ラストワンマイル系の物流ソリューション・サービスまとめ

自動運転ロボやドローン、アプリなど続々誕生





出典:アマゾン社プレスリリース

物流業界で深刻な問題となっているラストワンマイル問題。その背景には宅配便の増加や人手不足、再配達の増加などがあり、喫緊の課題として運送事業者をはじめさまざまな企業が取り組みを加速している。

そこで今回は、自動運転をはじめとした新しい技術・サービスやプラットフォームサービス、受け取りサービスなど、課題解決に向けた新たな取り組みや事業を調べてみた。







■配送ロボット系
ドローン配送:楽天や日本郵便などが実証進める

大手ECサイトを手掛ける楽天株式会社は、ドローンを活用した配送サービス「楽天ドローン」を2016年にスタートし、全国各地で実証実験や試験的なサービス運用を行っている。

同社は自律制御システム研究所とマルチコプター型ドローン「天空」を共同開発した。完全自律飛行が可能で、目的地で荷物を下ろし帰還するまで、全ての制御を自動で行うことができる。

2016年5月にスタートした第1弾プロジェクトではゴルフ場でのデリバリーサービス、2017年10月にスタートした第2弾では、福島県南相馬市で商品配送サービスをそれぞれ実施している。

2019年1月には、埼玉県秩父市で株式会社ゼンリン、東京電力ベンチャーズ株式会社とともに、送電設備上空を空の道として利用した「ドローンハイウェイ」を活用し、操縦者が機体を視認できない範囲で運行する「目視外補助者無し飛行」によるドローン配送実験も行っている。

ラストワンマイルではないが、日本郵便株式会社もドローン事業に着手した。2018年11月にドローンを用いた郵便局間輸送を開始しており、自律制御システム研究所製の機体を使用して、福島県南相馬市の小高郵便局から同県双葉郡浪江町浪江郵便局までの約9キロメートルの区間を飛行させている。

機体は地上60メートル以下の高さを時速54キロメートル以下の足で飛行。約2キログラムの荷物などを搭載可能で、非常用パラシュートも備わっている。

また、宅配最大手ヤマトホールディングス株式会社は米ベルヘリコプターと協業し、物資輸送専門のドローン開発を進めている。拠点センター間の配送を担う機体で、小型機と大型機をそれぞれ開発しているようだ。

海外では、EC大手の米Amazonが積極的だ。ドローンを使用して30分以内に荷物を安全に顧客に届ける「Prime Air」サービスの実用化に取り組んでおり、米国のほか、イギリス、オーストリア、フランス、イスラエルにPrime Airの開発センターを設け、さまざまな車両設計と配達メカニズムをテストしている。

【参考】ヤマトのドローン事業については「ヤマト、空の自動運転機を10年以内に実用化 米ベルヘリコプター社が開発担う」も参照。

自動運転ロボット:国内ではZMPが先行、ヤマトや日本郵便などが取り組み強化

ラストワンマイル向けの無人配送は、国内ではロボット開発や自動運転開発を手掛ける株式会社ZMPが先行している。宅配ロボット「CarriRo Deli(キャリロデリ)」は、自動車の自動運転開発で培った技術が応用されており、LiDAR(ライダー)とカメラで周囲環境を360度認識しながら、最大時速6キロで自動走行することが可能できる。

65×95×96センチメートルの小ぶりなサイズで、最大50キログラムを積載できる。スマホの注文画面のQRコードを読み取って積載されているロッカーのカギを解除する仕組みで、店舗での注文管理や各ロッカーへの商品積込をサポートする店舗用アプリやユーザー用アプリなどがパッケージ化されている。

スタートアップの株式会社Hakobotも自動配送ロボットの開発を進めており、2018年11月には、同社のアドバイザーを務める堀江貴文氏主催のイベント「ホリエモン祭 in 名古屋」で自動配送ロボットの実証実験用の初号機が披露された。

国内ではこのほか、ヤマト運輸株式会社と株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が手を組み、自動運転車両を使った配送実験に取り組んでいる。2018年4月の実証実験では、神奈川県藤沢市内の公道で、緊急時に対応するドライバー搭乗のもと自動運転走行を行ったほか、クローズドな公道では車内にドライバーがいない状態でも自動運転走行している。

