CASE最新動向を解説!自動運転やコネクテッド、消費者意識の変化は?

デロイトトーマツの調査から紐解く





出典:メルセデスベンツ公式ウェブサイト

マーケティング事業を手掛けるデロイトトーマツグループは2020年4月、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に関する最新の消費者意識をまとめたレポート「2020 デロイト グローバル自動車消費者意識調査」を発表した。

CASEの4領域についてそれぞれ調査した信頼性の高い内容となっており、消費者意識の違いなど各国の動態がうかがえる。







今回は、同レポートの調査結果を領域別にまとめ、最新の動向に迫ってみよう。

▼資料URL
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/about-deloitte/news-releases/jp-nr-nr-20200414-global-automotive-consumer-study-jp.pdf

■調査の概要

2020年は、運転可能な年齢の消費者を対象に2019年9~10月にかけて20カ国3万5000人以上に対し調査を実施した。具体的には、日本、韓国、中国、マレーシア、タイ、インドネシア、インド、オーストラリア、南アフリカ、英国、オーストリア、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、トルコ、カナダ、米国、メキシコ。各市場の人口構成を表すようサンプル設計している。

レポートでは、このうち日本、韓国、中国、インド、ドイツ、米国の6カ国を比較した調査結果を公表している。

■消費者の「コネクテッドカー」に対する意識
自動車大国で関心低い傾向に

コネクテッドカーに関する調査では、コネクティビティ向上により享受する便益について有益と回答した割合は、インドで80%、中国で76%に上る一方、ドイツは36%と国によって2倍以上の差が出る結果となった。日本は49%、米国は46%だった。ドイツや米国、日本といった旧来の自動車大国が思いのほか低い印象だ。

また、コネクテッドカーにより収集されたデータが自動車メーカーやディーラー、保険会社、第三者と共有される場合の懸念について、生体認証データが収集され外部者に共有されることに対し懸念している消費者の割合は、インドで69%、ドイツで62%、米国で59%、日本で40%に達した。

データ管理の信頼度、日本ではOEMが46%と高め

コネクテッドカーにより生成・共有されるデータを管理する信頼できる組織の種類では、OEMが日本46%、韓国36%、インド35%、ディーラーが中国18%、日本・インド10%、政府が中国19%、韓国18%、ドイツ17%といった結果となり、各国でばらつきが目立った。該当なしは、ドイツ29%、米国26%、日本18%の状況となっている。

安全性向上のため、他の車両や道路インフラと通信できるクルマに対する消費者の支払い意欲に関しては、「意欲なし」がドイツ46%、米国31%、日本28%、韓国14%、インド6%、中国5%となっており、やはり自動車大国において低い結果となっている。

デロイトは、道路交通の安全性向上が目的であっても、先進的なコネクティビティ機能に対する追加費用を消費者負担にすることが容易ではない市場も一部あるとしている。

また、総じてクルマから収集・共有されるデータの管理者としてOEMは必ずしも合理的な選択肢とならず、消費者にとって最も信頼に値する管理者は依然として見当たらないとし、プライバシーとデータセキュリティに関する懸念が依然強いとしている。

5G実用化が起爆剤に コネクテッドサービスの将来性に期待

コネクテッドサービスが世界各地で浸透を始めたが、自動車大国ほど関心が低い傾向にあるのは意外に感じられる。もともとサービスが充実しており、既存のサービスで高い効用を得られている裏返しかもしれないが、コネクテッド技術は高度な自動運転を実現する基幹技術であり、自動運転の実現によってユーザー向けのコネクテッドサービスも大幅に拡充されることが予想される。

現状、特別な効用を感じられるサービスが少ないのかもしれないが、次世代移動通信システム「5G」の実用化などを機に一気に市場が盛り上がる可能性もあり、今後に期待したい領域だ。

■消費者の「自動運転技術」に対する意識
自動運転車の事故報道の影響は依然強い結果に

自動運転技術に関して、自動運転車は安全ではないことに同意する消費者の割合の推移は、インドが58%で2018年調査から11ポイント上昇したほか、中国も同9ポイント増の35%となった。日本は同10ポイント減の47%、米国は同1ポイント増の48%、ドイツは増減なしの45%の状況。

また、自動運転車に関する事故の報道によって技術に対する警戒心が高まっていると感じている消費者の割合は、韓国72%、インド70%、米国68%、ドイツ59%、日本58%、中国56%の順で、事故の報道が依然消費者に影響を及ぼしている印象が強い。

同様に、自分の居住地域における公道での完全自動運転車両の実験に多少もしくは非常に懸念がある消費者の割合は、インド57%、米国51%、韓国48%、ドイツ46%、日本41%、中国32%となった。

一方、政府の安全認証により自動運転車両に乗る可能性が高くなると感じる消費者の割合は、インド80%、中国77%、韓国74%、米国57%、ドイツ・日本42%となっており、自動運転に対する懸念が強いインドは政府への信頼も高いことなどがうかがえる。

