自動運転、必ず観るべき各社の公式YouTube動画まとめ

臨場感味わえる10コンテンツをピックアップ

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本格実用化が間近に迫った自動運転技術。とは言え、自動運転にリアリティを感じられない人はまだまだ多いものと思われる。実際目にするまで懐疑心をぬぐえないのも当然だろう。

そういった方々におすすめのコンテンツが動画だ。自動運転を生で体感する迫力には及ばないものの、技術レベルや臨場感を十分味わえる映像を各社がアップロードしている。

そこで今回は、自動運転の実現や未来の可能性を少しでも感じてもらうべく、各社公式でアップされているコンテンツ10作品を紹介しよう。

トヨタ:エンタメ感満載のトヨタイムズ

モビリティへの変化を伝えるトヨタ発の異色メディア「トヨタイムズ」。テレビコマーシャルで目にした方も多いと思われるが、香川照之編集長がさまざまなモビリティ体験や対談を行うエンターテインメント感満載のつくりで今後の自動車業界の姿に迫っている。

香川編集長 TRI-AD取材 フルバージョン」(2019年11月17日/17分32秒)では、トヨタの国内自動運転開発拠点TRI-ADを訪問し、ジェームス・カフナーCEOや鯉渕健CTOらと対談し、シリコンバレーなどとの違いを質問している。

その後自動運転車に試乗し、首都高速道路で自動運転による合流や追い越しなどを体験。会話や体験からトヨタの技術やトヨタが目指す姿を浮き彫りにしている。後半には、東京モーターショーでの豊田章夫社長との会話なども収められている。

なお、トヨタイムズは2019年1月公開の1話から始まり、2020年2月までに37話が公開されている。順を追ってみていくと楽しそうだ。

Waymo:未編集動画で自動運転を身近に

無人の自動運転車にアメリカンフットボールのプロ選手Larry Fitzgerald氏を乗せた未編集の動画「Arizona football legend Larry Fitzgerald rides with the Waymo Driver」(2020年1月30日/15分17秒)が地味に面白い。

後部座席に座るラリー氏を前方から固定カメラで映しただけの車内映像だが、最初は少し落ち着きがないように思えるラリー氏が徐々にリラックスし、電話を掛けたり景色を眺めたりしている様子が淡々と映し出されている。

セーフティドライバーなしの本格的な自動運転レベル4の実用化を始めたウェイモのプロモーション動画と思われ、ドライバーなしで回転するハンドルと窓の外を流れる景色がスムーズな走行を感じさせる。余計な演出を交えていないところがリアリティに溢れており、同社の技術の高さとともにレベル4の到来を強く感じさせる。

【参考】ウェイモの取り組みについては「自動運転タクシー、「念のため係員も」から「完全無人」へ」も参照。

日産:見えないものを可視化する技術とは?

将来的に自動運転車への搭載も検討されている関連技術を垣間見ることができる動画として、日産からは「【技術】 #CES で「Invisible-to-Visible」技術を発表」(2019年1月3日/3分35秒)をおすすめする。CES2019で発表した見えないものを可視化する未来のコネクテッドカーの技術「Invisible-to-Visible」を解説した内容だ。

クルマのユーザーインターフェースや乗車体験を大きく進化させるコンセプトで、現実世界と「メタバース」と呼ばれるデジタルの世界をつなぎ、融合するインターフェースで、新次元のコネクティビティを実現するものとして期待が持たれている。

クルマがセンシングデータを処理し視覚化することでクルマへの信頼度が高まり、ドライバーは自信をもって快適に運転できる。また、誰もがメタバースを経由することで3Dアバターとして乗車し、乗員とコミュニケーションを図ることなども可能になるとしている。

このほか、駐車場の空きスペースの動向検知や、霧で視界が妨げられた際に天候モードを設定し、フロントガラスに霧のないクリアな映像を映し出す技術、プロドライバーをアバターで呼び出しドライビングレッスンを受ける――といったアイディアが紹介されている。

【参考】Invisible-to-Visibleについては「日産、”ビルを透明化する”将来技術発表 自動運転車に搭載へ」も参照。

■DeNA:Easy Rideで移動サービスの可能性を追求

DeNAと日産が共同で取り組む自動運転モビリティ「Easy Ride」の紹介動画「日産自動車とDeNA 無人運転車両による交通サービス「Easy Ride」を発表」(2018年2月23日/2分24秒)がおすすめだ。

空港から降り立った外国人カップルがスマートフォンをタップするとまもなくして車両が到着し、搭乗後、後部座席でモニターに「近くのおすすめ観光スポットは?」「ケーキ屋さんにも寄ってくれる?」など要望するシーンや、習い事が終わった姉妹がモニターを通してお母さんとコミュニケーションを図るシーンなど、4組の利用シーンが収められている。

移動のみが目的のタクシーではなく、ナビゲート機能やコミュニケーションツールとしての機能など、新しい移動サービスの在り方を提案する内容だ。

■BMW JAPAN:YouTuber体験動画をアップ

ガジェット系YouTuber「のりごとー」氏がBMWの自動運転レベル4を体験する動画「YouTuberのりごとー、BMW自動運転レベル4搭載車を体験」(2019年11月20日/4分13秒)をアップしている。

BMW Tokyo Bayの敷地内で、のりごとー氏がスマーフォンアプリで配車を指示すると、運転席が無人の車両がゆっくりと登場。

後部座席に乗ったのりごとー氏は「安心感がある。ドライバーがいないけどいるような感覚」と話し、三眼式のカメラやLiDARなどのセンサーの解析情報を表示したモニターで、ライトの点灯などの操作も実際に行っている。

