「トヨタ×オリンピック」!登場する自動運転技術や低速EV、ロボットまとめ

Concept-愛iやe-Palette、i-ROAD、MIRAI…



出典:トヨタ公式YouTube動画

オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナーを務めるトヨタ自動車は2019年7月、ワールドワイドパートナーを務める東京五輪におけるサポート体制を発表した。持ち前の先端技術を生かした数々のロボットや自動運転車などを投入し、移動サービスを中心に同大会をバックアップする。

特に、自動運転関連技術のお披露目には注目が集まりそうだ。かつて1964年に開催された東京五輪が日本の技術やインフラの転機になったように、東京五輪を新たなモビリティ社会への転機にしていこうといった水面下の意向が感じられる。







残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、東京五輪の開催は2020年から2021年に延期されたが、恐らくトヨタはこの1年の延期をさらなる技術開発のチャンスととらえ、ロボットや自動運転車をより進化させて2021年開催の際に活躍させるはずだ。

この記事ではトヨタと五輪との関係をはじめ、トヨタが東京五輪でどのような技術を投入するのか、提供予定のモビリティやロボットを紹介していく。

■オリンピックとトヨタの関係

トヨタは2015年3月、国際オリンピック委員会(IOC)との間で、東京オリンピックを含む2024年までのIOC「TOP(The Olympic Partner)パートナー」契約を締結したことを発表した。トップパートナーは、オリンピックにおける最高レベルのグローバルスポンサーシッププログラムで、主に「Vehicles(乗用車、小型モビリティ、商用車など)」と「Mobility Services(ITS、テレマティクスサービスなど)」において大会を支援していく内容だ。

これまで、韓国の平昌2018冬季パラリンピックにおける車両提供などの物的支援や用具開発などの技術支援、雇用支援をはじめ、アルゼンチンで開催されたブエノスアイレス2018ユースオリンピックにおける車両の提供や輸送サービス、モビリティソリューションなどのサポートを実施している。

東京五輪においては、①すべての人に移動の自由を(Mobility for All)②水素社会の実現を核としたサステナビリティ(環境・安全)③トヨタ生産方式(TPS)を活用した大会関係者輸送支援――の3つをテーマに、従来の車両供給の枠を超えたモビリティソリューションの提供を目指し取り組む。

また開催に合わせ、東京の臨海副都心地区・羽田地区で自動運転レベル4(高度運転自動化)相当の実証実験やデモンストレーションも行い、誰もが自由に移動できる未来を提示する。

ではここからはオリンピックでトヨタが投入するさまざまなモビリティについて紹介していきたい。

■①APM(Accessible People Mover)
出典:トヨタプレスリリース

東京五輪をサポートする専用モビリティとして開発した車両で、大会関係者や選手をはじめ、高齢者や身体が不自由な方、妊娠中や乳幼児連れの来場者など、アクセシビリティに配慮が必要なさまざまな来場者に対し、「ラストワンマイル」のソリューションを提供する。

全長約3.9×全幅約1.6×全高約2.0メートルの3列シート仕様で6人乗り。航続距離は100キロメートル、最高時速19キロメートルの低速型EVだ。

両側からのアクセスが可能で、両サイドに乗り降り用の補助バーを設置している。2列目を折り畳むことで車いすの搭乗も可能としており、車いす用のスロープや車いす固定用のベルトも搭載している。

2列目、3列目の半面にストレッチャーをそのまま搭載できる救護仕様モデルも用意する。

■②東京2020マスコットロボット「ミライトワ/ソメイティ」

東京五輪の公式マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」をロボット化したもので、柔軟な動作制御が可能な小型関節ユニットを全身に搭載し、安全かつ高い運動性能を保持しているという。

遠隔のマスコットロボット同士で腕の動作や力の感覚を相互に共有することや、頭部に搭載したカメラで人を認識し、目の表情と動作を連動させて感情を表現することなどができる。大会関連施設などで、選手や観客を歓迎するほか、子供たちがマスコットロボットを通じて新たな形で大会を楽しめる企画を検討中という。

■③T-HR3

マスコットロボットをコントローラーとして捜査することが可能な人型のロボットで、動きや力を相互に伝達することができる。映像や音声に加え、アスリートらとのハイタッチや会話などを通じ、目の前で交流しているかのような臨場感あふれる体験を実現できるという。

■④T-TR1

米Toyota Research Institute(TRI)で開発しているカメラとディスプレイを搭載した移動型ロボットで、遠隔地にいる客をディスプレイ上に表示し、あたかもその場にいるような没入感のある体験を叶えることができる。

T-TR1を通じて、大会イベントに来られない人や大会に想いを寄せる人が仮想的に参加し、コミュニケーションを取る機会を提供する予定という。

■⑤HSR/DSR

オリンピックスタジアムの一部の車いす席において、HSRが車いす利用者らへ観戦席への誘導や物品運搬などを行い、心置きなく観戦を楽しめるようサポートする。また東京五輪専用に開発されたDSRが、専用タブレットからオーダーされたドリンクなどの物品を客の元まで届ける。