日本郵便も2019年3月、アイサンテクノロジー株式会社と損害保険ジャパン日本興亜株式会社、株式会社ティアフォーとともに実証実験を行うなど力を入れている。

海外では、米スターシップ・テクノロジーズが自社開発の自動運転ロボットによる商品配送をイギリスで開始し、話題になっているようだ。6輪の車輪で動くボックス型で、カメラやセンサー、通信機器、バッテリーなどを内蔵しており、ボディの蓋を開けると荷物を収納するスペースがあり、18キロまでの荷物が配送可能という。

米国ではRobby TechnologiesやNuro、Marbleなど、自動配送ロボットの開発を手掛けるスタートアップが次々と誕生しており、Nuroにはソフトバンクグループが1000億円超を出資するなど注目度が高い。

EC系では、Amazonが宅配ロボット「Amazon Scout」の実証に乗り出したほか、中国の京東集団もスタートアップと協業し、宅配ロボットによるスマート配送ステーションを正式に稼働させたようだ。

自動運転移動サービス型:トヨタ「e-Palette」に注目、移動サービスが物流にも貢献

将来的な技術になるが、自動運転車を活用することで販売店舗そのものを移動し、ラストワンマイルの溝を埋めることも可能になる。

米ロボマート社が2018年1月にラスベガスで開催されたCESで公開した自動運転車による食料品の無人販売サービス「Robomart」や、トヨタ自動車が発表したMaaS向けの多目的EV「e-Palette」など、さまざまな展開が見込めそうだ。

■配送系
オンデマンド型配送サービス:海外ではウーバーなどが着手

日本では法規制により現時点では実現不可能だが、海外ではライドシェアのように登録した一般ユーザーが荷物の配送を手掛けるオンデマンド型配送サービスも誕生している。大手運輸会社のラストワンマイルを担うほか、荷物を送りたい個人と直接マッチングするサービスなどもあるようだ。

代表的なものとしては、ライドシェア大手の米Uberの「UberCARGO」や、香港の「GoGoVan」「lalamove」などが挙げられる。

ローミング配送:荷物を自動車へお届け

スウェーデンの自動車メーカー・ボルボは、2014年にスペインで開催された携帯通信関連の見本市で、荷物を自動車へ配達する「ローミング配送」サービスを公開した。荷物の配送先として自動車を指定することで、配送業者はデジタルキーを用いてトランクを開け、荷物を運ぶことができる。

2017年には、英国の百貨店チェーン「ジョン・ルイス」が、英自動車メーカーのジャガー・ランドローバー傘下のスタートアップ「InMotion」と提携し、顧客の自動車トランクに荷物を配達する実証実験を開始している。

スマートボックスを車のトランク内に設置することで荷物の配送先として自動車を指定でき、配送業者は、自動車の位置情報やナンバープレート、トランクを開けるために必要なコードを基に配送する仕組みだ。

配送協業系:荷主と負担を分担するなどサービス継続に向け組合設立の例も

関東圏の1都3県の運送業者23社が2018年4月に立ち上げたラストワンマイル協同組合は、配送ドライバーの人手不足や運賃の高騰などの課題解決に向け、これまで配送業者がワンストップで担っていた業務の一部を荷主が行うことで料金を割引するサービスを実施。荷物の持ち込みや仕分けなどを荷主が負担することで割引サービスを受けられる仕組みだ。

出典:ウーバープレスリリース
■プラットフォーム・アプリ系

印刷・広告のシェアリングプラットフォームサービスを手掛けるラクスル株式会社は、荷物を送りたい企業や個人と空き時間に仕事を受注したい軽貨物ドライバーをマッチングするサービス「ハコベル カーゴ」や、自社・協力会社の配車管理と繁閑期の求貨求車を手軽に行うことができる一般貨物・物流事業者向けの物流プラットフォーム「ハコベル コネクト」を実用化している。

株式会社ドコマップジャパン、富士運輸株式会社、トラボックス株式会社、イーソーコ株式会社、株式会社NTTドコモ関西支社は、AI技術を活用したトラック輸送ビジネスにおける空車回送の削減の実現に向けた協業を2017年に発表し、運送会社間の配送のマッチングを実現するプラットフォーム「docomap JAPAN」を提供している。

CBcloud株式会社は企業向けの物流プラットフォーム「PickGo」と個人向けの配送プラットフォーム「PickGo for Personal」サービスを提供しており、配送を希望する依頼者がPickGoアプリでPickGoの登録ドライバーに依頼内容を一斉配信しすることでマッチングを図るサービスなどを手掛けている。