また、スマートフォンを用いた自動駐車機能も体験し、ワンタップで車両がスムーズに駐車する様子を紹介している。

■フォルクスワーゲン:コンセプトカーI.D.シリーズのプロモーション動画をアップ

フォルクスワーゲンのコンセプトカーI.D. Vizzionのプロモーション動画「VW I.D. Vizzion 2018 | Volkswagen」(2018年3月6日/2分42秒)をおすすめする。

早朝、オーナーが目覚めると同時にクルマも目を覚まし、「Good Morning」「Time to get up」(起きる時間です)とあいさつ。オーナーがジョギングなどしている間クルマは自動走行し、「Pick up in 5 min」(5分で拾います)。親子を乗せたシーンでは、父親が下車した後もクルマは自動走行し、子どもたちを学校に送り届けて「Kids at school」と父親に連絡するなど、スケジュール通りに自在に動く自動運転車の未来の姿が描かれている。

【参考】フォルクスワーゲンの取り組みについては「VW(フォルクスワーゲン)の自動運転戦略とは? 開発の進捗やロードマップは?」も参照。

■GM Cruise:画面2分割でセンサー解析技術を紹介

米自動車大手GM傘下のクルーズの動画「Watch a Self-Driving Car Safely Maneuver Around Cyclists and Scooters in San Francisco」(2019年12月4日/42秒)は、自動運転車から見た実際の映像とセンサーの映像を2分割で表示しており、センサーがどのように人や物体を検知し、解析しているかがわかりやすい。

夜間の暗い環境や、自動運転車の周辺を歩行者・自転車が行き交う様子が映し出されている。1分足らずの動画だが、もう少し長く見たいと思わせるプロモーションだ。

【参考】GM Cruiseの取り組みについては「GM Cruise、ハンドルなしオリジナル自動運転車を発表!」も参照。

■ZMP:配送ロボットの実証走行映像などを数々アップ

物流分野では、ZMPが数々の動画アップしている。2019年8月にアップされた「宅配ロボットCarriRo Deli 韓国初となる屋外ロボット配送の実証実験」(2019年8月27日/2分8秒)では、青いCarriRo Deliが市街地の歩道をゆっくりと走行する様子が収められている。

段差を乗り越える様子や散歩中の犬の手前で停止する様子、横断歩道を渡る様子、車止めをよける様子をはじめ、「おいしい料理をお届け中です」「左へ曲がります」「レイクパレスのみなさん、こんにちは!」など、音声を通じて周囲とコミュニケーションを図る様子も収められている。小型の宅配ロボットが実用化された社会をいち早く感じることができる動画だ。

同社はこのほか、自立走行が可能な物流支援ロボット「CarriRo AD」に関し、「裏技10選」と称してさまざまな使い方を解説する動画や、人が乗ることができるRobocar Walkの走行動画、自動運転タクシーの公道サービス実証の様子などもアップしている。

【参考】ZMPの取り組みについては「自動運転ベンチャーZMP、韓国初の宅配ロボット実証動画を公開」も参照。

■フォード:自動運転×二足歩行ロボットのラストワンマイル配送を提案

米フォードからは、物流に新しい可能性を感じさせる「Digit: Future of Self-Driving Vehicle Delivery | The Future of Ford and Transportation | Ford」(2019年5月22日/1分41秒)を紹介する。

段ボールに詰められた商品を二足歩行ロボットが手に持ち、自動運転車へ。自動運転車が宅配先の家の前に到着すると、リアゲートからロボットが降り立ち、宅配物を手にゆっくりと玄関方面へ歩行を開始する。障害物をよけ、階段を上って玄関先にそっと荷物を置くと同時に、注文者のスマートフォンに到着の連絡が入る――といった、実際の宅配の流れを意識した動画だ。

配送拠点から宅配先までは、車道や歩道の移動と、歩道から入り組んだ構造が多い玄関先までの移動の2つの移動を考慮する必要がある。この課題をクリアする一つの解がこの動画で示されているのだ。

■AutoX:自動運転車を活用した宅配や移動販売を提案

中国と米国を股に掛けて自動運転タクシーの実用化に取り組むAutoXは、「AutoX: meet the grocery run of the future」(2018年8月27日/1分42秒)で自動運転車による宅配や移動販売の可能性を提示している。

スマートフォンで注文すると、乗用車タイプの自動運転車両が指定された場所に到着。トランクルームに積まれた宅配物を取り出すほか、車内の陳列棚から商品を選ぶ姿が収められている。

実用化までカウントダウンに入ったと思われる同社の自動運転サービスの今後の展開に要注目だ。

【参考】AutoXの取り組みについては「AutoX、Waymoに続くか!自動運転試験、補助運転手ナシで申請」も参照。

■【まとめ】社会受容性向上効果も 国内企業は自動運転技術の動画コンテンツに力を

海外に比べると国内企業、特に自動車メーカーは自動運転技術を直接PRする動画が圧倒的に少ない。実証環境の違いや国民性によるものかもしれないが、ぜひ映像コンテンツにも力を入れて自動運転による次世代モビリティの世界観を広げてもらいたい。社会受容性の向上にも少なからず効果があるはずだ。

企業の公式以外にも、YouTuberやメディアによる自動運転体験動画も数多くアップされているので、いろいろと検索して各社の動向や技術に迫ってみるのも面白そうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転、ゼロから分かる4万字まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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