テクノロジー企業や新規参入企業の信頼は増加傾向

完全自動運転車の市場投入に関し、既存の自動車メーカーを最も信頼する消費者の割合は、米国が2018年比16ポイント減の31%、ドイツが同13ポイント減の35%、日本が同11ポイント減の65%と減少傾向がうかがえるものの、その他の地域では大きな増減はなかった。

完全自動運転車の市場投入に関し、既存のテクノロジー企業を最も信頼する消費者の割合は、インドが同8ポイント減の33%と低下したものの、中国が同16ポイント増の31%、ドイツが同6ポイント増の30%、米国が同3ポイント増の28%、日本が同9ポイント増の19%と上昇傾向がうかがえる結果となっている。

完全自動運転車の市場投入に関し、自動運転に特化した新しい企業を最も信頼する消費者の割合は、中国が同9ポイント減の44%と低下したものの、米国が同8ポイント増の37%、ドイツが同8ポイント増の33%、日本が同3ポイント増の15%となるなど、総じて上昇傾向にある様子がうかがえる。

デロイトは、自動運転車両への関心は大半の市場で失速傾向にあり、自動運転車両の安全性に対する消費者意識はグローバル市場で二分化していると分析している。

自動運転レベル3やレベル4の実用化で変わる消費者意識

2020年は、市販車における自動運転レベル3の導入やレベル4移動サービスの実用化が世界各国で本格化する見込みで、自動運転技術を体感する機会や目にする機会が一気に増加するものと思われる。

次回調査からは、こうした体験が意識調査に反映され始めるため、消費者意識がどのように変わっていくのか注目したい。

【参考】自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説」も参照。

■消費者の「新しいモビリティモデル」に対する意識
モビリティサービスは公共交通へのアクセスが重要

新しいモビリティにおける交通渋滞緩和の最善策としては、「マストランジット(鉄道など大量の公共輸送機関)へのアクセス向上」がドイツ62%、日本46%など各国で最も高い結果となった。

日本では、「道路通行料・混雑料金」が16%、「クルマの使用を制限する規制」が15%、「車車間通信(V2V) コネクティビティ」が10%と続いている。

消費者が1度の移動で複数の交通手段を使用する頻度は、週に1度と回答した率は韓国37%、インド30%、中国27%、日本21%となった一方、全く利用しない割合は米国39%、ドイツ32%、日本21%といった結果になった。

配車サービス利用、日本は「ときどき」が10ポイント増の19%

配車サービスの利用頻度は、2017年調査と比較し、日本は「ときどき利用する」が10ポイント増の19%、「週に1度利用する」が9ポイント減の78%となった一方、ライドシェアが盛んな中国では「ときどき利用する」が27ポイント増の59%、インドは同19ポイント増の57%、米国も同29ポイント増の51%と大きな伸びを見せた。

配車サービスを利用するメリットの上位3件では、「いろいろな事ができる」が各国でランクインしたほか、「クルマを所有/運転するより低コスト」(ドイツ・韓国1位、日本・インド2位)、「飲酒運転の心配がない」(中国2位、米国・日本3位)、駐車場確保や駐車料金の支払いが不要(米国1位、韓国2位、中国3位)などが目立った。

若年層ほどクルマの所有を疑問視する結果に

多くの場合、消費者は従来のタクシーの代替手段として配車サービスを利用する傾向が高く、従来型タクシーの代わりに配車サービスを利用する割合はインドで74%、中国63%、米国63%、韓国42%、ドイツ35%、日本34%で、自家用車の代わりに配車サービスを利用する割合は、インド57%、中国53%、米国29%、韓国35%、ドイツ32%、日本31%となっている。

将来的なクルマ所有の必要性を疑問視する世代別の配車サービスユーザーの割合は、韓国以外では若年層ほど高い傾向があり、日本ではプレ・ベビーブーマー世代(1965年以前生まれ)32%に対し、X世代(1965年~1976年生まれ)が37%、Y/Z世代(1976年以降生まれ)が49%となっている。

デロイトは、日本、ドイツ、米国では1度の移動で複数の交通手段を利用する消費者は5人中1人未満で、マルチモーダル・モビリティに抵抗を感じる消費者は依然多いと指摘している。

モビリティサービス事業が自動車メーカーの柱に

世界各地でMaaS導入に向けた動きが加速しているが、スムーズな交通結節や利用しやすいアプリ機能、料金体系など、支持を集めるためには全体の利便性を高めなければならないようだ。

一方、自家用車の所有に関しては、世界的にクルマ離れの傾向が進んでいることが顕著に表れた結果となっている。自動車メーカー各社がサブスクリプションサービスの導入やカーシェア事業などモビリティサービス事業に力を入れ始めており、この流れは今後も加速しそうな情勢だ。

