
世界各地で自動運転タクシー事業を展開する動きが活発化している。主役は先行する米国・中国の開発勢だが、新たな企業も頭角を現し始めている。
世界的な普及が始まった自動運転タクシーだが、開発各社が採用する車種はさまざまだ。自動運転タクシーにはどのようなモデルが導入されているのか、車種面から最新トレンドに迫る。
記事の目次
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■Waymo
I-PACEベース

Waymoの自動運転タクシーにおいて、クライスラーのミニバン「パシフィカハイブリッド」に代わり現在主力となっているのがジャガーランドローバーのBEV「 I-PACE」だ。全車BEV化というWaymoの方針により、パシフィカによる運行は2023年までにすべてI-PACEに置き換えられた。
I-PACEはジャガー唯一のBEVで、2018年のWaymoとの契約では、最大2万台導入する内容だった。2026年時点の導入台数は3,000~4,000台となっており、Waymoの全フリートを支えている。ジャガーは次世代BEVを見据えI-PACEの販売を終了しており、Waymoとしては新車種の導入が必須となっている状況だ。
Ojai

I-PACEに代わって自動運転タクシーに採用されたのが、中国Geely系のブランドZeekrの「Ojai(オハイ)」だ。2021年にWaymoとZeekrが提携し、共同開発を進めていた。
当初は正式名称がなく、「Zeekr RT」と呼ばれていたが、CES2026で一般公開された際に「Ojai」と命名したことが発表された。I-PACEはSUVタイプだったが、配車サービス向けにゼロから設計されたOjaiは室内空間が広いミニバンタイプとなっている。
「走るリビングルーム」を称しており、旅をより快適にするための新しい車内機能や、WaymoのGeminiと刷新されたユーザーインターフェースを提供するという。
2026年夏に第6世代のWaymo DriverとともにOjaiはデビューしており、徐々にそのフリートを拡大していくものと思われる。
【参考】関連記事「Googleロボタクシー「1万台が中国製」に?日本は「敗戦」確定か」も参照。
■Tesla
Model Y

テスラがロボタクシー事業に着手してから一年が経過した。当初は実証要素が強かったが、現在一部で無人運行に着手するなど、本格化の兆しを見せている。
現在は、ロボタクシー専用のFSDを搭載したModel Yでサービスを提供している。フリートは、オースティンなどのテキサス州内の登録台数が40台余りで、フロリダ州マイアミも数台~10数台規模と言われている。実稼働台数はおそらくもっと少ない状況だ。
ただ、全米網羅を掲げるイーロン・マスク氏の指揮のもと、各都市に相当な台数のModel Yが送り込まれ、実証を重ねている可能性が高い。
ベースが普通の自家用車だけに、将来的な自家用車の自動運転化に直結する点にも注目だ。
Cybercab

テスラのロボタクシーの本命車種は「Cybercab」だ。ハンドルやペダルを持たない2人乗りのロボタクシーモデルで、発表当時の予定価格は3万ドル(約450万円)とされていた。
純粋な自動運転自家用車として販売するのか、ロボタクシー車両として販売するのかいまいち定かではないものの、仮に自家用車の場合、万が一の際にオーナー(乗客)は車両を一切制御できず、遠隔オペレーターなどの対応に頼ることになるが、運用上現実的ではない。
あくまでロボタクシー専用として販売するのか。謎は残るが、すでに量産体制に入っており、公道実証にも着手している。テスラの自動運転事業を担う重要なモデルだけに、今後の動向に要注目だ。
【参考】関連記事「テスラの自動運転Cybercab ついに「ハンドル&ペダルなし」で公道を走る」も参照。
■Zoox
VH6

アマゾン傘下Zooxは、完全オリジナル設計の車両「VH6」を開発・製造し、ロボタクシー事業を展開している。既製の自家用車に自動運転システムを後付けするWaymoのようなアプローチは効率的だが、車両そのものは自動運転タクシー向けに最適化されているわけではない。それゆえ、Zooxはオリジナル車両の設計から手掛けている。
VH6はハンドルなどの手動制御装置を備えない自動運転専用モデルで、ぱっと見はトヨタのe-Paletteのようなシャトル型に見える。全長3,630ミリ×高さ1,936ミリのコンパクトなサイズで、車内は対面で4人乗車できる。車両は前後の区別がなく、前進・後進も自由自在という。最高時速120キロを誇る。車両は自社工場で製造しており、週100台ペースで生産可能としている。
ネバダ州ラスベガスで2025年9月にサービスを開始し、現在サンフランシスコでもアーリーライダーへのサービス提供を行っている。今後、オースティン、マイアミに拡大する計画だ。
【参考】関連記事「アマゾンのロボタクシーZooxが有料化 初乗りはいくら?」も参照。
■May Mobility
シエナAutono-MaaS(S-AM)