陸上競技種目で使用し、オリンピック大会期間中で計約500席、パラリンピック大会で約500席のトータル約1000席で、車いす席観戦サポートを実施する予定。

■⑥FSR

オリンピックスタジアムでの陸上投てき競技などの運営に活用するロボットで、自律走行機能を有する。最適な経路を選択して自律走行するとともに、運営スタッフの追従走行や障害物回避走行も実施しながら競技中の投てき物(槍やハンマーなど)の回収・運搬を行い、回収時間短縮と運営スタッフの労力低減に寄与する。

■⑦TOYOTA Concept-愛i

東京モーターショー2017に出展したコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」も東京2020大会に出展し、デモンストレーション走行する予定だ。

AI(人工知能)を搭載することで人を理解し、人とクルマがパートナーの関係となる、モビリティ社会の未来像を具現化したモデルで、この「人を理解する」技術と自動運転技術を組み合わせ、ドライバーを安全・安心(Protect)に導くほか、エージェント技術と組み合わせることで、ドライバーの気持ちを先回りした提案を可能とし、ドライバーに新しい「Fun to Drive」をもたらすとしている。

■⑧e-Palette
出典:トヨタ自動車プレスリリース

近未来を象徴するモビリティとして注目なのが、MaaS専用次世代EV「e-Palette(イーパレット)」だ。CES2018で初公開され、電動化やコネクテッド技術、自動運転技術を活用したMaaS向けモビリティとして、移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応する。

東京五輪では、五輪仕様のe-Paletteとその運行システムの提供を通じ、選手村での選手や大会関係者の移動を支援することとしている。

公式サイトによれば、五輪仕様のe-Paletteは最大で20人、車椅子なら4台同時に乗車できる。さまざまな五輪選手が乗車することを想定し、どのような身長でも乗りやすいよう、シートや手すりの高さを場所ごとに変えたり、色弱者の人にも配慮して色の明度差がついた床・内装にしたりするなどの工夫も施されているという。

■⑨TOYOTA i-ROAD
出典:トヨタプレスリリース

低炭素で快適なスマートモビリティ社会の実現に向けた取り組みの一環として開発した超小型EV。全長約2345×全幅約870×全高約1455ミリメートルの1人乗りで、国内では第1種原動機付自転車(ミニカー)のカテゴリーに適合する。航続距離は50キロメートルで、最高時速は60キロとなっている。

愛知県豊田市で実証運用を行う都市交通システム「Ha:mo(ハーモ)」に活用されており、現在2人乗りの車両も含めカーシェアされているほか、駐車場事業などを手掛けるパーク24とも2015年から実証実験を行っている。

五輪では、警備などの大会スタッフ用に提供される予定となっている。

■⑩MIRAI
出典:トヨタプレスリリース

東京五輪を水素社会の実現に向けた契機とするため、大会公式車両として2014年に発売したセダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」も投入する。

燃料電池技術とハイブリッド技術が融合したトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を採用しており、3分程度の水素の充填で走行距離約650キロを達成している。外部電源供給システムも備えている。全長約4890×全幅約1815×全高約1535ミリメートルで4人乗り。

なお、MIRAIは2019年6月、スイスのローザンヌでIOCへ8台納車されている。

■⑪SORA
出典:トヨタプレスリリース

MIRAI同様、燃料電池バス(FCバス)の「SORA」も投入する。FCバスとして国内で初めて型式認証を取得したモデルで、2018年3月に発売した。

従来の路線バスに見られる箱形とは異なる立体的な造形を追求しており、一目でFCバスとわかる外観が特徴で、自動格納機構付き横向きシートの採用により、ベビーカーや車いす利用者と一般利用者の居住性を両立している。

全長約10525×全幅約2490×全高約3350ミリメートルで、座席22、立ち席56、乗務員1人の計79人乗り。

大会ではこのほか、豊田自動織機製の燃料電池フォークリフト(FCフォークリフト)も活用する見込み。

■⑫JPN TAXI(ジャパンタクシー)
出典:トヨタプレスリリース

次世代タクシーとして2017年10月に発売した「JPN TAXI」も、東京を訪れる世界中の人々が快適に利用できるよう活用される。

新開発のLPG4ハイブリッドシステムを採用しており、19.4km/Lの低燃費とCO2排出量の大幅な低減を達成したモデルで、「Toyota Safety Sense C」や6つのSRSエアバッグの標準装備など、安全装備も充実している。

■【まとめ】東京五輪支援とともに先進技術を世界にアピール

トヨタは移動サービスを中心に多方面から東京五輪を支援するが、見方を少し変えると、オリンピックに合わせて自動運転の実証実験を行うなど、同社の自動運転技術が満を持して日本から世界にアピールされる機会ともいえる。世界から多くの注目が集まる一大イベントは、モーターショーや万博的な価値も含んでいる。

トヨタは東京五輪を皮切りに、北京2022大会、パリ2024大会までのパートナーシップを通じ、これらモビリティにおける社会課題の解決に向け、世界中のステークホルダーとともに、持続可能なモビリティ社会の実現に向けたレガシーづくりに貢献していきたいとしている。見せ場はまだまだ続きそうだ。

とにもかくにも、世界最高峰のスポーツを純粋に楽しむとともに、こうした最新技術にも注目していくと大会を2倍、3倍楽しめそうだ。

(初稿公開日:2019年7月25日/最終更新日:2021年2月18日)

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記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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