自動運転車は何年後に実用化される?日本・海外の状況は?

米中では無人レベル4実用化済み、日本は2025年?



出典:日産プレスリリース

自動運転バス自動運転タクシーといった言葉を耳にする機会が多くなり、その存在はもはや珍しいものではなくなった。一方で、「自動運転車はいつ実用化されるの?」といった疑問を耳にする機会も依然として多い。

自動運転車の種別や国により実用化時期が異なるため一律に回答することはできず、すでに実用化済みのものもあれば今後実用化される見込みのものもある。


さまざまなケースにおける「自動運転車の実用化時期」について解説していく。

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■自動運転車の「実用化」とは何を指す?

無人レベル4達成で「実用化」?自動運転車両導入でも「実用化」?

自動運転の実用化とはどのような状態を指すのか。自家用車であれば、自動運転システムを搭載した車両が市販されるか、後付けの自動運転システムの実装がスタートすれば実用化と言える。

一方、自動運転サービスにおいてはその定義はあいまいだ。目指すべき最終形態に辿り着く前に「実用化」をうたうケースがあるためだ。

一般的に、サービス実現に向けては、一定の開発段階を経て自動運転システムが一定精度に達した後、セーフティドライバー同乗のもと乗客を運ぶサービスに移行する。サービス実証のため、当初は無料とするケースが多い。


その後、問題がなければドライバーレスサービス、つまり無人化を図る。そこまでの過程のどこかで運賃有料化を図る。最終目的である「有料無人サービス」はここでやっと実用化されるが、「自動運転サービス」としてはその前段階で実用化をうたっても間違いではないのだ。

例えば、最終目標として無人運行が可能な自動運転バスを有料で一日10便走行させたいとする。これが実現すれば文句なしの実用化となるが、実現に向けた過程において、セーフティドライバーが同乗するものの一日10便の継続運行を実現すれば、その自動運転バスによるサービスは実用化されたと言える。

つまり、自動運転車両を用いた継続サービスに着手すれば、それも一つの実用化と言えるのだ。

また、「無人運行」にもさまざまなフェーズがある。車内のドライバー無人化を実現しても、遠隔管制センターで常時監視し、必要に応じて遠隔操作する初期状態もあれば、システムからの要請に応じて適時遠隔から手動介入する状態もある。


こうした状態は、厳密にはレベル4に当たらず、レベル3、場合によってはレベル2相当になる。遠隔地にいるドライバー(オペレーター)が介入する頻度が多いためだ。例えば、無人の自動運転車が路肩の駐車車両を避けられず、その都度手動介入要請を発するような状態はレベル4とは言えない。

目指すべきレベル4は、原則監視も介入も必要のない状態となる。ただ、そこに至るまでにサービスとしての定常運行を開始するのも一般的であり、それはそれで実用化と言われても間違っていない……ということだ。

実質レベル2状態はさすがに自動運転とは呼べないが、実質レベル3状態で継続運行を開始した時点で実用化をうたうケースは多い。さまざまな段階に「実用化」が存在するため、以下、フェーズごとに分けて「実用化」の動向をまとめてみる。

■自家用車における自動運転

自家用車のレベル3は2021年に実用化

ホンダが発売したレベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

自家用車においては、ホンダが先駆けとなった。ホンダは2021年3月、レベル3システム「トラフィックジャムパイロット」を搭載した新型レジェンドを100台限定でリース発売した。世界初の自家用レベル3だ。

高速道路などにおける渋滞時、かつ時速50キロ以下など制限は多いが、システム作動時はドライバーは周囲の常時監視義務を免れ、スマートフォンやカーナビなどを操作することができる。システムから手動運転への交代要請があった場合、迅速に対応しなければならないため、睡眠などは厳禁となる。

自動運転の初歩であり、第一歩と言えるシステムだ。現状、実用性は乏しいかもしれないが、こうしたシステムを実装して経験値を積み重ねることで、走行エリアや対応速度域などを拡大することができる。

2024年11月時点でレベル3を実用化済みのメーカーは、ホンダとメルセデス・ベンツ、BMWの3社に留まる。

メルセデスは2022年、S クラスと EQS セダン向けの有料オプションとしてレベル3システム「DRIVE PILOT」の展開を開始した。対象エリアはドイツのほか、米カリフォルニア州とネバダ州の一部主要高速道路に拡大している。

時速 40 マイル(約64キロ)以下の渋滞時を作動領域としているが、2025年にも最高時速95キロの自律走行を可能にする予定で、現在ドイツ連邦自動車交通局の再認証を申請している状況だ。

