す「日本版MaaS」の実現を図ることとし、地域特性に応じたMaaSのモデル構築を進めている。
2019年度には、大都市近郊型・地方都市型6地域、地方郊外・過疎地型5地域、観光地型8地域の合計19地域における実証実験に対し支援を行った。
2020年度からは、医療や介護、小売り、観光、教育といった目的地におけるサービスと連携することで、移動の利便性を向上させるとともに高齢者や観光客の移動手段の確保、高齢者や若年層の外出機会の創出、地域の活性化、道路混雑の緩和、環境負荷の低減といった地域課題の解決に役立てるMaaSのモデル構築に取り組む方針としている。
MaaSの基盤作りに向けては、ラスト・ファーストマイルを埋める手段や、需要の少ない地域において効率的な配車を行う手段などとして、AIオンデマンド交通やグリーンスローモビリティ、シェアサイクルなど新型輸送サービスの導入を図っていくことが重要であるとし、また交通事業者におけるデータ化を負担の軽減を図りながら推進することが重要であるとしている。
このほか、ダイナミックプライシングなど運賃・料金の柔軟化やキャッシュレス化に向け検証を重ねた上で導入を進めていくことなども盛り込んでいる。
データ連携の方向性
2019年度に「MaaS関連データの連携に関するガイドライン Ver.1.0」を策定し、データ提供者やデータ利用者、データプラットフォーム運営者ら各関係者がデータ連携を行うために留意すべき事項を整理した。
国が推奨するデータ形式について導入を推進するとともに、交通事業者におけるデータ化のためのシステム整備を進め、各事業者におけるデータ化を推進する。また、効率的なデータ連携が可能となるよう、データの項目や内容、形式などの共通化・オープン化も視野に入れる。
データ連携の構造としては、将来的にデータ連携を行う可能性があるスマートシティなどと整合性が図られることが望ましく、リファレンスアーキテクチャを基に検討を進めるなど、適切なデータ連携を見据えた取り組みが必要としている。
API(Application Programming Interface)については、関係者との調整を前提として標準的なAPI仕様を定めることが望ましく、APIの開放度やMaaSのサービス、体制などに応じて適切なAPIを選択する必要がある。APIの仕様に関しては、RESTやHTTPs、JSON、OAuth2.0認可フレームワークの使用などを例示している。
【参考】MaaS関連データの連携に関するガイドラインについては「国交省、「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0」を策定」も参照。
国交省、「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0」を策定 https://t.co/APIzBK0R9q @jidountenlab #MaaS #ガイドライン #データ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 25, 2020
MaaS×自動運転
いち早くMaaS×自動運転の社会実装を進めるため、自動運転の導入を必ずしも前提としない新たなモビリティサービスやMaaSの導入・実装を進めつつ、技術の成熟などに合わせてサービスカー領域から徐々に自動運転の実装を進めることが重要である。
また、サービスカー領域においてMaaS×自動運転の基盤形成、課題検証を先行して進めることが、オーナーカー領域も含む来るべきMaaS×自動運転の本格的融合時代への備えに直結するとしている。
■スマートシティとの連携
MaaSなどのモビリティサービスは、スマートシティを構成する重要な要素であることから、2020年度版からスマートシティとの連携が新たに盛り込まれた。
都市と交通は互いに影響を及ぼし合う関係にあるため、MaaSなどの新たなモビリティサービスがスマートシティに与える影響を見定めつつ、スマートシティの目指すべきビジョンと既存の都市・交通政策との整合性を検証しながら、両者が一体となった検討や計画の推進が必要であり、リファレンスアーキテクチャを活用し、各府省で実施している各地域での実証実験等を整理するとともに、交通関連データの利活用・連携に向けた取り組みについて、必要に応じて制度整備も含めロードマップに織り込んでいくことが重要としている。
【参考】スマートシティについては「自動運転導入を目指している世界のスマートシティ計画まとめ」も参照。
自動運転導入を目指している世界のスマートシティ計画まとめ https://t.co/1eTptFxCe4 @jidountenlab #自動運転 #スマートシティ #世界
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) April 19, 2020
■【まとめ】自動運転やモビリティサービスの集大成的ロードマップに
官民ITS構想・ロードマップ2020(案)は、約150ページに及ぶ膨大な資料となっており、ロードマップとしての性質よりも、これまでの取り組みや現状を細かにまとめた内容となっている印象だ。これまでの取り組みの集大成として読むと、理解が進みそうだ。
行程表としては、末尾にロードマップ全体像などが数ページに渡って図にまとめられており、これを参照すると分かりやすい。
また、2019年度版と比較すると、MaaSやスマートシティに関する記述が増加するなど、より社会実装やビジネス性などを見据えた内容となっている。
関係者はもちろん、これから自動運転業界を目指す人もぜひ根気を持って目を通してもらいたい。
▼官民ITS構想・ロードマップ2020案
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai78/siryou2-2.pdf
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【参考】前回の記事は「【資料解説】官民ITS構想・ロードマップ2020案「モビリティ分野の将来像」のポイントは?(前半)」から。