自動運転実証実験の”常連”8車両まとめ MileeやeCOM-10、RoboCar、Robot Shuttleなど

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日本各地で自動運転車の実証実験が行われている。精力的に実証に取り組む企業は開発車両とともに全国を飛び回っており、企業自体が実証実験の顔として常連化すると同時に、開発車両もまたラインナップが定番化しつつある。







オリジナルの愛着たっぷりな車両から市販車両を改造したもの、プラットフォーマー提供のものまでさまざまだが、今後これらの車両をじかに目にする機会も増えてくるものと思われる。

定番化しつつある実証実験の「常連車両」をいくつか紹介しよう。

  1. 愛知県、豊橋市で遠隔型自動運転車2台による実証実験 LiDARや高精度3Dマップ活用
  2. 大分市、自動運転車を「市民の足」に 低速車両で実証実験スタート
  3. 【ZMP特集#1】「機は熟した」自動運転実用化へ デモは卒業、商業化へ—AI自動運転最前線・イノベーション・自動車革命
  4. 日産のワクワク自動運転戦略 車線変更技術とEasy Rideに秘める可能性
■実証実験で活躍する自動運転車両
アイサンテクノロジー×ティアフォー「Milee(マイリー)」:自動運転レベル4のワンマイルモビリティ
出典:東京都プレスリリース

測量設計などを手がけるアイサンテクノロジーと名古屋大学発のベンチャー・ティアフォーなどが2017年末までに製作したワンマイルモビリティのプロトタイプ初号機がマイリーだ。ヤマハ発動機の電動ゴルフカートをベースにした4~5人乗り自動運転EVで、ハンドルやアクセルなどのペダルを備えておらず、運転手が不要な自動運転レベル4(高度運転自動化)を実現している。

ティアフォーが開発を進めている自動運転ソフトウェア「Autoware」、アイサンテクノロジーの高精度三次元地図技術をもとに、搭載したLiDAR(ライダー)やカメラが周囲の物体検出や自車位置の特定、走行経路の策定、運転判断といった機能を実現している。ECUには米NVIDIAのDRIVE PXプラットフォームを使用している。

車体には3Dプリンタ樹脂材が使用されており、重量は約700キロ。丸っぽく可愛らしいデザインに仕上がっており、最高速度は時速19キロに抑えられている。

このほか、アイサンテクノロジーはトヨタ「エスティマ」をベースにした自動運転の実証実験用車両も開発しており、愛知県内外で実証実験を行っている。マイリーとエスティマを用いた複数台の遠隔型自動運転システムを活用した実証実験を2018年11月に行っている。

群馬大学×シンクトゥギャザー「eCOM-10」:一度見たら忘れない10輪車、観光地利用も視野に
出典:東京都プレスリリース

群馬大学と群馬県桐生市のベンチャー企業シンクトゥギャザーが開発した、16人乗りの低速電動コミュニティビークル。タイヤが片側に5個ずつ並んだ10輪車で、最高速度は時速19キロ。GPS(全地球測位システム)やレーザーセンサー搭載で、障害物を避けながら自動で運行し、信号停止もできる。屋根にはソーラーパネルを搭載している。

VCU(ビークルコントロールユニット)により、パソコンからアクセルやブレーキ、ステアリングなどの操作を電動制御することができる。

コミュニティバスや観光地での活用などが検討されており、2018年9月に埼玉高速鉄道がさいたま市で実証実験を行ったほか、同年10月に東京都三宅島で観光モニターツアー、大分市などでも実証実験が行われている。

ZMP「RoboCar(ロボカー)」:開発用プラットフォーム提供、自動運転タクシー実用化目指す
出典:ZMP社プレスリリース

ZMPが開発した、プログラム制御により走る、曲がる、止まるなどの制御が可能な自動運転を開発するための車両プラットフォーム。

使用目的に応じてさまざまなラインナップが用意されており、室内でも走行実験可能な「RoboCar 1/10」、一人乗りEVをベースとした「RoboCar MV2」、人や機材の積載性を向上させた「RoboCar MiniVan」、走破性やラグジュアリー感を向上させた「RoboCar SUV」などを販売している。

2018年8月27日から9月8日にかけて東京都内で実施した自動運転タクシーの実証実験では、ミニバンタイプが使用された。

ヤマハ発動機「PPM」:低速自動運転カートで多様な移動サービスに対応
出典:ヤマハ発動機プレスリリース

ヤマハが開発を進める「PPM(パブリック・パーソナル・モビリティ)は、歩行者が混在する数キロ四方での利用を想定した安全で便利なオンデマンド型の低速ワンマイルモビリティシステム。車両はゴルフカーをプラットフォームにしている。

スマートフォンで最寄りの場所まで自動運転で呼び出すことが可能で、Web-API(ネットワークを介してプログラムからアプリケーションを操作するための仕組み)によってサービス提供者が独自のMaaS(Mobility as a Service:移動サービス)アプリケーションを構築できる。

