ソフトバンクビジョンファンドとは?投資先一覧と損益、自動運転分野での成果は?

SVF1とSVF2で5兆円に迫る投資成果



出典:ソフトバンクグループIRページ

いまや世界が注目する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)。AI(人工知能)や自動運転、ライドシェアなどの分野の有望ベンチャーに積極的に投資し、5兆円に迫る投資成果を出している。

そんな中、気になるのがSVFが投資した個別企業の損益状況ではないだろうか。ソフトバンクグループが2021年8月10日に行った2022年3月期第1四半期(2021年4〜6月)の決算説明会で、8月9日時点の上場済企業の損益状況が公表されているので、紹介していこう。







■SVF1とSVF2の投資損益ランキング

第1号ファンドの「SVF1」と、第2号ファンドの「SVF2」における上場済企業の投資損益をそれぞれ紹介する。まずSVF1における損益ランキングだ。

出典:ソフトバンクグループIR資料(タップorクリックすると拡大できます)

続いて、SVF2における損益ランキングだ。

出典:ソフトバンクグループIR資料(タップorクリックすると拡大できます)
■自動運転技術の開発・活用に取り組むUber、DiDi、JD Logistics

このランキングで自動運転ラボとして注目したいのが、米国企業のUberと、中国企業のDiDiとJD Logisticsだ。いずれの企業も自動運転技術の開発・活用に取り組んでいる。ソフトバンクビジョンファンドの3社における損益は、2021年8月9日時点で以下のようになっている。

企業名投資損益
Uber Technologies+27億8,400万ドル
DiDi Chuxing-28億3,400万ドル
JD Logistics-1億7,300万ドル
Uber:いずれはライドシェアを自動運転タクシー化

27億8,400万ドルの投資利益をあげているUberは、ライドシェアサービスの自動運転タクシー化に向けて実証実験に取り組んできた実績があり、2020年末に自動運転車開発部門をAurora Innovationに売却したものの、その方向性に代わりはないものとみられる。あくまで自動運転技術を自社で開発する方向性から舵を切ったというだけだ。

【参考】関連記事としては「自動運転、Uberは後退、Appleは前進?」も参照。

DiDi:NVIDIAやボルボカーズとタッグ、自動運転タクシー展開へ

2021年6月末、中国企業で過去2番目に大きな調達額でニューヨーク証券取引所に上場したDiDi。中国政府によるハイテク企業への締め付けもり、現在は28億3,400万ドルの損失を出しているが、中国におけるライドシェア最大手としての存在感は高いほか、自動運転分野ではNVIDIAやボルボカーズと組み、すでに無人タクシーの試験サービスを提供している。

JD Logistics:自動配送ロボットや自動運転トラックで注目

中国EC大手JDドットコムの系列企業としてスマート物流システム開発を手掛けるJD Logisticsは、SVF2における投資先だ。8月9日時点の損益はマイナス1億7,300万ドルだが、同社が開発する自動運転配送ロボットに対する注目度は高く、自動運転トラックの開発に着手していることでも知られている。

■未上場の投資先では、AuroraやCruise、Nuroに注目

ちなみに現在まだ上場していない企業も含めれば、自動運転分野におけるソフトバンクビジョンファンドの投資先企業はさらに増える。

例えばAurora Innovationはアメリカで自動運転開発を進めるスタートアップ企業で、Uberの自動運転開発子会社ATG(アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)を2020年12月に買収したことで知られる。上場に関しては、2021年内にSPAC上場を実施する見込みとなっている。

ソフトバンクビジョンファンドは、GM傘下のCruiseにも資金を投入している。2018年5月に22億5,000万ドル(約2,400億円)を投資しており、その後も2019年5月に追加投資を行っている。

自動配送ロボットの開発企業にも投資している。米Nuroだ。2019年2月に9億4,000万ドル(約104億円)の投資を行っている。ちなみにNuroに関しては、トヨタ系のWoven Capitalが第1号の投資案件としてNuroに出資したことでも知られている。2021年10月時点で、Nuroに関してはまだIPOの噂はない。

■今後は日本の自動運転企業にも投資か

ちなみにソフトバンクビジョンファンドに関しては、日本企業への投資もスタートさせたことが明らかになっている。第1号案件は日本のバイオベンチャーであるアキュリスファーマへの投資だった。

今後の注目点は、次はどんな日本のベンチャー企業に投資するかだろう。AIやロボティクス、自動運転分野の企業に投資しているビジョンファンドだけに、自動運転OSを開発しているティアフォーや、東大発ベンチャーのTRUST SMITHなども可能性がありそうだ。

ちなみにビジョンファンドは、ロボティクス分野とモビリティ分野への投資が全体の34%(2021年9月末時点)を占めている。詳しくは以下の記事を参考にしてほしい。

【参考】関連記事としては「ビジョンファンド、モビリティ&ロボット分野で全投資の34%!ソフトバンクG決算説明会」も参照。

 

■自動運転関連企業への投資は今後も確実に増える

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、AI分野への投資を強化する大方針を掲げている。自動運転はAIが最大限活用される技術であるため、今後も自動運転関連企業への投資が増えていくことは確実だろう。引き続き、SVFの投資先に注目していきたい。

▼ソフトバンクグループ「2022年3月期第1四半期決算説明会資料」
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2021/earnings-presentation_q1fy2021_01_ja.pdf

(初稿公開日:2021年8月6日/最終更新日:2021年11月25日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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