【資料解説】自動運転関連用語、国はどのように概説している?

OTAとは?ODDとは?セカンダリ・アクティビティとは?



国土交通省はこのほど、先進安全自動車(ASV)推進検討会がまとめた自動運転関連用語の概説を公表した。ASV技術に関する理解を広めることを目的に、主要なASV技術の概要を整理するととともに、新聞や雑誌などでよく使用されている自動運転関連用語の概説をとりまとめた。







全38項目で、「自動運転」などの基礎用語から「セカンダリ・アクティビティ」「オーティーエー」など、今後目耳にする機会が増加しそうな用語に至るまで解説している。

こうした用語は、これからの自動運転時代のスタンダードとなる。この中から今後頻出しそうな用語をいくつか抜粋し、紹介していく。

▼新聞、雑誌等でよく使われている自動運転関連用語の概説
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/resourse/data/yougo.pdf

■運転引継要求

自動運転レベル3の車両において、自動運転システムが機能の限界を超えるなどした際に運転者に運転操作の引継ぎを求めること。別称として「RTI(リクエスト・ツー・インタービーン)」が挙げられているほか、「TOR(テイクオーバーリクエスト)」が用いられることも多い。

レベル3関連ではこのほか、運転者と自動運転システム間で運転操作を他方に委ねる「運転権限委譲(運転引継ぎ)」や、運転者が自動運転システムから運転操作を安全に引き継ぐ準備ができている状態を指す「運転準備状態」、システムが運転者へ引き継ぎを求めてから手動運転操作に切り替えるまでに必要とする時間「受け渡し時間(引継時間)」なども掲載されている。

【参考】自動運転レベル3については「自動運転レベル3の定義や開発状況は?日本と海外の現状まとめ」も参照。

■運行設計領域

自動運転システムが安全に自動運転を行うことができる車両設計上の条件を指す。条件の種類としては、走行するエリアや道路、地理、気象、時間などの条件が考えられている。「ODD(オペレーショナル・デザイン・ドメイン)」「限定領域」という言葉が用いられることも多い。
レベル3、レベル4で頻出する言葉だ。各自動運転システムの能力を示すものとなり、ODDが拡大すればするほど自動運転が進化することを意味する。

■オーティーエー(OTA/Over The Air)

無線ネットワークを利用したソフトウェアのアップデートを指す。自動運転車などの車両は、携帯電話網のほか車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)を通じて無線通信でソフトウェアをバージョンアップすることで、車両構造そのものの変更なしに性能向上や新しい機能の追加が可能になる。

すでにカーナビソフトなどのアップデートで実用化されているほか、米テスラはADAS機能である「オートパイロット」のソフトウェアアップデートにも採用している。自動運転時代はこうした手法がスタンダードとなる見込みだ。

■自動駐車機能

自動運転を実現するための技術(運転自動化技術)を活用して駐車行動を支援する機能で、駐車スペースを検出してハンドル操作のみを自動で行う「半自動駐車機能」、駐車スペースの検出から駐車完了までの全ての操作を自動で行う「全自動駐車機能」、全自動駐車機能をより高度化し、駐車場出入口から車両が自走して駐車スペースを検出して自動駐車を行う「自動バレーパーキング」を挙げている。別称として「オートパーキング」がある。

駐車場におけるレベル4技術として実装が進み始めており、海外ではダイムラーとボッシュのドイツ勢、国内では日本自動車研究所(JARI)やパナソニック、アマノなどが開発を進めている。中国のHuman HorizonsはEV「HiPhi X」に自動バレーパーキング(AVP)システムを搭載すると発表している。

【参考】Human Horizonsの取り組みについては「中国Human Horizons、HiPhi Xにレベル4自動駐車システム搭載へ」も参照。

■セカンダリ・アクティビティ

自動運転中に、一定の条件の下で運転者に許容され得る運転操作以外の活動を指す。「二次タスク」とも言う。特に、自動運転と手動運転が混在するレベル3でセカンダリ・アクティビティへの注目度が高まっている。

レベル3では、自動運転中にスマートフォンなどの操作が可能になるが、このほかどのようなことを行うことができるのか、また禁止されるのか、明確な線引きはこれから行われることになると思われる。

【参考】セカンダリ・アクティビティについては「自動運転なら「居眠り」してもいい?レベル3に求められるモラルは?」も参照。

■ダイナミックマップ

自動運転に必要となる特殊なデジタル地図。静的情報である高精度3次元地図(HD=High Definition=マップ)に、時間とともに変化するさまざまな動的データ(信号情報、歩行者情報などの動的情報、事故情報、交通規制などの準動的情報、気象情報などの準静的情報)を組み込んだものを指す。

高度な運転自動化技術は、車両に搭載したカメラや各種のセンサーで周囲を認識し、それらの情報をダイナミックマップのデータと照らし合わせることでより完成度を高めることができる。

高精度3次元地図やダイナミックマップの開発はダイナミックマップ基盤やTRI-ADなどが力を入れている。高精度3次元地図はハンズフリー走行が可能なレベル2で本格運用が始まっており、レベル3以降も多くのケースで活用される見込みだ。

【参考】ダイナミックマップについては「【最新版】ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。

■ドライバー異常時対応システム

運転者が異常により運転を継続できなくなった際に、周囲に異常を知らせ、車両を停止させる運転支援システム。「デッドマンシステム」と呼ばれるほか、「Minimal Risk Maneuver(ミニマル・リスク・マヌーバー)」や「Minimal Risk Maneuver(ミニマム・リスク・マヌーバー)」と呼ぶこともある。

そのまま停止するシステムや車線内を維持して停止するシステム、路肩などの退避スペースに寄せて停止するシステムなど複数のタイプが検討されている。

レベル3で必須とされる技術だが、レベル2以下の手動運転におけるADASとしても有用な技術だ。

■【まとめ】新しい用語が続々、頭のアップデートを忘れずに

資料ではこのほか、「作動状態記録装置(DSSAD/データ・ストレージ・システム・フォー・オートメイティッド・ドライビング)」や「冗長設計」、「隊列走行」「ドライバーモニター」「V2X(VtoX)」などを掲載している。

時代の変わり目には、聞きなれない用語や新しい用語が続々と登場する。「CASE」や「MaaS」など、業界関係者にとってはすでにスタンダード化した言葉も、一般にはまだまだ浸透していないのが現状だ。

新たな常識を蓄え、来たるべき自動運転時代に備え頭の中をしっかりとアップデートしていこう。

▼新聞、雑誌等でよく使われている自動運転関連用語の概説
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/resourse/data/yougo.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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