BMWは2024年、7シリーズにレベル3システム「Personal Pilot L3」をオプション設定した。ドイツ国内の高速道路において、渋滞時など時速60キロを上限に利用できるようだ。

自家用車におけるレベル3は、当面は走行エリアを自動車専用道路に限定したまま巡行速度域の拡大を図っていくものと思われる。

スウェーデンのボルボ・カーズや韓国ヒョンデ、Zeekrに代表される中国勢などもレベル3に意欲を見せており、今後の動向に注目したいところだ。

なお、車道以外の駐車場において自動駐車する機能を備えたクルマも登場している。レベル3~4相当の技術だが、車道以外の局所的実用化のためここでは割愛する。

【参考】自動運転レベル3については「自動運転レベル3とは?」も参照。

自家用車におけるレベル4は早ければ2026年にも?

出典:Intelプレスリリース

自家用車におけるレベル4は2024年11月時点で実現していない。多くの自動車メーカーが自家用車のレベル4開発を進めているものの、まだまだ技術不足の状況だ。

第三勢力としては、イスラエルMobileyeが2022年、中国Geely(浙江吉利控股集団)と手を組み、傘下のプレミアムEV(電気自動車)ブランドZeekrから2024年にも中国内でレベル4自家用車を発売する計画を明かしていた。しかしこれもまだ難しいようだ。

自家用車におけるレベル4は、おそらくレベル3同様高速道路などの自動車専用道が主戦場になるものと思われる。

制限速度を満たす速度域と、インターチェンジ・料金所から料金所までを網羅する走行エリア、そして原則手動介入を要しないシステム精度が求められる。

かんたんな道のりではないが、メルセデスがレベル3で時速95キロまで対応可能にした点を踏まえると、思いのほか早く実現するかもしれない。このメルセデスのレベル3が精度を増し、ほぼ手動介入なしで走行可能になればレベル4域に達するからだ。

例えば、制限速度を満たすレベル3において、1万キロ走行あたりの手動介入回数が1回未満であれば、それはほぼレベル4と言えるのではないか。悪天候や急な交通規制などをODD(運行設計領域)外に設定すれば、純粋にレベル3の精度を上げることでレベル4は実現できる。

まずは、レベル3の経験値をひたすら積み重ね、手動介入が生じるケースを一つずつ潰していく作業が必要になる。この作業に注力することができれば、思いのほか早く達成できるかもしれない。

制限速度域を満たすレベル3の実装がカギだが、早ければ2026年内のレベル4実用化も夢ではないのではないだろうか。

【参考】モービルアイの動向については「自動運転で未知の領域!「市販車×レベル4」にMobileyeが乗り出す」も参照。

国内では2020年代後半が目標?

日本国内においても未知数だが、警察庁が2021年に取りまとめた事業者ヒアリング結果によると、自動車メーカーら15社中、自家用車のレベル4実用化目標時期について1主体が2020年代前半、2主体が2020年代後半、1主体が2030年以降、1主体が機密、6主体が未定と回答したという。

2020年代前半の実用化は事実上流れたため、2020年代後半が一つの目標となっているのかもしれない。

【参考】警察庁のヒアリング結果については「自動運転レベル4の自家用車「いつ実現できます?」 警察庁が事業者ヒアリング」も参照。

■サービス分野における自動運転

自動運転バス・シャトルは無人レベル4を実用化済み

自動運転サービスとしては、バスやシャトル、タクシー、物流が軸となる。自動運転バス・シャトルに関しては、大学敷地内や公園内といった一般車道外で比較的早期にサービス実装されたと言える。

一般車道においては、米国や中国において2010年代後半に実証と一部実用化が始まったものと思われる。断言できないのは、各社のリリースがあいまいなためだ。「〇×で自動運転バスの運行を開始した」といったリリースでも、実際は同乗のセーフティドライバーが常時監視しているケースもある。また、セーフティドライバーが同乗していても、常時監視ではなくモニターを注視するなど都度監視のレベル3相当のケースもある。中には、勝手に世界初をうたう新興企業もあり、ソースの信頼性が危ういのだ。

ただ、2020年代に入ってからは中国などで実際にドライバーレスのサービスが次々と誕生している。現時点で自動運転バス・シャトルはすでに実用化されていると言って間違いではない。

国内では一般車道外で2023年に無人レベル4実用化

一方、国内ではどうか。一般車道以外を含めると、福井県永平寺町で取り組みが進められている「ZEN drive Pilot」が2021年3月にレベル3認可を受け、遠隔監視・操作型による車内無人走行を実現している。

電磁誘導線を用い、走行ルートは廃線跡地の自転車歩行者専用道とややイレギュラーな存在だが、2023年3月にレベル4認可を受け、同年5月に国内初となる特定自動運行許可を取得するなど、国内自動運転サービスのパイオニア的存在となっている。

一般車道では2025年に実用化事例が続々?