May Mobilityは、出資を受けるトヨタの「Sienna Autono-MaaS(S-AM)」を主力車種に据えている。自動運転シャトルサービスに力を入れていた当初はレクサス 「RX 450h」を使用していたが、自動運転タクシーにシフトしてからはシエナが主力となっている。
トヨタ自動車北米によると、S-AM は大型ミニバンのシエナに車両制御インターフェースを追加し、サードパーティ製の自動運転キットやセンサーに対応した新しい車両プラットフォームで、自動運転やMaaSアプリケーションで使用できるようにしたモデルだ。
導入台数は不明だが、May Mobilityはジョージア州アトランタ市、ピーチツリーコーナーズ、ミネソタ州グランドラピッズで自動運転タクシーサービスを継続提供している。
2026年には中国CaoCaoとパートナーシップを結び、欧州を皮切りに国際市場でロボットタクシーの大規模な商用化を目指すと発表している。シエナが採用されるのか、改めて注目したい。
【参考】関連記事「トヨタ、日本未発売車「シエナ」を自動運転化!東京都イベントで展示」も参照。
■Avride
IONIQ5

Avrideは、提携する韓国・ヒョンデの「IONIQ 5」を主力に自動運転タクシーサービス実証を提供している。
Avrideとヒョンデは2025年に戦略的パートナーシップを交わし、IONIQ 5に自動運転システムを統合してロボタクシーや自動配送サービスを行うと発表している。2026年4月には、200台を超えるフリート規模に達している。
Uber Technologiesとのパートナーシップのもと、現在オースティンとダラスでサービス実証を行っており、ダラスでの乗車回数は6万回を超えたという。
【参考】関連記事「ロシア創業の自動運転企業、米国に「亡命」 Yandex、新社名で再出発」も参照。
■Motional
IONIQ 5

Motionalは、親会社ヒョンデのBEV「IONIQ 5」をシンガポール拠点でロボタクシー化し、米国内でサービス実証を重ねている。
当初計画より遅れたものの、Uber Technologiesとの提携のもと、2026年にラスベガスでロボタクシーサービスを開始した。ドライバーレスサービスは年内に開始する予定としており、将来的にサービス提供エリアの拡大を図っていくとしている。
■Nuro
Lucid Gravity

米Nuroは、パートナーシップを結ぶLucid Motorsの6~7人乗り高級SUV「Lucid Gravity」をロボタクシー車両に採用した。
NuroはLucid、Uber Technologiesと手を組み、ロボタクシー事業に着手した。2030年ごろまでにNuro Driverを搭載したLucid車両を2万台以上生産し、世界の数十の市場に展開することを目標に掲げている。
現在サンフランシスコとヒューストンで実証を重ねており、2026年4月にはカリフォルニア州車両管理局(DMV)から無人運転試験許可証、同年5月にはカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から旅客サービス試験運用許可を取得したことをそれぞれ発表している。
計画通り進めば、2026年中にサンフランシスコ、2027年にヒューストンでサービスインすることとなる。日本とドイツにも拠点を設けており、並行して海外進出も進めていくものと思われる。
■百度
RT6

中国ロボタクシー市場をけん引する百度(Baidu)は、最新の第6世代の自動運転車両として「RT6」を採用している。
政府系自動車メーカー・江鈴汽車と共同開発したモデルで、ロボタクシーサービス向けに設計されている。製造コストは当初25万元(約500万円)としており、その後量産化に伴い20万元(約400万円)まで引き下げたという。
2026年時点で主力車種となっており、北京、上海、広州、深センといった中国内をはじめ、ドバイやアブダビ、欧州など海外における商用サービスや実証でもRT6が使用されている。
総台数は公表されていないが、RT6だけで数千台規模のフリートになっているものと思われる。
次期第7世代のロボタクシーは、製造コスト2万ドル(約320万円)を目指しているという。グローバル化が進む中、価格面で優位に立つ戦略は、BEV戦略と共通しているのかもしれない。
【参考】関連記事「ドバイ、ロボタクシー1号は「中国製」!どうした日本?」も参照。
■WeRide
アリア
WeRideは提携する自動車メーカー各社の車両をロボタクシー化しているが、主力の一つとして日産「アリア」を使用している。
WeRideはルノー・日産・三菱のアライアンス・ベンチャーズから出資を受けているほか、日産の中国法人である日産モビリティサービスは、WeRideの技術協力のもとロボタクシー開発を進めている。こうした縁もあり、日産製のBEVを導入しているものと思われる。スイスでの公道実証にも使用されている。
GXR

