中国製EVの「日本人が知らない」自動運転開発の現在地

新興勢中心に開発が大幅加速



新興EVメーカーが乱立する中国。新興勢の中で2025年販売台数トップに立ったのは、約60万台を売り上げたLeap Motor(零跑汽車)だった。


新興勢のランクは毎年のように変動しているが、スマート化が主流となりつつある中国自動車業界に大きな影響を及ぼしていることは間違いない。ADAS含む自動運転技術への注目度も高まっており、こうした新興勢を軸に自家用車の高度化が進んでいく可能性が高い。

中国自動車業界の動向とともに、新興勢と国有メーカーの取り組みに触れていこう。

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■中国自動車業界の動向

新興勢ではLeap Motorが首位に

出典:Wikipedia Commons

36Kr Japanによると、新興メーカーの2025年販売台数は、Leap Motorが前年から微増の59万6,555台で首位に立ち、2位がXPeng Motors(小鵬汽車)42万9,445台、3位がAITO(問界)42万2,916台、4位がLi Auto(理想汽車)40万6,343台、5位がXiaomi Auto(小米汽車)41万台、6位がNIO(蔚来汽車)32万6,028台となっている。

Leap Motorは前年3位で、XPeng Motorsは同6位だった。毎年のように目まぐるしく順位を変えているようだ。


中国市場ではBEVのシェアが3割を超え、PHEVなどを含むNEV(新エネルギー車)の割合は約5割に達している。3台に1台がBEVで、半数がNEVとなっており、そのシェアは拡大の一途をたどっている。

新興勢の多くはBEVに特化しており、一部PHEVの製造販売なども行っている。国策と相まって有力各社が存在感を増す一方、NEV市場には数百社が乱立していると言われており、激しい競争についていけず淘汰されたメーカーも数知れない。

中国市場における新車販売台数は、日本市場(約450万台)の7倍ほど、3,400万台規模となっている。メーカー別首位のBYDの2025年世界販売台数は約460万台で、うちBEVは226万台となっている。吉利汽車(Geely)は400万台、長安汽車(Changan)が300万台弱、上海汽車(SAIC)450万台、奇瑞汽車(CHERY)280万台、第一汽車(FAW)330万台、東風汽車(Dongfeng)190万台の状況だ。

単純な販売台数でみれば、中国主要メーカーはメルセデス・ベンツやBMWなどの200万台を超え、ホンダ日産などの300~400万台規模に達しているようだ。


BYD筆頭に勢力図が変化

トータルの販売台数では国有オールドメーカーが幅を利かせているが、BYDを筆頭にNEVメーカーがシェアを拡大しており、勢力図に変化をもたらしているのは明白だ。

新興BEVメーカーの中で勢いがあるのは、スマートカーを強く意識した企業群だ。BEV化による新設計と合わせ、自動運転・ADAS技術やエンタメ機能に力を入れ、旧来の自動車と差別化を図っている。

一方、オールドメーカー系は、先端技術では新興企業に適わないためか、新興BEVや自動運転開発企業と手を組み、新ブランドを立ち上げる動きが活発化している。

中国では、NEVをベースに自動運転・ADAS技術やエンタメ機能を搭載したクルマに大きな注目が寄せられているのだ。

では、新興勢上位のメーカーは実際どのような技術を開発・搭載しているのか。以下、準新興勢と言えるBYDや吉利、国有メーカーの長安も交えつつ、各社の技術や取り組みを紹介していく。

■メーカー各社の取り組み

Leap Motor:ADASは普通 お手頃価格やサービス面などが評価されている?

2015年設立のLeap Motorは、新興勢の中では比較的安価なモデル開発を進めている部類に属する。香港市場に上場済みで、Stellantisとのパートナーシップのもと、同グループのディーラーやサービスネットワークを活用したサービス・サポート体制を構築しているのが特徴だ。

同社のADAS「Leap Pilot」は、アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシスト機能によるレベル2相当のトラフィックジャムアシストを備えている。レベル2+は実装されていない。