このほか、貨物輸送が終わり空で帰る予定のトラックやコンテナなどの情報を情報共有し、貨物輸送のニーズがある企業や組織とマッチングするトレードシフトジャパン株式会社がリリースしているアプリ「カラトラ」や、近くにいるドライバー、ライダー、メッセンジャーを探して配達を依頼する、株式会社セルートのスマートフォンのアプリ「DIAq」、荷物の位置自動追跡機能や柔軟な再配達依頼が可能な株式会社ウケトルの「ウケトル」など、さまざまなプラットフォームが誕生している。

■受け取り系
宅配ロッカー:設置個数は右肩上がり、再配達軽減へ

受け取り系では、宅配ロッカーが勢いを増している。ネオポストシッピング社とヤマト運輸が共同出資して2016年に設立したPackcity Japan株式会社が、どの宅配会社でもサービスを展開できる宅配便ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」を全国に3000カ所以上設置している。

また、株式会社フルタイムシステムは、分譲マンション向けの宅配ボックス「フルタイムロッカー」や郵便ポストと宅配ボックスの二つの機能を一つにまとめた「POSTAKU(ポスタク)」などを製品化しているほか、郵便局などに設置されたロッカーで荷物や書留郵便物などの受け取り・発送ができるサービス「はこぽす」なども有名だ。

コンビニ配送や置き配サービス:受け取り側にもメリット

荷物の受け取りではこのほか、コンビニで荷物を受け取ることができるサービスや、自宅の玄関などに手軽に設置可能なYper株式会社の置き配バッグ「OKIPPA」、株式会社ナスタの戸建住宅向け・集合住宅向け宅配ボックスなど各社が製品化を進めている。

ナスタは2018年後半に福岡市とともに1000世帯を対象とした宅配ボックスの実証実験を行っており、同社の調べによると、宅配ボックスの設置・利用によりユーザー側の宅配ストレスも約82%のユーザーが減少したと回答している。

受取人不在時の再配達防止に一役買うとともに、ユーザー側にとってもメリットがあるサービス・製品となっているようだ。

配送管理・クラウドサービス系:効率的な配送ルート提案など業務全般を改善

名古屋大学発のスタートアップである株式会社オプティマインドは、AIを活用して物流の最適化を図るクラウドサービスを展開。AI最適配車クラウドサービス「Loogia」は、「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るべきか」を効率化するためのサービスで、機械学習を用いて配送のための地図を作成し、次にアルゴリズムと地図データに基づき、効率的な配送ルートを提案する。

CBcloud株式会社も2018年8月に、AIやブロックチェーン技術を活用し、管理者とドライバーの利便性を追求したシンプルな動態管理システム「イチマナ~AI動態管理~」をリリースしている。

【参考】オプティマインドについては「名古屋大界隈、AIや自動運転で日本最強説 スタートアップ続々」も参照。

また、オフィス用品大手のアスクルは、宅配を子会社に委託し、利用者の小刻みな時間帯指定にも対応できる「ハッピー・オン・タイム」サービスを行っている。AIを活用した独自の配送システムで到着時間の精度を向上させ、不在率を極力低下させることに成功しているようだ。

また、倉庫業なども含め、入出荷・在庫管理から棚卸業務まで対応した倉庫管理システムなどを導入することで、物流全般の効率化を図る取り組みなどもある。

NTTデータが提供するコンサルティングメニュー「物流業務変革コンサルティングサービス」では、物流画像判別AIエンジンを活用し、人手に依存している物流業務の自動化・最適化を図ることが可能だ。

■【まとめ】物流分野のラストワンマイルは成長産業 課題がそのまま需要に

人の移動サービスにおけるラストワンマイルは必ずしも相応の需要が見込めるものとは限らないが、物流におけるラストワンマイルは需要の増加と表裏一体のものである。つまり、裏を返せばそこに「需要」があるのだ。

このため、自動運転技術の活用による無人化・省力化や荷物の受け取りを円滑にする各種サービスなどは、引き続き成長が見込める分野であり、今後も技術や新サービスの開発は進展していくものと思われる。

また、物流の流れは、主に「集荷→一時仕分け(物流センター)→小型の物流拠点へ移動→二次仕分け→各営業所から配送」といったものだが、ラストワンマイルとなる各営業所からの配送のみならず、集荷からの全体最適化を図ることでラストワンマイル問題に貢献するクラウドサービスなども浸透してきた。

ネット通販の取り扱い数が留まるところを知らない現代においては、AIやICTなどの先端技術が労働力不足を補い、将来的にはより利便性を増すものに進化していくのだ。

【参考】ラストワンマイルについては「ラストワンマイルとは? 課題解決に向け自動運転技術など活用」も参照。







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