WeRideの今後の主力モデルとして最も有力なのは「GXR」だ。Geely傘下のGeely Farizonとの提携のもと2024年に開発したミニバンタイプのロボタクシーで、量産化を容易にする体制は整っているようだ。
NVIDIA DRIVE AGX Thorシステムオンチップを搭載したNVIDIA DRIVE Hyperion自動運転車開発プラットフォームをWeRideのHPC 3.0高性能コンピューティングユニットに統合している。HPC 3.0は、自動運転スイートのコストを50%削減し、総所有コストを84%低減するという。
2026年3月時点で、同社が保有するロボタクシー台数は1,125台となっており、2026年末までに2,600台、2030年までに数万台を目指す方針だ。GXRは2026年中に2,000台納入する契約を交わしており、WeRideの主力車種として国内外市場に導入されていくものと思われる。
【参考】関連記事「米Uber、ドバイで自動運転タクシーを展開 中国企業WeRideとタッグ」も参照。
■Pony.ai
bZ4X

中国Pony.aiは、レクサス「RX」やGAC系ブランド AIONの「Aion V」BAIC系ブランドArcfox の「Alpha T5」など数々のモデルを自動運転タクシー車両に採用しているが、今後、最新の第7世代自動運転システム搭載車両としてトヨタの「bZ4X」が幅を利かせることになりそうだ。
bZ4Xロボタクシーは、Pony.aiとトヨタ自動車中国、GACトヨタが共同開発した初の量産型モデルで、2026年2月に正式に生産ラインから出荷開始している。
同社はすでに1,700台のロボタクシーを保有しているが、2026年中に1,000台以上のbZ4Xロボタクシーを生産し、中国の主要都市で段階的に商用サービスに導入する計画としている。2026年中に総台数を3,500台まで増加するという。
第7世代としては、Aionの「Aion T-Rex」、Arcfoxの「Alpha T5」とbZ4X の3モデルが発表されているが、おそらくbZ4Xの台数が最も多くなるものと思われる。
【参考】関連記事「トヨタの自動運転タクシー 日本捨て中国で量産へ」も参照。
■Momenta
メルセデス・ベンツ「Sクラス」

ADASソリューションの領域で世界各国の自動車メーカーとパートナーシップを結ぶMomenta。近年はロボタクシー事業にも本腰を入れており、アブダビなど正式運行が決定する事案も出始めている。
アブダビでは、メルセデス・ベンツとUAEの国営タクシー企業Lumoと共同でロボタクシー事業を展開する。車両はメルセデス・ベンツの「Sクラス」をベースにした高級志向のサービスとなる。
2026年中にアブダビで正式運行を開始し、将来的には他のグローバル市場への展開も視野に収めているという。Momentaはドイツ全土における試験走行許可も取得しており、今後の事業展開に要注目の一社だ。
【参考】関連記事「トヨタ出資先、ロボタクシー「ドイツ全土」で試験可能に」も参照。
■Wayve
Mustang Mach-E

英Wayveは、2026年夏のサービスインを予定しているロンドンでのロボタクシーに、米フォードのBEV「Mustang Mach-E」を採用したようだ。
Wayveにとっては初のロボタクシー事業となる。珍しいことに、Wayveとフォードは特にパートナーシップを結んでおらず、Wayveが独自に仕入れて自動運転化しているようだ。東京都内の公道実証においてもMustang Mach-Eが使用されており、目撃情報がSNSなどで出回っている。
なお、Wayveは2026年6月、ステランティスとレベル4自動運転モビリティサービスの開発と展開に向け提携を交わした。この関係を踏まえると、近い将来欧州ではステランティスの車両が採用される可能性が高そうだ。
リーフ
ロボタクシー事業で提携するWayveとUber Technologiesは、日本市場におけるパートナーに日産を選んだ。Wayveと日産は自家用車向けのソリューションで提携を結ぶ関係だ。
「NVIDIA GTC 2026」では、日産「リーフ」ベースのプロトタイプ車両が出展された。2026年後半に東京都内でロボタクシーの試験運行を開始する計画で、リーフが使用されるという。
【参考】関連記事「ソフトバンクG出資のWayve、世界の大手自動車と提携 世界制覇へ」も参照。
■【まとめ】専用設計モデルの導入例が増加傾向に
全体的な傾向としては、BEV率が明らかに高まっている点が挙げられる。実証時は、プリウスなど燃費の良いハイブリッド型やPHEVを活用する取り組みが多かったが、現在では大半がBEVに置き換えられている。
また、徐々に専用設計モデルの導入も増えてきた。これまでは、自家用車仕様の既存モデルを改造する例が主流だったが、サービス本格化とともにロボタクシーに向いた設計車両を量産化する動きが多くなってきている。
この一年ほどで導入台数も飛躍的に伸びており、先行勢は1,000台単位でフリートを拡大する局面に到達した。目に見える形でロボタクシー市場が拡大を始めたのだ。
これまで比較的大人しかった自動車メーカー各社も、ロボタクシー市場への関わりを深めるべく本腰を入れる可能性がある。激動期に突入したロボタクシー市場の動向に要注目だ。
【参考】関連記事としては「ロボタクシー(自動運転タクシー)とは?日本やアメリカ・中国の状況は?」も参照。