出典:鹿島建設プレスリリース

では、一般車道における自動運転サービスはどのような状況となっているか。茨城県境町では、ソフトバンクグループのBOLDLYとマクニカが協力し、自動運転バスARMAを活用した定常運行を2020年11月に開始している。ただし、運行形態はレベル2だ。

BOLDLYは2024年9月時点で「現在10ヶ所の自動運転バス実用化を達成」とうたっている。レベル2が大半だが、自動運転バスを使用したサービスを実用化したという意味では正しい。

また、BOLDLYらがHANEDA INNOVATION CITY内で運行しているARMAは2024年6月に特定自動運行許可を取得し、8月から国内初のレベル4自動運転バスとして運行を行っている。現状は施設の敷地内に限定されているが、他所も含め2025年中には複数カ所の一般車道でレベル4サービスが始まる可能性が高い。

ティアフォーも各地における実証を加速しており、2024年10月には、長野県塩尻市の一般道で取り組む自動運転バスの自動運行装置「AIパイロット」がレベル4認可を取得したと発表している。こちらも2025年中にレベル4サービス実用化に辿り着きそうだ。

【参考】ティアフォーの取り組みについては「自動運転バス、肌感覚では「手動運転とほぼ同等」に!長野県塩尻市で無事故運行」も参照。

自動運転タクシーは2018年に実用化

自動運転タクシーは、グーグル系Waymoが2018年12月に米アリゾナ州フェニックスで開始した「WaymoOne」が世界初だ。当初はセーフティドライバー同乗のもと運行していたが、2019年末には一部の利用者を対象にドライバーレスサービスを開始した。

出典:Waymoプレスリリース

2024年11月時点でサービスはカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスに拡張しており、2025年にはテキサス州オースティンとジョージア州アトランタにも拡大する計画を発表している。

このほか、Cruiseも2022年にサンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始し、2023年までにフェニックスとオースティンにサービスエリアを拡大していた。ただ、2023年10月に発生した事故により、現在自動運転サービスは休止している。

アマゾン傘下Zooxは2025年にもネバダ州ラスベガスやサンフランシスコでサービスインする計画を発表している。EV大手テスラもロボタクシーを発表し、2025年中に完全自律型のFSDをテキサスとカリフォルニアで開始するとしている。2026年内に量産化を開始する予定としている。

中国では、2020年ごろを境にテクノロジー企業の動きが本格化した。IT大手百度は2020年4月、湖南省長沙市で一般客を対象にした自動運転タクシーサービス「ApolloGo Robotaxi」を開始した。こちらも当初はセーフティドライバー付きだ。

百度に続けと言わんばかりにWeRideやAutoX、Pony.aiといった新興勢も次々とサービスを開始し、自動運転タクシー競争が一気に過熱した。

ドライバーレスサービスも進んでいる。百度は2021年に北京でドライバーレス有料サービスの許可を取得しており、2024年11月までに深セン、武漢、重慶など5都市で無人運行を実現している。

国内では2025年?2026年?

日本では、ティアフォーが東京都内のお台場エリアで複数拠点間を結ぶサービス実証を行い、2024年11月から交通事業者と共同で事業化を目指す方針を発表している。段階的に区画や拠点数を拡張し、2025年に都内3カ所、2027年には都内全域を網羅する計画だ。

ホンダは、米GM、Cruise陣営とともに2026年初頭にお台場エリアで自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表している。お台場を皮切りに中央区や港区、千代田区へと順次拡大を図っていき、500台規模のフリートを構築するという。

■【まとめ】一般車道の無人レベル4、日本では2025年にスタート?

ざっくりとまとめると、自家用車においてはレベル3は実用化済みで、レベル4は早くとも2026年以後となりそうだ。一般車道におけるバスやタクシーなどの自動運転サービスは、米国・中国ですでに無人レベル4が実用化されている。国内では、2025年に自動運転バスが実用化される可能性が高い。

自動運転技術が社会的効用を発揮するのは、やはり「一般車道」で「無人化」を達成してからだ。日本でも2025年に各社の取り組みが本格化していく可能性が高く、今後の動向に引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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