先進機能としては並みだが、価格の安さや8年間・16万キロのバッテリー保証など、サービス面が評価されているようだ。

出典:Leap Motor公式サイト

XPeng Motors:中国版テスラ、ロボタクシーやヒューマノイド開発も本格化

2014年設立のXPeng Motorsは、中国版テスラと言わんばかりの戦略で自動運転やロボティクス技術の開発を進めている。

同社の最新ADAS「XNGP」は、200を超える都市で広範囲に及ぶレベル2を実現している。詳細は不明だが、一部ハンズオフクラスの運転も可能という。

自動運転分野ではエンドツーエンドモデルの開発を進めており、自動運転タクシーやヒューマノイド、空飛ぶクルマ開発にも注力している。レベル3の公道走行ライセンスも取得しており、実証を重ねているようだ。

2025年開催のXPENG AI Dayでは、フィジカルAIを核とした量産型物理世界大規模モデル「XPENG VLA 2.0」をはじめ、「XPENG Robotaxi」、ヒューマノイドロボット「XPENG Next-Gen IRON」、空飛ぶクルマ「ARIDGE」を発表した。

XPENG VLA 2.0は、行動生成モデルであると同時に理解と予測を担う物理世界モデルでもあり、現実世界の相互作用法則を理解しながら自己進化学習を行うことができる。

モデルトレーニングレベルでは、データアノテーションを必要とせず、膨大な量の運転ビデオを直接トレーニングに利用できるという。VLA 2.0のデータトレーニング量は約1億クリップに上り、これは人間のドライバーが6万5000年間の運転で遭遇する過酷な運転シナリオの総量に相当するとしている。

このVLA 2.0をベースに「Narrow Road NGP」機能を開発し、複雑な狭路や混合交通環境におけるインテリジェント運転性能を大幅に向上させたという。

2025年末までに先駆的なユーザーにVLA 2.0を体験してもらい、2026年第1四半期にVLA 2.0をXPENG Ultraモデルに全面展開する予定としている。

XPENG Robotaxiは、フルスタック自社開発・量産型ロボタクシーで、汎化学習をサポートし高い汎用性とグローバルな迅速な展開を可能にする。LiDARや高精度地図に依存せず純粋なビジョンソリューションのみで世界中のあらゆる交通環境に対応できるという。

デュアル冗長ハードウェアアーキテクチャを標準装備しており、2組のハードウェアが互いにバックアップとして機能することで、万が一の故障時でも安全性を最大限に確保する。

シェアリング型の無人ロボタクシーと、ドライバーが介在する個人所有のレベル4モデルを戦略に据えており、2026年中に、ロボタクシーと同じハードウェア構成、安全性の冗長性、そしてインテリジェント運転機能を備えた新型インテリジェント運転TRIM「ロボ」を発売する計画としている。

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AITO:ファーウェイ技術で広範囲のレベル2+実現

AITOは、テクノロジー企業Huawei(ファーウェイ)が自動車メーカー・セレスと共同で2021年に立ち上げたブランドだ。

ファーウェイは2019年にインテリジェント・オートモーティブ・ソリューション事業部を設立し、自動運転開発を本格化させた。

2023年には、「ハーモニー・インテリジェント・モビリティ・アライアンス(HIMA/鴻蒙智行)」を設立し、業界各社とのスマートカーの開発や販売促進の強化を図っている。ファーウェイが開発したHarmonyOSやADAS(ADS)、スマートコックピットなどの導入を促進する狙いだ。

HIMAには、AITOのほか長安汽車とバッテリー大手CATLとの共同ブランドAVATR、奇瑞汽車(Chery)との提携ブランドLuxeed、BAIC(北京汽車)とのStelato、JAC(安徽江淮汽車)とのMaextro、上海汽車(SAIC)との尚界(SHANGJIE)などが参画しているようだ。

2024年には、BYDの高級ブランド「Fang Cheng Bao(方程豹)」もファーウェイ製ADASを採用することが発表された。2025年7月時点で、ファーウェイ製ADAS搭載車が100万台に達したことが発表されている。

ファーウェイのADASは、一般道路を含む広範囲でレベル2+を実現しているとされており、実装技術としては新興勢の中で頭一つ抜け出している。2025年4月に発表した最新システム「ADS4.0」はレベル3に対応しており、同年12月に同搭載した長安汽車系ブランドのモデルが公道試験ライセンスを取得している。