アスファルトなどの路面の特徴により自車位置同定を行う自動走行システム「VGL(Virtual Guide Line)」を採用しており、車両底部に設置したカメラで撮影した路面画像を事前に記録したマップデータベースの情報と照会することで、車両の位置姿勢情報を取得する自車位置同定機能を備えている。

また、ナビゲーションシステムによって求められた目的地までの経路と自車位置情報に基づき、最高時速20キロで経路を追従走行する機能に加え、3D-LiDAR(ライダー)により経路上に障害物を見つけた際に、車両を減速または停止させる障害物認識機能も備えている。

【参考】ヤマハの取り組みについては「ヤマハ発動機の自動運転戦略とは? コンセプトや方針は?」も参照。

DeNA「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」:全国10カ所以上で延べ5000人が利用
出典:DeNAプレスリリース

スマートモビリティの車体開発を手掛ける仏ベンチャー企業EasyMile社の無人運転バス「EZ10」を利用した交通システム。最大12人が乗車できるEV前後面の区別はなく、最大時速40キロで走行できる。運転席はなく、あらかじめ作成した地図データをもとに走行ルートや速度、停車位置などを設定し、自動で走行する。

車体の4隅にLiDAR、前後にカメラなどが搭載されており、全方位の障害物を検知して自動制御するほか、LiDARとGPSが互いの情報を補完し合うことで誤差数センチの自己位置特定を可能にしている。

ラストワンマイルの近距離移動を目的としており、2016年8月に商業施設の敷地で行われた実証実験を皮切りに、大学キャンパスや動物園、道の駅など10カ所以上で走行し、延べ5000人以上が利用している。

発電所や工場、大学、商業施設、リゾートなどの私有地内での活用をはじめ、将来的には過疎地域や観光地など公道での活用も想定している。

DeNA×日産自動車「Easy Ride(イージーライド)」 無人タクシー実用化に向け前進
出典:DeNAプレスリリース

両社は無人運転車両を活用した新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」を共同開発しており、2018年3月に一般モニターを乗せる実証実験を神奈川県横浜市のみなとみらい地区周辺で行った。

車両は日産EVの先代「リーフ」をベースに、NASAの技術を取り入れた自動運転技術「Seamless Autonomous Mobility(SAM)」と、DeNAのサービス設計と運営ノウハウを融合させた遠隔管制システムを導入。車両に搭載したカメラなどがセンシングした車両周囲の状況や車内の様子を遠隔でモニタリングする遠隔管制テストやアプリサービスの実証などを行った。

今後も、無人運転環境でのサービスの検討や運行ルートの拡充、有車両との混合交通下での最適な車両配備ロジックや乗降フローの確立、多言語対応などの検証を進め、2020年代早期をめどに無人運転車両による本格的なサービスの提供開始を目指すこととしている。

【参考】イージーライドについては「日産のワクワク自動運転戦略 車線変更技術とEasy Rideに秘める可能性」も参照。

埼玉工業大学(フィールドオート社):積極的に研究開発・実証実験進める
出典:埼玉工業大学プレスリリース

埼玉県深谷市などで実証実験を行っている埼玉工業大学(フィールドオート社)。ZMPの自動運転開発プラットフォーム「RoboCar HV」をベースにしたトヨタの「プリウス」を使用しており、エンジン始動や停止、シフトの切替、操舵、制動、駆動などをコンピュータを介して操作することができる。

車両には内部や上部にさまざまな装置が取り付けられ、自動運転に必要なコアセンサーの性能なども実証している。

先進モビリティ:日野バス改造車を利用、磁気マーカー技術など確認
出典:産業技術総合研究所

日野自動車の小型バス「ポンチョ」や「リエッセ」を改造した車両で各種実証実験を行っている。2018年10月に茨城県日立市で行われた実証実験では、カメラやLiDAR、ミリ波レーダー、GNSS・QZSSアンテナ、磁気マーカーセンサーなどを搭載したポンチョを使用し、GPSや磁気マーカーにより自動で走行ルートを維持する自動運転レベル4相当の技術を試している。

■実証実験加速とともに開発車両のプラットフォーマー増加の可能性あり

このほかにも、外国製だがSBドライブが多用している仏Navya(ナビヤ)社製の「NAVYA ARMA(ナビヤアルマ)」など有名なものもある。また、秋田県仙北市で実証実験を行ったAZAPAとリコーのように、鋭意開発に取り組んでいる企業は多数存在する。現在はカート改造型やEV改造型、車内が広めのミニバン型などが多いようだ。

今後、自動運転社会の実現に向け実証実験は増加の一途をたどるものと思われ、ZMPのように開発車両のプラットフォームを販売する形態も増加し、画一化と同時に差別化が進むものと思われる。

また、将来の移動サービスの商用化や各種データを収集するため、自動車メーカーが直接実証実験用車両を提供する可能性もありそうだ。







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