【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。

■消費者の「電気自動車(EV)技術」に対する意識
EVへの関心は世界的に増加傾向続く

EV技術に対する意識調査では、次回購入もしくはリースするクルマに従来型の内燃機関車(ICE)を求める割合が減少する一方、ハイブリッドなどの代替パワートレインへの関心は拡大の一途をたどっており、ハイブリッド・純電気自動車(BEV)、その他を合算した割合は、米国が前年比12ポイント増の41%、インドが同10ポイント増の49%、ドイツが同14ポイント増の51%、韓国が同15ポイント増の58%、日本が同4ポイント増の63%となった。中国のみ同8ポイント減の57%の状況。

また、ガソリン価格によってBEVを検討する消費者の割合においては、燃料価格の増加とBEVへの関心は比例傾向にあり、日本ではガソリン1リットルの価格が176円の場合はBEV 検討割合18%、247円の場合は50%、282円以上で60%という結果になっている。

消費者がBEVを検討する主な理由では、「低排出ガス」がインド56%、ドイツ54%、米国47%、中国38%、韓国38%、日本32%で、「車両の低ランニングコスト」がインド21%、ドイツ24%、米国38%、中国34%、韓国51%、日本47%と各国でこの二項目が上位を占め、いずれも過半数を超えた。

ICE(従来型内燃機関車)と比較し、EV導入に追加費用を払う意欲に関しては、「追加費用を払わない」とした割合はインド53%、韓国37%、日本30%、米国29%、中国28%、ドイツ24%で、「10万円未満(3000ドルなど単位は各国別)」の割合はインド21%、韓国20%、日本18%、米国19%、中国29%、ドイツ17%、「10万–30万円」「30万円以上」を合算した割合は、インド16%、韓国23%、日本18%、米国18%、中国33%、ドイツ16%と、追加費用を惜しむ傾向が見られた。

BEVに期待する最小走行距離、各国で大きくばらつき

消費者がBEVに期待する最小走行距離(マイル)は、各国で大きくばらつきが見られ、実際の走行距離にかかわらずBEVに対する期待値は非常に高いとしている。

BEVの完全充電のために許容できる時間は、「10分未満」と「10~30分未満」の合算値で韓国53%、ドイツ51%、日本45%、米国32%、インド31%、中国19%で、「30分から1時間未満」は韓国29%、ドイツ34%、日本29%、米国27%、インド35%、中国40%で、3~5割が30分未満、過半が1時間未満を許容できるとしている。

消費者が考える公共のEV充電スタンドや他のインフラ構築に関する責任の所在については、「自動車メーカー」と「政府」と答えた合算割合が日本65%、米国55%、インド65%、中国59%、韓国74%、ドイツ52%となり、多くの消費者がEV充電網の構築はOEMまたは政府にかかっていると考えていることがわかった。

デロイトは、世界中でEVへの関心は上昇しており、EV導入に対する大きな障壁が残っている米国においても代替パワートレインを望む人の数は急増していると指摘している。

自動車の主流はEVへ 航続距離や低価格化がカギに

EVへの期待は高まる一方で、近い将来自動車の主流へと移り変わっていくことは間違いないだろう。目下の普及のカギは、航続距離と充電設備だ。大容量バッテリー技術や急速充電技術、非接触充電技術などさまざまな進化を遂げており、EVのラインアップの拡充とともに低価格化が進めば、一気に市場を拡大する可能性が高そうだ。

■【まとめ】過渡期迎えたモビリティ業界 消費者意識の変化に注目

コネクテッド領域では、中国やインドといった経済発展が著しい国で高い関心が示された一方、日本やドイツなどの自動車大国では思いのほか低い結果となった。自動車にまつわる既存サービスの充実度に対する相対的な評価とも考えられるため一概には言えないが、最新技術ならではのあっと言わせるようなサービスが求められているのかもしれない。

自動運転に関しては、徐々に技術の中身が浸透し始めているものの、依然として「イメージ」で捉えられている面が強く、事故報道などの影響を受けやすいようだ。

テクノロジー企業や新規参入企業の信頼性が増加傾向にあるのは好材料で、今後、自動運転を活用した具体的なサービスを体験する機会の増加などとともに「未知の技術」のイメージは消え、徐々に社会受容性も高まるものと思われる。

モビリティサービスにおいては、いかに利便性を高めるかに尽きるようだ。都市部と地方では導入目的などが異なるため、地域性に目を向けた調査なども参考にしたいところだ。

コネクテッドサービスの普及が始まり、自動運転技術やMaaSの導入が試験的に始まり出した今は、まさにモビリティ業界変革の過渡期と言える。この過渡期において、消費者意識がどのように変わっていくのか。今後の調査にもしっかり注目していきたい。

▼資料URL
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/about-deloitte/news-releases/jp-nr-nr-20200414-global-automotive-consumer-study-jp.pdf

【参考】関連記事としては「いざCASE対応!自動運転などメガサプライヤーの戦略まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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