中国自動車メーカーの中では、XPengとともにファーウェイが台風の目となる可能性が高そうだ。

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Li Auto:フルシナリオのレベル2実装

Li Autoは2015年創業で、すでに米ナスダックや香港市場に上場済みだ。自動運転開発にも積極的で、フラッグシップモデルにいち早くNVIDIA Thorを導入するなど、プレミア感満載のようだ。

NVIDIA Thorのもと動作するAD Maxは、フルシナリオのエンドツーエンド+VLMモデルを備えており、高速道路をはじめ市街地におけるNOAシステムとして、現在地から目的地までのレベル2を実現している。一部ハンズオフも可能としているようだ。

レベル3に対応した「AD Max 3.0」の開発も進めており、2025年12月に北京で公道試験ライセンスを取得している。

BYD:自動運転領域の取り組みを急加速中

中国トップクラスの自動車メーカーにのし上がったBYDは、日本を含む世界100以上の国と地域で自動車販売を手掛けており、ブレードバッテリーとデュアルモードハイブリッド電源技術を武器にNEV領域で存在感を高めている。

ADASは基本的にレベル2に収まっているが、2025年2月に新たなインテリジェントドライビング戦略を発表した。

ADAS「天神之眼」を3パターン用意し、ハイエンドモデルには3つのLiDARを備えたAタイプ、一般モデルには1つのLiDARを備えたBモデル、低価格車には3台のカメラを用いたCモデルを用意し、全ブランドのモデルに装備してNOA機能を提供するという。

Aモデルは高精度3次元地図を必要とせず中国全土に対応したNOA、Cモデルでも高速道路におけるNOAを実装するようだ。一部報道によると、レベル2+機能も提供するとしている。AIスタートアップのディープシークが開発した生成AIも導入されているという。

2024年にはファーウェイと自動運転分野においてパートナーシップを結んでいる。勢いのある新興勢力からシェアを守るためには、自動運転領域への注力が必須……と判断したようだ。

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吉利汽車:モービルアイや百度、Waymoとも協業

吉利汽車は、主力ブランドのGeelyを中心に、プレミアム路線のLynk & Coや高級BEV路線のZeekrなどでスマート化路線を歩んでいる。

Lynk & Coは、イスラエルMobileyeが開発するSuperVisionシステムを導入するなど、最高峰クラスのADASを実用化している。ZeekrもMobileyeの技術を導入しており、2022年には、2024年にレベル4自家用車を発売する計画を発表していた。

レベル4自家用車の開発は停滞しているようだが、2024年にはWaymoと自動運転サービス向け車両「Zeekr RT」を共同開発する計画も発表している。米中間の貿易摩擦を考慮すると、同車が米国の自動運転タクシーフリートに加わる可能性は現状低そうだが、グローバル路線を歩み始めたWaymoが海外で導入する可能性は十分考えられる。

一方、アポロプロジェクトを主導する百度との合弁・極越汽車(Jiyue Auto)は破綻するなど、自動運転分野においては順風満帆とはいかないようだ。

中国民営自動車メーカーの中では最も資本力・実績があると言える吉利。グローバルな影響力も強く、自動運転分野において改めて注目したいところだ。

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長安汽車:傘下ブランドが続々レベル3試験へ

長安汽車は、傘下ブランド「深藍(Deepal)」が2025年12月にレベル3認可を受け、重慶と北京で公道走行試験を開始した。

長安汽車はこのほか、ファーウェイが関わるAVATRや、Qiyuan(啓源)などのブランドでもレベル3を展開する計画だ。AVATR以外、自社開発技術なのか他のパートナーシップによるものなのか判然としないが、同社は国家インテリジェント車両安全技術重点実験室の支援を受けるなど、国有企業の中では善戦している印象だ。

■【まとめ】新興勢を中心に著しい進化

新興上位勢は黒字化も達成し始めている。既存技術を流用している点も踏まえても、わずか10年ほどで自動車を開発・製造し、さらに先進的な自動運転技術の開発でも成果を上げている点は驚異的だ。

高品質な日本のメーカーと比較し、「しょせん中国品質」などと高を括っていれば、そのうちグローバルシェアも奪われかねない。それほど進化のスピードが速いのだ。

数年後、自動車業界の地図はどのように塗り替わっているのか。要注目だ。

【参考】関連記事としては「中国の自動運転タクシー事情」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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